徳島で一泊したのは、牟岐線・阿佐海岸鉄道に乗るためです。この路線は往復するしかありません。もちろん、バスやタクシーを利用すれば、前の日行った奈半利に行けないことはなかったのですが、鉄路だけにこだわってみたかったのです。
貧しい朝食スタートです。
徳島県は全国唯一全線非電化路線です。徳島駅もディーゼル車だらけでみているだけで楽しくなります。
徳島駅で輪行バッグを持った同い年くらいの男の人がいたのでちょっと話しかけてみました。「室戸岬まで行くんですか?」と尋ねると、やっぱりお遍路周りでした。自転車を使って何回かに分けて廻っているそうです。この日は日和佐(お城のある駅)まで電車で行って自転車で廻ると話されていました。知らない人に話しかけるのは成功しましたが、長い距離をずっと話し続けるのはお互い負担が大きいと思い、ちょっと離れて座りました。
海部行き普通列車28駅2時間ちょっとの旅です。
JR海部駅で下車して阿佐海岸鉄道乗り換えまで15分くらいあります。鉄道旅の関心事は昼食をどうするかです。パンでもなんでもいいから何かないかと駅の外に出てみました。見事に何もありません。
阿佐海岸鉄道の終点は甲浦(かんのうら)です。
一縷の希望を持って列車に乗り込みました。この鉄道はたった二駅で終点です。
運転手さんに甲浦駅周辺でどこか食べるところありますか?と聞くと絶望的な返事でした。そのまま折り返してしまうことも考えたのですが、それでは面白くないということで、次の列車まで1時間街をブラブラすることにしました。高架駅から降りるとすぐに「室戸岬行きのバスに乗られませんか?」と声をかけられました。
余裕があれば行きますけど、後の鉄道スケジュールが詰まっているのでごめんなさいをしました。
海に向かって歩いて行きましたが、なかなかたどり着きません。学校の跡地を通り抜けると古い町並みが少しだけ見えてきました。その先に「ザ・田舎のスーパー」と思しき店がありました。
そこで、おむすびとその店手作りの揚げ物のお惣菜を買って「どこか座って食べて大丈夫な場所はないか尋ねました。
首を傾げながらさっき通った学校跡地を教えてくれました。
なんとも普通の昼食です。
徳島最南端の駅から高知最東端の駅まで旅をした割には質素な昼食を取り歩いていたら雨がポツポツしてきました。こうなったら駅のホームで待機するしかありません。
30分くらい待っていると同じ車両の同じ運転手さんでした。「何にもなかったでしょう?」「スーパーでお弁当を買って食べました」と答えるとなるほどと言うような顔をしていました。
家に帰ってもう一度調べると隣の宍喰駅には阿佐海岸鉄道の本社があり、駅長の行きた伊勢海老が待っているそうです。駅には売店もあったようです。
つまりは、甲浦まで行き、乗ってきた車両で折り返し、宍喰駅すれば良かったと言うことです。まさに後の祭りです。
同じコースを徳島まで戻り、特急「うずしお22号」で岡山まで行きます。高松駅を過ぎ、国分駅で進行方向が逆になります。お客さんは一斉に椅子を進行方向へと倒し始めました。親切(お節介?)なおばさんが教えてくれたので私はその指示に従いましたが、近くに座っていた若者は「別にいいです」とちょっと空気を澱ませていました。
家に着くのが9時になるので岡山でまた駅弁を購入して新幹線に乗り込みました。
これにて四国一周鉄道の旅は終了です。
今回乗っていないのが徳島から鳴門方面に向かう鳴門線と特急が走らない海岸線を走る予讃線(夕日で有名な下灘駅を通る線)の一部です。これは、また後日に残しておきます。
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