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尿路結石症 消堅排石湯(しょうけんはいせきとう)加減による治療 4(腎病漢方治療 375報)

2014-06-03 00:15:00 | 尿路結石症 漢方

 

古い医案をご紹介します。木通(苦/寒 泄熱利水通淋)15gが配伍されています。木通の大量60g程度の長期服用、例えば淋病(免疫が出来ないために繰り返し感染する)などで、急性腎不全が出現することがあると注目され始めたのが1990年代半ば頃で、現在では使用禁止になっています。<o:p></o:p>

 

有名方剤で木通が配伍されているものに以下のような方剤があります。<o:p></o:p>

 

分利湿熱の方剤である疏鑿飲子(そさくいんし 世医得効方):羌活 秦艽 大腹皮 茯苓皮 生姜 澤瀉 木通 椒目 赤小豆 商陸 檳榔<o:p></o:p>

 

八正散(はっしょうさん 太平恵民和剤局方):効能:清熱瀉火利水通淋 主治:湿熱下注膀胱:子 瞿麦 萹蓄草 滑石 梔子仁 大黄 木通 炙甘草<o:p></o:p>

 

小薊飲子(しょうけいいんし 済生方)生地黄 小薊 滑石 木通 蒲黄 藕節 淡竹葉 当帰 山梔子 炙甘草 尿血の方剤です。<o:p></o:p>

 

それでは医案に進みましょう。消堅排石湯加減ですが、1978年の症例ですので四川省産の木通が配伍されています。<o:p></o:p>

 

患者林某 48歳 党幹部 初診年月日1978529<o:p></o:p>

 

病歴1977年冬、左側腎区絞痛出現、発作痛が甚だしく、レントゲン検査では明らかな異常は写らず、結石を疑った。発作は数回連続し、瀋陽の某病院に入院し、腎結石と診断され、ハルピン市に治療を求め氏を受診。<o:p></o:p>

 

初診時所見:脈沈、舌苔白、小便黄<o:p></o:p>

 

中医弁証:湿熱蘊結下焦<o:p></o:p>

 

西医診断:腎結石<o:p></o:p>

 

治法:清利湿熱、行気活血、軟堅化石<o:p></o:p>

 

方薬金銭草(清熱解毒利尿排石、活血散瘀)50g 萹蓄(利水通淋)20g 瞿麦(活血利水通淋)20g 桃仁(活血化瘀 潤腸通便)15g 赤芍(清熱涼血 祛瘀止痛)20g 三棱(活血化瘀)15g 丹参(活血化瘀)20g 車前子(清熱利水)15g 川木通(苦/寒 泄熱利水通淋)15g 莪朮(活血化瘀)15g 牡丹皮(清熱活血涼血 退虚熱)15g 甘草(調和諸薬)10g 水煎服用 毎日1剤 2回に分服<o:p></o:p>

 

経過:上方服用6剤で、小便増多、コウリャン大の結石が2塊排石され、痛みは大減した。さらに6剤を服用したところ、小便に泥砂様混濁物が排出され、小便増多、疼痛の発作消失。626日(患者の希望により?)入院治療となった。さらに10剤を連用したところ、小豆大の排石があり、尖端は既にバター状で、溶解を示していた。排尿前下腹部が張り、腰酸あり、結石排出後、症状は消失。上方継続し、連日多量の泥砂様物質排出が続いた。暫くして、小便は転清、疼痛発作消失、停薬し、治癒と判定した。<o:p></o:p>

 

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ドクター康仁の印象<o:p></o:p>

 

党幹部ともなると待遇も特別なのでしょう。さて木通ですが、代用はどのような生薬を用いるのかが問題です。現在の中国では、一般的にウコギ科の通草(甘淡微寒)を代用品として使用されています。アケビ科の枝の部分が木通であり、果実の方は八月札といい、理気薬に分類されます。過去の記事をご参照下さい。<o:p></o:p>

 

八月札http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20121101<o:p></o:p>

 

石淋の要薬金銭草http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20121102<o:p></o:p>

 

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201463日(火)<o:p></o:p>