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天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

増山実『甘夏とオリオン』

2020-01-25 23:42:48 | 
平成最後の年からはじまる上方落語の噺家の世界を舞台にした小説です。
主人公は女性の噺家、甘夏。
女性が男性の社会だった落語に取り込む難しさや兄弟弟子たち含めての若手の悩み。
エンターテインメント(文学)としての作品の基軸と土台になる「落語」とそれにまつわる世界の話。
取材や文献、また実際に見てきた<事実>を取り込んで消化していると思うのは、表現者としての苦悩が描かれていること。
わたしは素人なのでその苦悩の実際は分からないけれど小説という読み物においては共感もしたし、新鮮に感じた描写もありました。

ある日、甘夏の師匠が失踪。
残された弟子たちが「師匠死んじゃったかもしれない寄席」を開催しながら師匠を待つという。
そこで浮かび上がるのは実は弟子たちの背負ってるもの。
大変面白い作品でした。


甘夏とオリオン

KADOKAWAオフィシャルサイト

 
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朝井まかて『落花狼藉』

2020-01-16 22:01:00 | 
文学学校で小説を書いていたときにテーマにしていたのは「(等身大の)女性を描く」ことだったのですが、朝井まかてさんの作品のテーマも(わたしよりもっと範囲が広いが)「女性を描く」なんだろうなと思います。
吉原の成り立ちと変遷を遊女屋の女将の一生を通して描いた作品。歴史的事実を積み重ねた上で表舞台に立たっていない女将を主役に選んだことにより創作としてのふくらみがあり、やはりまかてさんは現代作家なんだと実感。冒頭にでてきた桜の話、デビュー作を思い出しました。子をなすことができないソメイヨシノと吉原と。

わたしの話に戻ると、小説を書いてたときはそうでしたが、落語だとことさら“女性”にフォーカスしないけども、(等身大の)自分が演じるというところでいまもわりと表現としては変わっていないと思ったりしています。






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大阪と宝塚と

2019-04-01 22:14:23 | 
続けて読んだ本が戦時下の関西を描いたものでした。
 
田辺聖子『私の大阪八景』戦時下の大阪の女学生を描いた自伝的小説。大学の歴史の授業で『ボクラ少国民』山中恒をテキストのひとつとしていて読んだことを思い出し重なった。お聖さんのそれはあくまでも主人公トキコを描く。熱しやすいトキコの愛国心は滑稽。時代を経て振り返って筆者はもちろんそれも折り込み済み。タイトルにあるように大阪、兵庫での戦中が書かれ、大阪弁はやらかく、少女の心のつぶやきは生々しい。差別的な証言も包み隠さず書かれているのはこれが書かれた時代に読んだ人が冷静に判断するだろうということがあったのだと思うがヘイトがあふれる昨今作者の意図と違うところを同調する人もいるだろうと思った。いやな時代だ(いまが)。
 
増山実『風よ僕らに海の歌を』こちらも戦時下から物語がはじまる。宝塚の老舗イタリアンの店主をモデルにした作品で、同盟国からやがて敵対国になったイタリア人が歴史に翻弄される様を描いている。中盤からは主人公は息子に。息子は関西でバンド活動をする。ライバルとしてジュリー、そして東京で見て衝撃を受けたのがショーケンてこらまたタイムリーな。随所に描かれる宝塚、神戸。また、日本で本当の意味で老舗のイタリアン二店舗がわたしの住まうところに縁があるというのを知る。最後はイタリアに話が飛び大団円に。しかし、最後の章がセリフでの説明が多く物語りとしては着地が弱い感じ。過去の物語が厚いほど現代は描きにくいのか。
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献本

2019-03-20 20:47:00 | 
10年ほど前の文校通教のときのクラスメートから送られてきた!そして、はじめて本職知った!経済学の先生やった!
ほんで今までやりとりしてた名前がペンネームやったってはじめて知った!←聞いてかも?

