みことばざんまい

聖書を原典から読み解いていくことの醍醐味。この体験はまさに目からウロコ。

Coffee Break, #136

2017年12月29日 | コーヒーブレイク
黙示録1章6節
また
私たちを王国とし
ご自分の父である神のために
祭司としてくださった方である
キリストに栄光と力とが
とこしえにあるように
アーメン

誤訳とは言えないが、確認を要する箇所がある。

>私たちを王国とし

この文章の主語は何か。

文脈を探っていくと、イエスキリストであると分かる。

>イエスキリストは私たちを王国とした

ここで、「王国」と訳された単語について。

Bible Hubを見ると、異本が存在する。

βασιλείανとする写本
βασιλείαとする写本
βασιλεῖςとする写本

の3者が存在する。上から順に

王国
王国


最も信頼できる写本であるRP Byzantine Majority Text 2005ではβασιλείανとある。つまり、王国。

キリスト者を一つの単位として見るのか、個々人として見るかの違いであって、いずれの訳でも文意を損することにはならないと思う。

次に問題となるのが、「力」と訳された箇所。

原典ではκράτοςという単語が使われていて、意味は

κράτος:
Perhaps a primary word; vigor [“great”], (literally or figuratively): - dominion, might [-ily], power, strength.

確かに、「力」という意味もある。しかし、黙示録5:10にあるように

黙示録
私たちの神のために
この人々を王国とし
祭司とされました
彼らは地上を治めるのです

「我々は地上を治める存在である」と書かれていることを参考にすれば

1章6節においても、「力」ではなく「統治」dominionと訳出すべきではないかと思う。

ちなみに、主の祈りにおいて

マタイ6:13
・・・
国と力と栄えは
とこしえにあなたのものだから

ここに出てくる「力」という単語は、原典ではδύναμις(デュナミス)であり、κράτοςではない。