パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

ミッション・インポッシブル・アット・チャイナ

2011-11-18 00:35:45 | Weblog
 日本がTPP参加に向けて積極的姿勢を見せた途端、カナダ、メキシコ、台湾が日本の後に続く格好になった。

 と思う間もなく、オバマ大統領がオーストラリアの国会で、アメリカの未来はアジアにあると演説、同時に、オーストラリアのダーウィンに米軍の基地を新たに作る事を明らかにした。

 明々白々の中国包囲網作戦。

 不謹慎な言い方かもしれないが、面白くなってきた。

 野田がどこまでこの事態を理解しているのか、よくわからないのがちょっと不安だけど。

 一昨日だったか、NHKニュースのアナウンサーが、番組の締め間際に「日本の外交能力を不安視する人が多いですが、私の知り合いの高官が、日本の外交交渉能力は、実は非常に高いと言っていました」と言っていた。

 私もそう思う。

 実際、アメリカも、日本にしてやられる事が多くて、歯ぎしりしてくやしがっているという話はよく聞く。

 外の評判は落としても、実利はちゃっかりとっているというわけだ。

 でも、これからは「実利」だけでなく、かといって「外の評判」を得るのでもなく、損得勘定を離れた、世界のあるべき姿に向かって汗をかくべきだ、というのが私の意見だ。

 それはともかく、TPP論議がこれからどうなるか、「参加表明」はしたものの、よくわからないが、米問題以上に、反対派が全面に持ち出しているのが、TPPに入るとアメリカのような医療制度になって、日本が誇る健康保険制度が破壊されるという意見だ。

 保険制度については、何度も書いてきたが、アメリカの民主党と共和党が、医療保険制度をめぐって対立している、その論点は何なのか、さっぱりわからなかったのだが、数日前、ノーベル賞学者のクルーグマンがの言葉ですこ~し、わかった。

 クルーグマンによると、共和党は、高齢者向けの医療保険制度である「メディケア」の管理を、行政から民間の保険会社に任せよと言っているが、そんなことをしたらアメリカの医療は破壊されてしまう、と言っていた。

 患者の治療方法が、患者ではなく、保険会社が決めていることはよく聞く話だが、共和党はそれを、現状では「個人」が保険会社と保険契約を結んでいるものを、「国」もしくは「州政府」が保険会社と契約を結ぶかたちにもっていこうとしているのかな、と思った。

 だとしたら、それは、私が以前、ちょっと考えていた事だ。

 つまり、政府が税金で保険会社に保険料を払い、国民が病気になったら、その治療は、保険料を国からもらっている保険会社と契約している医療機関が行うというものだが、クルーグマンは、そんな契約をしてしまったら、利益確保を至上命題とする保険会社に振り回されてしまう、それは医療制度と根本から反するものだというわけだ。

 なるほど、それはあり得るな。

 ……と思ったのだが、クルーグマンの記述は「メディケアを保険会社に渡してはならない」とあるだけなので、以上は私の想像です。

 どこかに詳しく解説してあるブログなり、本なり、あればいいのだが。