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天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

サイン本

2016-04-07 23:55:36 | 


多少の縁がある本二冊が相次いで出版され、たまたまツイッターで今日の今日知って朝井まかてさんのサイン会の整理券が配布中だったのを知り、大阪行くついでに入手できました。
実は『天下一の軽口男』もサイン本が並んでいたのですがこれも今日書かれたようで。ツイッターて便利です。
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高田郁『あきない世傳 金と銀 源流篇』

2016-02-29 23:32:32 | 
あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)
クリエーター情報なし
角川春樹事務所


待ちに待った高田郁先生の新シリーズです。
今度の舞台は<大坂>そう『銀二貫』に続く上方文化を背景にした物語。江戸時代は江戸だけではない!!この分野は、高田郁先生と朝井まかて先生に今後も期待です。
大坂が舞台でありながら冒頭は今の西宮は津門(つと)からはじめります。今の会社が移転する前は津門にオフィスを構え何年も通っていた身からすると馴染みのある地名。あのあたりの江戸時代の頃なんて想像もしていませんでしたが、学生時代西宮神社の傀儡(人形からくり)について調べたことが。作中にもでてきます。なんせ、情報量が多い。今とも江戸とも違う文化のことを楽しみながら知ることができる一冊。
声を大にして言いたい。

上方芸能愛好者は読むべし。

あ、いや、読まんでも知ってるよ、て方もいらっしゃるかもですが、これでもかってくらい人形浄瑠璃もでてきますから。

物語は、津門で学者の娘として生まれ育った幸が飢饉による家の没落とともに大坂に奉公に出ることになります。奉公に入った先は呉服商。
同じ年頃の丁稚たちが読み書きを教えてもらっているのを遠目に見る幸。もっと学びたかった。
その想いを知った三男坊が番頭にとりなして幸も読み書きをそっと聞くことができるようになるのです。

-知恵は生きる力になる
-物を知ることは生きる力になるんだす

幸のまっすぐな思い、しかし、商家の中では問題がくすぶっており…。
商家の暮らしぶりが事細かく描かれており、落語を聞いて想像していたことが補完できました。ああネタバレになるから書かないけど強く図太い可憐な方もでてこられます。
次巻が待ち遠しい…。
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アドラー心理学

2016-02-01 23:42:17 | 


自己啓発本はあんまり読まない。カーネーギーも何冊かセットになったのを買ったにも関わらず読まずにブックオフに出してしまいまして。
ただ話題のアドラー心理学に興味を持ち、ベストセラーのこれを。対話形式で入門編て感じ。
アドラー心理学のなんたるかは置いといて、年末にちろりさんとお会いしたときに「あさいちに上沼恵美子さんがでたの見た?あの人すべての人に好かれそうと思ってないねんて」と目をキラキラさせて言うておられてたのでこの前動画サイトでその回を見ました。
痛快。さすがえみちゃん(笑)!

さて、私もかなり屈折していたり、意外と社交性なかったり(オンオフのボタンがある)していて、そんなにいい人間ではありません。し、それが悪いことだとも思ってないのよね~。

で、本著『嫌われる勇気』なんですが、物事の価値観を人に委ねないにまるっと同意。人からどう思わられてるかを気にするのはあやふやな他者にその価値を丸投げしてしまってることになってしまうし、それってしんどいやないか、と。

前からなんですが人からAという悩み事の相談を受けると別口で別の方から同じ内容の相談を続けて受けることがあります。
今回は他人に対して悪い事を考えてしまう、と悩んでいた人に対して
「あ?死ねとか思うってことでしょ、あるある~」
続いて別口でもそんな相談がありまして以下同文。
そりゃ不道徳かもしれないが実際行動起こしてる訳ではないし、そう思ったんだから仕方ないのでは。それで自分を責めたらどこまで傷つくのだろうと思ってしまいます。そう思うきっかけはあったんだから。
私も下衆な人間なんでベキゲスに何があったかは推測したりしてますが、テレビに抗議の電話をするほど行動する人って生きにくい世の中を生きてはるなあ~と思います。他人の生き方が違うと思ったら正さないと気が済まないのって大変よ!私は清廉潔白な人間ではないのでそんなこたあできません。
ま、そんなことが書いてある本ではありませんが、人に価値観を委ねないというところに共感しました。


