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小説家、反ワク医師、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、反ワク医師、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

武男と愛子 (小説)

2020-07-06 23:39:54 | 小説
武男と愛子

ある高校である。その二年B組では三人のワル仲間がいた。玲子と冬夫と夏夫である。玲子の父親は、ある大学病院の消化器科の教授だった。彼は日本で食道胃吻合術の権威で、マキャベリ以上の権謀術数によって教授の地位を得た。妻も同じ大学病院の皮膚科の助教授である。
そもそも医学の世界というのは世襲的なものなのである。政治家と同じように、地盤、看板、カバン、を引き継げるから医者の息子は圧倒的に有利なのである。そのため親は何としても自分の子供を医者にしようとする。
そのため玲子の父親は何とか玲子を医学部に入れようと、家庭教師をつけ、塾へ通わせたりしてスパルタ教育をした。しかし玲子は頭が悪く、高校生になっても未だに分数の足し算、引き算すら出来ない。テストで悪い点を取るたびに、父親は玲子を厳しく叱り、罵った。
そのため、玲子はグレた。金はふんだんにあったので玲子は遊びまくった。類は友を呼ぶ、で、ワルの冬夫と夏夫が玲子に近づいてきて、玲子の子分になった。彼らは学校で、やりたい放題のことをしていた。が、皆、彼らの悪事を見ても、あとの報復を恐れて、見て見ぬ振りをしていた。
しかし、そんな中でクラス委員長の愛子だけは違っていた。愛子は正義感が強く、彼らの校内喫煙やカツアゲや窃盗を堂々と注意した。担任教師にも告げた。が、教師も愛子が、「彼らに注意して下さい」と訴えても聞き流すだけで、腰を上げようとはしなかった。
愛子はクラス一の秀才で勉強熱心で、将来は国立の医学部に入って小児科の医者になろうと思っていた。

玲子の父親は、いつも愛子を引き合いに出して、「お前も少しは彼女を見習え」と言ったり、「彼女のような優秀な子が娘だったらなー」などと嘆息したりした。

そんな事で、玲子の愛子に対する憎悪は激しく煮え立っていた。

クラスに武男という内気な生徒がいた。武男は冬夫と中学が同じだった。武男は内気で友達がいなく、そんな武男に冬夫が声をかけて、二人は付き合うようになった。武男は冬夫に従う子分のような関係になった。冬夫は武男をゲームセンターに連れて行ったり、新宿や渋谷の繁華街に映画を見に連れて行ったりした。もちろん金は全部、武男もちだった。

そんなことで高校になっても、武男は冬夫との縁から、玲子達三人のワル仲間の一員のようになっていた。しかし、武男は用事を言いつけられるだけのこづかいのような存在で、三人の横暴振りにも辟易して、いいかげん三人と縁を切りたいと思っていた。

高校に入って、愛子をはじめて見た時、武男はドキンと心臓が高鳴った。武男の席は愛子の後ろだったが、授業中はいつも愛子を見るようになった。
ある時、愛子と視線がバチンと合った。愛子はニコッと笑った。武男は真っ赤になって、あわてて視線をそらした。武男は孤独で友達がいない。そのため、やることといえば勉強だけで、そのため、中学から学科の成績はよかった。高校でも成績は愛子に次いで良かった。武男は愛子に近づきたいという思いから、いっそう勉強に身を入れるようになった。

ある日の休み時間。愛子が武男の席にやってきた。
物理の教科書とノートを持っている。
「武男君。となり座ってもいい」
愛子はニコッと笑って言った。
「は、はい」
武男は顔を真っ赤にして肯いた。愛子は武男のとなりの席に座って、物理の教科書を開いた。
「ここのところが解からないんだけど、教えてくれない」
そう言って愛子は、あるページを指で指し示した。それは電磁気の問題だった。武男は顔を真っ赤にして、どもり、どもり丁寧に説明した。愛子は笑顔で、ウンウンと肯きながら、武男の説明をノートに写した。
始業のベルが鳴った。
愛子は教科書とノートを閉じた。
「ありがとう。教えてくれて。よくわかったわ」
「い、いえ」
武男は顔を真っ赤にして言った。
「また、解からない事があったら教えてくれる」
「は、はい。でも、愛子さんほど頭のいい人が解からない事で、僕に解かる事なんてまず無いと想います」
「そんな事ないわ。私、そのうち、武男君に抜かれそうな気がするわ。これからは、解からない事は、お互い、教えあいましょう」
「は、はい」
武男は真っ赤になって、小声で答えた。愛子はニコッと笑って、席へ戻っていった。
その日以来、武男と愛子は勉強を教え合うようになった。

武男の愛子に対する想いは、どんどんつのっていった。夜、布団に入ると必ず、愛子の姿が浮かんでくる。しかし、武男の愛子に対する愛し方はノーマルな形ではなかった。先天性倒錯者の武男の愛子に対する愛し方は極めてアブノーマルな形だった。
裸になって、愛子の足元の前にひざまずき、愛子の足をペロペロ舐めたり、顔を踏まれたり、と、徹底的な奴隷になったり、あるいは、その逆で愛子を裸にして、爪先立ちに吊るし、愛子を鞭打って、愛子が泣きながら、「お願い。許して。武男君」と、訴えても無視して、鞭打ちつづける。そんな常人とは、掛け離れた、歪んだ形だった。普通の人の男女の愛の形とは、お互い裸になって、結合して、一体化し、女の体内に射精する。という事は武男は知識としては知っている。
しかし純は、そういう形では女を愛せないのである。それどころか、そういうノーマルな行為を想像すると純は吐き気すら催した。なぜ、そうなるのかは、武男にも解からない。だが、どんなに奇矯な形であっても、愛のボルテージの強さは常人と変わりはなかった。

ある日の昼休み。冬夫が武男に言った。
「おい。武男。今日の放課後に来いよ。玲子さんが愛子を呼び出したのさ」
「ど、どうするの」
「愛子にヤキを入れるのさ。あいつ、俺達の事を先公にチクッたり、俺達にインネンばかりつけるだろう。だから、一度、徹底的にヤキを入れてやるのさ。あいつ、勉強が出来て、クラス委員長で、お高くとまって、生意気じゃんか。お前も愛子が嫌いだろう」
「え、ええ」
武男は心とは裏腹に冬夫に合わせた。
「よし。じゃあ、放課後、体育館に来いよ」
そう言って、冬夫は教室を出て行った。

休み時間、武男は愛子の席に行った。
「あ、あの。愛子さん」
武男は声をかけた。
「なあに。武男君」
愛子は屈託のない笑顔で武男を見た。
武男はしばし、口唇を噛んでいたが、
「いえ。何でもないです」
と言って、自分の席に戻った。

その日の放課後。誰もいない体育館で、愛子と玲子が向き合っている。
「玲子さん。用は何ですか」
愛子は決然とした口調で言った。
「ふふ。楽しい事をするのさ。今まで、さんざん、あんたには世話になったからね。そのお礼さ」
そう言って玲子はタバコを取り出して、火をつけて、おもむろに煙を吐いた。

その時、冬夫と夏夫がドカドカと入ってきた。
「おい。お前も入れよ」
冬夫に呼ばれて武男も入ってきた。武男は彼らの後ろでうつむいている。
「武男君!!」
武男を見るや、愛子は思わず、武男に声をかけた。だが、武男は返事をしない。眉を寄せ、うつむいたまま、じっと拳を握りしめている。

愛子は玲子に向き直った。
「どういう事なの。何をしようっていうの」
愛子は玲子に問いかけた。が、玲子は答えず、ふふ、と笑って後ろを向いて、冬夫と夏夫に目配せした。
「さあ。はじめな」
玲子に言われて、二人はニヤッと笑って愛子の所へ行った。そして二人がかりで愛子を取り押さえた。
「な、何をしようっていうの」
不安げな表情で訴える愛子を無視して、冬夫が愛子の後ろに回って、愛子の両手を背中にねじり上げた。夏夫は身動きのとれない愛子の服を脱がせ始めた。セーラー服を脱がせ、スカートも脱がせた。
「やめてー」
愛子は叫んだが、夏夫は聞く耳など持たない。愛子はセーラー服とスカートを脱がされて、パンティーとブラジャーだけになった。夏夫は愛子のブラジャーをはずした。小高い乳房があらわになった。愛子は恐怖に顔を引きつらせて、全身をプルプル震わせながら、腿をピッチリ閉じている。冬夫は笑いながら、パンティー一枚になって腿をピッチリ閉じて全身をプルプル震わせている愛子を、背中からガッシリと、両手首を重ね合わせて、掴んでいる。玲子は、ふふふ、と笑って、立ち上がって愛子の前へ行き、愛子の前に座り込んだ。
目の前では女の肉をピッチリとおさめた純白のパンティーが、形のいい小さな盛り上がりをつくっている。
「ふふ。こんもり盛り上がって、すごくいい形じゃない」
玲子は笑いながら、しばし、愛子のパンティーの盛り上がった所を指で押してみたり、パンティーの縁のゴムをつまんで、離し、ピチンと音をさせたりした。
「それじゃあ、そろそろこれも脱ぎましょうね」
そう言って、玲子は両手でパンティーをグッとしっかり掴んだ。
「や、やめてー」
愛子は腿をピッチリ閉じて、全身をプルプル震わせながら叫んだ。が、玲子は、かまわず、一気にパンティーをずりおろし、足から抜き取った。覆う物一枚もない丸裸になった愛子は、真っ赤になって、何とか女の最恥の部分を隠そうと、片足を鶴のように曲げて、もう一方の膝の上にピッチリ重ね合わせた。恥部は何とか隠されたが、みじめこの上ない姿である。玲子の後ろでは夏夫が、ニヤニヤ笑って見ている。
「ふふ。恥じらいがあって、とても素敵なポーズね」
玲子は、全身をプルプル震わせている愛子に、そんな揶揄の言葉を言った。
しばし、玲子と夏夫は、冬夫に後ろから取り押さえられて、全裸で顔を赤くしてそむけ、膝をピッチリ重ね合わせて、プルプル体を震わせている愛子を楽しむように眺めていた。武男は二人の後ろで、うつむいている。
「冬夫。お前も疲れただろう。もう、手を離してやんな。お前もこっちに来て愛子の裸をとっくりと楽しみな」
言われて、冬夫は背中で捻り上げていた愛子の手首を離して前に回った。
愛子は両手が自由になると、急いで座り込み、手を胸と秘部に当てがって隠した。
三人は顔を真っ赤にして、胸と秘所に手を当てて、座っている愛子を楽しげに眺めた。
「ほらよ。愛子のセーラー服と下着だよ。好きな物をとって、宝物にするなり、何なりしな」
言われて冬夫はセーラー服とパンティーを取り、夏夫はスカートとブラジャーを取った。
「お前ら、がめついね。武男の分が無いじゃないか。武男にも分けてやんな」
玲子は叱るように冬夫と夏夫に言った。後ろに控えていた武男は、あわてて三人の前に出た。
「ぼ、僕はこれをもらいます」
そう言って武男は床の上にある愛子の靴下を拾った。
「そんなものでいいの」
「は、はい」
武男は小声で言って、拾った靴下を持って、再び隠れるように三人の後ろに回った。
冬夫は愛子のパンティーを裏返して、女の部分に鼻を当てて匂いをかいだり、
「ちゃんとシミがあるぜ」
などと揶揄した。
「オレにも貸せ」
と言って、夏夫は冬夫から愛子のパンティーをとった。夏夫も冬夫と同じように、愛子のパンティーに鼻を当てた。そして、
「あー。いい臭いだ」
などと言った。愛子は真っ赤になってうつむいている。そんな愛子を二人は、楽しむように眺めた。
「ほら。遊んでないで、そろそろ始めな」
玲子に言われて二人は立ち上がって裸で座っている愛子に近づいた。
二人は胸と秘所を隠している愛子を強引に立たせた。
「今度はオレが押さえててるよ」
そう言って夏夫は、愛子の両手を後ろへねじり挙げた。
「あっ。いやっ」
手で隠していた胸が露わになった。夏夫に両手を背中に捻り上げられて無防備になった裸を何とか見られないよう、愛子は腿をピッチリ閉じて全身をプルプル震わせている。冬夫は夏夫に取り押さえられている愛子の胸や尻や太腿を触りまくった。太腿の付け根の所に手を割り込ませると、愛子は、
「ああー」
と叫んで腰を引いた。
「ほら。そんな、お優しいのじゃなく、タコ糸を使って、あれをやりな」
玲子に言われて冬夫は、ニヤリと笑ってポケットからタコ糸を出した。冬夫はタコ糸を愛子の女の谷間に食い込ませた。
「や、やめてー」
愛子は悲鳴を上げたが冬夫は聞く耳を持たない。
タコ糸をゆっくり前に引いてみたり、後ろに引いたりした。タコ糸は、女の柔らかい谷間に食い込んで、埋まってしまっている。前は、閉じられた女の割れ目から、やっと顔を出し。後ろは尻の割れ目の上の方に現れている。前後に擦る度に愛子は、
「あっ。あっ」
と、うめき声を漏らす。
「ふふ。どうだ。気持ちいいだろう」
冬夫が揶揄する。愛子は何とか、恥ずかしい所を隠そうとして、腿をピッタリ閉じている。そのため、結果として、恥部がタコ糸をしっかり挟んでしまっている。手を離しても落ちないほどに。
「どうだ。気持ちいいだろう」
冬夫は、タコ糸の前後に引く運動を続けている。愛子は喘ぎ声を漏らしながら、眉を寄せ、苦しげに、体をプルプル震わせている。愛子がクナクナと座り込みそうになると、冬夫は、そうはさせじ、と、タコ糸の前後に力を入れて上に持ち上げて、その力でそれを阻止する。愛子は、仕方なく、落としかけた腰を上げる。冬夫も、
「座り込むなよ」
と恫喝する。この責めを抜ける方法はない。
「お、お願い。許して」
愛子は半泣きになって訴えた。
武男は彼らの後ろで、憐憫の目で生贄の愛子を眉間に皺を寄せ、拳をギュッと固く握りしめて見ていた。
「もうやめてあげて下さい」
三人の後ろで控えていた武男が耐え切れなくなったように言った。男二人の視線が武男に行った。彼らはニヤッと笑って武男を見た。
「ふふ。お前、本当は愛子が好きなんだろう。俺達と縁を切りたいんだろう。お前が匿名で、俺達の事、先公にチクッた事、知ってるんだぞ」
武男は言い返せない。
「裏切りは、グループの掟でリンチだ。もうお前は俺達の仲間じゃない。徹底的にヤキを入れてやる」
武男は言い返せない。冬夫は愛子の顔を見た。
「ふふ。いい事を思いついたぞ。おい。愛子。責めから開放されたかったら、『武男を私の身代わりにして下さい』と言いな。武男を丸裸の晒し者にする代わりに、お前は放免してやろう」
「で、出来ません。そ、そんな事・・・」
「ふふ。そうだろうな。しかし、言わないなら、いつまでも、お前だけが責めつづけられるだけだ」
「愛子さん。僕を身代わりにすると言って下さい。僕は、喜んで愛子さんの身代わりになります」
「どうだ。ああ言ってるぞ」
冬夫は愛子の顎をグイと掴んだ。愛子はチラと武男を見た。
「で、出来ません。わ、私には、そんな事・・・」
冬夫は、愛子をじっと睨んだ。何としても愛子の良心をおとしめようとしている。
「よし。じゃあ。身代わり、というのじゃあなく、一緒に責められるというのはどうだ。お前への責めも半分になるぞ。少しは手加減もしてやる」
冬夫は、そう言って再び、愛子にタコ糸の責めを始めた。この責めはいつまでつづくのかわからない。愛子は、
「ああー」
と悲鳴を上げて、腿をピッチリ閉じて全身をワナワナ震わせている。
「愛子さん。言って下さい」
愛子は、しばし口唇を噛んでためらっていたが、ついにワナワナと、口を震わせながら言った。
「わ、私だけじゃなく、私と一緒に武男さんも責めて下さい」
愛子は、言ってわっと泣いた。
「おい。武男。着てる物を全部、脱いで素っ裸になりな」
冬夫に言われて武男は、服を脱いだ。ワイシャツとズボンを脱ぎ、Tシャツとパンツも脱いで、丸裸になった。
「よし。愛子と武男を背中合わせに縛りな」
そう言って玲子は縄を二人に渡した。二人はニヤッと笑って、裸の武男と愛子をピッタリと背中合わせにくっつけると、二人をぐるぐる巻きに縛り上げた。

武男は愛子と背中合わせに縛られた。二人の尻が触れ合う。玲子は武男の前に立ってピシャピシャ武男の顔をたたいた。いたく満足げである。
「ゆ、許して。武男君。一人の責めに耐え切れず、武男君をおとしめてしまって」
「い、いいんです。愛子さん。僕はむしろ幸せです。愛子さん一人が責められるのを見ている方がよっぽどつらいです」
「武男。こっちを向きな」
玲子に言われて、武男は玲子のほうを向いた。
「ほら。もっと足を開きな」
武男は足を開いた。丸出しになったペニスが隆隆と勃起している。
「ふふ。どう。いとしい彼女と背中合わせに縛られて。今の気持ちを正直にいいな」
「し、幸せです。僕はこれでも男です。愛子さんは責めないでください。責めはすべて僕が受けます」
「ふふ。愛子と尻を触れ合わせて。どうだ。今の気持ちは。正直にいいな。愛子の尻の感触は」
「柔らかくて、気持ちいいです」
「愛子さん。御免なさい。今日は、愛子さんが虐められる事を知っていましたが、言わなかったんです」
「ふふ。男の恥ずかしい物を丸出しにして勃起させて・・・。玉をブラブラさせて・・・。お前は本当にマゾだねえ。こうやって見られているのも嬉しいんだろう。正直にいいな」
玲子は武男の金玉に洗濯バサミをくっつけた。
「ほら。言わないと、愛子をいじめるよ」
「は、はい。そうです。僕は、今、見られて興奮しています」
「ふふ。お前は正真正銘のマゾだねえ。たっぷりいじめてやるよ。幸せだろう」
玲子はニヤニヤ笑って、武男の金玉につけた洗濯バサミをピンと指で弾いた。
「ご、御免なさい。愛子さん。愛子さんをこんな目にあわせてしまって。ぼ、僕を許して下さい」
「いいのよ。武男君。そんなに私を想っていてくれたなんて。嬉しいわ。私の方こそ御免なさい。武男君を、はっきりと裏切ったわ。一緒に耐えましょう」
愛子と武男は手をしっかり握り合った。
「ふふ。洗濯バサミは仲良く、半分ずつ、二人につけてあげましょう。愛子のアソコにも」
「や、やめろ。愛子さんの責めは、全部僕が受ける」
「あら、そう」
玲子は愛子につける洗濯バサミをどんどん武男の金玉につけていった。武男は洗濯バサミをつけられる度にうっと顔をしかめて、その苦痛に耐えた。

