糸球体腎炎が慢性化し、水腫は消退或いは消失するも、尿蛋白は持続し消失せず、以下のような症候:即ち、腰酸腰痛、周身困重、尿は混濁あるいは黄赤、咽痛口苦口干、舌質紅、苔白膩、脈滑数などを患者が呈した場合、湿熱毒邪蘊結下焦、精微外泄(結果としての蛋白尿を形成)と弁証するのです。<o:p></o:p>
方用 利湿解毒飲:土茯苓(菝葜 山帰来に同じ、清熱解毒泄濁除湿利関節)50g 萆薢(苦/平 利水滲湿)20g白花蛇舌草(微苦甘/寒 清熱解毒利湿 免疫調整)30g 萹蓄(利水通淋)20g 竹葉(清熱除煩、生津、利尿)15g 山薬(益気健脾)20g薏苡仁25g(健脾利水滲湿) 滑石(清熱利湿 下焦湿熱の要薬)20g 通草(甘淡微寒 泄熱利水通淋)10g 白茅根(凉血止血、清熱利尿)25g 益母草(活血利水消腫)30g 金桜子(酸渋/平 固精、縮尿、渋陽止瀉)15g 水煎服用<o:p></o:p>
本方は清熱利湿解毒に作用し、熱毒蘊結下焦 精微外泄蛋白尿に用いられます。慢性腎炎は湿熱を挟むことが多く、湿熱が除かれなければ蛋白尿は消除されません。清利湿熱の剤を使用するにあたっての注意点は苦寒薬による傷脾です。本方には苦寒傷脾の品は配伍されてなく、皆、淡滲利湿の品であり、清熱しても脾を傷さず、利湿しても傷陰することがないのが特徴です。<o:p></o:p>
金桜子は固渋の品です。清熱利湿薬の中に、一味固渋の品を加えることで、「通中寓塞」(説明は省略します)の意義が生じます。<o:p></o:p>
加減を申し上げれば、病情が慢性化して気虚症状が出現した場合には、黄耆30g 党参20gを加味することもあります。扶正と祛邪を同時に行うわけです。咽痛には山豆根(清熱解熱毒利湿利咽)20g 重楼(清熱解熱毒利湿利咽)30g 玄参(清熱解毒兼養陰)15g 麦門冬(養陰)15g等を加味します。<o:p></o:p>
腎炎患者で蛋白尿が長期に消えず持続するいくつかの症例の臨床では、健脾補腎法がなかなか効を奏さない場合にこの方薬で頑固な蛋白尿が往々にして消失することがあります。<o:p></o:p>
この方薬は、湿熱を弁証して、湿>熱の病情に適宜し、若し湿<熱の場合には加味八正散治療が宜しいでしょう。<o:p></o:p>
総合して言えば、(中医学では)慢性腎炎は脾肺腎の機能失調、水液代謝障害、湿毒内停、鬱滞化熱を原因とします、故に(中医が)慢性腎炎に湿熱の病機が一貫して存在すると認識することには、一定の道理があるのです。<o:p></o:p>
論より証拠(治療効果)の実例を二例のみ付記しますのでご参照ください。<o:p></o:p>
ネフローゼ症候群:http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140207<o:p></o:p>
急性腎炎:加味八正散治療<o:p></o:p>
http://blog.goo.ne.jp/doctorkojin/d/20140419<o:p></o:p>
本稿を以って、蛋白尿 漢方薬の(一時的)最終稿とします。次回から「腎炎血尿と漢方薬」と題し、お話しします。<o:p></o:p>
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2014年6月29日(日)<o:p></o:p>
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