パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

消費税考2

2011-09-10 13:13:02 | Weblog
 前々回、消費税について触れたのだが、ネタ元が2ch経由(そのものではない)だったので、ちょっと不安に思い、調べたところ、財務省のHPには次のように解説されていた。大変にわかりやすいのでリンクしておきました。

 ウィキペディアによると、そもそも消費税には多段階方式と、最終消費段階のみで課税する単独方式があるのだそうで、本来であれば、単純だし、公平性も確保される(何故、公平性が確保されるのかはよくわからなかったが、そう説明されていた)単独方式が望ましいのだが、単独方式だと最終消費段階の税率がどうしても高くなる。

 政府はそれを回避するために、多段階方式を採用したが、事業者たちに配慮して、業者が仕入時に支払った消費税は、後で還付される仕組みになっているのだそうだ。

 業者への「還付」は、それだけでない。

 輸出業者、たとえば自動車メーカーなどが現地で売って消費税を現地の政府に納めた場合も、還付の対象となるのだが、その場合、トヨタならトヨタ一社が還付を受け、下請け企業にはまったく還付されていないので、去年だったか、共産党が予算委員会かなにかで追究したことがあり、当時担当大臣だった与謝野が「(還付を独占するとは)品性下劣である」と答えたのだそうだが(私も何となく覚えている)、その後、どうなったか。

 さらにわけのわからないことは、政府の全税収のうち、消費税が占める割合で、日本の場合は5%→約25%と五倍に跳ね上がるが、イギリスの場合は、17%→38%、フランスは20%→47%、ドイツは19%→34%と、大体二倍前後が「相場」なんだそうである。

 一体、何故五倍にもなるのか?というと、よくわからないが、もしかしたら、支払った消費税を申告せず、還付を受けていない業者が結構あるのかもしれない。

 私が「月光」を作っていた最初の頃は、まだ消費税が導入されていなかったし、その後も赤字がつづいていたりで、本の制作に絡み、支出した消費税の還付を請求するなんて、考えもしなかったのだが、赤字であればこそ消費税の還付を要求すればよかったのだ、と今にして思うのだが、「後の祭り」である。

 財務省(当時大蔵省)は、その辺りのことを、経験で知っていたのかもしれない。

 日本の法人税が他国に比べて「高い」と言われるが、これも還付その他、いろいろな「抜け道」があるので、実際にはそれほど高いわけではないと財務省は、「法人税が高い」と批判されると言い訳するが、実際には、外国企業が日本の法制度の「習慣」的な側面まで知っているわけはなく、説明を聞いて日本進出をあきらめるケースが多いそうだ。

 これも外国企業にはなるべく来てもらいたくない、財務省の「遠謀深慮」なのかもしれない。(今は、来てもらいたいのだろうが、そのために税体系をシンプルにすると、失われるものも多いと思っているのだろう。わからないが)

 要するに、どんなに制度が複雑でも、それ自体として法的に筋が通っていれば、それで批判を押しのけるのだ。

 しかし、法的に筋が通っていればといっても、全然、それ以前の段階で、話を通してしまうこともある。 

 たとえば、今、健康保険は「健康保険税」となっているが、じゃあ、健康保険は税金なのかというと、そうではない。

 あくまでも、管轄は厚労省だ。

 ぶっちゃけて言えば、厚労省が胴元の「頼母子講」システムが、日本の健康保険制度、および年金制度の実態だ。

 みんなが同じ頼母子講の仲間になりましょう、仲間になって積立金を払っておけば、いざ困ったとき、積立金から取り崩して助けてあげますよ、というのだ。

 しかし、「仲間」になるには、勧誘しなければならないし、「金がない」とかなんとかで断われればそれまでだ。

 だったら、なんで税金でやらないのか?

 全然、税金で構わないはずである。

 今、「健康保険税」と「税」を名乗っていても、厚労省に徴税権があるわけではなく、まったく虚仮威しの無意味な「名前」であり(「虚仮威し」なりの効果はあるのかもしれないが)、そのことをじっくり考察すれば、日本の官僚システムの隠された真相にまでたどりつけるはずである。

 すなわち、莫大な健康保険の掛け金の徴収、運用を厚労省にまかせることで「全体としての官僚支配」を確固たるものにしようというのが財務省の魂胆であり、それを「税」を名乗ることを許可するというか、黙認することで、さらに強化しようとしているのだ。

 何故か?

 それは、まさに、今、官僚がつくってきたシステムが「危機」にあるからだ。

 と、私は「官僚支配国家日本」の現状を見立てているのだが。