goo blog サービス終了のお知らせ 

小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

体で覚える

2014-09-21 22:58:12 | 武道・スポーツ
スポーツの技術は、反復運動によって、体で覚えるものである。体で覚えるといっても、手や足の神経が覚えるわけではない。あらけずりに言うと、脳の運動を司る小脳のシナプス結合を鍛えているのである。正確に言うと、脳は、機能局在は、あるのだが、脳は、脳全体として反応することがほとんどなので、運動の技術は小脳だけ鍛えているわけではないのである。スポーツで技術を覚えるというのは、体が覚えるのではなく、脳の神経細胞のシナプス結合によって覚えるのである。つまり、スポーツの技術の練習は、脳を鍛えているのである。ただ、脳も人間の体の一部であるから、スポーツの技術は、体で覚えるもの、といっても、言葉として、間違いとは言えない。そして、さらに、スポーツの技術は、体で覚える、という表現の方が、感覚的に良いようにも思う。

脳の神経細胞と神経細胞のシナプス結合が出来ることが、技術が上達する、ということである。

ここで、驚くべきことは、ブルース・リーは、あらゆる運動のメカニズムを、研究して、その通りのことを、知っていたことである。

どうして練習すると上手くなるのか、さっぱり、わからない、などと言っている、本など全く読まない、世の中の多くの、バカコーチやバカトップアスリートが多い中で、ブルース・リーの研究熱心さ、などカケラもないだろう。

ブルース・リーの書いた文章を以下に引用しよう。

「間違えてはいけない。統合を習うには神経組織の訓練の問題であって、筋肉の問題ではない。まったく不統合な筋肉を完璧に統合された筋肉へと変えるのには、神経細胞内の関係を発達させる以外にない。心理学者や生物学者の説によると、神経細胞内の何兆という数の分子は、各々が直接に接触はしないが、ひとつの神経細胞の繊維は他の細胞の繊維と極めて接近して絡み合っているので、刺激は、一つの細胞から他の細胞へ「誘導作用」によって伝えられる。この刺激が一つの神経細胞から他の神経細胞へ伝えられる接触点は「イロン連接」と呼ばれる。ボールを見て全く不統合な反応しか示さなかった乳児が、やがてすばらしい野球選手になりうるのは、このイロン連接のおかげなのである。どうすれば神経細胞内に正確な接続を結ぶことが出来るかといえば、それは訓練によるしかない。一定の行動は実行されるたびに関連する接続を強化し、次の実行を容易に、より確かに、より敏捷に出来るようにする。一つの動作を繰り返し行うことで、その動作は正確に、自然になる。実行すること、練習すること、繰り返すこと、によってのみ、我々は技術を得ることができるのである」

(ブルース・リー「魂の武器」より)

この中で、イロン連接、誘導作用、などは、神経細胞のシナプス結合のことである。

その他にも、ブルース・リーは、サイドキックを身につけるために、人体の構造を学んだり、合理的な、筋肉の作り方、そして、筋肉を作るための、プロテインを研究し、独自に作り出したプロテイン飲料を、飲んでいた。

さらには、日本の、空手、柔道、合気道なども、本で読んで理解していた。

それらは、全て独学である。その研究熱心さには、驚かされる。彼は間違いなく、天才中の天才である。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バッティング | トップ | 体で覚える2 »

武道・スポーツ」カテゴリの最新記事