 

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細川貂々『お多福来い来い: てんてんの落語案内』

2018-07-31 21:50:53 | 
お多福来い来い: てんてんの落語案内
クリエーター情報なし
小学館


たとえば、“普通”に暮らしていてもそこに至る道は人それぞれ違うのでヒッカカル場所はそれぞれ違う。
私なんかは割と心の狭い腹黒い人間の割に人に向けられた悪意の前にはわなわなと立ち尽くしてしまうのである。これはトラウマがなせる業なのかそうなのか。
本や落語に関しても人がヒッカカルところはそれぞれ違うので、感想や受けるところが自分とは違っていてもそれはありなのである。だって、「好きにしたらええやん」な部分だから。
ともあれ先にこれを書いておくのは、本の中で取り上げられたある噺に関して「それは違う」という意見がでてくると思ったから。ええねん、自分が好きなように感じたら。
さて、『ツレがウツになりまして』の作者が宝塚に引っ越してきていたとは知らなんだ!読みだしてすぐに釈徹宗先生が登場。先生、売れっ子やしな。東京にも行ってはるのかと読み進めると、
お子さんが通うのが<宝塚市こども落語教室>
なに?!
林家染左さん、笑福亭智之助さんが先生としてでてきます。
さらに繁昌亭がでてきて、作者がよくいくうどん屋さんが「絹延橋うどん研究所」、そこから池田の「吾妻」「更科」と分かる分かる。
そんなところを身近に思いつつ、この本のテーマは「落語を通して希望がもてた」であり「生きづらさ」を感じている人を励ますエッセイとして作者が落語を通して生き生きしている様を感じられます。

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剛しいらさん

2018-07-04 17:06:23 | 
ふと思い立って検索したら“剛しいら”さんが今年亡くなっていたことを知りました。
ボーイズラブ小説の作家で私はBLものは読まないのですが落語を描いているとして評価が高かったので読みました。ボーイズラブの部分の描写はえげつないのですが、師弟、兄弟間(のおっさんずラブ)を通して描かれえる落語への憧憬、慟哭に胸が詰まる作品だったことを覚えています。
2004年の作品なので14年前。一般受けはしないとは思いますが、落語を元にした作品が話題になるといつも思い出します。探してもう一回読んでみよう…。
どなたか作品に興味を持ってくださいますように。

『座布団』
師匠である落語家・山九亭初助の死を知った山九亭感謝。その胸のうちに、厳しく誇り高い芸人だった師匠への想いが去来する…。表題作ほか「どどいつ」「品川心中」など、落語を通して人生を描く全5編を収録。〔クリスタル文庫(光風社出版 2001年刊)の増補〕【「TRC MARC」の商品解説】

『花扇』
何の未練もなく男を使い捨てた落語家・山九亭初助。落語の道一筋に孤独な生涯を送ったかに見えたその裏には、真を貫いた愛情物語があった…。表題作ほか「子別れ」「夫婦茶碗」など、落語を通して人生を描く全4編を収録。〔クリスタル文庫(成美堂出版 2004年刊)の増補〕【「TRC MARC」の商品解説】
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朝井まかて『雲上雲下』

2018-05-28 22:59:38 | 
雲上雲下(うんじょううんげ) (文芸書)
クリエーター情報なし
徳間書店


読書感想の前に自分を語ることから入ることをお許しを。

私は「弟子入り」していた経験がある。
当の本人は弟子入りしたことについて気がついておらず、師匠である先生から言われて、さらにいうと先生も亡くなって10年近くになった今頃になって「ああ、私はあのころ弟子だったんだ」と思う始末。不詳の弟子を許してほしい。
昔話研究の稲田浩二先生のもとに入門したのはいつを起点とするのか?
ともあれ、2年の学部ゼミ生を経て入試という通過儀礼を果たし一本の論文をほうほうのていで仕上げて先生のもとを巣立った。
そして、学問の道からは外れ、元弟子に。
ただやはりその時に培ったものは今でも自分の中にあるのでそういう意味でも片足を突っ込んだことは間違いではなかったと思っている。

