季節はずれのインテルメッツォ(続)

音楽、文学、絵画、スポーツ、シェパード等々についての雑記帖。

動画から

2016年04月22日 | 音楽
以前ちょっとだけ触れたことがあるのだが、ドイツに歌手へのインタビュー番組があった。エヴァーディンクという演出家がインタビュアーであった。

You tube のおかげで今日まとめて視聴できる。残念ながら日本語の字幕はない。僕なぞは細かいことは聞き取れずに悔しい思いをする。

ドイツ・オーストリアで活躍した非ドイツ系歌手のドイツ語は比較的聞き取りやすい。ドイツ系歌手は総じて恐ろしく早口だ。

ただ、面白いことにシュヴァルツコップはとても聞き取りやすい。1時間番組だから、最後は頭がクラクラしてくるけれど。

その番組が始まる前に亡くなった名歌手も多いけれど、それでも僕の世代よりもずっと上の歌手の(普段の)肉声を聞ける喜びは大きい。

名歌手名歌手を連発したが、中にはトンデモ歌手もいる。僕が聴いていた公演で激しいブーイングを浴びせられたテノールもいる。この愉快な出来事はそのうちに書こう。

総じて言えることは、出てくる歌手が皆、普通のおじさん、おばさん、いや、とっくに引退しているのだからおじいさん、おばあさんか、要するに単なる人間だという、当たり前のことだ。

これがわが国では難しいらしい。スポーツ選手でもゲージュツ家でも。

つい話題が逸れていくのが悪いクセだ。
でも歌手たちの佇まいに話の内容以上に感じるところがあったのも本当だ。

アントン・デルモータという名テノールの慎み深い話し方(この収録から間もなく亡くなったようだ)はドン・ジョヴァンニのオッターヴィオでの歌唱を思い出す。

ゼーフリートはスザンナなどよりなお、はるかにはるかに活発なオバさんで、全盛期の可憐な歌声しか知らぬ僕はひっくり返るほど笑ってしまった。

マルタ・メードルというワーグナーソプラノは、歌手になる前にデパートの売り子をしていたという。円満に退職した老婦人といった風情で、落ち着いた態度は揺り椅子とレース編みが似合いそうだ。この人の最後の舞台を僕は見たはずである。「スペードの女王」の老婆だった。

このように次から次へと記憶がよみがえる。

ドイツ語なんか一言も分からなくても良い、知った歌手がいたら(いなくても)話ぶり、顔つきだけでも見てみたら楽しかろう。アントン・デルモータのを紹介しておこう。6分すぎから若き日の歌唱が紹介されるので是非。(ドン・ジョヴァンニのドン・オッターヴィオ)

1時間番組とはいえ、ある人は50分、またある人は70分くらい、とそうしたルーズな?番組構成も懐かしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする