JAZZ & BAR em's(ジャズバーエムズ)

 銀座6丁目に2003年末オープンしたジャズバーです。
「大人のくつろぎ空間」をお探しの皆様にご案内申し上げます。

大泥棒!?…河辺さんのお話より

2013年12月24日 | エピソード

 そういやあ、そのあたりは○○町ってことになるのかい?
その○○町の神社のワキにね、年代もんを扱う骨董屋があったんだが・・・
(いえ、今は○○何丁目、と言っていて、町名はなくなっていますし、
ビルになっていて谷間にお寺があるだけで・・・)
そうかいそうかい、万事ワケがわからなくなったなあ。
 その骨董屋にね、ある時大泥棒が入ったんだよ。
で、その泥棒が顔見知りだったの。イヤイヤ、友達ってんじゃないよ。
その頃ボクが出てた(ビッグバンドのリーダーとして)ナイトクラブにね、
毎晩のようにやって来ては豪遊してくれるんですよ。 
さんざお金を遣ってみんなに振舞ってくれてね、羽振りがいいわけ。 
で、あとから聞いたらとんでもない大泥棒だったっていう・・・
いや~~人なんざわかんないもんだね

 こんなお話がポロポロ出てくる河辺さんのステージトーク
「あたしゃこの曲はアービング・バーリンだと何十年も信じてて
お客様にもそう紹介し続けてきたんですよ。 そしたら去年ピアノの
小林洋ちゃんが『オマエね、これはガーシュウィンなんだよ』って教えてくれてね」
驚いて立ち上がる洋さん
「河辺さん待ってください。オレ言ってないですよ河辺さんに向かって
『お前ね』なんてそんなエラそうな口きいてないです
必死に否定する洋さん。 客席爆笑河辺さんは気にも留めず
「いや~~この歳になって永年の大間違いに気づくなんざアナタ、恥ずかしいやら
申し訳ないやら、死んでお詫びをってなもんだよ

 歌の段になってマイクを持ち、初めての方のために少々私からご紹介
「河辺さんはビッグバンド時代の大変偉いリーダーだった方です。
そんな大先輩がこうして私達若輩者と一緒に現場で演奏してくださる、
そういう機会は・・・(途中で気がついて洋さんとベースの大津さんを振りかえり)
あ、どうもいっしょくたにしてしまって失礼いたしました。
だけどこの際2,3歳の差は2,30歳の差に比べればどうってことないかと思いまして
洋・大津「いやいや、おっしゃる通りです

 そんな河辺さんは私を紹介して下さるとき、ステージのたびに
「それじゃ“ご真打ち”登場です」と高らかに言ってくださいます

冥利な一夜

2013年12月14日 | エピソード

 五十嵐トリオをめがけてたくさんのファンにお越しいただきましたが
セカンドステージに、前夜ご出演のトランペッター下間さん登場
下間「最近エムズで流行っているらしい『通りすがり』してみようかなと」
大歓迎の五十嵐さん、10月末江東区で行われた『ジャズミー横丁』のコンサートで
共演したのだそうで、初の二人のコンビネーションとなりました。
下間さんも日頃から大尊敬する先輩とのステージで「今日は興奮しっ放し
「何かバラードを」と言われて吹いてくださった'What's New?'
素晴らしく沁み入りましたねえ
 管楽器同士というのは、普段常にフロント(ステージ前線に立つ歌手とか
手持ち楽器の人を言う)にいるリーダーだったりゲストだったりする者同士なので
それぞれの分担を書いてある譜面での演奏ではなくてその場でのセッションとなると
お互いにとても気を遣うでしょうし、相性というのもあるわけです。
けれどもそれぞれの歌(演奏で歌う、ということ)を気に入って尊重し合うと
一人の時とはまた別の好ましい雰囲気が生まれて聴く人の幸せ感は倍増します(きっぱり)
このことを肌で感じるようになったのは、エムズという小さな現場で
文字通り肩をすり合わせての共演を何年も日々体験してきてからです。
 一曲ごとに大喝采の客席
お酒を作ってサーブするのも半端でない大変な状況だったのですが、その中で
五十嵐さんの「それじゃあ女将さん、お願いしますよ」というMC
に迎えられてそのステージに混ざる・・・まさに歌手冥利・女将冥利でございました

