テレビ朝日のサンデープロジェクト(というのだったかな? 以前、田原総一郎がやっていた番組だ)を見る。
高速増殖炉の「もんじゅ」の管理費が一日4000万円だとか。
長野アナが「わ、高い」と驚くと、もんじゅの管轄官庁である文科省の大臣が「普通の発電所でも一日3000万円くらいかかる。問題は4000万円の出費に見合う収入がないこと」とか言っていたが、もし万が一計画が順調に進んだとしても、「見合う収入」が入ることになるのは、今から半世紀近く後なことだ。
財政赤字1000兆円とかで大騒ぎしているのに……と思うと、さにあらず。
「もんじゅ」計画は、特別会計枠でなされているという。
要するに、我々が払う電気料でまかなわれているので、「もんじゅ」がどんなに金を使っても国の財政負担にはならないのだ。
電気だけではない。
ガスも水道も高速道も(多分)JRも、そして医療も年金も、基本的に国の財政負担の限定的な「特別会計」で処理されている。
EU危機は医療や年金が国に強いる財政負担が根本原因になっているのではないかと想像するが、日本は、本来国(政府)が負担すべきものを特別会計で処理しているので、1000兆円というとてつもない赤字にかかわらず、円の価値は安定……どころか上昇してしまっているのだ。
政治が混乱していても国民生活が比較的安定しているのは、その混乱を「特別会計枠」で防いでいるからだ。
と、高級官僚が主張する(はっきり言明してはいなくても、多分そう思っている)のも、「一理ある」とは思う。
しかし、政治が混乱しているのも、それ自体、現実の反映であって、決して「無意味」というわけではない。
要するに、混乱すべきときにはちゃんと混乱しないと、破壊されるべきときはちゃんと破壊されないと、先に進めないのだ。
話は続いて、北方領土問題へ。
次期ロシア大統領は、多分プーチンだろうが、プーチンは現大統領に比べ、比較的親日で、また中国抑制という至上命題が現実化するだろうから、北方領土のうち、国後、択捉に比べ、小さな歯舞、色丹が戻ってくる可能性はあるという佐藤優の見立てだった。
ラスプーチンの見立てはともかく、歯舞、色丹に今夏取材したテープが流れたが、「私の母親が歯舞生まれで……」という言葉だけが、北方四島返還要求の根本理由のようだ。
少なくとも、マスコミは、そこまでしか言おうとしていないし、言えないのだろう。
北朝鮮拉致問題しかり、震災問題しかり。
カンバックサーモン、じゃない、カンバック故郷としか言えないのだが、そんな心境で、歯舞の住人の家を訪れ、一緒に楽しく食事をしながら、あなた方が生活している、この島が、かつて日本人が住んでいて云々と話しだすと、雰囲気が一変した。
最初は「私たちは複雑な事は考えない事にしている」とお茶を濁していたが、最後に決定的な一言。
「私の母が、この島(ロシア名で言っていたようだが、覚えていない)に移住し、そして私が生まれました。私の故郷はこの島なのです。」
シ~ン。
何も言えまへん。
言える事は、故郷は永遠ではなく、変わるということ。
福島原発の周辺地の飯館村で頑張って営業を続けている縫製工場があり、「いつかまた私たちの故郷に戻れることを信じて、苦しいけど頑張ります」と経営者は語っていたが、つい先日、この工場も結局閉鎖することになったと報じられていた。
「故郷」という概念は、本当に誤解されている。
故郷に戻りたいという思いは万人共通で、悲惨な子供時代を送り、「ふるさとは遠きにありて 思ふもの……うらぶれて 異土の乞食にあるとても 帰るところにあるまじや」と故郷を呪った室生犀星にしても、その後半で「でも帰りたい」と繰り返す。
なんで、故郷に戻りたいのか。
それは、そこに家族や親戚、あるいは友人、知人がいるからではない。
そこに「自分」がいるからだ、と言ったのは橋本治だ。
大震災以降、「家族を守る」とか、かっこいい言葉ばかり耳にする。
でも「守る」ものは、最終的には「自分」であり、それ以外は……なんと言ったらいいのかよくわからないが……「無効だ」というか。
