慢性腎不全の病態は多様であり、治法もまた多様であり、本日の講座までに、八大治法の七法、即ち、①芳化湿濁法:方用:平胃化湿湯(へいいかしつとう) ②化湿濁 苦寒瀉熱法:方用 化濁飲(かだくいん) ③活血解毒法:方用 加味活血解毒湯 ④清肺胃利湿熱法:方用 加味甘露飲 ⑤清熱利湿分消法:方用 中満分消飲(ちゅうまんぶんしょういん) ⑥益気血補脾腎法:方用 帰芍六君湯(きしゃくりっくんとう) ⑦脾腎双補法:方用: 加味参耆地黄湯(かみじんぎじおうとう)をご紹介しました。<o:p></o:p>
最終稿として、⑧補脾腎、瀉湿濁、解毒活血法:方用 補脾腎泄濁湯をご紹介します。<o:p></o:p>
面倒な中医学用語が並びますがご容赦ください。慢性腎不全は往々にして、脾腎両虚、陰陽倶傷、湿毒貯留、虚実挟雑を示します。臨床症候は、面色蒼白、眩暈、倦怠乏力、気短懶言、唇淡舌淡、腰膝酸軟、腹張嘔悪、口臭、舌淡紫苔黄、脈沈滑或いは沈緩等です。<o:p></o:p>
治療には補瀉兼施、正邪兼顧、即ち補脾腎、瀉湿濁、解毒活血の補と瀉を合わせ、扶正し邪を留めず、祛邪して正気を傷つけないことが必要です。<o:p></o:p>
方用: 補脾腎泄濁湯(ほひじんせつだくとう):人参15g 白朮15g 茯苓15g 莵絲子20g 熟地黄20g 淫羊藿15g 黄連10g 大黄7g 草果仁10g 半夏15g 桃仁15g 紅花15g 丹参20g 赤芍15g 甘草15g 水煎服用<o:p></o:p>
本方は、益気健脾補腎の品と、大黄 黄連 草果仁の泄熱化濁の品、桃仁 紅花 丹参 赤芍の活血の品が配伍され、扶正祛邪 消補兼施となります。補して消を得る、即ち補にして滞ること無く、消は補を得る、即ち泄濁作用が顕著であり、臨床でこの方を頻用して明確な効能を得ることができます。一つに、危を転じ安とし、二つに、病勢の進展を顕著に延緩することが可能であり、高窒素血症期でも、多数の症例で臨床的緩解に導くことが可能なのです。<o:p></o:p>
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2014年6月23日(月)