「めがね」という映画で、ヒロインのタエコは、どこかにある南の島のハマダ、という宿にやってきます。周りはただ島の風景と、砂浜、海。
観光をしようと思うんですが、この辺でいいところはありますか?と聞くと、宿の人は「???」という顔をする。タエコ「じゃあ何をするんですか?」
わたしたちは、常に何かすることに追われている。逆に、何もすることがなくなってしまうと、何だか落ち着かなくて、することを探してしまう。
To do じゃなくて、To be であることの価値、こんなに前から、ユーモアたっぷりに描いているこの映画、すてきすぎる。
Do ばかりでマインドが忙しいとき、スローダウンしてただ存在すること、呼吸に戻ってきて、何をするでもなく、ただ吸って、吐いていくと、自分が存在するのは、過去でも未来でもなく、今この瞬間だけ、というのがリアルにどーんと感じられる。
きっちり座って、脚を組んで瞑想する、というとちょっと敷居が高い気がしたり、何も考えないようにしよう!と力んで逆にいろいろ考えてしまったり。
もしそれができれば、練習が身になって、ひとつのスキルとして身についている、といえるくらい、何かすることに慣れてる私たちにとっては難しい。
むずかしい気がしたら、ただ目的を定めずに、足の裏の感覚をひとつひとつ感じながら、ゆっくり歩いてみるだけでもいい。
鐘や、小さな鈴を鳴らして、その音の余韻を呼吸とともに味わうのもいい。
呼吸しながら、丁寧にお茶を淹れて味わってみるのもいい。
この映画みたいに過ごしてみるのもいい。
それだけでも、いのちに触れて、気持ちが落ち着いて、静まって、満たされてくる。そんなことしてたらいつの間にか、ただ座っているのも苦じゃなくなるかも。
ちなみに、「めがね」の中国語タイトルは「樂活俱樂部」(たそがれクラブ)