「じゃあ、次は武男に愛子のオシッコを飲ませてやろう」
愛子はギョッとした。玲子は愛子の口を無理矢理、開けてオレンジジュースを三本つづけて飲ませた。
「二人を離しな」
玲子に言われて男二人は武男と愛子を縛っている縄を解いて、二人を離した
「よし。二人とも後ろ手に縛り上げな」
言われて冬夫は愛子を、夏夫は武男を、後ろ手に縛った。
「よし。武男を仰向けに寝かせな」
言われて二人は武男を仰向けに寝かせた。愛子は後ろ手に縛られて困惑した表情で立ち竦んでいる。
「よし。じゃあ、武男の首を縛って、その両端を愛子の足首に結びつけな」
男二人はニヤッと笑って、武男の首を縄で縛った。二人は武男の顔を挟むように愛子を立たせた。そして縄の両端を愛子の足首に結びつけた。武男の真上には愛子の最も恥ずかしい部分が丸見えになっている。隠しようがない。
「ああっ。お願い。武男君。見ないで」
愛子は顔を真っ赤にして言った。武男は目を閉じて顔を横に向けた。
「さあ。愛子。武男にオシッコを飲ましな。そうすれば今日の責めはやめてやるよ」
愛子は尿意を催してきて、腰をモジモジさせ始めた。

愛子は後ろ手に縛められたまま、腰をモジモジさせている。
「ああー。も、もうガマンできない」
愛子は悲鳴に近い声を上げた。が、どうする事もできない。彼らに哀願しても聞くはずがない。愛子の両方の足首は武男の首に結び付けられていて、武男から離れる事は出来ない。
「ほら。武男はお前のオシッコを飲みたくてウズウズしてるよ。武男はお前の便器だよ」
言われて、愛子はそっと足元の武男を見た。
「愛子さん。僕は愛子さんの体から出るものなら、何でも喜んで飲みます。遠慮しないで下さい」
そう言って、武男は口を大きく開いた。
「ほら。ああ言ってるじゃないか。武男にオシッコを飲ませてやりな。しっかり、腰を屈めて。口以外に、一滴でももらしたら容赦しないからね」
愛子はついにガマン出来ずに下の武男をそっと見た。しかし、愛子にどうしてそんな事が出来ようか。
「ああっ。で、出来ない。そんな事」
愛子は顔を真っ赤にして首を振った。玲子は、意地悪げにあるものを取り出した。それはイチジク浣腸だった。三つ、取り出して並べた。
「ふふ。どうしてもオシッコを飲ませたくないというのなら代わりにウンチにするよ。さあ、どうする」
そう言って、玲子は愛子の目の前にイチジク浣腸を突きつけた。愛子は鳥肌が立った。まさか、いくらなんでもウンチをするわけにはいかない。ウンチよりはまだオシッコの方が、という妥協したような表情が愛子に現れだした。
「ほら。早くしな。しないと浣腸するよ」
そう言って、玲子は冬夫にイチジク浣腸をわたした。冬夫は笑いながら、進退きわまっている愛子の尻の穴に茎の先を当てた。愛子は、「あっ」と叫んで尻をギュッと閉じた。愛子の尿意はもう限界に近づいていた。
「愛子さん。早く。早く」
武男が気を使ってせかす。
「ほら。ああ言ってるじゃないか。早く出すもん出して、すっきりしな」
玲子が揶揄する。ついに愛子は覚悟をきめた。愛子は武男の顔を跨ぐと、ゆっくりと腰を屈めだした。
「ご、ごめんね。武男君。許して」
愛子は武男が本当に自分の尿を飲みたいのか、どうかはわからない。とことんまで思いやり、気を使う武男のこと。本当はいくらなんでも尿を本気で飲みたいと思っているのかどうかはわからない。だが、それを知る術はない。愛子の尿意は限界に達した。愛子はガクガク体を震わせながら、尻を武男の顔に近づけた。
「全部しっかり飲まさなければ駄目だからね」
玲子が叱りつける。
「御免なさい。武男君。あとで、十分つぐないます」
そう言って、愛子は大きく開かれた武男の口に狙いを定めた。
愛子の尿意は頂点に達した。
「ああっ。もうガマンできない」
愛子は叫んだ。
「み、見ないで。お願い」
丸裸で足を開き、粗相する姿を見られる。ただでさえ耐えられない屈辱である。しかも、事もあろうに男の顔を跨いで、その口の中にしようというのである。どうしてこんな姿を見られる屈辱に耐えられよう。だが、傍観者達の視線は愛子のそこに今か今かと、待つように釘づけになっている。
「ああっ。もうガマンできない」
愛子は大声で叫んだ。
「ゆ、許して。武男君」
武男は大きく口を開けて準備完了といった状態である。愛子はとうとう我慢に我慢を重ねていた尿道括約筋の力を抜いた。堰を切ったように愛子のそこから激しい水流が流れはじめた。それは武男の顔にかかった。武男はすぐさま水流が自分の口の中に納まるよう、体を動かして、頭を少し上にずらせた。堰を切った水流は、非常な勢いで、噴出し続けた。
「ああっ」
愛子は叫んだ。それは愛子にとって言語に絶する開放感の心地よさの悲鳴だった。いとしい武男に自分の尿をまさに飲ませているという嗜虐的な征服の喜びを、いけない、と思いつつ、愛子は感じていた。武男は咽喉をせわしくゴクゴクいわせながら玲子に言われたように飲みきろうとしている。が、放出されつづける水量があまりに多いので、飲みきれなかった分が口から溢れ出て、床の上に滴った。玲子たち、傍観者は、腹を抱えて笑いながら、この光景を眺めている。膀胱にたまっていたものはもう大部分出て、愛子は苦しみからもう解放されていた。が、毒食らえば皿まで、といった捨て鉢な気持ちが完全な排泄の開放感を得たいという事に、もはやためらいを感じなくなっていた。水流は、もはや弱まっていたが、膀胱にまだ残っているのを感じると、意識して腹筋に力を入れて、それを出した。ついに愛子は膀胱の中にたまっていたものを全て出しきった。愛子はあわてて、倒れるように床に座り込んだ。玲子は笑いながら、
「どう。出し切って気持ちよかっただろう」
などと、揶揄する。
「ほら。どうだったか、正直にいいな」
玲子が愛子の乳首をグイとつねった。
「は、はい。出し切ってスッキリしました」
一同がどっと笑う。
「武男に自分の尿を飲ませたということに加虐的な快感を感じていただろう」
言わなきゃ夏夫と冬夫のションベンも飲ませるよ、と言って玲子は立ち上がって多量の水を飲んで膨れた武男の腹をグイと踏みつけた。
「は、はい。玲子さんの言う通り、私は武男さんにオシッコを飲ませている時に快感を感じていました」
言って愛子はわっと泣き出した。
「よーし。よく言った。じゃあ、今日はこれで終わりにしてやるよ」
玲子は男二人に目配せした。玲子たちは、あーあと大欠伸をして、映画を見終わった観客のようにゾロゾロと引き上げていった。
後にはガランとした体育館に裸の愛子と武男がとり残された。
武男と愛子は、ともに、後ろ手に縛られ、武男は首を縄で縛られ、その両端は愛子の足首に結びつけられているため、身動きがとれない。
武男は顔をねじって愛子の片方の足首に口をもっていき、歯で愛子の足首の縄を解いた。そして顔を反対に向け、同様にもう一方の足首の縄も解いた。二人の結合は無くなって自由になった。
武男は後ろ手に縛められた上半身を起こして立て膝になって、愛子に背を向けた。
「愛子さん。僕の背中の所にきて、背中を合わせて下さい」
言われて愛子は立て膝で、背中を武男の背中にピタッと合わせた。武男は手首を縛られた不自由な手で、愛子の手首の縛めを解いた。自由になった愛子は、
「ありがとう」
と言って、武男の手首の縄を解いた。二人は完全に自由になった。
しかし二人はしばし服を取るのも忘れて、恥ずかしそうに顔を背けて、黙ってうつむいていた。外が暗くなりだした。ためらいがちにじっとしていた愛子は思いたったように武男の正面に行って土下座した。愛子は床に頭を擦りつけて武男に謝った。
「ごめんなさい。武男君」
愛子は何度も繰り返し言った。
「ううん。いいんだよ」
武男は恐縮しきっている愛子の肩を掴んでやさしい口調で慰めた。
「あのね。武男君・・・」
愛子はしばし言いためらっていたが、じっと武男を見つめ、重たい口を開いた。
「あのね。武男君。さっき、言った事、本当なの。私、武男君にオシッコを飲ませているうちに武男君に意地悪な快感を感じてしまっていたの。もう、私たちの付き合いも終わりね」
武男は優しく愛子を抱きしめた。
「ううん。いいんだよ。君の体から出るものを飲めた事は僕にとって本当に嬉しいことなんです。僕は君と完全なつながりをもてた事に、今、最高に幸せを感じているんです」
武男は裸の愛子をいっそう強く抱きしめた。そして二人は接吻した。二人は裸のまま、いつまでも抱き合っていた。

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安謝 (小説)(上)

2020-07-06 23:30:49 | 小説
安謝

小学校×年の時のことである。私は小学校×年の一年間を親と離れて相模湾を間近に望む養護学校で過ごした。私は幼少時から小児喘息があり、学校を休むほどではないが、激しい運動をした時とか、季節の変わり目には喘息発作が起こった。重症ではないが、軽症ではなく、中程度だった。この、喘息の発作というものは、同病を持つものにしかわからないが、相当に苦しく、横になって寝る事が出来ないのである。症状の軽い子だったら、発作が自然に治まるということもあるのだが、私の場合、一度発作が出ると自然におさまるという事はなかった。気管支拡張剤の吸入器を吸わねば発作は治まらなかった。が、吸入器を吸えば発作は治まった。父親も喘息を持っており、父の兄(伯父)も喘息で、伯父の喘息はひどく、一晩中眠れず発作で苦しむ事もしょっちゅうだった。小児喘息は軽症なら、八割かた自然に治る。残りの二割が治らず成人の喘息に移行してしまうのである。親は私を伯父のようにしたくなく、何とか治そうと、いくつもの専門医の所に私を連れて行って治療の相談をした。が、私の喘息はなかなか治らず、親は相模湾に面したところにある小児喘息の治療を専門的にしている国立の療養施設があると聞き、私をそこに入れる事にした。この施設はもと、結核の療養所だったのだが、戦後、抗生物質のストレプトマイシンの開発によって結核が治る病気となり、結核患者がいなくなったため、小児喘息の施設に変わったのである。ここは東京の国立小児病院の分院であり、医師はみな、小児科で喘息、アレルギーが専門である。寮と学校がつながっており、病院も同じ敷地内にあった。寮では保母さんがたくさんいて子供の世話をした。寮では乾布摩擦をしたり、減感作療法の治療を受けたりして、規則正しい生活をして、療養生活を送った。入園は随時可能で、退院も随時可能だった。このような施設は当時、日本ではここくらいしか無く、医師も小児科の喘息、アレルギーの専門医ばかりであり、子供は、北は東北から、西は関西からと、全国から集まっていた。

