とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

“天国と地獄”ツアーin宮城

2011-01-12 09:45:41 | 写真日記

今回の旅行は、表題にもあるように文字通りの“天国と地獄”のツアーでした。

今年度3回目の仙台です。
“るるぶ”を見てももう行きたい所はあまりなく、
どうやって過ごそうかと考えながらの出発です。
研究会そのものは、土曜日から月曜日までの日程です。
実行委員会が金曜日の午後1時ということで、当日出発では不安なので早めに入っています。

木曜日から翌日の午後1時までフリータイムだけど、今年度3回目ということで何して過ごそうかと策を練っていました。
せっかくの仙台なので何かブログネタを見つけなくてはと思いました。
また閉所恐怖症の傾向があるので、ホテルでゆっくりも苦手です。
とにかく移動中に考えようということにしました。

今回も福岡空港経由で仙台に行きました。
飛行機の座席が決まっていなかったので、カウンターに立ち寄りました。
「非常口でもよろしいでしょうか?」と聞かれて、
「いいですよ」と簡単に引き受けたのですが、
これが後から少し後悔することになります。

朝食をどうしようかと考えながら、空港を歩いてみました。
ごってりしたものばかりであまり食べたいという欲求が出てきません。
飛行機の中でぐっすり眠りたいので、ビールだけは飲みたいと考えていました。

結局、保安通路を通り過ぎて待合室で改めて考えようと思い、待合室に向かいました。
結局売店で生ビールとサンドイッチを買い、待合室のベンチで過ごすことにしました。

テレビがすぐ近くで2カ所鳴っていましたが、デジタル放送の特徴か、2台のテレビが微妙な時間差で音が鳴っています。
こういう情報の混乱がもっとも苦手です。
職員室にいて、いろんな声が同時にしてきていらいらしてしまうのと似ているかもしれません。
しかも同じ情報がわずかな違いでリフレインされるので気になって仕方ありません。
できるだけ音が聞こえない場所に移動して、時間をやり過ごしていました。

今回も古本コーナーで買い集めた村上春樹の文庫本を数冊持って行きました。
後から考えるとこれも良くなかったかもしれません。

飛行機は、“バスで案内”ということで、小さい飛行機を予想していました。
バスから見ると、プロペラ機が数機止まっていたので、
「まさかこれか?」という一瞬の不安感がよぎりました。


結局、少し離れたところにあるジェット機のところに案内されました。
ずんぐりしたボディーが何ともJALらしいという気にさせます。

 

仙台に到着すると福岡のどんよりした空気とは全く違い、青空が広がっていました。

これからの旅の楽しさを予見させるような展開です。

空港から仙台駅までJRで移動します。
仙台に着いてからホテルにいったん荷物を置いて、再び仙台駅に帰りました。
天気もいいので松島を一度見てみるのもいいかと思いました。
あまりにも通俗的な感じがしたのですが、
自分を振り返ると“通俗の極み”というところもあるのでいいかと自問自答していました。

松島行きの電車にいったん乗ったのですが、
頭の片隅に松島海岸だったのではないかと思い、
るるぶを引っ張り出すと、松島と松島海岸まではかなり距離があることがわかりました。
慌てて、電車から降りて仙石線の乗り場に向かいました。

エスカレーターでかなり下がっていくようなホームです。
電車を待っているとなんとサイボーグ009のイラストが書かれている車両が到着しました。
石巻正太郎のふるさとと言うことでこういうことになっているのだと思いますが、さすがですね。

 

高知にはアンパンマンのイラストの特急があるし、岩国には課長島工作のイラストのバスがあるというところですか。
とりあえず、009の写真だけを撮りました。
私の乗る車両は反対方向で普通の車両でした。

乗った車両は、乗る時に開閉扉のスイッチを押さないといけない車両でした。
仙台からでもスイッチを押さなければいけないというのちょっびっくりでした。
乗っているとさっき見た石巻正太郎の電車のことが気になって仕方ありません。
持ってきたるるぶで調べると「マンガッタンライナー」という名前だそうです。
ちょっと石巻まで足を伸ばそうかという気になっていました。
車内のアナウンスを聞いていると、ずいぶん時間がかかるようなので、
今回は松島海岸にとどめることにしました。

