とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

ドラマ「マラソン」観ました。

2007-09-21 00:20:23 | 障害児教育
 テレビでドラマ「マラソン」を観ました。実話に基づいた話で、韓国ではすでに映画化されていて、日本でもずいぶん話題になりました。私もDVDで観ていたのですが、今回のドラマも楽しみにしていました。

 原作の日本語訳も発売されています。「走れ、ヒョンジン!」 パク・ミギョン著/蓮池薫 訳 ランダムハウス講談社

 先日本屋さんで何度も手にしたのですが、買うまでには至りませんでした。

 韓国映画では、母親のドラマになっていて、母親がやたら頑張る映画のイメージが強かったのです。本人の気持ちをどこまで考えているんだろう?誰のためのマラソンなんだろう?そんな気持ちになったので、評価はしつつももう一つというところもありました。

 障害児教育の現場でも賛否両論あって、映画好きの中でもいろいろ物議をかもしたものです。

 今回のドラマ化に当たっては、日本自閉症協会がバックアップしているということでどこまで日本的になっているのかも興味のポイントでもありました。

 主人公の自閉症の青年を二宮一也が演じ、その母親が田中美佐子、マラソンコーチが松岡昌宏。自閉症の青年を取材する雑誌記者が桜井幸子という人気キャストで固められていて、正直「ちょっとね…」と思ってしまったのですが、テレビのスイッチを入れたとたん、それが杞憂に終わったことを思い知らされました。

 主人公の彰太郎を演じた二宮一也が、見事なまで自閉症の青年を演じているのです。相当実際に観察したんだろうなと思わせるほどです。目線、姿勢、歩き方まで申し分有りません。

 オープニングでは、福祉作業所(社会福祉法人)に通っている彰太郎が「お天気雨」につられて、仕事の部署を離れて虹を見つけるシーンがあります。虹を見つけてジャンプする彰太郎はよく見かける光景です。夢中で追いかけて木にぶつかって怪我をするシーンまではどうかと思いましたが…。

 怪我をした彰太郎の所に向かおうとした母親に何か言おうとしてやめる弟の存在。兄弟の問題も触れてくるのかな?と思わせるオープニングです。

 施設に彰太郎を迎えに行った母親は懸命に一般就労へ向けて、努力している姿勢を見せます。「普通の青年にしたい」という思いがストレートに描かれていきます。このあたりは原作に忠実なのかもしれません。

 母親と一緒に帰る姿は、こだわりの強い自閉症の青年を表現しています。時刻表や電車の型式を記憶しているところが高機能自閉症の特徴も見せています。電車に乗っても運転席をじっと見て運転手の口にする言葉をすべて覚えていて運転手より先に言う場面も思わずにっこりししてしまいます。

 駅から下りるとさっそくマラソンのトレーニングを開始する母子。母親は自転車に乗って、声をかけてマラソンを続けさせます。

 家に帰ってから母親に手伝いを言いつけられます。「このお皿をまわしておいて!」(お皿を配って!)という意味だったらしいが、案の定テーブルの上でお皿をくるくる回している彰太郎。このあたりは、自閉症の解説になっていて少しまどろこしい場面です。

 ストーリーは、フルマラソンを完走するまでのサクセスストーリーになっていますが、そこに至るまでの自閉症の障害特性とつきあわなければなりません。

 コーチになった松岡との関係もぎくしゃくしながらも次第にいい関係になっていきます。

 ストーリー全体を追いかけても仕方ないのですが、母子のキーワードがいいです。

「折れない心は負けない気持ち。迷った時には前を見ろ!」このことばがいろんな場面ででてきます。

 日本版は、母親の無理強いはあまり強く描かれていなく、本人の気持ちでマラソンは続けているというような描き方をしています。そこが見終わった時に少しだけさわやかな気持ちにしてくれているのかもしれません。



コメント (3)
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