 下間さんとの掛け合いで"I'm Gonna Sit Right Down~"と"It's A SIn To Tell A Lie"
・・・コード進行の同じ二つの違う歌を重ねて歌ったり(昔は先輩後輩の歌手同士で
よくやったものですが)とにかく本人たちも大いに楽しいステージ、
私にとってはある意味懐かしいノリでした。
(「通りすがっただけなのにこんなに働かされるなんて(@_@;)by下間さん」)

 締めは"Have Yourself A Merry Little Christmas'
いい雰囲気のまましんみりと和やかなエンディングを、思ったのですが、
メガネを鼻の上に載せて譜面を眺めるピアノの森田さん
「ミキさん、このバースぼく知らない。」
私「え?去年もやったでしょう?」(客席失笑)
森田「(再びじっくり眺めて)いや、初めてです!(きっぱり)」
私「あ、そうですか、どーも。それではお送りします!(きっぱり)」(再び失笑)

 ささやかでも楽しいクリスマス
 明るい気持ちで過ごそうね
 今この時からは悩みや苦しみははるか彼方に追いやられ
 信頼し合う親しい人たちが集まって来る
 佳き時代のように また一緒に過ごそう
 ツリーのてっぺんに輝く星を載せて
 ささやかでも幸せなクリスマスを

 そんな気分を噛みしめられた一夜になりました(*^_^*) 

弘法に筆は要らない???

2013年12月05日 | エピソード

 昨夜のお当番は袴塚淳さん(P)と酒井一郎さん(B)
このお二人はJ's Sessionとか他の仕事では良くコンビを組むのに、
なぜかエムズの平日の営業にDUOとして登場するのは初めてだったかも。
 そこに「通りすがりの」お馴染み:松平恒和さん(クラリネット)が
参加して下さり、トリオでの演奏を繰り広げていたところ・・・
ある団体が登場・・・・ある団体とは!?

 通称「KKB」という、大先輩の名人管楽器三人衆
(詳細はこちら→KKBのページ
とそのファンの忘年会帰り?の一団だったのです(@_@;)
これまた、それぞれには色々なところで共演があるものの、楽器も持たずに
フラリと仲間の演奏現場に飲みに来る、というタイミングはなかなかないこと。
なぜか緊張しまくるトリオの演奏をサカナにご機嫌で歓談していらっしゃいましたが・・・・・
'Shiny Stockings'では、客席に座ったまま、それぞれがアドリブ・フレーズやら
三人でのキメのフレーズを「口三味線」で繰り出して演奏に参加??!
なんだかフロント4人の大きなバンドになったようなパフォーマンスに
ファンの方々は大喜び(●^o^●) 私も笑いが止まらず苦労しました(*^_^*)

 いや~~、音楽ってほんとうに楽しいですね♪
それではまた!?

★今週と来週のエムズでは、毎年恒例の柚子カクテル(影山の実家から直送)を
お召し上がりいただけます★

『モダン亭Ⅲ』

2013年09月16日 | エピソード
 「来るゾ来るゾ」とさんざん脅し、今か今かとシビレを切らし、
天気予報に「出ないでください」と言われて、なんだか恋人に「お家で待ってて」と
待ちぼうけを食わされたみたいになったりして・・・。
 それでも台風は通り過ぎたようですね
とばっちり被害の少ないことを祈ります

去る9月14日(土)夕刻に行われた『昭和モダン亭Ⅲ』
高浜さんお手製のプログラムからの抜粋:

「昭和30年代半ば、日本の一般家庭にテレビが普及
新たな音楽メディアの誕生でもありました。
お茶の間におしゃれな洋楽を届けてくれた
「シャボン玉ホリデー」「夢で逢いましょう」
海外ドラマシリーズ「奥様は魔女」などに見る
アメリカの生活風景は夢の世界でした。
そんな時代に生まれた名曲をお楽しみ下さい。」

 お届けした曲は映画音楽から「夏の日の恋」「太陽がいっぱい」
「ロシアより愛をこめて」「シェルブールの雨傘」・・・
高浜さんの歌で「ハウンドドッグ」「悲しき雨音」・・・・
私の歌ったのは「夏の日の想い出」「ウナセラディ東京」
「ヴァケイション」「砂に消えた涙」・・・などなど。
もちろん、シャボン玉ホリデーで取り上げられた洋楽、というイメージを大事にして
双子デュオにはなれないけれども高浜さんとのハモリ合いも入ります

 特筆すべきなのは高浜さんの、ただの「テレビっ子」ではない、細部にわたる記憶の確かさで、
しかも一つ一つにさりげなくモノマネも入ります。(ご本人が以前、『なんかなりきらないと
できないんだよね』とおっしゃっていたことも

 「そうそう、そういう場面あったあった!」「家にテレビが初めて来たときにさ・・」などと
客席の会話も熱く盛り上がり、私達の兄さん姉さん世代の青春パワーを実感

 私自身も、こういう洋楽的な時代の歌謡曲はちょいと趣味がありますので、
できればこのユニットを製品として発信していきたいものだと目論んでおります
乞うご期待

歌舞伎座に行きました

2013年08月08日 | エピソード

 立秋を迎える頃が、実はいちばん暑いのかもしれません。
とはいえ、ここ数年の東京(日本)の状況は、江戸時代とか昭和の時代までの
気候とは明らかに変化しているようで、体温のような気温の中で生きていくのは
本当に大変ですね。 
 でも、料理家:辰巳芳子先生が先日ラジオでおっしゃっていました。
「もうこのようにね、東南アジアのような気候になっておりますから、そのような国の
お料理、食べ方に学べばよろしいかと思いますよ。」と涼しげに
へへ~~~っ

 数十年、元の歌舞伎座に通いました。
特に誰のファン、ということではありません。
音楽のほうは未だ手を染めてはいませんが、所作をもっとわかりたくて
日本舞踊も十年間習いました。
 改修工事の直前には、二月の雪の降る中、4階の「一幕見席」に並びました。

 今回、初めて歌舞伎を観る姪っ子を連れて「八月納涼歌舞伎」第三部に行ったのですが、
まず入り口を入り、さらに客席と舞台を眺めて、内装が殆ど変っていないことがとてもうれしく
もちろんまったくの新品なんですけれども、昔と同じ気分にすぐに浸れました。
 なんといっても一番の違いは、各階の左右のウィングにあった売店を地下広場に移し、
そのスペースにエスカレーターが設けられたこと、そして、数ばかり多くてとびきり狭く
ほとんどが和式だったトイレが、新築のホテルのような仕様で広々と心地良かったこと。
まったく夢のようでした
そもそも高齢の方々も多い劇場なのに、三階四階なんてえっちらおっちら杖を持って登る
おばあちゃんたちが心配で、ほんとにハラハラさせられましたもん

 北条秀司作の「狐狸狐狸噺し」はだましだまされる悪人と悪女の物語、
もちろん幽霊も出るのですが、最後まで抱腹絶倒初めての姪っ子も
イヤホンガイドなしで大ウケしておりました
 狂言舞踊「棒しばり」は、太郎冠者と次郎冠者が、縛られたままでお酒を甕から盗み飲み、
いい機嫌で踊りまくるというこちらも大笑い必至の演目で、その時代の「舞の上手」と言われる
役者さんたちが演じ続けているものです。
勘九郎と三津五郎のキレのあるほがらかな踊りっぷりと、長唄連中(つまり生バンド!)の
心浮き立つ演奏に、初心者も「大感動鳥肌モノ」だったそうで
やはり歌舞伎はいいですね

 二階ロビーに飾られた、故人となった歴代の名優たちの写真をチラと眺めて
「こんなに早く、勘三郎と団十郎がここに飾られているなんて」と辛い気持にも
なりましたけれど・・・

手を替え・・・・

2013年07月23日 | エピソード


 今日は『大暑』これから『立秋』(今年は8月7日)までを『暑中』と言う。
したがって、「暑中見舞い」はこの期間に出すものです。
8月7日を過ぎたら、同じように暑くても、「残暑お見舞い」にしなければなりません。

 暑中お見舞い申し上げます(声を大にして)

 写真は21日(日)に行われた『パクリン1001合奏団』のライブより。
ベースの佐藤ハチさんがアルトを演奏、チェロの橋本あゆみちゃんがベース・パートを
バイオリンの小塚さんは楽器の胴部分を指で弾いてパーカッションを務めております。

