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蛋白尿 漢方薬 2 気陰両虚(腎病漢方治療 398報)

2014-06-26 00:15:00 | 漢方市民講座

 

先ず申し上げたいのは、気血津液弁証と八綱弁証のうち、陰陽弁証、及び寒熱弁証を最低限知らなければ気陰両虚という弁証は出来ないということです。弁証学の基本に立ち戻って基礎的な説明を申し上げるのは、情報量が余りにも多いために省略することをお許しください。<o:p></o:p>

 

さて、糸球体腎炎につきものの蛋白尿(高血圧や腎機能の低下を伴わなく)が主な症状、或いはネフローゼ症候群を示していた腎炎が、浮腫が軽度、或いは無くなりつつあり、蛋白尿が主となり、低蛋白血症を伴うような時期に次のような症候があれば、気陰両虚兼挟湿熱の証であると弁証するのです。<o:p></o:p>

 

周身乏力、腰酸腰痛、顔面皓白、眩暈心悸、水腫は無いか、或いは軽度、手足心熱、口干咽干、舌質紅或いは舌尖紅苔白、脈象滑或いは数等の症候です。<o:p></o:p>

 

方用 清心蓮子飲(せいしんれんしいん)加味:黄耆50g 党参30g 地骨皮20g 麦門冬20g 茯苓20g 柴胡15g 黄芩15g 車前子20g 石蓮子15g 甘草15g 白花蛇舌草30g 益母草30g 水煎服用<o:p></o:p>

 

糸球体腎炎の初期は多くは気虚陽虚に属し、慢性遷延すると傷陰に転じます。「陽損及陰」が気陰両虚を起こします。<o:p></o:p>

 

治療は「気虚」と「陰虚」の両面に対して必要になります。方中、黄耆 党参は皆、気虚を治する薬剤であり、地骨皮 麦門冬 石蓮子 黄芩 柴胡は皆、滋陰清熱の薬剤です。正確には柴胡は(疏肝理気 清熱 升陽)に働き滋陰の効能はありません。<o:p></o:p>

 

さて、「太平恵民和剤局方」には、「本方は小便白濁、夢が多く夢精し、小便の終末時に残尿感を伴う渋痛があり、小便は血のように赤く、男子、五淋にて気は収斂されず、陽は外に浮上し、五心煩熱となるを治す」さらに、「常服すれば清心養神、秘精補虚に働く」等の記載があります。糸球体腎炎の蛋白尿の治療に清心蓮子飲を使用する理由は、益気滋陰、清熱秘精の効果です。精は水穀精微物質の精微の精と考えてもいいでしょう。<o:p></o:p>

 

但し、気陰両虚の方薬とは言え、方中の薬剤量から判断すれば、気虚に重きを置く方薬とも言えます。(というのは)黄耆 党参の量が比較的多く(3050g)、弁証するに、気虚を主たる病態に適宜するのです。糸球体腎炎を治療するに、本方服用一段落して、咽干口干、食納減少、舌尖赤等の陰傷の現象が露呈してきた際には滋陰清熱の品を加味、或いは増量し、黄耆 人参の補気剤の用量を減じ、原方を堅持不変することなく対応しなければなりません。陰虚の症状が加重し、尿蛋白が再度増加することが臨床上少なくありませんので、患者の観察(診察)は怠ってはならないのです。<o:p></o:p>

 

血尿を伴う場合、大薊、小薊の二薊藕節蒲黄等を加味します。<o:p></o:p>

 

本方にて有効な効果をあげる患者の場合、尿蛋白は消失或いは顕著に減少、血清アルブミンの上昇、血清コレステロール、トリグリセリドの下降、顔色は紅潤となり、体重も増加し、脈象は有力に転じ、食欲も増加し、緩解を得られます。<o:p></o:p>

 

清心蓮子飲の主薬は黄耆です。現代薬理学の研究で実証されていることは、尿中の蛋白を顕著に減少させること、病理組織変化の改善効果等です。(詳細は省略しますが)黄耆には蛋白尿を消除する作用や、BUN Creの降下作用等、腎炎の進展を抑制する効果があります。全身の栄養状態を改善させる効果も検証中です。<o:p></o:p>

 

清心蓮子飲の他に、黄耆を含む升陽益胃湯、保元湯等でも腎炎蛋白尿に一定の効果があります。<o:p></o:p>

 

黄耆の常用量は40gから最大100gであることを付記します。<o:p></o:p>

 

黄耆は免疫増強効果があり、近年では腫瘍中医学にも多用されています。<o:p></o:p>

 

清心蓮子飲の腎炎臨床応用の実際につては過去の記事をご参照ください。<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140120<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140121<o:p></o:p>

 

ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140122<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140213<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140210<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140217<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140214<o:p></o:p>

 

慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140209<o:p></o:p>

 

過ぎたるは及ばざるの(が)如し、消化不良を怖れて以上の症例報告にしました。<o:p></o:p>

 

黄耆、白花蛇舌草、益母草に関しては、興味がおありでしたら、それぞれ「ドクター康仁 ○○」で検索してご参照ください。<o:p></o:p>

 

次回は「蛋白尿 漢方薬 3 升陽益胃湯の活用」についてお話しします。<o:p></o:p>

 

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2014626日(木)<o:p></o:p>