活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【1月4日】

2020-01-04 | 文庫

今年はカレンダーに恵まれて、三が日が終わって直ぐに週末の休みということで幸せです。東京震災記を読み終えました。花袋は日露戦争にも従軍記者で行っているので、作家というよりも今でいうルポライター的なこともしていました。この震災の記録は、他にある数字的な、ジャーナリスティックなものと違って、市井の声を集めること、自分の目で見たことを文章にしたようです。震災までの東京はまだ江戸の名残りを(特に下町は)濃厚に残していたようで、先進国のマネをしたものの銀座などの表通りにたつ洋館のすぐ裏手は江戸長屋状態のようなもので、外国人から見てもいけてないと思われていたと花袋は言っています。それがすっかり焼き払われて、この後の復興は新しい東京を作ってもらいたいと何回か言っています。そして、今までの東京は皇居から東側に重心があって、品川から池袋にかけては郊外、あるいはまだまだ田舎という感じでした。でも焼け出された人が一気に郊外に流れてきて人口域がぐーっと広まったのがこの震災のおかげでした。重心が段々西に向かって行く契機になったのです。せっかく復興した東京はこの震災のあと四半世紀でまた焼け野原になってしまいます。

「東京震災記」田山花袋 河出文庫

 

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