平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

寄生獣~人は点の理解を積み重ね、寄り添いながら生きて、死んでいく。

2015年03月26日 | コミック・アニメ・特撮
 人は点の理解を積み重ね、寄り添いながら生きて死んでいく。

 これが最後に新一(CV島信長)がたどりついた結論。

 ふり返れば、確かに新一と登場人物たちとの関わりは<点>の理解でしたね。
 ミギー(CV平野綾)ともパラサイトたちとも里美(CV花澤香菜)とも。

 ミギーは最初、自分に寄生した化け物だったが、戦いを共有していく中で、少しずつお互いの理解を深めていった。

 里美とはすれ違いだったが、彼女は常に新一を見つめ理解しようとした。

 パラサイトは最初、人を無惨に殺害して喰らう化け物だった。
 だが、やがて新一はパラサイトも生きるために他の生物を食べるライオンなどと変わらない生物であることに気づいた。
 要は食べる対象がたまたま人間だったから、人間の物差しで<排除すべき敵>になり、<化け物>になっただけ。
 市長の広川(CV水島裕)の「人間こそが地球を蝕む寄生虫で、パラサイトはそんな人間を駆逐する天敵だ」とする説も、点の理解のひとつとして位置づけられるべきだろう。

 殺人鬼の浦上(CV吉野裕行)は理解を求めていた。
 だから最終回、「人間の本質は殺し合うことで、人を殺さないで生きている人間は無理をしていると思うだろう?」と新一に同意を求めた。
 浦上は、心の奥で人を殺してしまう自分に苦しみ、孤独で、誰かに「お前のしていることは間違っていない」と言ってほしかったのだ。
 
 人は点の理解を積み重ね、寄り添いながら生きて死んでいく。

 寄り添いながら生きていく、という点では、ラストの里美とのエピソードは感動的で、ほのぼのとする。

 ビルから落下する里美を助けたミギーは右手の姿になって、
「いつまでもメソメソしてるんじゃない。疲れるから自分で持ちな」
 と、里美を新一に引き渡す。
 これはミギーの別れの言葉。
 ミギーは新一に「これからは自分の力で生きていけ」「これからは里美と寄り添って生きていけ」と暗に語っている。

社員「あそこに三人倒れているぞ」
里美「三人だって、いっしょにされちゃったね」
 というやりとりも興味深い。
 社員が、折り重なっている新一と里美をひとりの人間と見てしまったのは、里美がミギーの代わりになったことの象徴だろう。


 『寄生獣』『進撃の巨人』
 最近は<人間の天敵>を描いた作品が多い。
 これは現代社会が不安に満ちている証拠であろうが、『寄生獣』は<異なるものとの理解と共存>を描いた。
 完全に理解し合うのは難しいかもしれないが、異なるものと点の理解を積み重ねていけ、と語った。
 巨人を駆逐する主人公を描いた『進撃の巨人』はどのような結論を出すのだろう?


※追記
 声優の花澤香菜さん、上手いな~。
 『寄生獣』の里美を演じたかと思うと、『サイコパス』の常守朱ですもんね~。
 声に独特の色気があるんですよね。


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