goo blog サービス終了のお知らせ 

平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ゆとりですがなにか?~あがく主人公たち。仕事の現実を語り、夢を描かない宮藤官九郎脚本

2016年04月27日 | 学園・青春ドラマ
 坂間正和(岡田将生)は就活でヘコむ妹のゆとり(島崎遥香・AKB48)に言う。

「そんなもんじゃねえよ、社会に出るってことは! 働いて給料もらうってことは!
 兄ちゃん、見てみろ。やっと入れそうな会社に入ったのはいいけど、成績不振でたらいまわしにされてさ、とうとう部下からパワハラで訴えられて、部下のミス補填して、7年勤めた会社にようやくちょっと貢献できたかと思ったらパワハラだってよ。
 はあ? イメージしてねえよ、こんな社会人生活。
 でも、やるよ、兄ちゃんは! 得意先まわって頭下げて、焼き鳥焼いて、年上のバイトにこき使われて、部下に笑われて、意地でもやめねえから! 元獲るまでやめないよ!」

 これが〝現実〟なんですよね。
 社会に出て給料もらって働くってことは、ボロボロになるってこと。
 社会人を経験した人なら、この坂間のせりふに思い当たることがあるはず。

 でも、一方でドラマは、夢や理想を描くものでもある。
 黒木華さん主演の『重版出来!』とかはまさにそれ。
 柔道出身の主人公が壁にぶつかりながらも、持ち前の明るさとスポーツ根性で問題を解決していく。
 でも、こんなのウソなんですよね。
 持ち前の明るさとスポーツ根性で問題は解決しないし、現実はもっと地べた這いつくばるように惨めなもの。
 現実の仕事はドラマのようにキラキラしていないし、上手くいかないし、スッキリもしない。
 昨夜、録画していたこの作品と『重版出来!』と続けてみたから、違いがよくわかった。
 
 この作品の宮藤官九郎さんは、すべてが上手くいく従来の〝お仕事ドラマ〟の定番を疑い、現実ってそんなものじゃないだろう? いい加減、そういった幻想を垂れ流すのはやめようよ、と語っているように思える。
 もっとも、これでは現実に近すぎて視聴率を獲るのはむずかしいんですけどね。
 視聴者は夢や幻想を見ることで、現実を忘れ、救われている。

 では、宮藤官九郎が描くドラマの救いとは何なのか?
 それは、上手くいかない現実を生きる者どうしの共感と連帯だ。
 この作品には、坂間以外にも惨めな現実を生きている者がいる。
・小学校教師で、無難に生きることのみを大事にして、女性とつきあったことのないドーテーの山路一豊(松坂桃李)。
・ぼったくりバーの客引きをして、子供がいて、大学受験を11年もしている道上まりぶ(柳楽優弥)。
 彼らは上手くいかない、ちぐはぐな現実を前に立ち止まり、迷い、うろたえながらも、何とか懸命に生きている。
 そんな彼らの行き着く先はどこなのか? どんな結論を見いだすのか?
 すごく興味がある。
 おそらく結論なんか出ず、彼らは泣き笑いしながら現実を生きていくんでしょうけどね。

 ………………………………………………………………………………

 最後に、小学校の教育実習に来ている女子大生役で、吉岡里帆さんが出ています。
 吉岡里帆さんと言えば、『あさが来た』の丸眼鏡の田村宜ちゃん!
 今回は、おどおどした、すぐに泣いてしまう〝ゆとり〟の女子大生役を演じている。
 DTの山路とは恋愛関係(=教師と境域実習生の恋!)にあるようだが、果たしてどうなるか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする