糸球体腎炎やネフローゼ症候群の水腫が消退したのち、脾胃虚弱、清陽不升、湿邪留恋の証、即ち体が重く倦怠感があり、面色萎黄、食べ物に旨みや味を感じられず、口が苦く渇き、腹が鳴り便溏であり、尿量が少なく、尿蛋白が比較的多く、血清蛋白の低下、舌質淡、苔薄黄、脈弱などの症候がある証です。(症候の中医学的分析は省略します。)<o:p></o:p>
方用:升陽益胃湯加減:黄耆30g 党参20g 白朮15g 黄連10g 半夏15g 陳皮15g 茯苓15g 澤瀉15g 防風10g 羌活10g 独活10g 白芍15g 生姜15g 紅棗3個 甘草10g 水煎服用<o:p></o:p>
升陽益胃湯は李東垣の「内外弁証惑論」が出典です。方中の黄耆、人参(党参を基本にして西洋参も可)、白朮、甘草は補気益胃に、柴胡、防風、羌活、独活は升陽袪湿に、半夏、陳皮、茯苓、澤瀉、黄連は除湿清熱に、白芍は養血和営に働きます。<o:p></o:p>
党参 黄耆 白朮 茯苓と防風 羌活 独活 柴胡の合用は「補中有散」「発中有収」という難解な中医学用語がありますが(説明は省略します)、(ともかく)補気健脾胃、升陽除湿の効能となります。<o:p></o:p>
まだ、集大成された訳ではありませんが、中国内の報告では祛風湿薬が腎炎の蛋白尿に有効であるとするものがあります。祛風湿薬単独より補脾胃薬を合用する方が、効果が良く勝湿升陽の効果に優れ、脾の運化を改善し、湿邪を除き、精微下泄を防止し、尿蛋白の減少、遂には尿蛋白の消除に寄与すると考えられます。<o:p></o:p>
升陽益胃湯の臨床例については下記の記事をご参照ください。本稿の目的にも適いますので、蛋白尿の軽減度をお確かめください。<o:p></o:p>
慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140218<o:p></o:p>
慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140220<o:p></o:p>
慢性腎炎:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140219<o:p></o:p>
ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140201<o:p></o:p>
糖尿病性腎症(腎機能低下例)興味のある方はご参照ください。<o:p></o:p>
:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140326<o:p></o:p>
次回は蛋白尿 漢方薬 4 腎気不固 参耆地黄湯の摂精をお話しします。<o:p></o:p>
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2014年6月27日(金)<o:p></o:p>