てなことを書いてたら2月の100de名著はこちらでした。

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社
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谷津矢車『曽呂利!』

2015-12-16 21:50:26 | 
曽呂利!
クリエーター情報なし
実業之日本社


ふと本屋で手にとり読み始めてから「ミステリーか!」と気付いた時代小説。
御伽衆の一人だった曽呂利新左衛門、おもしろおかしいことを言う人だったららしいのですが、はて何した人だろ?と思って読み始めました。
豊臣秀吉、その栄光の時代と孤独と死を秀吉のそばでおどけている曽呂利を絡めて周りのものたち~千利休、石田三成、安楽庵策伝の視点で描きます。そして、曽呂利とは何者であったのか?
史実を調べると曽呂利が実在の人物であったかどうかは分からないようです。安楽庵策伝との同一人物説もあるようで。存在がはっきりしない人物を独自の視点で肉付けした本作は豊臣家の凋落の謎に迫っていきます。そして、それは読者を飽きさせません。
時々、現代っぽい表現があるのですが、作者がまだ29歳と知りびっくり。よくもまあ、ここまで書けるもんだと。物語的なところはもちろんですが、土地の空気とか。
で、けっきょく曽呂利がなにをしたかというと…まあ、それは読んでのお楽しみ。
史実上で分からないのは民衆の前にでてきてなかったからでしょうね。

さて、そんな本の読了の後に別の作家さんが米沢彦八の話をWEB連載し始めましたよ。
木下 昌輝『天下一の軽口男 米沢彦八伝』
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キャンペーン

2015-11-03 11:15:28 | 


しばらくさぼっていましたが、再びラジオ中国語のテキスト購入。放送はほとんど聞きませんが、朗読して口を動かす練習に。←ハードルは低く自分のやり方で長く勉強に取り込もうというゆるい私のやり方。

ほんでテキストを開けると!

ミステリー?仕立てのビジネスストーリーになっていた((((;゜Д゜)))))))
しかも、主人公は女性(私と一字違い違いという偶然)。中国語学習者の各方面に気を配った内容ではないか…。
本文には携帯電話やらキャンペーンを行うやらの現代用語が。
時代に即したこまわりの効くNHKエディケーショナル!
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加瀬政広『天満明星池』

2015-10-26 21:45:17 | 
天満明星池
クリエーター情報なし
双葉社


大坂を舞台にした時代ものミステリー。
作者はアニメの作画監督をしていたアニメーターということで異色の経歴、これがデビュー作です。

西町奉行所吟味役同心 鳳大吾、そして、死者の口寄せをする梓巫女である盲目の少女お駒が主人公。事件が起こりそれを解決していく、短編連作(ミステリーだからね!)。
何をおいても私がこの小説を手にとったのは、「大坂」が描かれていること。
作中にでてくるのが、天満、堀江に道修町。御霊神社に今宮戎神社。馴染みのある地名、場所がでてきます。
物語はミステリーなのですが、人の情が丁寧に描かれていて印象に残ります。途中からお駒ちゃんが誰の心も開く設定になっておりますが(もう少しこのあたりは描き方があるような)。
さて、落語クラスタの方にはこちらを。
「鴻池の犬」もうお分かりですね。落語の「鴻池の犬」二次創作的な作品ですよ~。
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朝井まかて『藪医 ふらここ堂』

2015-09-02 22:30:52 | 
藪医 ふらここ堂
クリエーター情報なし
講談社


直木賞、織田作之助賞に続き“大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本”2015年に選定された朝井まかてさんの新作です。
私もいま最も読んで欲しい時代小説の作家を問われたらまかてさんをあげますし、読むべき本には前作『阿蘭陀西鶴』を推挙します。まだ文庫本になってませんがぜひ!!