ともかく、橋本治の言葉の真実性を、大震災以降、つくづく噛み締めている。
高速増殖炉の「もんじゅ」の管理費が一日4000万円だとか。
長野アナが「わ、高い」と驚くと、もんじゅの管轄官庁である文科省の大臣が「普通の発電所でも一日3000万円くらいかかる。問題は4000万円の出費に見合う収入がないこと」とか言っていたが、もし万が一計画が順調に進んだとしても、「見合う収入」が入ることになるのは、今から半世紀近く後なことだ。
財政赤字1000兆円とかで大騒ぎしているのに……と思うと、さにあらず。
「もんじゅ」計画は、特別会計枠でなされているという。
要するに、我々が払う電気料でまかなわれているので、「もんじゅ」がどんなに金を使っても国の財政負担にはならないのだ。
電気だけではない。
ガスも水道も高速道も(多分)JRも、そして医療も年金も、基本的に国の財政負担の限定的な「特別会計」で処理されている。
EU危機は医療や年金が国に強いる財政負担が根本原因になっているのではないかと想像するが、日本は、本来国(政府)が負担すべきものを特別会計で処理しているので、1000兆円というとてつもない赤字にかかわらず、円の価値は安定……どころか上昇してしまっているのだ。
政治が混乱していても国民生活が比較的安定しているのは、その混乱を「特別会計枠」で防いでいるからだ。
と、高級官僚が主張する(はっきり言明してはいなくても、多分そう思っている)のも、「一理ある」とは思う。
しかし、政治が混乱しているのも、それ自体、現実の反映であって、決して「無意味」というわけではない。
要するに、混乱すべきときにはちゃんと混乱しないと、破壊されるべきときはちゃんと破壊されないと、先に進めないのだ。
話は続いて、北方領土問題へ。
次期ロシア大統領は、多分プーチンだろうが、プーチンは現大統領に比べ、比較的親日で、また中国抑制という至上命題が現実化するだろうから、北方領土のうち、国後、択捉に比べ、小さな歯舞、色丹が戻ってくる可能性はあるという佐藤優の見立てだった。
ラスプーチンの見立てはともかく、歯舞、色丹に今夏取材したテープが流れたが、「私の母親が歯舞生まれで……」という言葉だけが、北方四島返還要求の根本理由のようだ。
少なくとも、マスコミは、そこまでしか言おうとしていないし、言えないのだろう。
北朝鮮拉致問題しかり、震災問題しかり。
カンバックサーモン、じゃない、カンバック故郷としか言えないのだが、そんな心境で、歯舞の住人の家を訪れ、一緒に楽しく食事をしながら、あなた方が生活している、この島が、かつて日本人が住んでいて云々と話しだすと、雰囲気が一変した。
最初は「私たちは複雑な事は考えない事にしている」とお茶を濁していたが、最後に決定的な一言。
「私の母が、この島(ロシア名で言っていたようだが、覚えていない)に移住し、そして私が生まれました。私の故郷はこの島なのです。」
シ~ン。
何も言えまへん。
言える事は、故郷は永遠ではなく、変わるということ。
福島原発の周辺地の飯館村で頑張って営業を続けている縫製工場があり、「いつかまた私たちの故郷に戻れることを信じて、苦しいけど頑張ります」と経営者は語っていたが、つい先日、この工場も結局閉鎖することになったと報じられていた。
「故郷」という概念は、本当に誤解されている。
故郷に戻りたいという思いは万人共通で、悲惨な子供時代を送り、「ふるさとは遠きにありて 思ふもの……うらぶれて 異土の乞食にあるとても 帰るところにあるまじや」と故郷を呪った室生犀星にしても、その後半で「でも帰りたい」と繰り返す。
なんで、故郷に戻りたいのか。
それは、そこに家族や親戚、あるいは友人、知人がいるからではない。
そこに「自分」がいるからだ、と言ったのは橋本治だ。
大震災以降、「家族を守る」とか、かっこいい言葉ばかり耳にする。
でも「守る」ものは、最終的には「自分」であり、それ以外は……なんと言ったらいいのかよくわからないが……「無効だ」というか。
ともかく、橋本治の言葉の真実性を、大震災以降、つくづく噛み締めている。