文句ばっかり言う人っていますね。 お酒についても、音楽についても。
ご自分の知識をひけらかしたいのか、世の中に何か貸しがあるのか?
こういう方は、まず、会話の中で何かを問いかけても、
同意を求めても、また、賛同する発言をしても、アタマに「イヤ、そうじゃなくて・・・」
とか「イヤ、それよりも・・・」というような枕をつけ、結局は相手の言っているのと同じ内容を、
別の言葉で繰り返していたりします。会話して、ほとんど面白くない相手ですね。
初めてエムズに来てくださって、うれしそうにお聴きになっていて、
多くの場合は「すばらしいですね」とか「ナマっていいですね」とか、
一般的な満足の言葉を頂くのですが、
ある方の場合「イヤ~、こんなに古いのばっかり歌われるとな~」
(その方が他のある新人歌手に発音指導した、とおっしゃったので、
テネシーワルツを歌ったんですけど?)
「でもさ~、ママの声ってジャズっぽくないよね?」(五味さんに同意を求める。困る五味さん)
私「いろんな声で歌っていいのがジャズだと私は思っているんですけど・・・。
ちなみに、どういう声が”ジャズっぽい”んですか?」
客「江利チエミだね」(・・・・古いじゃん!)
日本人にはどうも、「声帯コンプレックス」みたいなものがあるらしく、
「太い声」とか「黒人みたいな声」とか「ハスキー」とか、大好きですよね?
ていうか、エキゾチックを感じるのでしょうね。最近のR&B系のJ-POPの流行り方や
マネの仕方からしてそうですね。でも、作り声で他の民族のスタイルを真似して
歌って疲れませんか?と、ときどき思います。
たしかにジャズはアメリカの伝統音楽(歴史は浅いけど)だし、ルーツは
黒人音楽でしょう。でも、今、現場で演奏されているものは、決して「借り物」に
とどまってはいないと思います。日本にしろ、ヨーロッパにしろ、そのノウハウを
アメリカに学び、いろんな優れた音楽家(ジャズ・ジャイアントと呼ばれたり
する)の「料理の仕方」に感動して始まっているわけですが、それを自分たちの
テイストに染めつつ、楽しみ、楽しんでもらおうとしているわけ。
私もね、始めた頃はいろいろ言われましたよ。その手のことを。
「やっぱりソプラノだな」「ハワイアンみたいだよね」「太いノドを持って
ないからな」「黒人と付き合わなきゃダメなんじゃないの?」(言うに事欠いて、
お下品な!)
・・・まさか、それらのことをアタマから信用はしませんでしたけど、
共演している先輩たちからそれに近いことを言われたら悩みましたよね。
今は全然気にしていませんが。自分の持っている声と感性で、自分なりに
ジャズの素材を楽しんでおります。
オーディエンスには、気に入らないならお聴きにならない自由はございます。
でもね、音楽的に数十年前で止まっているような方々から、今さらいろいろ
初歩的な批判めいたことは
「言われたかねえや!」ってことで、失礼いたしました。