後に文学学校で小説を書いていたときに昔話をベースにした短編も書き、自分の中では消化、昇華。

そして、今回のまかてさんの作品である。
手に取り、もしかしてと後ろの参考文献の一覧を見てすごくうれしかった。
稲田浩二先生、稲田和子先生(浩二先生の奥様)の著作がずらり。
とくに『昔話百選』は、学部ゼミでのテキストだったし、『昔話ハンドブック』は(私の卒業後に)先輩後輩も執筆に加わったもの。

ああ、先生の業績はこんなところにも生きていますよ。

『雲上雲下』は日本の昔話、そして語り人を題材にした小説である。
まかてさんがこのようなファンタジーを書かれたことに驚いたが、ファンタジーは作者の哲学や価値観が反映されやすいもの。確固とした世界観をもってこそぶれることなく描くことができるのであろう。
まず登場者それぞれが物語を持つものであり、それらは日本の昔話から造形を立ち上げているが、主人公である草どんだけはオリジナルの登場者であろう(似たものはあるかもしれない)。しかし、「物語を拾遺するもの」という設定、これは先達を含め昔話研究をする多くのものを反映している。私も研究に携わった期間は少ない間だったものの聞き取り調査にでかけ、話の中から物語を拾い、また「すっかり忘れてしまった」という話者が記憶をたどり引き寄せやがて、とめどもなく泉が湧くかのように語るという場を経験したことがある。
また昔話から派生し、いまや古典芸能の登場者として知られるものも作品にはでてくる。いわば日本の「物語」のオールスターの物語だ。
余談だが子狐のシッポが短い理由はシッポで釣りをしたのかと途中まで思っていた。なぜならこれはゼミで一番最初の私の研究課題だったからだ。
ともあれ物語はやがて現代と交差する。

これはまかて版の『はてしない物語』だ。
とっぴんぱらりのぷぅ。
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さよなら、かこさん

2018-05-07 17:57:23 | 
加古里子(かこさとし)が亡くなりました。92歳。
学生の頃、「絵本研究」の授業で私が選んだのがかこさんの「かわ」、そこでかこさんが東大の工学部を出て企業研究員として働く傍ら、児童文化、絵本作家として活躍されていることを知りました。
「だるまちゃんとてんぐちゃん」「からすのパンやさん」などのキャラクターを生かした作品から、「かわ」などの科学絵本まで手掛けられたのはその才能が文学的、理系的と多岐に渡ったからでしょう。
授業は研究発表以外にストーリーテリングもあったのに、同級生たちがリーディングしやすい物語を選ぶ中、「かわ」を選んだわたし。それでも、勝尾先生に「君の持ってる蛍光ペンで指し示せばよかったんだよ」と後でご指導いただいたことを今でも覚えています。
子どものころに一番読んだ絵本はなに?と聞かれたら間違いなく「カラスのパンやさん」、ひとつひとつのパンを丹念に眺めて味を想像したものです。食いしん坊の片りんすでに…。
グラニフがかこさんのTシャツを出していたことを知ったのは一週間ほど前。買おうかな、パンやさん。。。
http://www.graniph.com/shop/e/ec-kako/

ともあれ、かこさんがだるまちゃんもてんぐちゃんも泥棒もつれていってしまいました。
今までありがとうございました。
http://kakosatoshi.jp/
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ガラスの仮面に纏わる

2018-01-26 00:08:52 | 
青春だったくせに単行本を捨ててもた「ガラスの仮面」、買い直したいリストの上の方にいるもののためらう刊行済み49巻、しかも未完。美内先生、お願いだから早く完結させてください。
そんなわたしの「ガラスの仮面」に纏わるコレクション。



カルタ→いまだしたことはない。CD聞いて笑ったのみ。だれかしましょう。




グリコのおまけのミニ「花とゆめ」1985年18号、これ発刊当時買った覚えがある。連載が「プリンセス症候群」「ピグマリオ」「アクマくん魔法ビター」「ブルーソネット」「パタリロ!」、川原教授、これわたし的に「花ゆめ」黄金期だわ。
和田慎二先生…美内先生早く完結させてっ!!
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玉岡かおる『花になるらん~明治おんな繁盛記』