 

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TVで『竜二』を観ました

2011-01-03 23:23:49 | 映画

日本映画放送チャンネルで映画『竜二』(1983年)を観ました。

上映時間:1時間32分
監督:川島透
脚本:鈴木明夫(金子正次)
撮影:川越道彦
出演:金子正次 永島暎子 北公次 桜金造

1983年度キネマ旬報ベスト10で6位

1983年度キネマ旬報助演女優賞 永島暎子

この映画は劇場では観ることができなくて、ビデオレンタルで借りて来て何度も観た映画です。

久しぶりに観ました。

見終わったとたん、ため息とともにすごい作品だと今さらながら驚かされます。

まさに映画を知り尽くした人たちによる映画だと思います。

ストーリーだけで持って行くでもなく、音楽で感動させるだけでもなく、出演者の演技だけでもっていくでもないまさに全てが一つの作品に結実させられた映画なのです。

映画で描かれているのは、ヤクザなのですが、暴力で突き進むのでなく、ドンパチがあるわけでもない、人間そのものが描かれていくのです。

私は基本的にはやくざ映画は嫌いです。やくざを主人公にした映画はほとんど観ることはありません。

でも、この映画はやくざを扱っていますが、人間を描くことでは飛び抜けている作品です。

30年近く前の映画なので簡単にストーリーを交えながら語らせてもらいます。

花城竜二(川島正次)は、新宿にシマを持つ三東会の常任幹事です。

舎弟に直(桜金造)とひろし(北公次)を連れて、街を粋がって歩いていました。

新宿近辺のマンションに秘密のルーレット場を開き、舎弟の直とひろしに仕切らせ、そのあがりで優雅にやくざ社会の中を泳ぎわたっています。

その竜二も3年前には、金に不自由している時があり、イキがったり暴力を誇示、拘置所に入れられます。

妻のまり子(永島暎子)は竜二の保釈金を工面するため九州(鹿児島?)の両親に泣きつき、両親は竜二と別れるならという条件で大金を出してくれます。

妻と子どもが家を出てから、竜二は次第にやくざの世界で実力をつけ始めます。

妻にも仕送りができるほど安定した生活が続きます。

30歳になった竜二は、充たされないものが体の中を吹きぬけて行くことに気づきます。

竜二はかつての兄貴分で、今は夫婦で小料理屋をやっている関谷にその思いをぶつけます。

店を閉めてからの小料理屋の二人の会話が名場面です。

「俺たちは弱い人間だ。いつも怖くて怖くて仕方なかった。窓から飛び降りようとしたことも何度もある。その時に助けてくれたのが、女房と子どもだ。」

と語る関屋に竜二がうなづきます。

そんな竜二に関谷は「俺はそう考えた時、俺自身を捨て、女房・子供のために生きようと決めたんだ」と言います。

そんなある日、竜二は、新宿のある店の権利金をめぐってこのトラブル収拾を組の幹部から頼まれます。

ひろしにやくざの名刺をもらい、左内側ポケットにしまいます。

喫茶店で、弁護士と銀行員を前にしてサングラスとコート姿で伏し目がちに無言で座ります。

左手の名刺に手をかけようとした時に、我慢できなくなった銀行員が「待て!金は払う!」と小切手を切ります。

このシーンもなかなかなのです。

このトラブルを見事に解決した後、竜二はカタギの世界へ踏み込んでいきます。

カタギとなった竜二を、まり子の家族は歓待してくれます。

まり子の母親が、正座して別間から「花城さん、まり子をお願いします。もう…」でカットチェンジします。

このあたり、全く無駄なカットがありません。

小さなアパートを借り、妻と娘とのごくありふれた生活が始まります。

酒屋の店員としてトラックで走りまわる毎日。かつてとは較べものにならないほどの安月給。

しかし、竜二にとって生まれて初めての充実した生活でした。

そのあたりのところを竜二とまり子の表情で伝えていきます。

三ヵ月経った給料日に、かっての兄弟分・柴田が、竜二をアパートの前で待っています。

麻薬中毒で見る陰もなくやつれ果てている彼は、竜二に金を借してくれといいます。

でも、今の竜二にはそんな余裕はありません。給料袋に手をかけますが、財布の中のなけなしの金を渡します。

