パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

萌え~の世界

2010-06-17 22:48:38 | Weblog
 「18歳未満と想定される非実在の青少年を性的対象にしたアニメやマンガ」を規制する東京都条例が問題になっている。

 との記事を読み、もう5年以上前に出した「月光」最終号(いやそう決まったわけでは…)のことを思い出した。

 それは、みんながよく知っている漫画の少年少女を「緊縛」して遊ぶマニアを紹介したもので、本にする時は、「本当はヤバいんだけど、読む人少ないし、読む人も理解もっているだろうし」と勝手に解釈したのだが、そのとき「ヤバい」と思ったのは二つあって、一つは、未成年の少年少女が「緊縛趣味」の対象になっていること(中に、小学生の子供が暴漢に襲われ、陵辱される母親を目撃して興奮してしまう、という設定もあった。これが実は一番面白かったりして…)、もう一つは、キャラクター侵害とみされて作家から訴えられないかということだった。

 いずれもごく少部数であったので(トホホの事実だが)、大過なくすんだのだが、「18歳未満と想定される非実在の青少年を性的対象にしたアニメやマンガ」って、たとえばウランちゃんなんかどうなんだろう。

 あれ(?)は、ロボットだぞ。

 って、それでも「非実在」の世界では、「性的対象」になりうるわけだが、牽強付会かもしれないが、『紅楼夢』の冒頭で、主人公の宝玉が、自分より年上の「姪」の寝室で昼寝をし、その間に夢を見るが、その夢に、仙女が現れ、宝玉に、「そなたは淫らである」と宣告される。

 宝玉は、「あっ」と驚き、

 「とんでもありません、私はまだほんの少年で、かしこくて美しい少女が好きですが、一緒にカルタをしたり、詩を作ったり、彼女たちが刺繍をしているところを見たりするのが好きなだけで、決して淫らがましい気持ちはありません」

 と否定すると、仙女は、宝玉が淫らであるというのは、私たちの世界(すなわち、「非実在」の世界)で「意淫」というもので、凡俗の人がふける「淫ら」とはちがうが、でも結局は、「淫ら」なのだという。

 なるほどね、である。

 「18歳未満と想定される非実在の青少年を対象にしたアニメやマンガ」は、この「意淫」のやからの「意」を対象にしたもので、主観では「可愛い」から、大好きなだけで、淫らなことをしたいのではないと言いながら、その「可愛い」と思う気持ちは、結局「淫」に発し、「淫」に帰してしまうわけだ。

 漫画の「鉄腕アトム」で、アトムの燃料が「お尻」から、それもお茶の水博士の奥さん、すなわち、実質、「母」から注入され、アトムが顔をしかめている場面があり、「あ!」と、驚いたことがあるが…まあ、今の日本で、「文明」の名に値するものといったら、この世界だけかも。

 だから、「規制するな」と言いたいわけでもないし、そもそも、「文明」とは何かという問題もあるのだが、難しい問題なので、またいずれ改めて。