小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

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具一寿

2010-12-29 13:26:20 | 武道・スポーツ
実戦カンフーの達人、具一寿氏は、次のようなことを述べている。

「日本には、才能も素質もない中国拳法師範が多くの書籍を著わし、単純な感化されやすい人々に先生と呼ばれて得意になり、凡人には理解が困難な理論でまくしたて、われこそは真正拳法家という顔をしてのさばっている。しかし、氏の著わした理論などは正しい面が多いが、氏の演ずる写真を拝見すると思わず吹き出してしまう。氏が学んだ師は名人であるかもしれないが、氏のつきでた尻とみずから敵の打ちやすい所へ技をかける戦闘法は素人には区別できずとも真のカンフーを学ぶ者なら、見抜く事は容易である。またある氏は空手の威力で戦い、カンフー服を着てあたかもカンフーであると書籍を著わしている。またある氏は、柔術で戦う自分が最強であるかのような顔をしているが、ある著名な拳法家に食い物にされた人である。三氏のうちで才能も素質もない前者よりも後者二人の良い所は、後者二人はそれぞれ、違う武術を長い間訓練しているので写真など見ても隙がない。ただ二人にはカンフーの才能がない。一方前者は、写真やビデオテープで見ると隙だらけで、現在名師になってしまったのは、憲法界の七不思議の一つである。真のカンフーを訓練する者の間では、彼らを肴にして語られる場合が多く、またこのような者を素人のうちに見抜ける者はたいへんな才能を備えていると言えよう。」
(具一寿「中国拳法戦闘法」より)

前者とは、松田隆智さんのことである。後者の、空手家とは笠尾恭二さんのことである。柔術家とは、佐藤金兵衛さんのことである。

「このような者を素人のうちに見抜ける者はたいへんな才能を備えている」というのはちょっと大げさである。たいへんな才能などなくても見抜くことは出来る。それより技術が十分でない人を肴にして笑いものにするという、つまらないことをしている人間の方が人格的に問題がある。人格に問題があると思考能力にも欠点が出てくる。氏の理論にも多くの誤りがある。氏の「筋肉を鍛えるトレーニングは避け、特にキャットストレッチや、腕立て伏せなどで、背中と胸に筋肉をつけてしまうと、強力な打撃が打てないばかりか一生、カンフーと言うものは出来なくなる恐れがある。」という見解は全くの誤りである。本人がしっかりと目的とするものを獲得しようとする意志をもっていれば可能なのである。松田隆智さんは人格がしっかりしているから、人格のしっかりしている人を、私は批判する気には全くなれない。カンフーの基本の手の形の、掌と拳を合わせる形の意味は、(色々あるが)技術と基礎体力の両方が大切である、という意味でもあるのである。
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