パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

仕分け人を仕分けする

2010-05-21 14:09:35 | Weblog
 必殺仕分け会議で、免許更新時に買わされる小冊子を読む人がほとんどいないので「無駄」というのは乱暴すぎる。

 出版関係で生きてきたものとして言うが、「本」というものは、読もうが読むまいが、「もの」として残るというところに価値がある。

 テレビは、道ばたに捨てられたパンフレットを写していたが、あれを拾って読む人もいるかもしれない。

 まあ、一方で町が汚くなる、捨てられなくてうっとうしいとか、欠点もあるけれど、「読まないから無駄」というのだったら、新聞の折り込みチラシなんか、禁止しなければならなくなる。

 ネットで代行すればいいという意見もあったが、ネットはこちらからアプローチしなければならないが、「紙媒体」は、何の気なしに手に取る、といった読まれ方があり得る。

 これが、紙媒体の強みというか、大事な観点だ。

 それより問題なのは、小冊子をつくっているところに税金が投入されていることだろう。

 小冊子は、希望者には一冊158円で、免許更新受講者には、受講料にパンフレット代として計上されているようだが、それは1000円以上の数字がつけられていたように思う。

 印刷代金というのは、まったく大雑把な基準だが、使用している紙の代金の約10倍と聞いたことがある。

 あの小冊子だと、使用している紙は一冊あたり全紙1枚だろう。

 紙の値段は固定費だが、普通の紙は1枚あたりだいたい10円。

 てことはあの本の制作費は一冊100円ということになるが、大量に刷っているので若干割安になるはず。

 といっても1200万部を一カ所でいっぺんにすることはできないから、まあ、一冊5、60円といったところだろう。

 だから、158円というのは適当な値段ではあるが、数千円の受講料からも収入が相当にあるはずであり、だったら、なんでそんなところに税金で補助しなければならないのか。

 そもそも受講料からもらわなくても、一冊158円の8がけくらいで警察に買ってもらえば、充分にやっていける。

 何しろ1200万部なんだから。

 というわけで、税金を投入するなら、パンフレット代金として警察の予算に計上すればいいので、なんとか協会なんかに補助金を与えて、そこがつくって…なんてややこしいことをしていることこそ問題にすべきと思うのだが。

 ともかく、「読まれないから無駄」というのは、編集者として言わせてもらえば、無茶、というか、あまりにも軽薄というか、本質を見ない意見。

 蓮舫が、何割くらいの人がちゃんと読んでいるかと聞いて、担当者が「7割くらいは」とか答えたのに対し、「そんなんじゃダメですよ~」とか言っていたが、本を読むというのは主観的行為であって、ふと思い出して読んでみることもあるだろうし、ともかく、「何割」とか言えるもんじゃないだろう。

 ちなみに、れんほうと入力したら蓮舫と一発変換。

 こんな奴に、と胸くそ悪い。

 ちなみに、免許更新者にパンフレットを配ること自体が必要かどうかという問題はまた別問題。

 私見を述べれば、簡単な、「道交法はやわかり」とかいう冊子を大量につくって、交番において、欲しい人に無料で配る、とかすればいいじゃないか。

 免許更新者には、それを配ればいいだけで、特に更新者用につくらねばならない理由はないだろう。