桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・9・11

2006年09月12日 | Weblog
「舌切雀」のリハに立ち会う為、昼に店へ出た途端、準備をしていたこばやしさんに「御愁傷様でした」と言われる。夜店へ出たらLちゃんが俺の顔を見るなり、「長続きしないねぇ」と嬉しそうに寄ってくる。「桃井章の部屋」に逃れたら、Mちゃんが灰皿を持って来て、「ケンタッキーですか」とニヤニヤ笑っている。みんな、俺の失恋話を喜んでいる。みんな、楽しくて楽しくてたまらない様子だ。そりゃ人の不幸は蜜の味だろうよ。おまけに59歳の癖して23歳の女の子にふられたんだからね、同情なんかしてくれる筈はない。まぁ、いいさ。夏季限定のエンターテイメントだったということで。俺はそう自分に言い聞かせて電卓を叩く。俺をからかうLちゃんたちの人件費を削減することに没頭する。今ざっとウチの人件費は60万だ。これを何とか40万にしなくては。彼女たちへの復讐心に燃えて電卓を叩き続ける。その間、お客さんは11時までにたった四人だ。どうにかしなくては。このままじゃウチの店が危ない。失恋して傷心している場合じゃないよ。