2017-10-30 23:34:33 | 
花になるらん: 明治おんな繁盛記
クリエーター情報なし
新潮社


史実を元にした物語の場合、どこまでが事実なのかついつい考えながら読んでしまう。今期の朝ドラは小説にも舞台にもなってる人をモデルにしつつも新しい人物像らしく、それはそれで混乱が…。作り物として楽しむにはそのあたり距離を置く方がいいでしょうね。
この作品は、京都の某百貨店の創業者のご寮人を描いています。たぶん限りなくあの百貨店がモデル。

近代、価値や文化が急激に変わる時代、またその中で舵をとった女性を主人公にすることが多い玉岡かおるさんの新作。しかも、関西が舞台なので、読み手は多少選ぶかもしれませんが、実話的な話の展開を元に心の機微や情を繊細にすくいあげています。
ご寮人さんの一人称と三人称が交差するため、ご寮人さんそのひとが立ち上がってきます。
読んでいて、価値観が変わる時代の空気を感じるし、関西はわりと商売人の女性の地位が高かったと聞きますが、それでも参政権が与えられるのはずっとずっとあとなんだなあと思ったり。
女性の一生を追い、あっという間に読み終えました。
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高田郁『あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 』

2017-08-11 22:40:33 | 
あきない世傳 金と銀〈3〉奔流篇 (時代小説文庫)
クリエーター情報なし
角川春樹事務所


『あきない世傳 金と銀』
2月にでた三巻を書い忘れていて8月にでた四巻とまとめ買い。読書な夏休み。

大坂からでてきた少女を主人公にした『みをつくし料理帖』がでたときから念願だった大坂が舞台の時代小説。大阪天満宮界隈の呉服屋さんを舞台にした商いと勉学、そして、女性を描く作品です。

当時の言葉や文化がなにげなくでてきます。お家さんとご寮さん、節季払いに井原西鶴、人形浄瑠璃、おはぐろ、活版事情、そして、金と銀。

江戸以外、女を主人公にすると時代小説は売れないと言われていたそうです。ぜひみなさん、買って応援。
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朝井まかて『残り者』

2016-07-04 22:52:17 | 
残り者
クリエーター情報なし
双葉社


歴史という古い時代を舞台にしていても、描いているのは現代である、それを特に感じさせるのは朝井まかてさんのこのような作品に出会ったとき。
何を描きたいか、それは現代に通じる生き方だと思う。
幕末、江戸の終焉。徳川家が江戸城を明け渡したその夜、城にうっかり?残ってしまった女たち。
大奥、でも、ドラマで描かれるドロドロなステレオタイプな女の世界、ではなくて

職業をもった、職業意識をもった女の世界。でも、その反面の孤独。

大奥の針仕事を扱う部屋、食事を作る部屋、秘書室(みたいなん)やらなんやらの女たちは普段出会うハズがない関係。それなのに城に残ってしまったために一晩をともに過ごすことになります。
ふと重なるのは仕事に対する意識であったり、主人への思いであったり。
互いの距離がやがてちぢまり…。

この女たちの造形がまたいい。
まかてさんはやはり現代を描いてるんだと思う。

読み終わって感想なかなか書けず放置していたらもうまかてさんの次作がでるらしい!ハードワーカーだ!
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小山進『丁寧を武器にする』

2016-05-31 21:22:17 | 
丁寧を武器にする
クリエーター情報なし
祥伝社


エスコヤマに行ったとき、その現場に立った時にここで商売をはじめた人の本を読みたい!と思ってチョコと一緒に買った本。

ビジネス本、ということになっていますが、経営哲学というよりも小山進氏が他者をどうとらえているかということに尽きます。
人と違ったこと(都心から離れた場所での出店、支店を出さないことなど)の理由などは経営に関するものですがこれってマネしようと思ってもできない。それよりも小山さんが出会った人たちとのエピソードに熱意を持って物事をすすめることの源があるのだと思いました。銀行の支店長、そしてはじめて入った会社の社長。とくにこの社長のことは本当にお好きだったんだなと文章の隙間から伺い知ることができます。このような人と出会えたこと、自分の好きな人から愛されたことが礎になっているようです。