 どんな社会でもそうだが、古株は、その社会に長くいたプライドから新入りに対してある種の優越感を持つ。子供の世界にあっては尚更である。寮には安謝という、きれいな女の子がいて、その子は古株で番長的な存在だった。鼻っ柱が強く、男の前で「金蹴り」などと言って冗談半分に男を嚇したりしていた。だからといって、力だけの支配ではなく、活発で話題が豊富で行動的なのでみんなが自然に慕ってくるのである。彼女は神戸から来ていた。週末の日曜は親が寮に面会に来る事が許されていた。安謝のお父さんも神戸から時々、面会に来た。安謝はファザコンでこの時を楽しみにしていた。が、男の子の将棋の相手もしてくれるので男は安謝のお父さんに将棋を挑んだ。子供同士ではドングリの背比べであり、強い相手に挑めるのは楽しかった。私も相手をしてもらったが、飛車、角、落ちどころか、桂馬、香車まで落としてもらっても詰められた。安謝はせっかく遠くから面会に来てくれたお父さんとの貴重な時間をとられてむくれていた。安謝のお父さんは間違いなくハンサムだった。やはり、安謝の美しさは安謝のお父さんやお母さんが持っている美人の遺伝子によるものなのだなと子供ながらに羨んだ。
 安謝は自分を主人公にした遊びをよくやった。砂場で下級生が遊んでいると、何でもいいから面白いものを作るよう命じた。作っている所は見ないで、出来上がった物だけを安謝が見る。殿様気分である。言われた子供達は安謝を喜ばそうと、色々な砂の作品を手をかけて作る。出来上がると安謝が来て、嬉しそうな顔で作品を見て回り、潰していく。落とし穴があるな、と分かっていても安謝はわざとかかってみせ、作った子供達を喜ばせた。安謝は自分が女王という気持ちが強く、子供達は安謝を親分と慕っており、あこがれの親分を困らせる事が、子供にとっても安謝にとっても楽しいのである。
 また、寮でこんな遊びもやった。それは一対多数のかくれんぼである。安謝が寮のどこかに隠れ、それを皆が探し出すというものである。これは女の子より、男の子の方が面白がった。ちょうど人間の受精のように、一つの卵子に無数の精子が群がり集まるような官能があった。子供達も安謝もドキドキである。第一発見者が、安謝を見つけると、小躍りして喜んで、
「安謝みーつけた」
と大声を上げる。するとみんなが集まってきて捕まえられた安謝の体に触ろうと手を伸ばす。安謝は壁を背に皆におしくらまんじゅうの様にギューギューに押され、身動きがとれない。それをいいことに皆は安謝の体を触ろうと、無数の手が安謝の体に伸びてくる。中には人ごみにまぎれているのをいい事に、スカートを脱がそうとする手も伸びてくる。安謝は何とか身を守ろうとしつつも喜びの悲鳴を上げた。
 私はこの遊びに加わるほどの勇気はもてなかった。私は捕まえられて皆に触られている安謝を後ろの方で見ていたが自分もこの遊びに無邪気に加わって安謝に触れたらどんなに楽しいだろうと、遊びに参加している子供達を羨んだ。
 だがこんな遊びはさすがに安謝の方からは言い出しにくく、一回だけで終わった。
 だが、皆に捕まえられて喜んでいる安謝を見ると、いつもは親分格として威張っている安謝にもマゾ的な性格もあるんだなと分かって何か嬉しくなった。
 前の学校と違ってここでは人と親しみやすかった。が、私はもともとの性格がコドクで一人でいる事の方が多かった。人とたむろしてお喋りする事が嫌いで、一人で色々な事を夢想する事の方が楽しかった。学校でも休み時間の友人とのお喋りよりも授業が始まって、先生の話を聞く方が楽しかった。休み時間も友達とのお喋りに加わらず一人でポツンとしている事の方が多かった。

 入園して半年もたったある日の事である。寮のベッドに寝ている私の所に安謝が来た。
「あ、あの。岡田君」
私は驚いた。安謝のような絶えず友達とお喋りしている子が、私のような内気で無口な者にいったい何の用があるんだろうと疑問に思った。が、彼女はいつもと様子が違って、頬を赤らめてモジモジしながら言いたい事があるのに言いためらっているといった様子だった。
「なあに。僕に何か用」
私は迷っている彼女の緊張を解くよう、優しい口調で言った。
「あ、あの。今週の日曜、岡田君に話したい事があるの。昼ごはんの後、学校の教室で待っているわ。来てくれる」
いきなりこんな突拍子もないことを言われて、私は驚いた。別に用もないので、
「うん。いいよ。じゃあ、行くよ」
と言うと、安謝は頬を赤らめて、
「ありがとう」
と言ってソロソロと去って行った。

   ☆   ☆   ☆

日曜日になった。昼食を終えて教室へ行くともう安謝は来ていた。だが安謝の様子が変である。いつもは男を男と思わない安謝が、今日は何かソワソワと緊張し、ドキドキして怯えるように頬を赤くしている。
「あ、あの。岡田君」
と言って言葉を切ってしまった。私はいったいどうしたんだろうと驚いた。そもそも彼女のような一時足りとも友達とおしゃべりしていなくてはすぐに退屈してしまうような子が私のような話題の少ない無口な者を誘い出すこと自体、およそ彼女らしくない。これはよほど重大な悩みの相談だと思って私は彼女が言いやすいように優しい口調で問いかけた。
「どうしたの。誰にも言わないよ。何か悩みがあるなら言ってごらん」
と促すと、彼女はしばし迷った末、弱そうな目を床に向け、口唇を震わせながら切り出した。
「お、岡田君。私をいじめてくれない」
彼女は顔を真っ赤にして体を震わせている。彼女は心に支えていた物が取れたように少し緊張が軽減されたようだったが、これからどうなるかの緊張に体を震わせていた。
「どうして?」
「あのね。この前、皆で私を捕まえる遊びをしたじゃない。それと落とし穴も。それが何かすごく気持ちがよかったの。きっと悲劇のヒロインになりたい願望だと思うの。誰もいない教室で岡田君にこういう風に恥ずかしい告白をしている今も、快感を感じてドキドキしているの。」
「そういうのマゾっていうんだよ。いじめられて喜ぶの。この前の遊びで君はマゾの性格があるってすぐわかったよ」
「ふうん。マゾっていうの。私ってマゾなのね」
「じゃあ、いじめてあげるよ」
「おねがい。いじめて」
「何をしていじめればいいの」
「縛ってくれない」
彼女は持ってきた縄を恥ずかしそうに渡し、両手を背中へ廻して背中で手首を重ね合わせた。
私はどうしようかと考えた末、取りあえず、彼女の両手首を背中で縛った。そしてピョンと机の上に縄尻を持ったまま、飛び乗った。安謝は目をつぶって、立ったまま、
「ああー」
と喘ぎ声を出した。
「どうしたの」
と聞くと、安謝は縛められて抜けられない手首をモジモジさせ、体をくねって、縛めを抜けようとする仕草をした。
「ああっ。何かとっても気持ちいいわ。こんな気持ちよくなったの生まれて始めて。Hで、ソワソワして。でも先生に知られたら叱られるわよね。こんな事。きっといけない事だもの。でもいけない事をしてるってことが、よけい刺激的なの。岡田君。言わないでね。誰にも」
「ああ。言わないよ。僕は内気で、口が堅いからね。君が望んでる事だけを忠実に実行するよ」
「じゃあ、座らせて。縛られたまま座ってみたいの」
そう言って、彼女は膝を折り、私の視線を背中にして、柔らかい脚を折りたたむように横座りした。