まかてさんはテーマというか読ませる媒体によって文体を変えていると思います。今回は連作の長編で、市井の人たちを愛情豊かに浮かびあがらせています。まず、それぞれのキャラクター。愛すべきどこか欠けた人たち。
ふらこことはぶらんこのこと。
子ども専門の医者、落語好きの方は医者を扱った落語のマクラに「昔は医者は国家資格ではなかった」という内容があるから昔は国家資格やございませんでした。いまでいう東洋医学を自分で習得して医者になるのです。
漢方学習マニアにはニマニマの漢方薬がでてきますよ~。
抑肝散、半夏厚朴湯…(ニマニマ)

物語はひじょーに俗的な子ども向けの医者とその娘とまわりの人たちの物語。最近レビュー書く時にどこまでどこまで書いていいのか悩みます。

あらすじ(引用)
天野三哲は「面倒臭ぇ」が口癖の江戸の小児医。朝寝坊する、患者を選り好みする、面倒になると患者を置いて逃げ出しちまう出鱈目っぷりで、近所でも有名な藪医者だ。ところが、ひょんなことから患者が押し寄せてくるようになり、三哲の娘・おゆん、押しかけ弟子の次郎助、凄腕産婆のお亀婆さんなど、周囲の面々を巻き込んで、ふらここ堂の先行きは、いったいいかなることに──。
当時の医者事情、教育現場、夫婦と家族の有り様から、恋愛指南まで盛り込んで、人情と笑いたっぷりに描く、お江戸“子育て”小説誕生! (amazonより)


木曜時代劇のようなテイストです。そして、登場人物がみんな愛しい。それぞれの抱えているものが物語となり昇華されて。
すこしオープンエンディング的な感じもまたよし。


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すかたん!

2015-08-20 22:04:51 | 


すでにご存知のとおり、朝井まかてさんの『すかたん』が第三回OsakaBookOneProjectに選ばれました。
高田郁『銀二貫』
三浦しおん『仏果を得ず』
と来ての『すかたん』
まるで私が選んだかのような選出!←大阪、大坂を舞台にした作品が少ない。

この収益の一部は児童養護施設へ本の寄贈費用にあてられるそうです。

そして、まかてさんの新作が出たとの情報が。
『藪医 ふらここ堂』(講談社)
入手次第ご報告します( ´ ▽ ` )ノ
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高田郁『蓮花の契り 出世花』

2015-07-15 22:21:34 | 
蓮花の契り 出世花 (ハルキ文庫 た 19-14 時代小説文庫)
クリエーター情報なし
角川春樹事務所


高田郁先生最新刊は以前に出ている『出世花』の続編であり、完結編です。
死者を湯灌する三昧聖(尼僧ではないものの仏に仕える身)であるお縁が主人公。今作が完結となるので様々な現世での問題が解決…現世での生き方かな、それを決めなければいけない地点にそれぞれの登場者が立ちます。
推理物のような展開から物語ははじまりますが、やはり圧巻は最後の物語。それぞれが選んだ道。その選択は重く、でも私には…納得できたのでした。
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三浦しおん『舟を編む』

2015-07-06 21:00:27 | 
舟を編む (光文社文庫)
クリエーター情報なし
光文社


『舟を編む』の世界が自分の学生生活で見聞きしていた世界とかぶって涙が出そうなくらい懐かしくって、ブログに感想を書こうにも四苦八苦。あかん、自分のことを絡めると思い入れが過ぎてまとまらん。てなことで、最初から文章書き直し。
辞書編算にまつわる物語。編集者馬締が関わった最初からついに出版されるまでの長い長い物語。そう、研究は一日にしてならず。

ここで自分の話を。恩師、研究上での師匠も大きな資料を編算していた。実にその巻数31巻。私はその最後の最終巻の編集から刊行まで見守った←研究者としては使いものにならず。先生は研究一筋で無邪気な方で、先輩方も研究に誠心誠意尽くしておられた。そして、ちょっと浮世離れしていた世界だった。
そうまさにこの小説の作品世界のよう。
だからこそのリアリティも感じられて一層引き込まれたのだ。
前半は編集者として配属されたばかりの馬締とそのラブロマンス。狂言回しとしてでてくる同僚西岡(こちらの感覚はごくごく普通)が、いっちゃってる馬締のためにくるくると働く姿に私は確信した。

この作品にはいい人しかでてこない。

いや、そうあってくれ!そう思うのは無理はない。だって私もこういう人ら好きやもん。好きなことにまい進してあれやこれや少しでもいいものを作ろうと日常生活もままならないほどがんばる人たち。
後半はぐっと時は流れて出版直前へ。そこにでてくるのは新しく配属された女性社員。彼女の視点で物語は動いていく。