数日後、柴田の訃報を聞いた竜二は香典を届けますが、柴田の情婦に「今ごろ持って来ても遅い」と突き返されます。

表で、直に出会います。その直に対して部屋の中から「あんた!」という声がかかります。

これで、今の直の状態が全て伝わります。

これを期に、竜二の心の中に、焦りと苛立ちが芽生えるようになってきます。

仕事もサボるようになり、家計簿をつけて溜息をつくまり子を怒鳴ることもあります。

ある日、かつての弟分、ひろしが訪ねて来ます。

黒いスーツ、白い細身のネクタイ、オールバックの髪とすっかりヤクザの貫禄を身につけたひろしは、まさにかっての竜二自身でした。

数日後、渋滞でいらだっている時にトラックの同乗者が、自分も昔粋がっていたことを自慢げに語るのを聞いて、ついに竜二のカタギの世界との糸が切れます。

ヤクザの世界へ戻っていく決心をした竜二は、娘と買物をしているまり子と商店街で顔を合わせます。

見つめ合ったまま無言で立ちつくす二人。

全てを理解したまり子は、涙を浮かべながら娘に「おばあちゃん家に帰ろうか?」と言います。

数日後、雑踏の中にヤクザの世界に戻った竜二の背中を丸めて歩く姿があります。

この最後のエンディングシーンはおそらく日本映画史上最高のシーンではないかと思います。

何でもないような夕方の商店街の風景。

肉屋の特売に親子で楽しそうに並ぶまり子と娘。

坂道の上からそれを眺める竜二。

黙って見つめ合う竜二とまり子。

状況を飲み込んで、竜二にすがりついても止めたいと思うまり子。

でも、そうしても竜二の心は返って来ないことを知っているまり子。

何も告げずに子どもの目の高さまで下がって「おばあちゃん家に帰ろうか?」と告げます。

「行こうか?」ではなく「帰ろうか?」なのです。

何も知らない子どもは素直に喜んで「全日空に乗れるの?」と聞きます。

その時には竜二の後ろ姿は遠くに去っています。

映画の随所にギターで泣きを十分効かせたマイナーの曲調のブルースが流れています。

これが、何とも言えずいいのです。

初めて観た時は、竜二と同世代ということもあって、切なさも共感できていたように思います。

今観るとちょっと違った観点から見えてくるものもあるのですが、やっぱりあの時代背景を合わせて観る必要があると思います。

やくざにもどった竜二を昔のように歓迎する仲間はいないと思います。

そのまま身を持ち崩していく竜二が何とも悲しいエンディングです。

1時間32分全く無駄なカットがありません。

低予算で2週間で取り終えたと聞いています。まさに奇跡のような作品だと思います。

主演と、脚本を担当した金子正次さんはこの映画を撮り終えた後に急死します。

死期が迫っていたことを知っていたのではないかという説もあります。

私が今まで観てきた映画の中でベスト10をあげるとして、この映画は絶対に外れることはないと思える映画です。

チャンスがあったらぜひ観てほしい映画です。

 

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DVD『非女子図鑑』を観ました

2011-01-02 14:24:43 | 映画

年末にTSUTAYAに行って5本セット1050円で借りてきたDVDの中の1本です。

必ずしも、お勧めしているわけではないのでご注意ください。

こんなことを書くと好きな人から苦情がくるかもしれません。

あくまでも個人的な感想なので、読む際はご配慮をお願いします。

なぜ借りたかというとキャストに注目したからです。

興味が沸くような個性的な女優がたくさん出ていたので借りてきました。

そもそも非女子とは何を意味するのか?そこらへんからついていけない映画なのです。

HPを探していると、ありました。「あなたの非女子度を測る!」というページが…。

そこにはこう書いてありました。

『「非女子」って、なに????
「女はこうあるべき!」
そんなワクから飛び出した女子たち。
ただ自分に正直に生き方を貫いているだけなのに
他人から理解されないとわかっていても止められない!
もう突っ走るしかない!
そんなわたしは「非・女・子」それって、happy♪』