 4年目をひた走る『1001弾き倒し楽団』おかげさまで「A」から始まった苦難の道のりも
「T」までまいりました。残すところはあと3回であろう、というパクリンこと小林洋さんの
見通しです ここまでのファンの皆様の応援に改めて感謝申し上げます。

 一方、洋さんと私の二人で始めた『♥Standards』(スタンダード愛好会の夕べ)は
今回やっと「C」の項です。 1001曲集に入っていない歌物を中心に、力の限り歌い、
演奏するこれからの遠い道程が、実はとても楽しみな“歌手・影山ミキ”です。
こちらは細々と、ではございますが、スタンダードの歌に興味をお持ちの方、聴きごたえは
充分と自負しております ぜひシリーズで聴いていただけますよう。
7月27日(土)17:00~、18:30~(それぞれ一時間弱)\3,000(1drink)
途中入退場もOK、お持込みも自由です。 ただ、サーブするのも私一人ですので、
歌っている間はお世話出来ませんこと、ご了承くださいませ

「キンセンカンカク」?

2013年05月17日 | エピソード
或る夜の現場。
 しんみりとバラードに聴き惚れていたアベック(この呼称がもはやレトロ系)
しゃっきりと品の良い女性の方が
「ああ、本当に素敵ですねえ。“琴線に触れる”ってこういう音楽を言うんでしょうね
私「ありがとうございます。光栄です
男性「えっ!金銭がどうしたの?金がかかるってこと?」
女性「まあ、何をおっしゃるんですせっかくうっとりしてるのに台無し
男性「あ、そうか、ゴメンゴメン。心のほうの琴線ね。いつも下世話なことばっかり
考えてるからだな

イヤ、確かに発音は同じですけどね
それにどちらも大事な感覚ですから。あはっ

今日は私が・・・

2013年03月24日 | エピソード

 昨日3月23日(土)『スタンダード愛好会の夕べ Vol.1』開催いたしました

最初のステージは、これまでPodcastにアップした『銀座のジャズの物語』のライブ版
スタンダード愛好会のコンセプトの説明などの語りを入れて。

 2ndステージはゲストとしていらしていただいた河辺さんのステージ。

 3rdは洋さん、河辺さんのDUOで数曲と、私の歌「Aで始まる5曲」を

トークの中で「アルファベットは24あるから、隔月開催で4年がかりで・・」と
言ってしまいましたが、もちろんアルファベットは26文字です
まあ、「Q」とか「Z」など、ほとんど曲がない項目を除いて24回を予定、ということで・・・

 洋さんが4年近く2,3か月に一回の割合で開催してこられた「パクリン1001合奏団」は、
もともと1001曲集のすべてを演奏する、というコンセプトがありますが、「愛好会」の場合は
それぞれの項目(頭文字)の比較的ポピュラーな曲の中で、私のレパートリーの中で、
しかも「1001」に入っていないもの、というくくりで選曲いたします。
スタイルとしては基本的に、ピアノと歌。したがってよくあるジャズ・アレンジではなく、
非常にシンプルで聴きとりやすい程度のテンポとリズムで、を心がけ、
オリジナルの曲をイメージできる歌にするつもりです。(ていうか、それ以外は無理がある

 昨日の3rdステージの曲目は
All The Way
Almost Like Being in Love
As Time Goes By
As Long As I Live
All of Me(バースからのスロー・バージョンで) でした。

 2ndの最後に河辺さんとからんでの The Nearness of You を入れると、歌ったのは11曲。
久しぶりにたくさんまとめて歌に集中しました。
細部までていねいに一曲入魂で、しかも続けてたくさん歌う、ということは、パフォーマンスをするスタミナを鍛える、
という点でも大変重要なことだとあらためて思いました。
よく「プロとアマの違い」について聞かれますが、この「集中力を持続したままで、かなりの量をこなせる」
という力が、一番大事なところかな、と思います。

 次回は5月末ごろを予定。
スタンダード好きな方々が、じっくりと堪能できる恒例の夕べにしていければな、と
思っております。 ぜひ、シリーズでお楽しみいただけますよう