地域コーディネーターとして保育園に要請訪問に行ってきました。
昨年も行ったことがある保育園で、今日の訪問も3月のうちに予約が入っていた保育園です。
自閉症スペクトラムの子どもが年中に2名います。昨年から継続して見ていました。
保育園としても子どもに何ができるのか?という視点は持っていると思います。
朝9時半くらいに保育園に着きました。初めは子どもたちは教室に入って席についていました。
良太くんは電車の図鑑を見ていました。かなりマニアックな図鑑で、パンタグラフに興味を示していました。
絵本の電車を指さしながら電車の名前を口にするなど、私の好きなタイプのお子さんです。
もう一人の貴くんは電車をずっと持っています。Tシャツの絵はプラレールです。
「電車ちょっと見せて?」と言うと嫌がられました。「そのTシャツはプラレールだね」と語りかけてもシカトされました。
そのうち、「外に出て体操するよ」と声がかかり子どもたちは外に向かいます。
上靴から外靴に履き替えると、その場に整列です。
「女の子から行くよ」という声で、並んで運動場に並びます。
良太くんはさっと駆け出し、外の遊具がある所に入り、プラスチックの車のおもちゃを4つ持ち出して、列の後ろに向かいました。
列の後ろには水で丸い円が描いてあります。どうやら良太くんは、この中にいることは許されているみたいです。
でも、すぐに飛び出してジャングルジムの一番上に上がり、街を眺めたり、友だちを俯瞰したりしています。
この日は年少のクラスが出てくるのがとても遅くて、年長、年中クラスはずいぶん待たされました。
この間も何度も担当の保育士が降りるように促しますが、聞く耳を持ちません。
全員揃ったところで、お寺さん特有の誓いのことばを読み上げます。
毎日やっているので、子どもたちもよく覚えていてそらで復唱します。
続いて園の歌を歌って、やっと朝の体操です。
良太くんは、一連の活動を見切っているようです。
朝の挨拶、誓いの言葉はスルーして、歌になってやっと動きを見せました。
ジャングルジムを一段だけ降りました。
そこへ担当の保育士が降りるように言ったので、また一番上に上がってしまいました。
体操の音楽が流れ始めると、促されると降りてきました。
さっと自分の隊列の後ろに加わり、体を動かし始めました。
やっぱり見切っていました。
自分がやるべき行動、苦手な行動をちゃんと理解していてその場だけ参加します。
体操が終わると整然と行進しながら教室に向かいます。
良太くんはまたジャングルジムの上に上がります。
担任の保育士がクラスのみんなに向かって「今日は何をするんだった?」と声をかけます。「シャボン玉!」
でも、すぐには始まりません。一度教室に帰ります。トイレに行って、うがいをして席に着きます。
今から朝の会が始まります。歌を歌って、紙芝居を読んでやっと外に出てしゃぼん玉に入ることができます。
良太くんは、ジャングルジムの上にいて出遅れたこともあるし、朝の会には入れませんでした。
「トーマスで遊んでいいですか?」と棚にあるボックスを指さします。
どうやら良太くん専用のボックスのようです。朝の会の間ずっとコーナーで過ごしていました。
複雑な朝の生活のシステムです。
自閉症スペクトラムの良太くんにはちょっと酷な状況だと思います。
でも、朝の体操はこの保育園がずっと目玉としてやっている活動で、宗教的な流れでもあります。なかなか変えてほしいとは言えません。
午後から園長と、担任と1時間くらい協議を行いました。
この協議で言えることと、言えないことを使い分けながら話をしなくてはいけないのでここが矛盾です。
自分に対してだめ出しをしながらの地域Coの取り組み報告です。
自閉スペクトラム症の子の過集中という特性です。
偏見と差別に満ちていて、おまけに勉強不足ですね。