大黄の基礎および臨床研究は進んでいます。本稿では腎不全に特化してお話します。内容は中医学表現が多いので難解な印象を受けられるかも知れません。気軽に読み進めてください。「大阪の商人」の如き、実利、実学なのです。机上の空論ではありません。<o:p></o:p>
大黄は血分熱毒を清解し、血中の尿素窒素等の窒素産物貯留を降下改善します。(古くは)「神農本草経」に「大黄味苦寒、瘀血血閉を下ろし、癥瘕積聚、留飲宿食を治し、腸胃を清め、古きを排出し新しきに到り、通利水谷、調中化食、五臓を安和する」とあります。<o:p></o:p>
慢性腎不全で湿熱濁毒内蘊と弁証される場合、出現する症候は、胃脘張満、悪心嘔吐、口臭、全身から呼気まで尿臭があり、大便は乾燥し閉結不通、舌質紅、舌苔垢膩、脈弦滑あるいは沈滑などです。<o:p></o:p>
かかる時に、大黄を用いれば、苦寒清瀉熱結、濁毒除去に作用し、同時に砂仁 草果仁 蒼朮 藿香の芳香醒脾、化湿辟?(化湿し汚物を除く)を配伍することにより、相互調和がなされ、苦寒傷脾(胃)にならず、また辛燥傷陰の弊も無く、服用後に血清クレアチニン、BUNを比較的迅速に下降させます。臨床症候も、常に随時改善されます。<o:p></o:p>
大黄は一般には醋炙大黄(醋で炮制した大黄)を10g~15g用いますが、具体的な量の調節は患者の毎日の大便回数を根拠に調節します。患者により程度の異なる腹瀉がありますが、毎日便通が2~3回が宜しく、軟便を基本とします。水様便が続くようになれば大黄の量を減じ、損傷胃気を防止します。<o:p></o:p>
中医による慢性腎不全の治療は大多数が泄濁を立論としていますが、さまざまな薬物により、大便、皮膚(汗)中に老廃物質を体外排出させますが、大黄の応用が頻度的には疑いも無く最多です。<o:p></o:p>
現代薬理学で実証されているのが、大黄鞣質(タンニン物質)と大黄蒽?(アントラキノン)です。大黄鞣質(タンニン物質)は体内の窒素代謝を改善させ、両者は腎糸球体での係蹄壁の通過性にも関与し(詳細は省きます)、蛋白合成には基本的に抑制的に作用し、糸球体細胞の成長増殖に抑制的に作用することを付記します。<o:p></o:p>
慢性腎不全は脾腎両虚が本ですが、若し舌質が淡で、大便溏泄、泄瀉大便溏薄、便通が毎日5回を越すようであれば、脾胃虚寒或いは脾腎陽虚であり、大黄は慎用或いは使用しないほうが良く、不用意に使用し続ければ、脾胃虚寒或いは脾腎両虚の病情を悪化させます。この類の患者に対しては、人参 黄耆 白朮 葛根 山茱萸 何首烏の類の健脾益腎の薬剤を併用すれば、満意(充分に納得のいく)の効果を収めることが出来るのです。<o:p></o:p>
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大黄の臨床応用の実例は非常に多く、過去にも多数の報告をいたしました。<o:p></o:p>
基本に戻り、教科書的な「要薬 大黄」を再度ご参照ください。<o:p></o:p>
要薬 大黄:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20121106<o:p></o:p>
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2014年6月24日(火)<o:p></o:p>