さて、小山氏が従業員の若い人たちへの指導として自分が毎日仕事の報告書を書いていたことから培った表現する、工夫する方法を会得することについて、


日々の仕事の中で、伝える力や、小さいことに気づく力を養う訓練をしている。命令してやらせるのが目的ではなく、自ら小さいことに心を配れるような「人」を育てたいのだ。

127頁

と書かれていました。
他にも人へ伝える気持ちがないと届かないという趣旨のことも書いてあり多いに納得。詳細は書けませんが(私にも生活ってものがあってだね)そうそうそうなのよ!と思うような出来事があり、まあ私の洞察力はあっていたなあと思ったのでした。
そして、ブログを毎日更新している理由が「毎日の中でいろんなことを見つけること」「文章を毎日書くこと」だったのでまさにこれ。普段人に伝えるのは?に活かされているといいなあ。
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朝井まかて『眩(くらら)』

2016-04-13 21:25:33 | 
クリエーター情報なし
新潮社


葛飾北斎。その名前は知っていても浮世絵を直に見たこともなく、まして、その人となり、またその娘も絵師だったことは知りませんでした。
江戸の浮世絵師、北斎。そして、娘お栄こと葛飾応為(おうい)を描いた朝井まかてさんの最新作。
応為の人生を示す資料はごくわずか。そして、応為の作品と認められているのは現在たったの10点。しかし、北斎の工房で描いていた応為は北斎とされている作品でも仕上げたのは応為ではないかというものがあるそうです。

先日、紀伊国屋で作品中にでてくる浮世絵のリーフレットをもらったのでそれを見ながら読んだのですが、北斎やお栄が絵にかける情熱は作品中で十分伝わり、また実際の絵を視覚的に見ることにより、このホンモノを見たい!という気持ちになりました。
ネタバレを避けると突っ込んだことが書けないのですが、
歴史的事実、それに加えてお栄の人生を現代の作家が埋めていく。埋める、すなわち想像で描かれるということは作者の解釈におう部分が大きく、私はこの部分が胸に迫りました。ただ一身に、いや結果的にか、一度の結婚を経て独身で過ごした人生。そこには、その事実を受け入れ、ただ自分の前に打ち出された課題を乗り越えようとする生き方。この作品が働く女性に支持されたということだそうですが、たとえ特別な仕事をしていなくても、仕事に生きていなくても、胸に響きました。
お栄はただまっすぐに歩き「気が付いたら」そうなっていたのです。天賦の才のあるなしはさておき、ただ歩き続け、気がついたら私もいまここにいた。私もまた「さあ、行くよ」と顔をあげて歩いて行きたい、たとえその歩む道がひとりだったとしても。

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まかてさんのサイン会

2016-04-09 22:15:46 | 
クリエーター情報なし
新潮社


朝井まかてさんのサイン会に行ってきました。
新刊『眩(くらら)』は、葛飾北斎の娘で絵師でもあったお栄が主人公。
サイン会の前に製作秘話が。新潮社の担当者に北斎の娘の絵が公開されてるから行きませんか?と言われ見に行き感銘を受けて小説を書きたい!!と思われたそうです。もちろん、新潮社の担当者さんの狙い通り。文芸の担当者ってすごいなネタも探してくるんや。
サイン会で、近況報告としてほぼ別と発表会のチラシも渡したところ(直木賞作家にほぼ別のチラシを渡したぜ!!)、隣のイケメン編集さんに「…別嬪」と絶句されました\(^o^)/お忙しいので来てくださるとは思えませんが、近況報告できてよかった。まだ私が小説書いてると思ってはりましたが。

さて、まかてさんが織田作之助賞をとったときの授賞式の二次会で私が辞めた後に文校に入られ面識はない木下昌輝さん(デビュー作で直木賞候補に)と話す機会がありました。私が落語してるって話から今度米沢彦八を主人公にした作品書くんですよと伺い、昔の言葉の話やらになり、熱く文楽を聞きに行くべきだ!とリズール(文楽のホームページにも観劇記を書いてる玄月さんの店)で語りましたが行きはったんやろうか?
そんな『天下一の軽口男』も発売中ですよ。

天下一の軽口男
クリエーター情報なし
幻冬舎
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