安謝は瞑目したまま黙って頬を火照らせている。いつもは「金蹴り」などと言って男を威嚇している、この寮の女番長である彼女が縄尻をとられたまま、抵抗もせず、じっと座っている。彼女は目をつぶって微動だにせず、完全に自分の被虐の世界に浸りきっているといった感じである。私は縄尻をグイと強く引っ張った。安謝の体はつられてユラリと揺れた。
「あん」
彼女は体をいきなり揺すられて小さな喘ぎ声を漏らした。
「ふふ。君が今、どんな事を想像しているかわかるぞ。当ててやろうか」
私は嵩にかかった言い方をした。安謝は黙ったままうつむいている。私は机からピョンと飛び降りて縄尻をとったまま、安謝の前にドッカと座って、目をつぶって顔を火照らせている安謝の顔を覗き込んだ。
「ふふ。君は今、泥棒に捕まえられた美女の気分に浸っているんだろう」
安謝は恥ずかしそうにコクリと肯いた。
「ふふ。君は綺麗で、自分の美しさに酔っているから悲劇のヒロインになりたい願望が強いんだ。君は綺麗で気も強いから男を男と思わない強気な性格だけれど、一方では、多くの男達に、よってたかって虐められたい、とも思っているんだ。ただ君はプライドが強いからそれは人に言えないだけなんだ」
私は縄尻をグイと引いて言った。
「あん。そ、そうよ。その通りよ。で、でも、あんまり私の心を推測しないで。は、恥ずかしいわ。それと、この事は誰にも言わないでね」
「ああ。絶対、誰にも言わないさ。でも君もここまで心の内を言ってしまったんだから、もう心も裸になって、されたい事を何でも言ってごらんよ」
そう言っても安謝は答えないので、
「じゃあ、僕は綺麗な女の子を捕まえた泥棒だから好きな事をさせてもらうよ」
そう一方的に言って私は安謝の顔や体を触ったり、いじくったりしたが、安謝は嫌がる素振りを見せない。私は図に乗って安謝のスカートをめくろうとすると、さすがに彼女も「あっ」と反射的に声を漏らして腿をピッタリ閉じあわせた。
「嫌なの。嫌ならやらないよ」
と言うと、彼女は小さく首を振った。
「い、いいわ。で、でも、恥ずかしいわ」
「でも、その恥ずかしさが気持ちいいんだろ」
私が笑いながら言うと彼女は顔をほんのり紅潮させてコクリと小さく肯いた。
しばしの間、私は安謝の髪の匂いを嗅いでみたり、肩をつかんで、揉んでみたりと、彼女を玩具のようにしていたが、安謝は緊張から体を硬くしていたが、抵抗する様子も見せず、されるがままに身を任せている。
「安謝にこんな事をした男は僕だけだろうな」
そんな独り言を言いながら、私は安謝の顎に手をかけてグイと上げて、
「どう。泥棒に捕まって玩具にされている気分は」
と聞いた。
「は、恥ずかしいわ。で、でも何かフワフワした感じでとっても気持ちがいいわ」
安謝は頬を赤くして答えた。
「お、岡田君」
彼女は声を震わせて言った。
「なあに」
「あ、あの・・・」
彼女は何かを言いたげだが、決断がつかないといった様子で口唇をキュッと噛んで、もどかしそうにモジモジしている。
「なあに。何かしたい事があるんだろ。誰にも言わないから言ってごらんよ」
私はためらっている彼女に決断を促すよう強い語調で言った。彼女は目をそらして、口唇を震わせながら蚊の鳴くような小声で言った。
「あ、あの。わ、私、裸になってみたいの」
言って彼女は顔を真っ赤にして目をそらした。私はとたんに嬉しい気持ちになった。
「ふふ。いいよ。元々、女の人を捕まえた泥棒は女の人に逃げられないように裸にしちゃうんじゃないかな。さあ。安謝のストリップショーだ。しっかり見ていてあげるから、着ている物を全部脱いで裸になりな」
それじゃあ、と言って、私は安謝の背後に回って後ろ手に縛られていた両手首の縄を解いた。


安謝は全身を小刻みに震わせて、しばしためらっていた。無理もない。男の前で裸になることなど小学生の女の子には恥ずかしくてとても出来るものではない。しかし私は彼女が怖がりながらもそれを強く望んでいる以上、私は、私のため以上に、彼女のために決断を促そうと思った。
「ほら。早く脱ぎなよ。どうしても脱げないんなら脱がしちゃうよ」
そう言って私は彼女のスカートに手をかけて彼女のスカートを外そうとした。彼女は、
「あっ」
と言って、あわててスカートを手で押さえた。
「ま、待って。自分で脱ぐわ」
彼女は震える手でためらいがちにブラウスのボタンを外していき、ブラウスとアンダーシャツを脱ぐと中腰になってスカートも脱いだ。パンツ一枚という姿になった彼女は恥ずかしそうに急いでペタリと床に座り込んだ。脱いだ服をギュッと体に押し当てて少しでも肌を隠そうとしている。私は無理矢理、服を彼女から奪い取った。彼女は咄嗟に、「あっ」と声を出して両手でパンツ一枚になった体を覆った。私は彼女から奪い取った服を丹念に調べるよう手にとって見て、鼻を当てて、
「ああ。いい匂いだ」
などと、これ見よがしに揶揄した。彼女は顔を真っ赤にして両手でギュッと体を覆った。
「は、恥ずかしいわ」
「でも気持ちいいだろ。男に裸を見られると、女の子は恥ずかしいけど、気持ちがよくなるんだ。でも、それではまだ裸とはいえないよ。パンツも脱ぎな」
そう言っても彼女は両手で必死に肌を隠そうとしたまま動こうとしない。私はいきなりパンツを掴んでグイと引き下げた。尻が一瞬、半分近く見えた。彼女はあわててパンツを元に戻した。
「さあ。早くパンツも脱ぎな」
と、催促しても彼女はパンツまで脱いで全裸になる勇気はもてないといった様子でじっとしている。
「しょうがないなあ」
私は彼女の服をかき集めると立ち上がって窓を開け、勢いよく服を外に放り投げた。
「あっ。な、何をするの」
彼女は真っ青になって大声で叫んだ。
「ふふ。僕だって本当はこんな事したくないんだ。でも君がいつまでも決断できないでいるから仕方なくやったんだ」
私は彼女の前にドッカと腰掛けて、余裕の口調で言った。
「ふふ。こうすれば恥ずかしくてここから出られないだろう」
「お、岡田君。お願い。服をとってきて」
「じゃあ、パンツを脱ぎな。そうしたら、とって来てやるよ。僕だって本当はこんな事したくなかったんだけれど、君がいつまでも脱がないから仕方なくやったんだ」
そう言っても彼女は最後の一枚はなかなか脱ぐ勇気を持てず、モジモジしている。
「ほら。早くしないと誰かに見つかって持ってかれちゃうかもしれないよ」
しばし彼女は口唇を噛んで困惑していたが、やっとのことで決断がついたらしく、小さな口を開いた。
「わ、わかったわ。脱ぐわ。だから、お願いだから早く服をとってきて」
そう言って彼女は中腰になってパンツを脱いだ。脱ぎ終わると彼女は急いでしゃがみ込んで腿をピッタリと閉じ、脱いだパンツをギュッと押し当てて、アソコを隠している。私は力ずくで、「あっ」と叫ぶ彼女からパンティーを奪い取った。彼女は両手でそこを隠し、腿をピッタリと閉じ、全身を小刻みに震わせている。私は彼女から奪い取ったパンツをポケットに仕舞い込んだ。肌理の細かい弾力のある瑞々しい肌は透き通るように美しい。
「お、岡田君。全部、脱いだんだから早く服をとってきて」
彼女は熱を込めて哀願した。私は、「ふふふ」と笑いながら、
「まあ、そう焦らなくてもいいじゃないか。元々、君が裸になりたいと言い出したんだぞ。どう。今の気持ちは。気持ちいいかい」
と、彼女の訴えをいなした。
「お、岡田君。私、服のことが気になって気が動転しているの。お願い。早く服をとってきて」
裸で必死に訴える彼女を見ながら、私は女の子をいじめる喜びを感じていた。
(ふふ。俺だけなんだ。みんなのあこがれの安謝の裸をみたのは・・・。生意気な安謝をこんな惨めな姿にしていじめた男は俺だけなんだ)
私は心の中で無上に心地いい優越感と快感に浸っていた。私は出来る事なら、ずっとこのままでいたかったが、彼女が、
「お願い。早く」
と、何度もせっつくので私はしぶしぶ口を開いた。
「わかったよ。とってきてやるよ。そのかわり、俺の言う事には何でも従うんだぞ。約束できるか」
と、威圧的な口調で言うと、
「はい。岡田君の言う事には何でも従います」
と従順な口調で言った。
「よし。今のコトバ忘れるなよ」
と念を押し、私は立ち上がった。部屋を出ようとすると彼女はあわてて引き止めた。
「待って。パンツを返して」
私はニヤリと笑って、
「いいよ。全部一緒にとってくるよ」
と言って教室を出て行った。

   ☆   ☆   ☆

私は投げた服を拾って来て寮の引出しの奥にしまった。ちょうど三時のおやつの時間で牛乳とアンパンが配られていた。私は二人分とって胸に抱え、安謝の待つ教室へ戻った。が、安謝の姿が見えない。
「おい。安謝」
と大声で叫びながら私は机を縫うように探すと、安謝は一番後ろの机の傍らに縮こまるように屈んでいた。授業のない日の教室にはまず誰も来ないが、教室には鍵もかかっておらず、万一、私以外の誰かが来て、見つかったら大変だ、という極度の不安があるのだろう。彼女はあくまで私という内気で無口で、この男になら一生誰にも話さないだろうという確信から、勇気を出してこのような秘密の遊戯を私に持ちかけたのである。


