桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・9・17

2006年09月18日 | Weblog
一日3回店と部屋とを往復する。一度目は朝九時半、今日のイベント主催者がリハサールに使いたいと云うので、いつもより早めに鍵を開けに行く。昨日寝たのが5時過ぎだったので、流石に眠い。部屋に戻ってもう一度眠ろうとしたけど、主催者から色々なことで問い合わせの電話が入った為、その度毎に起こされる。結局眠れず、経理事務をした後、ランチ営業に必要な備品を買いにバスで渋谷へ。渋谷市場にも寄ってすき焼に使う牛肉を選ぶ為に何種類か買い求める。四時に二度目の店へ。イベントのフードの種類と作り方を昨日から変更したので、Tちゃんに指導して再び部屋に戻り、さっき買い求めた何種類かの牛肉ですき焼を作って見る。夜出しているすき焼は一種サービスメニューだからいいけど、ランチとなると儲けなくてはならない。仕入値段と価格設定の関係で悩む。今日はそのまま閉店近くまで部屋でイベント関係の仕事をしようと思っていたのけど、十時前にLちゃんから具合が悪いので代わって欲しいとの電話があって、三度目の店へ。初めてのグラビアの撮影を明後日に控えて、いつもはズーズーしく傲慢なLちゃんも精神的に参っているのか?店はイベント関係者は既に帰った後だったが、会社の同僚と一緒のU君、映画制作会社に勤めるYちゃん、元雑貨店店主のKさん、人妻Iちゃん、Rちゃん、Sさんたちで、日曜日にしてはまぁまぁの賑わい。12時過ぎ、明日も休みだし、今日も朝までコースかと思っていたYちゃんが最終電車で帰って、今日三度目の帰宅。そう言えば、昨日結婚を申し込まれたKから電話はかかってこなかった。ホッとすると同時に心配にもなる。だからって俺にどうする力もないんだけど。
※秘密上映会のお知らせ。
『昔、桃井章はロマンポルノを書いていた!』
19日(火)午後8時から
桃井が30数年前にシナリオを書いたロマンポルノがDVD化されたので、内輪だけの上映会を開きます。
上映作品『エロス学園・感度ばつぐん』(蔵原惟二監督・小川亜佐美主演)
『白い娼婦・花芯のたかまり』(小沼勝監督・山科ゆり主演)
入場は無料です。ロマンポルノを見たことのない方、特に女性の方歓迎です。

2006・9・16

2006年09月17日 | Weblog
突然結婚を申し込まれた。ホント突然だった。三年間連絡を絶っていた女優のKが店に突然電話して来て、「しばらく」と云う間もなく「桃井さん、私と結婚して」と切羽詰まった声で云った。こう云う時、あまりのことに「そりゃいいけど」と取り敢えず答えざるえない。「よかった」と云うK。「で、何があったの?」と探る俺。「あのね、もう駄目なのよ」と事情を話しだすKは三年前と同じ様に泥酔している。お酒の力を借りながら事務所と上手くいかなくて経済的にどうにも立ち行かなくなった事情を話し続ける。俺は厨房ですき焼を作りながら「だから俺と結婚したいなんて言い出した訳」と内心の声で呟く。他にも注文が入る。電話しながらは作れないので一旦切ろうとした。すると「今電話切ったら死ぬよ、私」とKは脅かす。おいおい、冗談じゃないよ。死ぬって云う奴に限って死んだ験しがないって云うけど、Kならやりかねないことを俺は知っている。アイドルから女優へ、Kは中途半端にしか転身出来なかった。月収300万のアイドル時代から年収が200万を切る女優生活を十年も続けていれば、心も体も疲れ果てて当然だ。でも、俺には何もしてあげられない。結婚してもあげられない。いくら難民救済施設である桃井ルームでもKを背負っては彼女の毒で施設自体が崩壊するのが目に見えている。何とかKに携帯に掛け直す様に説得して、俺はかかって来た電話で話しながら少しずつ電波の届かない処へ移動していた。

