事故物件のサイトが有名だけど行旅死亡人データベースというサイトにもドラマがある、ように思える。
人は亡くなり身寄りがない場合は官報に載るらしい。
なので、官報が転載されたデータベースには行き倒れでなくなった人だけでなく、住居に住んでいても(おそらく住民票はあるのだろう)これこれこういう人が亡くなったが身寄りはありませんかという問いかけが掲載されている。
変わったところでは、ある学校の骨格標本が本物だったが誰か知りませんかなど。この標本は随分以前から学校にあったので事件性はなく戦前にはそういうのもあっただろうなということで事件性はないらしい。だが、親族もみつからないだろう。
ある時、ネットのニュースにそういう中のひとりの方の足跡を追いかけて身元を特定した読み物が掲載された。
尼崎のあるアパート、お風呂もないようなアパートで身寄りのない女性が亡くなっていた。金庫には3700万円もの大金があったが彼女の戸籍が分からないため、遺産が宙に浮いたままだったのだ。
その方を追った若き新聞記者のレポートで、やがて一冊の本として出版された。
結果的には身元は分かるのだか、どう生活していたかは謎のまま。本人が役所のみならず地域、友人とつながりを絶っていた意思の理由は分からないがまっとうし亡くなった。
大金に思えるが「いい時代」に生涯働き続けた人は貯められたのかもしれない。亡くなったときは80代だった。国民健康保険の類にも入ってなかったようなのでなぜそんなに頑なに身元を隠して生活していたのかは分からない。
これがノンフィクションなんだと思う。
彼女が40年近く共に過ごした名前をつけたぬいぐるみが切なくもあり、またこの子がいてよかったと思うわたしもいる。
購入した時のレシートが残っていたテレビは、わたしも立ち寄ったことがある尼崎駅に直結した家電量販店のものだった。どこかですれ違っていたのかもしれない。たんくんと名付けられたぬいぐるみと暮らしていた彼女と。
私たちが名もなき女性の生涯を記事にした理由 ー 「ある行旅死亡人の物語」(11/30出版)著者インタビュー【前編】|共同通信・大阪支社
「行旅死亡人」 あまり聞き慣れないこの言葉。身元が分からず引き取り手がない遺体のことを指す法律用語です。「行旅」という言葉が付いていますが、外出先だけでなく自宅...
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