「世の大事にまずはカネ。それが当世であることはわしでもわかる。
しかし金というものはいざという時に米のように食えもせねば、刀のように身を守ってもくれぬ、
人のように手を差し伸べてもくれぬ。
然様に頼りなき物であるにも関わらず、そなたも世の者も、金の力を信じすぎておるようにわしには思える」
松平武元(石坂浩二)の言葉だ。
武元は単なる守旧派・既得権を守っている人物ではなかった。
お金の危うさ、怖ろしさも理解していた。
たとえば前回の検校の事件だ。
不当に借金を背負わされて、娘を売るなど苦しむ人が多数。
鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)も借金に苦しめられて本をつくる喜びを得られないでいる。
あの平賀源内(安田顕)も事業がうまく行かずイライラ。
今回のテーマは「お金」だった。
これまで田沼意次(渡辺謙)は経済的な豊かさこそが幕府を安定させ、民を幸せにすると考えていたが、行き過ぎた「重商主義」が人を不幸にすることも武元の言葉で理解した。
結果、意次と武元は理解し合い、共に家基(奥智哉)毒殺の真相を追うことに。
これからは意見交換しながらいっしょに政治をおこなっていくかに見えたが……。
いいですね、このバランス感覚。
お金のもつ裏と表。
貨幣経済万歳ではなく、その危うさも描いてみせた。
………………………………………………………
吉原パートでは、蔦重(横浜流星)はこんな考えを持つように。
・耕書堂や吉原を面白いものでいっぱいにする。
・そうすると面白いやつがたくさん集まって来る。
・面白いやつが客になれば女郎たちは笑うことができる。
今まで漠然と抱いていた「吉原を楽しい場所に」という思いが少しずつ具体化している。
これから蔦重のまわりには戯作者や絵師など、たくさんの面白いやつが集まって来るのだろう。
そんな蔦重の思いの根底にあるのは瀬川(小芝風花)と見た夢、交わした約束。
それと蔦重と仲間たちはお金目的で動いているわけではない。
「市中で売れなくてもいい。誰と組めば一番楽しいか、だ」
「絵師なんてモテるために描くもの」
面白いやつらだ。
吉原も変わりつつある。
若木屋与八(本宮泰風)も仲間に加わってひとつに。祭りという楽しい出来事が若木屋を変えた。
りつ(安達祐実)は芸者の見番になって芸者を守る仕事に。
市中との対立がもたらしたことだが、吉原を健全で楽しい場所にするために皆が動き始めた。
江戸城パートでは松平武元が退場。
一橋治済(生田斗真)の暗躍が表面化して来た。
江戸城は伏魔殿。
弾圧の歴史が始まりそうだ。
しかし金というものはいざという時に米のように食えもせねば、刀のように身を守ってもくれぬ、
人のように手を差し伸べてもくれぬ。
然様に頼りなき物であるにも関わらず、そなたも世の者も、金の力を信じすぎておるようにわしには思える」
松平武元(石坂浩二)の言葉だ。
武元は単なる守旧派・既得権を守っている人物ではなかった。
お金の危うさ、怖ろしさも理解していた。
たとえば前回の検校の事件だ。
不当に借金を背負わされて、娘を売るなど苦しむ人が多数。
鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)も借金に苦しめられて本をつくる喜びを得られないでいる。
あの平賀源内(安田顕)も事業がうまく行かずイライラ。
今回のテーマは「お金」だった。
これまで田沼意次(渡辺謙)は経済的な豊かさこそが幕府を安定させ、民を幸せにすると考えていたが、行き過ぎた「重商主義」が人を不幸にすることも武元の言葉で理解した。
結果、意次と武元は理解し合い、共に家基(奥智哉)毒殺の真相を追うことに。
これからは意見交換しながらいっしょに政治をおこなっていくかに見えたが……。
いいですね、このバランス感覚。
お金のもつ裏と表。
貨幣経済万歳ではなく、その危うさも描いてみせた。
………………………………………………………
吉原パートでは、蔦重(横浜流星)はこんな考えを持つように。
・耕書堂や吉原を面白いものでいっぱいにする。
・そうすると面白いやつがたくさん集まって来る。
・面白いやつが客になれば女郎たちは笑うことができる。
今まで漠然と抱いていた「吉原を楽しい場所に」という思いが少しずつ具体化している。
これから蔦重のまわりには戯作者や絵師など、たくさんの面白いやつが集まって来るのだろう。