2006・9・15

2006年09月16日 | Weblog
ランチ営業を始める参考にしようと昼に近所の店に出向く。西麻布と云う場所柄、デザイン関係やマスコミ関係の会社が多く、12時台は空いていたのに1時を過ぎた頃から混みだす。ギョーカイ系は普通の会社みたいに12時からランチするとは限らないと云うこと。ウチもランチをするなら3時までの営業もありか?2時前に店に出向き、テレビ番組収録の為にスペースレンタルしているプロデューサーのN君に引き継ぎをして、銀行に寄って帰宅。昨日に引き続き3週間後に始まる『太宰治のお伽草紙・舌切雀』をマスコミ各社に見て貰う為の資料作り。シェークスピア俳優の西沢さんがアングラをする面白さを訴える文案を練る。『ニシザワ・アングラ』だ。9時過ぎまでかかってまだ終らないので店に電話してみると、お客さんは一人もいないと電話口でLちゃんが答える。誰か来たら電話をくれと言って、そのまま作業続行。10時過ぎまだ電話は来ない。こっちの作業も終らない。11時近くになって流石に我慢できなくなって店へ出向くと、カウンターは司会者のOさん、K出版社のY君、京都人脈のU君、元女優のYちゃん、W夫妻、マネージャーのSさんたちで埋まっている。その後もお客さんが続いて、結局終ったのは4時近く。10時過ぎからしかお客が入らないなんて、どうしたらいいんだ?考えてみればお昼にランチをしてから何も食べてなかったので、Y君とYちゃんと一緒に近くの店で食事して5時過ぎ帰宅。明日は10時起きの予定。

2006・9・14

2006年09月15日 | Weblog
いつも芸能界の大物ばかり連れて来る俳優事務所TのK社長、今日も大物演劇プロデューサーSさんと一緒だ。そしていつもは部下の女子社員に囲まれて艶っぽい話題をしているのに、今日は台湾の実業家たちと一緒で、ウナギの養殖がいかに儲かるかと云う話を聞かされていたTテレビのOプロデューサー、いつもはTさんと一緒なのに今日始めて彼女抜きで仕事仲間と来てくれた実業家のBさん、昔は夫婦一緒だったのに離婚してしまったので、一昨日は元奥さんが仕事仲間と、今日は旦那の方が仕事仲間と、バラバラに来るようになったSさん元夫婦。いつもいい女とばかり来るのだけど、今日はとびきり魅力的な女性と「同伴来店」してくれたメディア評論家のKさん、いつもグループでしか来ないし、女性には関心がないのではないかと思っていたのに、入って来るなり同伴したWさんを今夜中に口説くと宣言した映画配給会社のAさん、いつもより女性客が少ないのは俺がこの日記で23歳の女の子とつきあっていたことを書いたから、みんな嫉妬しているのよなんて嬉しいことを言ってくれるAN嬢、その隣にはいつも俺と仕事の話ばかりしている週刊BのI君、いつも長い間飲んで行くのに、今日はビール一杯だけで帰ってしまったSさん、昨日に続いて来てくれて、この調子じゃいつも来てくれるようになるかも知れないMさん、そして俺が店に出た時には帰ってしまっていた法律事務所勤務のNさん、映画プロデューサーのMさん、Aさん、Nさん、俺の女友達のSさん、そんな「いつもの」お客さんのお蔭で(パーティがあった日は除いて)今月始めて10万円の最低ラインを突破出来た。これで明日、酒屋の支払いが何とか出来そう。

2006・9・13

2006年09月14日 | Weblog
あっと云う間に時が過ぎる。10時半に起きて、シャワーを浴びた後に珈琲を沸かして朝刊をゆっくり読んでいるのがいけないのだろうか?12時半に店に出て、「舌切雀」のリハを始める前に西沢さんと宣伝戦略を練って、銀行に寄って帰ったのが2時半。それから数日前から食べたかったタコの即席マリネを作り、残りご飯を使ったオリジナルリゾットとコーンスープでゆっくり食事していたのがいけないのだろうか?食後、後片付けをして洗濯をして経理事務をして日記を書いていたら、時計は7時近くになっていた。時間の使い方が下手な俺がいけないのだろうか?慌てて翌日までに西沢さんに用意して欲しいと頼まれた宣伝資料を作り始めたが、店から呼び出し電話のあった9時半までには半分も出来なかった。途中で何件もの電話で打合せしていたのがいけなかったのだろうか?店には俺に呼び出し電話をかけた演出家のSちゃんの他に、俳優のTさん、AN嬢、今年N女子大を卒業したYちゃんが新潟土産の日本酒と珍味を持って職場仲間のHちゃんと、そしてLちゃんのバー仲間のMさん、美容師のKさん、脚本家志望のI君だけ。お客さんが少ないのに、あっと云う間に3時近く。9時間後には又店に来る予定になっている。時計の針と徒競走しているみたいだ。