私が安謝の手を引っ張って教壇の前に連れ出すと、彼女は再び急いで座り込んだ。
「お、岡田君。服は」
「服はここには持ってこなかった」
「ええー。どうして。持って来てくれると言ったじゃないの」
「いや。僕は取りに行く、と言っただけだ。ほっぽらかしとくと誰かに持ってかれちゃうかもしれないからね。でも、ちゃんと服は全部とってきて、誰にも見つからない所に隠しておいたからもう大丈夫だよ」
「そ、そんな。ずるいわ」
「ずるくなんかいよ。君が勘違いしただけだよ。ともかく君は僕の言う事は何でも従う、と言ったんだから約束は守りなよ」
私は黒板から白墨を持ってくると、床に直径三十センチメートル位の円を描いた。
「さあ。この中に入って」
「入れてどうするの」
「いいから入るんだ」
私は立て膝で躊躇している安謝の手を引っ張って、無理やり彼女を円の中に入れた。
「いいかい。この円の中から出ちゃダメだよ。出たら服はとってこないからね」
私は威嚇的な口調で言った。円は足の裏がやっと入るだけの大きさなので安謝は床に尻をつけることも出来ず、全裸のまま不安定な立て膝の姿勢で腿をピッタリ閉じ合わせ、両手で体を隠すように覆っている。
「さあ。おやつを持ってきたから食べさせてあげるよ」
そう言って私はアンパンをちぎって安謝の口の中に入れては、牛乳を飲ませた。私はパンをモグモグ噛んで牛乳と一緒に飲み込む安謝を痛快な思いで眺めていた。
(ふふ。まるで人形のようだ。しかもこの人形は生きているんだ。生きた女の子を人形のように扱うのはなんて楽しいんだ)
私は心の中でそんな事を考えながら安謝の咽喉がゴクリと動くのを楽しげに眺めていた。おやつを半分くらい食べさせてから、
「もっと食べたい」
と聞くと安謝は黙って首を振った。
「じゃあ、おやつはお仕舞いだ。さあ、立って」
私が安謝の髪の毛を掴んで引っ張ると、
「あっ。いやっ。髪は引っ張らないで」
と言って、ソロソロと立ち上がった。手で恥ずかしい所を隠しながらモジモジしている安謝は何ともみじめで可愛らしい。私は後ろに回って安謝のお尻を見ながら、
「ふふ。かわいいお尻だね。ピッチリ閉じ合わさってとっても可愛いよ」
と揶揄すると安謝は咄嗟に、
「ああっ。見ないで」
と言って、私の方に向きを変えた。安謝は恥ずかしい所を手で隠してモジモジと困惑している。私は安謝の正面にドッカと腰を下ろして、おやつの牛乳とパンを食べながら、裸で立っている安謝を笑いながらじっくりと眺めた。
「どう。今の気持ちは」
「は、恥ずかしいわ」
安謝は腿をモジつかせながら顔を赤くして言った。
「でも恥ずかしいだけじゃないだろ」
安謝は頬を紅潮させながらコクリと肯いた。
「今の気持ちを言ってごらん」
「な、何かとっても気持ちがいいわ。フワフワして雲の上に乗っているような気持ちがするわ。男の子に裸を見られて死にたいほど恥ずかしいはずなのに、その恥ずかしさが気持ちいいの。こんな気持ちになったの、生まれて初めてだわ」
「ふふ。じゃあ、もっと気持ちよくしてやるよ」
そう言って私はモップをもってきて、安謝の体や顔を押しつけた。
「あっ。いやっ」
と言いながら安謝は必死で汚いモップを手で払おうとする。嫌がれば、嫌がるほど私は興奮してきて、私は安謝をいじめ続けた。しばし、いじめた後、私は安謝のすぐ目の前に立ち、
「さあ。いつものように『金蹴り』と言って僕をおどしてみなよ」
安謝は、「えっ」と言って驚いたが、
「やらないと服は持ってこないよ」
と、おどすと安謝は顔を赤くしてそっと私の襟首を掴み、「金蹴り」と言って、足で蹴るまねをした。
「へへ。いつもはカッコいいけど、裸で嚇されてもぜんぜん迫力ないよ」
私がそんな揶揄を投げかけると、彼女は、
「いやっ。恥ずかしいわ」
と言って、すぐに手を引っ込めて体を隠した。
「どう。今の気持ちは」
「は、恥ずかしくて、みじめだわ。でも、なぜだかすごく気持ちがいいわ。岡田君。この事、誰にも言わないでね」
私は、「ふふふ」と笑って、
「もっと気持ちよくしてあげるよ」
と言って、安謝の片方の足首を縄で縛って、その長い縄尻を掴んで机の上に乗ってグイと引っ張った。
「ふふふ。円の中から出たらダメだぞ」
と言いながら、思い切り引っ張ると安謝は、「ああー」と叫びながら、足が円から出ないように苦しげに身を保っている。何しろ円は両足が並んでやっと入るだけの大きさなので両足をしっかり開いて踏ん張ることも出来ず、両脚をピッチリ閉じて全身をプルプル震わせながら、苦しげに眉を寄せ、必死で縄で足を引っ張られるいじめに耐えている。その姿は惨めこの上なく滑稽である。
「お、岡田君。私、もう耐えられない。許して」
そんな訴えは嗜虐心をよけい刺激し、私は容赦なく思い切り縄尻を引っ張った。
「ふふふ。男勝りの君が素っ裸でこんなみじめな苛めをされている姿をみんなが見たらどう思うかな」
とか、
「君のこんな惨めな姿をみんなに見せてやりたいね」
などと揶揄のコトバを投げかけた。安謝は全身をピクピク震わせている。
私が力強くグイと縄を引くと安謝は、「ああー」と叫んで倒れそうになった。
「お、岡田君。もう許して。私、耐えられない」
私はある面白い事を思いついて心の中で笑った。
「じゃあ、許してやるよ」
と言って、私は握っていた縄を放した。安謝は辛いいじめから開放されてほっと一息ついた。
「ありがとう。岡田君。やっぱり岡田君てやさしいのね」
安謝は私の善意を信じきっているといった様子で、恥ずかしい所を隠しながら、頬を赤らめつつも、恥じらいがちな微笑を私に向けている。私は机からピョンと飛び降りて、安謝の前にドッカと腰を下ろした。
「僕がそんなにやさしい男に見えるかい」
「うん」
安謝は微笑して肯いた。
「へへ。僕はそんなやさしくなんかないよ」
私は足首の縄を解くとピョンと立ち上がって安謝の首に縄をかけて縛った。そしてその縄尻を素早く股間をくぐらせ、後ろに回って、尻の割れ目に食い込ませて、背中の上に持っていき、安謝の首に巻かれている縄に通してグイと力任せに引き絞って、首の縄に硬く結びつけた。安謝は、「ああー」と悲鳴に近い声を出した。丸裸の体に縦に前後に一本だけ走る縄が柔らかい女の体の谷間に意地悪く食い込みながらこの上なく女をはずかしめている。
「ふふ。縄を放したのはこうするためだったんだよ」
安謝は苦しげな表情でアソコを両手で覆っている。
「ふふ。手で隠さなくても恥ずかしい所は縄で見えないから大丈夫だよ」
そう言って私はサッと後ろに回って、
「ふふ。お尻の割れ目に縄がしっかり食い込んでいるよ。どう。縄が食い込む感触は」
と揶揄した。
「お、岡田君。こ、こんなのっていや。お願い。縄をほどいて」
安謝はどうしようもないといった表情で哀願した。私はそんな哀願など全く無視して、
「ふふ。縄が食い込んで気持ちいいだろう」
と揶揄した。
「ふふ。僕は君のこの姿を見たくて縄を放したんだ。さあ、お尻にしっかり力を入れて縄をはさんでごらん。気持ちよくなるから」
私の暗示が効いたかのように、自然と安謝はピッチリと尻を閉じ合わせるようになった。
「ふふ。丸裸でこんな事をした女の子は君だけだろうな」
「みんなが君のこの姿を見たらきっと興奮するだろうな」
私は余裕の口調でそんな事を言ってからかった。
「お願い。岡田君。縄を解いて」
安謝は必死で哀願を続けるだけである。私はしばし、丸裸で一本だけ体に食い込む縄をつけられて困惑している安謝を最高の快感で眺めていたが、そろそろ許してやろうと思って立ち上がった。
「縄を解いてやってもいいけど条件があるぜ」
「な、なに。条件て」
「裸のままみんなの前で土下座して、今まで威張ってきた事を謝るんだ」
「ええー」
安謝は真っ青になった。
「あ、岡田君。いくらなんでもそんな事出来ないわ」
「ふふ。大丈夫だよ。本当にみんなの前で土下座するんじゃなくて、ここにみんながいる事を想像して土下座するのさ」
安謝はしばし黙っていたが、
「わかったわ」
と素直に答えた。私は安謝の体に食い込んでいる縄を解いて、首の縄も解いた。
「さあ。いいかげん立ち続けて、脚が疲れただろう。もう円の外に出ていいから少し座ってゆっくり休みなよ」
「ありがとう。岡田君」
「どう。気持ちよかった」
と聞くと安謝は頬を赤くして小さく肯いた。
安謝は目を閉じて、崩れるようにクナクナと床に座り込んだ。安謝はやっとほっと出来たといった様子で、横座りしている。
しばしの休息の時間が経った。


