「武士の家計簿」を観に行きました。
時代劇というのはとにかく、切った切られたのチャンバラものか、誰でも知っている武将ものばかりになっている昨今で、
このような映画が成立することが興味深いものがあります。
監督は、人をくったような作品をつくる印象がある森田芳光さんです。私はこの監督さんは基本的には好きです。
なかでも「の・ようなもの」と「家族ゲーム」が好きです。
出演は猪山家8代目・直之に堺雅人、その妻・駒に仲間由紀恵この二人の起用からしてもう人をくったようなキャスティングになります。
私はこの二人の笑顔はどうも作ったような笑顔で、好きになれなません。
でも、気になる俳優さんです。
他に7代目当主・信行に中村雅俊、母・常に松坂慶子、祖母に草笛光子、駒の実父に西村雅彦というキャスティングになっています。
手慣れのキャストだけに、円熟した演技で見ていてあまり無理がないような気がします。
始まったばかりなので、あまりストーリーを言うと問題かもしれないので適当に端折って話します。
時代は、天保年間になります。加賀藩御算用者(会計の専門家)として代々使えてきた猪山家は、算盤と筆で生きてきた家系です。
直之も7代目信行と一緒、お城勤めを始めますが、根っからの“算盤バカ”(映画の中のことば)職場でも浮くほどの几帳面さを発揮します。
生来の数学的な才能も相まって、めきめきと頭角を現すほどになってきます。
ついには、不正も暴くほどになってしまいます。
ちょうどその頃、お駒(仲間由紀恵)と結婚をします。
不正を暴く藩の方針と相まって、直之は異例の出世をします。
給金は増えても、父信行の江戸詰で重ねた借金もあり、家計は火の車。
生まれた長男の着袴の祝いのお膳が用意できません。
お頭付きの鯛の代わりに絵で描いた鯛を用意するという苦肉の策に転じます。
親戚や両親から非難囂々のなか、直之は家計の再建計画を発表します。
それからが、猪山家の闘いが始まります。
…というようなストーリーになっています。
淡々と流れていく武士の宮勤め。
面白いところはほとんどありません。
節約の工夫や、貧乏に耐える姿がユーモラスなのですが、「ここで笑っておかなければ」というような映画です。
聞いた話では、現在の価値に直すと収入1200万円に対して借金は2400万円。
金利が高いこともあって、収入の3分の1を借金返済に充てなければならなかったそうです。
この窮状に猪山家8代目直之(堺雅人)は、余分な家財道具を売り払いって借金の元金を減らし、
新たな借金をせずに収入の範囲内で生活することを選びます。
さして、盛り上がることもなく淡々と流れていきますが、それが自然なのだと思います。
普通に生きている人たちに波瀾万丈が続くわけありません。
そこを見るならとてもいい映画だと思います。
まだ、公開されたばかりなので、ぜひ観に行ってください。