2006・9・12

2006年09月13日 | Weblog
一週間延期した。その一週間悩んだ。何てたって30万円だ。先月は役員報酬もなく無収入なのに、それに後生きても長くて20年なのに、歯にブリッジを入れるのに30万円も掛けていいかどうか悩むのは当然だ。でも、歯が抜けていると空気が抜けてうまく喋れないし、キスもうまく出来ないし(ひょっとするとOにふられたのは、それが原因かもしれないし)、清水の舞台から飛び下りる気持ちでやることにした。その替わりと言ってはなんだけど、人件費の削減と売上増進を計る為、また懲りずにランチ営業を企画し始めた。二年前Lちゃんと始めたものの、肉体的に二人共限界が来て三カ月で中止に追い込まれたランチだけど、あれはあれでやっている間は楽しかったし、肉体的にしんどくないスケジュールさえ作れば充分にやっていける筈なのだ。とはいえ、十時に店に出て、店が終るのが下手をすると朝になる訳だし、その間にどうやって休息と他の仕事の処理をするかが問題だ。まさかずっと店にいる訳にはいかないしね。でも、何とかしたい。こうして一日3万とか4万とかの売上が続いていると、昼だけで1万でも2万でも売上げを嵩上げしたくなって来るのだ。それにしても何故こんなことになってしまったのか?今日も十時までに来たお客さんは、人妻Iちゃん、イチゲンのお客さん二人、女友達のS、出資者の一人Lさんとその同僚、有名女優のTさんの7人だけ。その後、SミュージックのIさんとKさん、銀座ママのSさんとHさん、そして1時過ぎにIちゃんがRちゃんを連れて出戻ってきて、またその飲み友達のHちゃんたちが来たりして、何となくは賑わった気がするけど、売上は5万に届かなかった。出入り禁止にした人たちが来なくなっての売上減と、その人たちがいたことによって来なくなったお客さんたちの売上減が重なってしまったのか?折角作った「桃井章の部屋」が泣いている。

2006・9・11

2006年09月12日 | Weblog
「舌切雀」のリハに立ち会う為、昼に店へ出た途端、準備をしていたこばやしさんに「御愁傷様でした」と言われる。夜店へ出たらLちゃんが俺の顔を見るなり、「長続きしないねぇ」と嬉しそうに寄ってくる。「桃井章の部屋」に逃れたら、Mちゃんが灰皿を持って来て、「ケンタッキーですか」とニヤニヤ笑っている。みんな、俺の失恋話を喜んでいる。みんな、楽しくて楽しくてたまらない様子だ。そりゃ人の不幸は蜜の味だろうよ。おまけに59歳の癖して23歳の女の子にふられたんだからね、同情なんかしてくれる筈はない。まぁ、いいさ。夏季限定のエンターテイメントだったということで。俺はそう自分に言い聞かせて電卓を叩く。俺をからかうLちゃんたちの人件費を削減することに没頭する。今ざっとウチの人件費は60万だ。これを何とか40万にしなくては。彼女たちへの復讐心に燃えて電卓を叩き続ける。その間、お客さんは11時までにたった四人だ。どうにかしなくては。このままじゃウチの店が危ない。失恋して傷心している場合じゃないよ。