よくわかったような、わからないようなうたい文句が並んでいます。

平塚らいてふの頃からの永遠のテーマである女性問題ですか…。

そこは兎に角(うさぎ年だけに)

映画の話ですが、オムニバス形式なのですが、終止わけがわからないというストーリーと展開になっています。

サブカルチャーの流れなのかもしれません。

どうもついていけないジャンルが増えているようです。

オープニングでは、ベッドの上に並んで座る西洋人の母娘。母は語ります。

「昔々、ずーっと昔、エデンというところにね・・・アダムという男の子と、イブという“非女子”がいたの」。

そして、そのイブが鳥居みゆきで、狂気の顔でむさぼるように禁断の実を食べるという話。

1つ目の話『占い依存の女“占いタマエ!”』は、

高校生のタマエ(足立梨花)は、毎日学校へ行く前に神社に行き、

そこに設置されているガチャガチャ占いをして、一日中、それに書かれた通りの行動をしています。

理由は簡単で、タマエは占いを作っている神社の神主(スネオヘアー)に恋をしています。という話

だから、何なの?何が言いたいの?何が非女子なの?誰に尋ねたら答えてくれるの?

2つめの話『ただ闘う女“魁!!みっちゃん”』は通称みっちゃん(山崎真実)は日々体を鍛えることしか考えない。

ケータリングの店で見かけた店員がただ者ではないと気づき、ただ闘いを挑むという話。

ただ、闘う女、しかも闘いのシーンは香港三流映画のぱくり?それともTVの戦隊物?そんな感じです。

3つめの話『ノーブラの女“ビー”』

遺跡発掘現場で、現場責任者として働く菅山美帆(月船さらら)の秘密はノーブラです。

若手調査員の好青年の背中にブラジャーの痕跡を見つけた彼女の取った行動とは…・という話。

ブラジャーをつけたことのない私にとっては、それがどれほどのものか理解できない。

4つめの話『男を演りたい女“男の証明”』

映画『昭和残侠伝男の証明』の主役オーディション会場に片桐はいり演じる女が乱入。

「女に飽きたので」怒った男優たちが女優に詰め寄ります。

しかし女優も「男を極めてこの役を演じたい」と一歩も退く様子はありません。

片桐はいりが演じる男は、スーツに雪駄をはいて肩をいからせて歩きます。

片岡鶴太郎が、まじめな演技をするときのそのままの姿です。

あれが、男の中の男のイメージなのでしょうか?