解説として岩波の辞書編集部の方の文章が載っている。この中に作者三浦しおんさんはインタビューでほとんどメモを取らなかったということとその理由が書かれていて、この作品世界を作り上げた作者がどのような触覚で物語になる情報を仕入れているのか一端が見えた気がした。
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書くということ

2015-07-02 20:47:32 | 
文校繋がりの中では、おそらく『絶歌』に関する意見のひとつの目線が同じだと思う。
倫理的な側面での否定的な意見ではない。
それは社会の人に任せよう。
(ですので、この件はここでは議論の対象としません)
「クローズアップ現代」の今日のテーマは『絶歌』について。ここででてきたのが彼の治療を担当していた医療少年院の院長である精神科医である。

・乱暴なことをしたなあというのが第一
・結果として失敗
・これを書くことによって癒されようとした。書くことによって陶酔し、すごい作品だと思った。
・これだけ書いたから許されるだろうと思った。
(要約)

3つめに上げられた言葉は、文校でどれだけ指摘される内容だろう!
さて、ある時のクラスメートに大きな出来事を背負った人がいた。彼(ずいぶん年上の人だが)は何度も何度も自分の状況・その場面にいたる直前を書いた小説を提出した。それも前編だけ。
私たちはクラスメートとして対等な立場だったので、率直に「小説としてどうなのか」を議論した。後編を書く参考になるだろうとアドバイスもした。しかし、彼は結局後半を書かず、アドバイスをした我々に恨み言を言って休学した。
書くことは彼にとって癒しだったんだろう。でも、それを客観的に咀嚼する気持ちはもたかなったのだ。
私たちは彼が書いたその場面を好奇心では読めなかった。書く仲間としてその出来事に捉われることなく忌憚のない意見を交わしたのだ。
元少年Aにそのような仲間がいなかったことは不幸だと思う。
書くことにより自己陶酔するのは危険な罠である。なぜなら精神的な成長がそこで止まってしまうからだ。
そういう事件を書いた小説でなくてもいろんな方の作品に対して「独りよがりで伝わるものがない」という意見を私たちは交わし、癒しを越え人に伝えることが作品を描くことだということをトレーニングした。
今回この作品は出版した出版社は被害者の心情を考えていないと批判されているけれど、加害者である元少年のこともまったく考えていない。文校でぼろくそに言われたらよかったのに。
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田辺聖子『朝ごはんぬき?』

2015-06-29 22:30:52 | 
朝ごはんぬき? (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


田辺聖子さんの新装文庫本。もう新作は出ませんが、こうやって復刊してまた私たちを楽しませてくれるのはとっても嬉しい。
まとめ買いをしたのであと一冊、控えています。いひひ。

メールもラインも出てこない。
30代前半でハイミス設定。
時代が違う!!

なのに、なんで、どうしてこうも私たちを惹きつけるのでしょうか、お聖さんは。
マリ子が同じ会社の年下の男と別れ、小説家えりか先生のうちに秘書として雇われるところから話ははじまります。
この年下の男はマリ子がいながらもあっけらかんと年下の見合い相手と結婚し、マリ子は結婚に期待を持つのはこりごりという状況。
先生一家はどうやらアパレル会社の役員らしい旦那さんと超内気な娘の家族で、えりか先生はまるで子どものように自由奔放。
こんな話です。
いや、書き出すとなんてことないじゃないの?とお思いでしょうが、ハイミス女性の強さと弱さが時を超えて共感させるのです。
そして、根底にあるのはコミカルさ。
そう、失敗したって客観的になれば笑える要素はたくさんあるのだ。
喜怒哀楽という反応がはっきりある出来事、なんて現実生活ではは少なくて「もやっとしとるな」ということが多く、ん?泣けた方が楽ちゃうんと思いながらも泣くに至らず、ああ、現実はそんなもの。
それでも、毎日って続いていくんだなあ~、という感じがする田辺聖子作品が好きです。
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呉明益『歩道橋の魔術師』

2015-06-23 21:29:00 | 
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)
クリエーター情報なし
白水社