2006・9・10

2006年09月11日 | Weblog
昨日のことを忘れようとするが如く、パーティで全滅状態のクロスの洗濯に午後を費やす。10枚のクロスを洗濯して乾燥を終えるに5時間もかかってしまった。まぁ、これも儲からない飲み屋のマスターのお仕事かと思うしかない。6時前に店。今日からMちゃんに代わってTちゃんが日曜日担当になる。例によって9時過ぎまではノーゲスト。話題に尽きて仕方なく自分の失恋話をしてTちゃんの関心を買う。予想以上に受けてくれたことが嬉しいやら哀しいやら。途中Oから『今日で終りにしましょ?』との別れのメールが入る。Tちゃんにそれを見せると更にウケル。お客さんのKさんやSさんたちも巻き込んでその話題一色。それでも足りず閉店後「もう少し話を聞いてあげましょうか」とTちゃんに誘われて六本木の寿司屋へ。道化を演じるのも福利厚生と割り切って2か月半のOとの顛末を話し続ける。ウーロンハイと日本酒で帰る時にはもうかなりの酩酊状態。その間、嬉しそうに俺を観測しているTちゃんの笑顔が憎たらしい。

2006・9・9

2006年09月10日 | Weblog
還暦間近の酒場のマスターの「愛情生活」は難しい。夕べは久しぶりにOと朝まで飲む約束をしていたのに、始発までお客さんが残ってしまい、待ち合わせの店に駆けつけた時にはOは怒って帰ってしまっていた。電話しようがメールしようがOは出ない。仕方なくひと眠りしてOの住むC駅へ。駅前のケンタッキーでひたすらOが応じてくれるのを待つ。3時過ぎ漸くOが現われる。その間、食べたケンタッキーは5ピース。ポテトとサラダも食べた。スープとコーラも飲んだ。テーブルの上に置かれたその残骸を見てOは呆れた様に笑って許してくれる。そして見たい映画があるんだけどと云う。土曜日だし、いつもなら少し位遅くなってもいいやと喜んで応じる処なんだけど、今日は生憎と5時からパーティが入っていて、もう出なくてはいけない時間だった。じゃ、誰かと見るからいいわと云うOを残してケンタッキーを飛び出す。Oとの逢瀬はたった30分。以後再びメールと携帯にOは出てくれない。23歳の女の子との2か月半の「愛情生活」が終った予感。まぁ、仕方ないか。店に出てからは厨房で三時間立ちっぱなしで料理を作り、パーティが終ってからも後片付けに飛び回ったりして働きまくる。久しぶりに来てくれたAちゃんが、とても還暦間近には見えないわと誉めてくれる。うん、そうかも知れないけど、実は動いてないと落ち込みそうだったんでね。12時きっかりに閉店、とにかく疲れたし、眠い。まっすぐ帰ってバタンキュー。

2006・9・8

2006年09月09日 | Weblog
飲み屋ってホント分からない。ハナキンだと云うのに8時過ぎに店へ出てみたら、まだ一人のお客さんもいなく、TちゃんとMちゃんが暇そうにスクリーンに映る映画を見ていた。俺も仕方なく郵便物の整理などをして時を過ごす。9時近く、Nちゃんが半年ぶりに友人を連れてきてくれる。30分後、常連の法律事務所勤務のNさん、15分後マネージャーのMさんが来店。でも、まだ四人だ。10分後、近所の美人姉妹のAさんとNさん、更に15分後、女優のKさん、稲荷寿司をお土産に持って来てくれたFさん、病気回復後二カ月ぶりに来てくれたエステシャンのMちゃん、そして音楽事務所マネージャーのYさんと揃い、10時半段階でカウンターはいつの間にか満杯になっていた。これで何とか飲み屋としての格好だけはついたとホッとしていた処へ、近所の出版社のSさんたちが8人で、TテレビのAちゃんがコレド通信の常連者列伝に書かれた内容を抗議がてら、更に外資系の証券会社に勤めるキャリアウーマンMさんがSさんたちと、そして一時過ぎにドキュメンター映像会社のTさんたちが10人で来店してくれて、イベントスペースを含めて満杯状態になってしまう。その間たった4時間。俺はMちゃんやAちゃん、そしてNちゃんたちのお相手をして飲んでいたから気楽なもんだったけど、TちゃんやMちゃんは料理やお酒を作ったり、運んだり戦争状態が続いていた。3時前、漸く一段落したので二人には帰って貰ったけど、Tさんたち10人が4時過ぎまで、女優のKさんが相談事があると言って5時まで残る。でも、計算してみれば最初のお客さんが入ってからまだ8時間しか経ってない。6時に開店して9時までの空白時間。その後1時過ぎまでの過密時間。それから5時までのダラダラ時間。見事に三分割された一日、ホント飲み屋って分からない。