第5作『混浴好きの女“混浴heaven"』

太平洋を臨む小さな温泉旅館に一人の女性千晶(江口のりこ)が現れます。

鞄の中には七輪が入っています。

それを目にした仲居は自殺志願者だと勘違いします。

千晶はかまわず手馴れた所作で浴衣に着替え、お目当ての混浴露天風呂へ。

持って来た七輪で魚を焼きつつ、居合わせた客(綾田俊樹)と混浴ならではのす会話を交わします。

そこで知り合った人たちとの混浴ならではのおつきあいが始まるという話。

裸どうしでも変なことを考えずに純粋にお風呂を楽しめ!というメッセージでしょうか。

「どこ見てんのよ!」と一喝されるような映画です。

第6話『自殺にはしる女"死ねない女"』

中谷涼子(仲里依紗)は東京の片隅で独り暮らしをする25歳のOLです。

失恋の痛手から「死ぬか」と決意します。

そこから自分の死後についての妄想が始まります。

自分の死後に現場検証に来た刑事たちの会話が頭を支配します。

足の踏み場もない部屋ではいやだ→掃除機を買い、カーテンを買い、掃除を始めます。

錆だらけの包丁ではいやだ→包丁を買いに走ります。

中里依紗が主演で演じているのですが、ジャージ姿でスーパーに走る姿は正直ださい。

しかもどこか太めに映っています。

ゼブラーマンの時のゼブラウーマンとも『喫茶磯辺』の時の高校生の感じとも違う何ともださいOLなのです。

妄想の中の刑事たちの辛辣な会話がまた面白く、だんだん魅力的になっていくOLとの対比がとても面白く見ることができます。

このDVDの6本の中で唯一評価できる作品かもしれません。

この1本が観られただけでも良かったと思いました。

借りてきてこの1本だけでも観ることをお勧めします。

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映画「逃れの街」1983年を観ました。

2011-01-01 16:23:41 | 映画

年末のCSで「逃れの街」(1983年)を観ました。

原作は北方謙三なのであさにハードボイルドの王道です。

監督は工藤栄一 主演は水谷豊 他に島田紳助、田中邦衛、阿藤快、夏八木勲等々が出ています。

簡単なストーリーを紹介すると

水井幸二(水谷豊)は家庭電気器具の配送をするトラック運転手として平凡な生活を送っています。

“兄貴"とつきまとう同僚・米倉(島田紳助)と飲みあかしたり、競馬に夢中になったりの毎日に嫌気がさしていました。

ある日、一緒に上京してきた昔の仲間・沼田(平田満)から電話がかかり、幸二は断りきれないまま一晩彼を泊めることにします。

翌朝、沼田は殺人犯として警察に逮捕されます。

しかも、沼田が幸二と一緒に殺ったと偽りの証言をしたため、幸二は共犯者として警察に留置されます。

幸二にはアリバイがあり、その夜一緒だった遠藤牧子(甲斐智恵美)の名をあげます。

彼女が否定したために、さらに警察につきまとわれます。

この事件以来、周囲の目も一変して冷やかになっていきます。

仕事も、実入りの少ない部署に飛ばされます。

そんな幸二のところに牧子が家出までしておしかけて来て、、束の間の癒しの時間がありました。

ところが、牧子の母親と関係しているやくざの渡辺(財津一郎)という男が二人につきまとい、

渡辺は牧子とも関係があることを知った幸二は、彼女のために渡辺と対決します。

幸二と渡辺の凄まじい決闘、ついに渡辺を殺すことになります。

その後、幸二は鈴江宏というみなし児と出会い一緒に生活をするようになります。

渡辺の弟分・芝崎は、仇を討つため牧子をリンチして渡辺を殺した男を白状させます。

芝崎は宏を誘拐し幸二をおびき出しますが、逆に幸二に殺されてしまいます。

幸二は宏を親戚がいるという長野の山中に連れて行くが、叔父の鈴木勝一は選挙活動の最中で、冷たくあしらいます。

幸二は金を奪って宏と共に雪山に逃げ、閉まっている別荘に入り込み、束の間の平穏なひと時を送ります。

そして…。

という話なのですが、撮り方そのものがなかなか昔風なので新鮮でした。

ストーリーだけを追えばそんなに大したことないのに、無駄なカットが随所に出てくるのです。

幸二がどういう人間なのかを周囲からだんだんクローズアップしていく流れが何とも昔風なのです。

兄貴と慕う米倉(島田紳助)だけが関西弁で、どこから彼は流れてきたのか、どうみても正社員には見えません。

会社に住み込んでいるような田中邦衛さんも、ちょっと足を引きずっていてこの人何者?という感じなのです。

幸二は、配置転換に憤って主任とけんかになります。

この主任がもとランキングボクサーあがりでボコボコにやられてしまいます。

連れ戻された牧子を取り戻しに行きますが、やくざの渡辺にかなうわけもなくボコボコにやられます。

一瞬の隙を狙って、石で頭を殴打して殺してしまいます。

やくざの仕返しにしてもめちゃくちゃな狂気の中で殺してしまいます。