私は文字通り長い学生生活の後半、アジアのエンターテイメントを追いかけて過ごした。あ、今日はちょっと文体変えて書いています。
「同時代」というキーワードで求めたその世界は同じ感覚のものもあれば土地それぞれのエッセンスもあり、非常に私を惹きつけた。アンテナをはりめぐらせ、そして、情報に飢えていた。時間があったのは幸い、お金がなかったけれど様々な国の様々な監督の映画を見た。
台湾の映画を劇場ではじめて見たのは、おそらく李安(アン・リー)の「ウエディング・バンケット」ではなかったかと思う。その後、もちろん侯孝賢に出会うも「恋恋風塵」には間に合わず、現在も未見。いくら「非情城市」が好きだ、「戯夢人生」が好きだと言ってもモグリと言われてしまう。この春に出会った人にもそれはおかしい、絶対に見るようにと言われ、TUTAYAディスカスを眺める日々である。

春に出たばかりの『歩道橋の魔術師』を手にしたのはやはりその素地があってのことだった。今はもうない台北市内の中華商場。それは西門町近くの住居兼ショッピングモールだった。

内容紹介
1979年、台北。物売りが立つ歩道橋には、子供たちに不思議なマジックを披露する「魔術師」がいた――。今はなき「中華商場」と人々のささやかなエピソードを紡ぐ、ノスタルジックな連作短篇集。
amazonより


現在の視点は私と同世代、となると、そこから回想される子ども時代も重なる。たしかこの時期の台湾を外地から語るに外せない「戒厳令下」というフレーズは本作にはでてこない。それは台湾の日常だったからであろう。食べ物や店の様子(扉がついてる店は高級店など)が説明しすぎることなく物語に添えられ自然とその様子が思い浮かぶ。いや、食べ物独特の香り、台北の空気はホンモノが思い出され、心は南へ向かうのだ。
主に語られるのは、30年ほど前の台北である。その中で、子ども、子どもから大人になる過程の登場者がその時代を描く。
これが出色である。
台湾、台北という土地による魅力とはまた別に語られるものは時代や場所を越えているのではないかと思う。
連作ほぼすべてに登場するマジシャンが見せた世界が本物であったかどうかは大人になった彼らと同じく読み手である私たちにさほど重要な問題ではなく、それぞれの記憶の中の輪郭がマジシャンによりひとつになるのである。

あえて物語それぞれのエピソードはあげないので興味がある方は他の方の書評をご参考くださいませ。

か・な・り、いいです。
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尻尾の釣り

2015-06-09 21:50:07 | 
日本昔話百選
クリエーター情報なし
三省堂


NHKラジオのレベルアップ中国語は月曜、火曜が日本の昔話の中国語訳、水曜、木曜が中国の故事成語の物語、金曜がエッセイです。
ちょっとずつ単語のレベルや表現法が違っていて勉強の段階としてはなるほどねえ、と思います。
一番音読しやすいのが月曜、火曜の日本の昔話です。
なんとなく読んでいるうちに会話文よりも語りになっているような気がするのは私が落語しているからか?←放送のネイティブ朗読もドラマチックだったりします。
さて、今週は「キツネとカワウソ」です。
カワウソから魚やらをもらって明日、山に来たら山のものをあげるよと言ったのにまんまとだまくらかしてあげなかったキツネにカワウソがしっぽで魚を釣るんだとウソを教えます。
さっそく実践したキツネは夜の間にしっぽが凍りつき、村人がでてきたので慌てて山に帰ろうとしてしっぽが切れました。どんとはらい。
というお話。

これ、昔話研究ゼミで最初に当たって調べた「尻尾の釣り」ではないですか(amazonリンクが教科書でした)。全国でどのように伝承されているかを調べて分類して表にした若かりし頃…。確か、全国の伝承で差異はそうなかったかと記憶しています。

中国語に戻って、キツネは「狐狸」これは日本語では“こり”ですがな。中国には狸はいないのか??
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仁木英之『鋼の魂~僕僕先生』

2015-05-29 21:31:05 | 
鋼の魂 僕僕先生 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社


文庫での最新刊。あいもかわらず僕僕先生ご一行の旅の話かと思いきや、なんだかダークサイド的な話が延々と続きます。これは僕僕先生とどう絡むんだ?!なんだかんだとあの呑気な王弁との旅が読みたいのに…と我慢我慢とこの部分を読み進めていくとはじめての登場者がだんだんと動きだします。
そして、僕僕先生たちが登場。ここで視点が変わります。あら?最初の登場者とずいぶん印象が違う。
そして、領地を巡る争いの末…最初の物語と僕僕先生たちの物語が重なるのです。
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