「さあ。もう疲れもとれただろう。四つん這いになって土下座しな」
言われて安謝は犬のように四つん這いになった。
「さあ。今まで威張り散らしてきたことをみんなに詫びるんだ」
「な、何て言えばいいの」
「自分で考えなよ」
「わ、わからないわ」
「しょうがないなあ。じゃあこう言うんだ。『私は今まで女の分際で威張り散らしてきて申し訳ありませんでした。これからは私がみんなの奴隷になります。みんなにどんな事を命令されても素直に従います』とね。この教室にみんながいて、君を見ていることを想像して言うんだよ。僕がみんなの代表者としてしっかり君を見ていてあげるから・・・」
安謝は床に目を落として四つん這いの恰好で小声で命じられたお詫びの言葉を言った。
「ダメダメ。全然、心がこもってないよ。もっとみんなに取り囲まれているようにイメージして心を込めて言わなきゃダメだよ。それともっと頭を床にこすりつけて土下座して、お尻を持ち上げて・・・」
そう言って私は安謝の美しい黒髪の頭を足でグイと踏みつけた。頭を踏みつけられるという屈辱的な事をされて安謝は反射的に、「ああー」と声を出した。
「ふふ。君は今までさんざん威張り散らしてきたのに今では丸裸で土下座して頭を足で踏みつけられている。みじめの極地だよ。どう。今の気持ちは」
「み、みじめだわ。でも、いいわ。死にたいほどみじめなのに、なぜかすごく気持ちがいいわ」
「みんなに心を込めて詫びる気持ちになった」
「はい」
「じゃあ、お詫びの誓いをいいな。僕はみんなの代表者としてしっかり君を見ていてあげるから」
そう言って私は安謝の頭から足を下ろした。艶やかなストレートの黒髪を床に垂らして丸裸で四つん這いになっている安謝はまるで雌犬のようである。安謝はしばし黙ってじっとしていたが、やっと謝罪の言葉を心を込めて言う心境になったとみえ、自ら床に頭をこすり付けて声を震わせて謝罪の言葉を述べだした。
「わ、私は今まで女の分際で威張り散らしてきて申し訳ありませんでした。これからは私がみんなの奴隷になります。みんなにどんな事を命令されても素直に従います」
言い終わっても安謝はその姿勢のまま全身をピクピク震わせながら、両手で顔を隠すようにして頭を床にこすり付けている。
「どう。今の気持ちは」
私が笑いながら聞くと安謝は声を震わせながら言った。
「い、いいわ。みじめになるのがこんなに気持ちがいいなんて・・・。私、本当にみんなにこのみじめな姿を見られたいわ」
私は、「ふふふ」と笑いながら安謝の後ろに回って高々と上がっているお尻の肉を掴んで、グイと開いた。可愛らしい小さな穴がすぼまっている。
「あっ。いやっ。岡田君。そんな所見ないで」
私は安謝の哀願を無視してゆとりの口調で揶揄した。
「ふーん。お尻の穴ってこうなっているのか。はじめて見た」
「い、いや。恥ずかしいわ。見ないで」
安謝は尻の穴を見られないようにと、必死で尻の穴をすぼませようとしている。尻の穴はピッチリとすぼまっているが、力んでいるためまるで生き物のようにピクピク震えている。
(お尻の穴も口と同じように自分の意志で開けたり、閉めたり出来るものなんだな)
そんな事をあらためて気づかされて、私は可笑しくなった。私が尻から手を放すと尻の割れ目は元のようにキュッと閉じあわさった。
「君の体は隅から隅まで見てあげるよ。今度は仰向けになって寝てごらん」
「あ、仰向けにしてどうするの」
「いいから仰向けになるんだ」
私が恫喝的な口調で言うと安謝はしぶしぶ仰向けになった。両手で女の最も恥ずかしい所を覆っている。
「さあ。手をどけて」
「い、いや。恥ずかしいわ。許して」
「いいからどけるんだ。服を持ってきてやらないぞ」
私は恫喝的な口調で言ってアソコに当てている手をのけて脚をグイと思い切り開いた。安謝は、「あっ」と叫んで膝を曲げて脚を閉じようとしたが、私は素早く体を脚の間に入れて脚を閉じられないようにした。安謝は真っ赤になった顔を両手でギュと力強く覆った。私は、はじめて見る女の割れ目をまじまじと眺めながら、
「ふーん。女の子のここってこんな風になっているのか・・・」
と、ことさら驚いたように言って、割れ目をそっと手でなぞってみたり、そっと開いてみようとした。安謝はもう抵抗が無駄だと思ったらしく、閉じようとしていた腿の力をだんだん抜いていった。
「ふーん。すごいや。安謝のここを見たのは僕だけだろうな。ここからオシッコが出るんだね」
「そ、そうよ」
安謝は両手でしっかり覆った顔から恥ずかしそうに小声で言った。私はこんな機会はもう二度と来ないんじゃないかという焦りから、しっかり脳裏に焼きつけておこうと顕になった割れ目を凝視しながら、割れ目をさかんに指で触った。
「お、岡田君。恥ずかしいわ。もう許して」
安謝は蚊の泣くような小さな声で言った。私はもう今日はこのくらいにしようと思って、脚の間から出た。
「もう今日はこのくらいにしよう。君も疲れちゃっただろ。服をとってくるよ」
そう言い残して私は寮の自分の机の奥に隠に入れた安謝の服を取り出して、再び裸で一人、私が戻るのを待っている安謝がいる教室へ戻った。


安謝に服を渡すと安謝はほっとしたよう表情になって、
「ありがとう」
と言った。パンツや服を着ていく所を見ると何かとても興奮した。脱いでいく時よりも裸から服を着ていく時の方がもっとエッチに見えた。服を着てしまうと安謝はペタリと座り込んだ。
「今日はどうだった」
「気持ちよかったわ」
彼女は顔を真っ赤にして照れくさそうに答えた。
「何が一番気持ちよかった」
「わからないわ。全部気持ちよかったわ」
「僕も今日は最高に楽しかった。いじめちゃってごめんね」
と言って私は安謝の手を握った。柔らかく温かい女の子の手の感触が伝わってきた。
「あ、あの。岡田君」
と言いかけて安謝は言いためらった。
「なあに」
「また今日みたいにいじめてくれる」
彼女はパンパンと火照った顔を手で叩いて言った。
「いいの?僕は気持ちいいからいいけど、何か君がかわいそうだよ」
「いいの。岡田君は優しいし、口が堅いから安心して身を任せられるもの。だってこんな事、頼めるの、岡田君しかいないもの」
「でも・・・」
と言って彼女は言いためらった。
「でも、私が私でなくなっちゃいそう。こんな事をしちゃうと、もう男の子に会わす顔がないわ。もう男の子と対等に話すことは出来ないわね。私、本当に男の子にじめられる弱い女の子になっちゃいそう」
「それは困ったな。僕は君の性格までは変わってほしくない。男を男と思わない、強気なところが君の魅力なんだから」
私はある名案を思いついた。
「それじゃあ、こうしよう。みんなが見ている所で君が僕をビンタしたり、土下座させたりしていじめるんだ。僕は泣いて謝るんだ。そうすれば君も今日のことは忘れていつもの君に戻れるよ」
安謝は私の提案に驚いたらしく、目をパチクリさせていたが、やっと決心がついたらしく微笑した。
「ふーん。何か面白そうね。確かにそんな事をしたらいつもの私に戻れそうな気がするわ」
「決まり。じゃ、そうしよう。手加減しなくていいからね。君はきれいな女番長だから魅力があるんだ。君がおとなしい女の子になったら魅力がなくなっちゃうよ。この遊びは僕と君だけの秘密の遊びで、一生、誰にも知られないから大丈夫だよ」
「ふふ。やっぱり岡田君を選んでよかったわ。でも、二人きりの時にはうんといじめてね」
「うん。そうだ。真がいるだろう。あいつは僕を親分と慕っているから、今度は真を連れてきて、二人がかりで君をいじめるってのはどう。僕が誰にも言わないよう、約束させるよ」
「ふふ。いいわよ。面白そうね。岡田君一人にいじめられるより、二人がかりでいじめられた方がもっと気持ちよくなりそうな気がするわ」
「真には君がマゾだということは言わないでいる事にしよう。そうしたらあいつも本気になって君をいじめようとするだろうから。僕が君の弱みを握っていて、君は僕には逆らえないということにしたらどう」
「そうね。その方が面白そうね」
こう言って私と安謝は別れた。

   ☆   ☆   ☆

翌日になると安謝は昨日の事などどこ吹く風と、いつもの男勝りの女番長に戻っていた。絶えず新しい事を求めている子供は一晩寝れば前日の事などもう忘れてしまう。元々、性格の地が男勝りの勝気なのであるからほっとけば元の性格に戻るのは極めて自然な事である。大海を自由に泳ぐ魚が昨日は一時、狭い水槽に入ったようなものであり、再び海に戻れば魚は窮屈さから開放されて一層元気に泳ぎだす。それと同じである。
 昼食の後、いつものように安謝の取り巻きが安謝の所に寄って来た。安謝が番長として皆を支配しているのは、安謝の負けん気の強い勝気な性格のためだけではない。彼女は美しい上、陽気で面白い話や遊びを提案するので、皆が自然と何か面白い事はないかと安謝の所に集まってくるのである。巫女のようなカリスマ性が安謝にはあった。
安謝の子分に呼び出されて、私は安謝の前に引き出された。その瞳は残忍に輝いていた。昨日の約束を忠実に守ろうというよりは、昨日の仕返しをしてやろうという意地悪な目だった。安謝はもう昨日のことなど全く忘れているかのようだった。
「私のパンツが一枚なくなっていたけど、こいつの机の引き出しの中にあったんだ。こいつが盗ったんだ。こいつは人のものを盗む可能性があるよ。皆でいじめてやりな」
安謝が言うと皆が私に寄りたかって来た。
「こいつ。安謝さんの物を盗るとはとんでもないやつだ。しかも下着を盗るなんて変態なんだな。もう二度とそんな気が起こらなくなるよう、懲らしめてやる」
私はあせって抗議した。
「僕じゃない。僕は安謝さんの下着なんか盗ってない。僕を犯人にするため、誰かが僕の机の引き出しの中に入れたんだ」
「嘘をつくな。白状するまで拷問するぞ」
私は安謝の子分達に両腕を掴まれてビンタされ、寄ってたかって蹴とばされた。私が倒れて、海老のように縮こまっても皆は私を蹴ったり踏んづけたりする。悪漢が私のズボンごと引きずりおろそうとする。私はあわててズボンを掴んだ。
「や、やめろ。証拠もないのに。岡田さんをいじめるな」
後ろの方で見ていた真が出てきて縮こまっている私を庇うように体を寄せた。
「安謝さん。どうします。こいつ、岡田の子分だから・・・。もしかするとこいつが盗ったのかもしれませんよ」
「そうだね。二人ともまとめてヤキ入れてやりな」
安謝がそう言うと、子分達は再び私と真を蹴ったり、踏んづけたりしだした。一人が穢いモップを持ってきて、私や真の顔になすりつけた。安謝は女王のように余裕で眺めていたが、「ふふふ」と笑い、私の前に来ると足で顔をグリグリと踏みつけた。体重を乗せて安謝は容赦なく私を踏みつける。彼女は昨日のしかえしを思うさま楽しんでいるのだ。
「やい。この変態野郎。白状する気になったか」
「は、はい」
足で踏みつけられて、歪んだ顔から私が小声で言うと、安謝は足をどけた。
「よし。じゃあ、四つん這いになって本当の事を白状しな」
言われるまま私は皆の前で四つん這いになり、仁王立ちしている安謝の方に頭を向けた。子供の世界に法などない。いじめをやめてほしければ相手の求めている事を言うしかない。私は皆の前で四つん這いになっている恥ずかしさとみじめさから声を震わせて言った。
「安謝さん。正直に白状します。私が安謝さんのパンツを盗りました。ごめんなさい」
「ほーら。やっぱりこいつだった。みんな、ヤキを入れてやりな」
安謝は勝ち誇ったように言い、グイと足で頭を踏んずけた。
「とんでもないヤツだ。この変態野郎め」
皆はそう言いながら体を盾にして庇う真ともども、力任せに蹴ったり踏んだりした。

