エムズのあるビルのお向かいの1階に、
今年で43年目を迎えられた割烹があります。
とてもオーソドックス(この意味わかる?)な和食で、
北陸直送の食材をふんだんに使っています。
時々そこの女将さんがお客様を見送っているのに出会います。
門口に立って、深々と頭を下げて、その方が角を曲がるまで
じっと見守っています。 ご近所の、あるクラブのママさんも、
同じことをしています。
銀座で長いこと遊んでいる大先輩たちから聞いたお話:
「昔はね、クラブや高級料理屋だけじゃなくて、もっと
一般的なレストランでも、お菓子屋でも洋品屋でも、
必ず亭主も若い衆も表に出て、頭を下げて、最初の角を曲がるまで
見送ってくれたもんですよ。角までが長いと、寒いときなんか
悪くてね、振り返るとまた頭を下げてくれるし、一所懸命
ジェスチャーで『中に入って!』ってやるんだけどね。
ゼッタイ入らないんだ。」
私もなぜかそうします。見送るときには角を曲がるまで、
無事にお帰りになるように念じています。 自分が見送って
もらうときには、「寒いですからここで結構です」と言って、
その場で入ってもらうようにしています。
こういうことって、お作法として教わったというのではなく、
そもそもの最初に知り合った先輩達の習慣を
そのまま受け継いでいるんだな、と思います。