幸二は決して、けんかが強くてハードボイルドでかっこいいわけではないのです。

何ともさえない普通の男が、ある日の事件をきっかけに狂気の世界に踏み込んでしまうそういうストーリーなのです。

子どもと知り合う場面あたりから様子が変わっていきます。

部屋でスーツに着替えて、ポーズを作って出かけるシーンは、ハードボイルドそのもの主人公になっていきます。

子どもと出会うシーンのカット割りは水谷豊そのものをかっこよくするためのシーンとしか思えないほどです。

ただし、映像的には面白いシーンです。

ストーリーは、自分が好きだった女を無理やり関係してきた男に復讐するという話しなのです。

最近ブログで紹介している映画はこのパターンがやたら多いようです。

私は愛や恋をそれほど、信じるタイプではないのでそこまで切れる人たちのことがイマイチ理解できません。

しかも、守るべき相手でもない人のケースばかりなのです。

でも、こういうモチベーションが万人受けするのは昔からなのでしょうね。

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DVD「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を観ました

2011-01-01 00:43:43 | 映画

明けましておめでとうございます。

今年もきわめて趣味的なブログを続けていこうと思っています。

カメラ散歩は罪はないけど、映画の批評は人ぞれぞれ感想があるから、なかなか難しいことを学びました。

それでも、やっぱり自分の感性でないと書けないので、言い過ぎ満載のブログになってしまうでしょう。

今年度第1弾は『ボーイズ・オン・ザ・ラン』です。

原作はコミックのようです。

年末に借りたTSUTAYAのDVDシリーズの一つです。出演者の顔ぶれを見て借りたくなった一本です。

峯田和伸演じる田西敏行が主人公です。

この役者さんは、『アイデン&ティティー』や『少年メリケンサック』、『色即ゼネレーション』など個性的な演技をしています。

相手役に松田龍平演じる青山が対比されます。

この対比が映画全体を構成しています。

田西は、ガチャガチャのカプセルの営業をしている29歳の冴えないサラリーマンです。

気になる女の子がいるのに自分から声をかけられません。

そんな時に、営業で知り合ったライバル会社の青山から声をかけられます。

田西は青山から声をかけられても、営業先の嫌みな店主から声をかけられても愛想笑いをしてしまう典型的な“いい人”です。

青山は、カップ焼きそばで昼食を取っている田西に「それいいですか?人の物っておいしそうに見えるんですよね」と後で効いてくるジャブのようなことばをかけてきます。

テレクラに行って欲望を満たそうとしても、相手とのトラブルに巻き込まれてしまう。

そんな田西に唯一のチャンスが訪れてきます。

前から気になっていた同じ会社のちはる(黒川芽以)とうまく行きそうになります。

でも、自分の蒔いた種でだめになってしまいます。

しかもこともあろうに青山に寝取られてしまいます。おまけに妊娠させられて、捨てられてしまいます。

田西の会社でちはるが企画したにも関わらずボツになった商品案が、青山の会社であらためて商品化されて、大ヒットします。

その商品案はちはるのものだったのです。

ここで、田西が怒り、青山に復讐をすると決意します。

会社間の競争。リリーフランキー演じる社長も、田西にボクシングの稽古をつけたアル中気味の小林薫も、田西を応援します。

まさにこれから始まるハードボイルドタッチの映画…そんな要素がありそうで…ないのがこの映画なのです。

田西を打ちのめす様々な要素。

これでもか、これでもかと押し寄せる様々な苦難。

エンディングテーマが流れ始め、田西は「ボーイズ・オン・ザ・ラン」の音楽に乗せて走り出します。

今までの鬱屈した思い、それをはね飛ばすのか、そのまま受け止めているのかわからないまま田西は走り続けます。

全くだめでハチャメチャな主人公に感情移入できるかと言えば、私自身はあまり出来る方ではありません。

でも、青春の鬱屈した何ともはけ口のない状態には、興味をもちました。

CGもなく、大きなストーリーもなく、しかも下ネタ満載の映画です。

そこらへんを考慮して観るなら、お勧めの映画です。

特にエンディングの駅のホームのやりとりはは秀逸だと思います。

「本当はそんなことを言いたいわけではない!」「そんなことを言ってほしいわけではない!」

そんな叫びが聞こえてくるようなシーンの後で『ボーイズ・オン・ザ・ラン』です。

本当はもっと克明に伝えたいのですが、DVDを借りた時につまらなくなったらいけないので抑え気味にします。

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