そんな蔦重の思いの根底にあるのは瀬川(小芝風花)と見た夢、交わした約束。
それと蔦重と仲間たちはお金目的で動いているわけではない。
「市中で売れなくてもいい。誰と組めば一番楽しいか、だ」
「絵師なんてモテるために描くもの」
面白いやつらだ。
吉原も変わりつつある。
若木屋与八(本宮泰風)も仲間に加わってひとつに。祭りという楽しい出来事が若木屋を変えた。
りつ(安達祐実)は芸者の見番になって芸者を守る仕事に。
市中との対立がもたらしたことだが、吉原を健全で楽しい場所にするために皆が動き始めた。
江戸城パートでは松平武元が退場。
一橋治済(生田斗真)の暗躍が表面化して来た。
江戸城は伏魔殿。
弾圧の歴史が始まりそうだ。
予想どおり家基暗殺の犯人は田沼意次ではなく一橋治済でした。
しかも、日頃から家基と不仲だった意次が「嵌められ」かけたところを、むしろ武元の聡明さのために救われ、それまで対立していた二人が心を通わせあうという「私好み」の展開。
武元が意次に笑いかけた時の顔が石坂浩二さんの地顔に見えました。
石坂浩二さんは緒方拳さん主演の『太閤記』で石田三成を演じた時から見ていましたが、大河主演は西田敏行さんの4回に次ぐ3回。
『元禄繚乱』では吉良上野介を演じましたが、従来型忠臣蔵の「悪役」とは違った吉良上野介像を示していました。
やはり、ただの「仇役」で終わることはありませんでした。
やはり治済は「大奥」の時と同様、「真の外道」のようです。
次期(11代)将軍は治済の息子家斉。
「誰が得をしたのか」という点からみても明らか。
おそらく治済は武元の動向に目を配っており、目論みどおり武元が意次排除に動かず、むしろ意次と手を組んだと見て消しにかかったのでしょう。
「傀儡子人形と被害者の寝所」は、今後も治済の暗躍(暗殺)描写の「定番」となる?
今回は江戸城パートがメインでしたが、重三郎の周辺は彼の大失恋に補いをつけるかのように良い雰囲気が基調。
>吉原も変わりつつある。
>りつは芸者の見番になって芸者を守る仕事に。
差し詰め「ハラスメント対応(監視)窓口」といったところでしょうか。
森下さんが本作を執筆していた時点ではF局の問題は現在ほど表面化してはいなかったでしょうが、他にも色々とあったかもしれませんね。
>蔦重の思いの根底にあるのは瀬川と見た夢、交わした約束。
重三郎が「ある人と考えていた話」として自分で書いたプロットを朋誠堂喜三二に見せて作品化の依頼を持ちかけていました。
「ある人」とは瀬川で、プロットの内容は鳥山検校を「竜宮城の亀の化身」とする話だったのではないでしょうか。
瀬川が退場したにも関わらず
今回も面白く、見ることが出来ました。
以前、放送されていた男女逆転「大奥」でも
一橋治済の悪辣ぶりは相当でしたから、覚悟はしていました。
仲間由紀恵さん、役作りに悩みながらも怪演でしたよ。
知恵も分別もある白眉毛を演じた石坂浩二さん、お見事でした。
石坂さんは、TEPOさんと同じく「太閤記」の石田三成が初めてでした。
その後、高2の頃「天と地と」で主演でしたね。
今年の大河ドラマは期待していなかったのに『あたり作』だと思います。
いつもありがとうございます。
「そなたの考えは好かぬ」けれど、幕府を思う気持ちは同じ。
現代の政治家もかくあってほしいですよね。
イデオロギーや政策は違うけれど、意見をぶつけあって国民のための政治をおこなってもらいたいものです。
一方、権力や陰謀が大好きな治済。
武元と違って悪い顔をしていましたね。
今回は石坂浩二さんに見せ場をつくりましたね。
そして石坂浩二VS渡辺謙の芝居対決。
意次は武元を疑ってしまった自らの狭量を認めて謝罪する。
武元は貨幣経済の危うさを穏やかに説く。
見応えがありました。
武元の言葉は意次の心に染み込んだことでしょう。
吉原は親父さんたちも変わって来て、面白い場所になりつつあるようですね。
まずは「排除」の市中との戦いがあって、次に「面白いことを許さない」幕府との戦いになるのでしょうか。
喜三二は蔦重に大切な人と作った物語をがんばって書くように勧めていましたね。
ぜひ蔦重が書いたものが出版されて瀬川が手に取るシーンを見てみたいものです。
いつもありがとうございます。
瀬川編が終わり、新しい章の始まりという感じでしたね。
蔦重の妻になるのは、確か蔦重に「いい男」とつきまとっていた、かほりなんですよね。
演じていたのは稲垣来泉さん。
