季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

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2015年05月04日 | スポーツ


各国にサッカーのリーグがあるけれど、その実力はずいぶん開きがある。

ただしリーグの実力と人気、就中日本での人気は必ずしも一致しない。

面白いのは、日本人選手の場合、プロである選手自身までもが、我々一般人と同じような目線で各国リーグを見ているように思われることだ。

ヨーロッパの一流リーグは幾つか挙げられるが、不思議なことにドイツリーグの不人気(我が国のね)は際立っている。

日本人選手が一番多くいるリーグでもあるのだが、どうも選手たちもファンも、他の有名チーム乃至有名リーグへのステップとしてしか考えていないようだ。

例えば香川選手である。香川選手はドイツリーグで活躍し、プレミアリーグに移籍したものの鳴かず飛ばずだった。

最終的には元いたドイツのチームにもどったのだが、かつてフィットしたチームとはメンバーも替わり、それよりも何より、香川選手自身が焦りからか以前のようなパフォーマンスを見せられなくなってしまった。

そのようなことはスポーツに於いてはままあることではある。しかしイングランドにこだわり続けた際のコメントから、彼はイングランドにステップアップしたのであり、再びドイツリーグに戻るのは後退だと感じていたのではないかと僕は思う。

日本で人気のリーグといえば、かつてはイタリア・セリエAであり、最近ではスペインリーグである。

イングランドリーグは老舗リーグとして、ほぼ安定した高い人気を保っているようだ。

それに反してドイツリーグはかつての黄金期でも、前述のように、まったくといってよいほど人気がなかった。

人気というものは水ものだから、それは構わない。

しかし当の選手にとっては、自分が活かされるかどうか、それが全てだ。自ずとファンとは違った捉え方をする必要がある。

強い選手ならば、自分がリーグのステータスを上げてやる、位の野心を持つのではないだろうか。

中堅や下位チームに在籍する選手ならともかく、香川選手のチームは当時全ヨーロッパでもトップ争いをする強豪と目されていた。

同じドイツリーグのライバルチームは強豪中の強豪だったし、日本でのドイツリーグの不人気を除いて、彼が移籍を希望する理由が僕には分からなかった。

さて、移籍先で殆ど活躍する余地がないという状況に置かれた時、新たに自分を必要とするチームを探すことは後退でも何でもない、プロ選手ならば当然の身の振り方だと思うのだが、それをしなかった。

当時出番がない状況について質問が集中したが、その都度、今の苦しさが成長に繋がる、そうでなければならない、そんな意味合いの答えをするのが常だった。

こうした答えの背後には、選んだリーグで成功しなければ自分の成長はないのだ、という思い込みがないだろうか。

僕が、日本人選手はファンと同じ目線で人気リーグに憧れているようだと感じるのはそんなことからだ。要するにサッカーがやたらに上手な素人。

自分がリーグのステータスを上げてやるという野心。これはもちろん殆ど不可能に近い野心だ。でも基本にその態度が無ければいつになってもハイレベルアマチュアから脱しないだろう。せめて自分を使いこなせない監督の許ではやっていられない、求めてくれるところに移ろう、くらいは思ってもらいたい。

若手、新人、日本ではベテランが衰えるまではそういうレッテルと共に扱われる。でもね、ちょっと他の国を見てご覧よ、若手でもすでに中心選手として振舞う。いつでも年長者に負けずに、ことによったら自分の方が力量があるのではないか、と虎視眈々としているのが分かる。

この様なところも、日本人選手からフォワードが出ない原因のひとつだと僕は思っている。
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