桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2012・1・5

2012年01月06日 | Weblog
誰かと会いたい。誰かと喋りたい。毎日多い時では何十人もの人たちと会ってお酒を飲んでお喋りしてきた俺が、この六日間で会ったのは母と妹と弟夫婦と甥と一昨日お酒を飲んだYさんと隣のKさんの奥さんのの7人だけだし、電話も業務連絡でO君と会計事務所のYさんと話しただけなもんだからつい携帯を見てしまう。電話帳で会ってくれそうな候補者を探す。彼なら……彼女なら……とつい電話しそうになる。でも、寸前でやめる。会ってみても喋ることは俺の夫婦問題と店の経営問題になるのは決まっていて、解決策が出る訳ではなく、愚痴が出るだけだ。だから誰とも会わず部屋でジッとしている。白菜と豆腐があったので冷凍しておいた豚肉を解凍して一人しゃぶしゃぶをする。キムチと塩辛を混ぜ合わせて大根おろしと和えた一品を添える。じゃがいもときゃべつの味噌汁がどうして飲みたくなって作る。こんな風に好きなものを作れて食べることの出来る幸せを甘受して、芝居の台本に向かうが、昔プロの脚本家をしていた時からそうなんだけど、俺には誰か傍にいないと集中できないという悪い癖がある。ホテルに閉じ込められて一本も完成した作品はない。仕方なく品川のファミレスに行ってノートを広げる。でも、パソコンでの執筆になれてしまっていると手書きが辛い。どうしてもメモになってしまう。ノート型パソコンが欲しいと思ってしまったら、もう駄目。行き詰まったので、品川から二駅先の大森に出て、一昨日見損なった「幕末太陽伝」(川島雄三監督)を見ることにする。50年以上も昔に作られたとは思えない躍動感に満ち溢れ、ストーリーに流れることなく、そして且つ無駄のない展開は、まさにこれぞ映画といっていいだろう。フランキー堺、南田洋子、左幸子、岡田真澄、石原裕次郎……みんな死んでしまったけど、みんなよかった。映画の舞台は江戸末期の品川宿だが、冒頭に撮影当時の品川宿入り口の八つ山橋あたりが映し出される。映画を見た後、俺はわざわざ舞台になった品川宿から八つ山橋まで歩いて、一日の内に江戸末期と昭和30年代とそして現在の旧東海道を体験した。★新年は1/10(火)から営業します