で、かほりが大人になった花魁・誰袖を演じるのが福原遥さん。
小芝風花、福原遥というNHKが誇る二大清純派女優を花魁にするあたり、NHKさん、攻めてますね。
小芝風花さんが見事な芝居をした分、福原遥さんは
比較されてプレッシャーになりそうですね。
石坂浩二さん。
僕は「天と地と」ですね。
それから金田一耕助シリーズがあって、「白い巨塔」があって「相棒」があって。
役柄としては繊細なインテリ役が多い。
俗物と権力欲ばかりの人物が多い「白い巨塔」での石坂さんの東教授はお見事でした。
今作は確かに「あたり作」ですね。
戦国時代や幕末でなくても、派手ないくさのシーンがなくても面白い作品は作れるんですよね。
>第二章は福原遥さん... への返信
おはようございます。
蔦重の妻は、橋本愛さんが演じますよ。
彼女の硬い雰囲気が心配ですが、なんとかなるのでしょう。
福原遥さんは、かほり→花魁・誰袖となり
多額で身請けされるとのこと。
福原さん、大変なプレッシャーでしょうね。
朝ドラ「舞い上がれ」もイマイチでしたし、彼女が良かったのは
「正直不動産」だけでした。
小芝風花さんが、あれだけやれるとは想像していなかったので
案外、いけるかもしれませんね。
「白い巨塔」は、田宮二郎さんが演じた財前の記憶が邪魔をして唐沢版は見ていないのです。
最終話だけ配信で見ました。
末期がんでの死なのに、健康的な太り方をした最期に驚きました。(まるで突然死したような)
田宮さんは放送後、自死されたくらいですから「やつれ感」が濃く
韓国版のキム・ミョンミンもそれなりにでした。
役者は役作りが大事で頑張るべきだと思います。
「天皇の料理番」の鈴木亮平さん、主役でも無いのに呆れるほどの痩せよう!
私は「白い巨塔」で、諸悪の根源は東教授の財前五郎への嫉妬だと思っています。
この小説は高校のとき「サンデー毎日」に連載中から読んでいるので年季が入っています。
石坂さんが前半の東教授の醜さを品良く演じられたかもしれませんが
去り行く者が後継者に不信感を抱いたことから悲劇は始まったように思います。
蔦重の妻は誰袖ではないんですね。
ご指摘ありがとうございます。
ていうか、ほんと僕はいい加減。
橋本愛さんは主人公の妻役が多いですね。
「蒼天を衝け」の渋沢栄一の妻もやっていました。
福原遥さんと小芝風花さんの間接的な芝居合戦!
楽しみですね。
「白い巨塔」
ぜひ唐沢版も御覧になって下さい!
ちょうどネットフリックスに入っていますし。
石坂さんの東教授。
神経質と醜さが同居していていい味を出していたと思います。
あと江口洋介さんの里見先生がいいんですよね。
>ご指摘ありがとうございます。... への返信
こんにちは。
財前五郎役は短編でなら、村上弘明さん、岡田准一さんが演じたものまで見ています。
何故か、唐沢さんのだけ見ていません。
前述したように田宮さんがあまりにもハマリ役だったので、唐沢さんは受け付けないと言うか、違う!って言うか・・・。
里見先生は映画では田村高広さん、ドラマでは山本學さんが演じましたが、学究肌の雰囲気が小柄な体格とも相俟ってピッタリでした。
江口洋介さんは里見先生では無いなぁと思うのも田宮版を先に見た旧人類の哀しい性でしょうね
それと、財前の愛人・花森ケイ子は映画では小川真由美さん、ドラマでは太地喜和子さんでした。
女子医大中退で、多少は毒を含みながらも彼を深く理解し愛する女性として適役でした。
財前が唯一、心を許せる女性でしたね。
黒木瞳さんのケイ子役は知る由も無く、韓国版の出来は悪くないのですが女性の描き方が下手で貧相でした。
最終話だけを見たのもネットフリックスですが
2クール分の長さを見始めるには、かなり決心が要ります。
コウジさんは、過去に私がお勧めした韓国ドラマ「ソウル1945」を見てくださったんですよね。
71話もある長丁場を見ていただき、本当に嬉しかったです。
白い巨塔の唐沢版はストーリーは熟知しているに配役がピンと来ないものですから
気乗りがしないだけで、決して反抗しているのでも
唐沢版を貶めているわけでもありません。
それだけ、思い入れの深い作品だと、ご理解くださいね。
全然、大丈夫ですよ!
オタクは自分の好きなものを勧めたい種族。
逆に「梨泰院クラス」を見ていただき、ありがとうございました。
「ソウル1945」もう一度見たいのですが、配信サービスのどこにもないんですよね。