   ☆   ☆   ☆

 下着泥棒として白い目で見られてみじめに過ごしたその日の夕食後、安謝は私の肩を黙ってポンと叩き、人目のつかない場所に連れて行った。
「岡田君。ごめんね。皆の前でひどい事させちゃって。明日、岡田君が下着を盗ったんじゃないとわかったって、みんなに言っとくからね」
安謝は私と二人になると、皆の前とはうって変わった大人しい口調になる。
「うん。ありがとう。でも、これで君もマイペースでやってける自信がついただろう」
「うん。本当いうと、今日は本気で岡田君に仕返しして楽しんじゃったわ」
安謝は笑って舌を出した。
「じゃあ、今度の土曜は今日の仕返しだ。今度は真を連れて来るけどいい」
と聞くと、安謝は、
「ええ。いいわよ。どんな風になるか楽しみだわ」
と言って笑った。
「君は本当に嫌がる女の子を演じきってごらん。そうすれば君がマゾだということもばれないし、真も興奮して喜ぶよ」
「わかったわ。私、演じきるわ」

   ☆   ☆   ☆

土曜日になった。私が真に、
「おい。今日の昼御飯の後、教室で安謝を徹底的にいじめ抜くぞ。お前も手伝え」
と言うと、真は「えっ」と驚いて目を白黒させて私を見た。
「この前の仕返しですか。でも・・・」
と言って真は言いためらった。私はニヤリと笑い、
「でも、そんな事出来るんですか、と言いたいんだろう。まあ、オレに任せておけ。お前もあの生意気な安謝を徹底的にいじめろ」
「でもそんな事したら後でひどい仕返しされますよ」
私は笑いながら、真の肩を叩いた。
「大丈夫だ。仕返しなんか絶対されない。それはオレが保証するから、お前も徹底的にいじめ抜け」
真は狐につつまれた様な顔で私を見た。

   ☆   ☆   ☆

昼食後、真を連れて学校の教室へ入った真は、「あっ」と驚嘆の声を洩らした。誰もいない教室の床の上に安謝が両脚をそろえて、俯いて唖者のように押し黙っている。女番長として、顎で男を使っている彼女とはとても思えない。私は笑いながら安謝の肩に足をかけて体を揺すった。
「おい。安謝。真が来たぞ。この前、お前は何の罪もない真をリンチしたな。土下座して心を込めて詫びろ」
そう言って私は机の一つにピョンと飛び乗って、ドッカと胡坐をかいた。安謝は命じられた通り、脚をそろえて正座し、真の方に両手をついて頭を深々と下げた。
「真君。この前はひどい事をしてしまって御免なさい。今まで女のくせに生意気だった私を許して下さい。これからは男の子の言う事には素直に従うつつましい女の子になります。今日は、この前のお仕置きを心いくまでして下さい」
真は安謝に土下座された上、こんな事を言われて面食らっている。
「おい。真。ああ言ってるぞ。思う存分いじめてやれ」
私は笑いながら言ったが真は行動する決意をもてないで躊躇している。
「いいです。親分。後でいじめられちゃいますから」
「はは。大丈夫だよ。お前が何をしてもいじめ返されたりはしないよ」
そう言っても真は後の仕返しを怖れて安謝に触れようとしない。無理もない。しかたがない。私はまず自分がやって見せて真の警戒心を解こうと思った。私は人形のようにじっと座っている安謝の前にドッカと腰を下ろすと、安謝の耳や鼻をつまんだり、頬を撫でたりと、じっくり丹念に安謝の顔をいじくった。安謝は人形のように何の抵抗もせず、弄ばれている。横で見ていた真は私のいたずらを一心に見ていたが、自分もやってみたいといった、羨ましげな表情でギュッと固く拳を握り締めている。私はそんな真を笑って見てから、遠慮なく安謝の頬っぺたを力強くピシャリと叩いた。安謝は、
「ああー」
と声を出して辛そうな表情を一瞬見せたがすぐに目を瞑ったまま、顔を正面に戻した。私は安謝の鼻をつまみながら真に、
「どうだ。お前もやってみるか」
と笑いながら言った。真は疑問に満ちた目で私を見て、
「どうして親分は安謝にこんな事ができるんですか」
と身を乗り出して聞いた。
「ははは。まあ、それは秘密だな。まあ、俺が安謝の、ある秘密を握っているってとこだな。だからお前も遠慮しないで、何でも好きな事をしろよ。仕返しなんかされないから安心しな」
「ほ、本当ですか」
と真は恐る恐るの口調で聞いた。
「ああ。本当だとも。お前も安謝の体を触りたいだろう。こんな機会はもう二度とないかもしれないぞ」
ほら、好きなだけ触ってみろよ、と言って、私は真のためにいざって安謝の前からどいた。真は、正座して頬を紅潮させて俯いてじっとしている安謝の前に来ると、私に許可を確信するかのごとく、私を一瞥した後、しばし不動の安謝をじっと見ていたが、恐る恐る腿の上にそっと手を載せた。ピクッと安謝の体が震えたが安謝は何も言わず、姿勢を変えず、じっとしている。真はだんだん安心してきたらしく、安謝の腹や胸、腕などを触りだした。
「どうだ。気持ちいいだろう」
私は笑いながら聞いた。
「ええ。柔らかくて、温かくて最高です。憧れの女番長の体を触れられるなんて夢のようです。でも安謝さんは何で私なんかにこんな事をされて、怒らないんですか」
「ふふふ。理由なんて、あんまり考えなくてもいい。ともかく安謝は今はお前のオモチャなんだから、もっと遠慮しないでやりたい事をやりな。このあと二人がかりで容赦なくいじめ抜くんだからな」
真はほっと安心したという表情で遠慮なく安謝の体を触りだした。髪を撫でてみたり、鼻を近づけて服の上からクンクンと匂いを嗅いだりした。そして正座している安謝の後ろに回って背後からギュッと抱きしめた。
「どうだ。満足したか」
「ええ。親分。十分楽しませていただきました」

   ☆   ☆   ☆

「よし。じゃあ、今度はもっと面白い事をするぞ」
私は安謝の肩を掴んで立たせた。私は持ってきた四本の縄を出した。私は二本の縄で安謝の手首と足首を縛りながら真にも二本、縄を渡し、同じようにする事を命じた。真は嬉しそうな顔で安謝の手首と足首を縛った。両手、両足を縄で結ばれて、安謝は困惑した顔つきをしている。私たちは縄尻をとって少し離れた。
「な、何をするの」
安謝は不安げな顔つきで聞いた。
「ふふ。忍者ゴッコさ。君は組織から抜けようとした女忍者で、見つかって捕まっちゃったのさ。忍者の世界から抜ける事は出来ないのさ。追っ手がどこどこまでも追いかけて、捕まえるのさ。この縄は鎖鎌で僕達は見事、君を捕まえた追っ手というわけさ」
私達は、「えーい」と言って、笑いながら縄を引っ張った。私はたっぷり時間をかけて楽しもうと、はじめは思い切り力を入れず、安謝に抵抗できる余地を与えた。安謝は手足を引っ張られないよう、両手、両足に力を入れて、ピッタリ脇と足を閉じて縮こまっている。しかし両手足を縄で縛った以上、もうこっちのものである。いつ、引っ張られるかわからず、おびえて全身をプルプル震わせている姿は実に可愛らしい。
「よし。それじゃあそろそろ本気で縄を引っ張るぞ」
私と真は「えーい」と言って安謝の手足を縛った縄を力いっぱい引っ張った。どんなに手足を縮めようと力を入れて抵抗しても男二人の力にはかなわない。両側から手足を引っ張られ、固く閉じていた体はだんだん開かれてゆき、大の字になっていく。手足を縄で縛られて、たぐられている姿は全く、捕らえられて鎖鎌を絡められ、困惑しているみじめな忍者そのものである。しかも捕らえた忍者は美しいくの一である。
「ふふ。どうだ。真。こうやって女をいじめる気持ちは」
「最高に楽しいです。女をいじめる事がこんな楽しいなんて思ってもいませんでした。俺、今、興奮しておちんちんが固くなっちゃっています」
そう言って真は縄をグイと引っ張った。手足を縄で縛られて脂汗を流しながら大の字になっていく安謝はまるで蜘蛛の巣にかかった蝶のようである。いきなり体重の乗っている足をグイと引っ張ると安謝は反射的に、
「ああっ」
と叫び、足が滑って転びそうになって、あわてて踏ん張る。それが面白くて私達は安謝がほっとして力を抜くとグイと足首を縛っている縄を引っ張っては足を滑らせた。安謝はいつ足を引っ張られるかわからない不安に困惑して体をプルプル震わせている。その姿はいじめる方にとってはこの上なく愉快である。耐えられなくなって座り込みそうになるとすぐに両方から手首を縛っている縄を上に引っ張って、それを阻止する。
「おい。俺がしっかり手と足の縄を引っ張っててやるからお前は安謝の足を持ち上げてしまいな」
と言うと、真は、
「へい。わかりやした」
と言って、安謝の片足を思い切り引っ張って宙に引き上げた。安謝は片足を宙に引き上げられて、苦しそうに片足で立ってグラグラ体を揺らしながら何とかバランスを保とうとしている。責めのための縄を今度はバランスをとるための曳網にして、よろけそうになると反対側の手を引っ張って倒れないようにした。無理矢理、片足で立たされて、操り人形のようにバランスをとらされて、安謝は脂汗を流して、全身をプルプル震わせている。
「あ、岡田君。もう許して」
安謝は片足立ちの辛さに耐えられず、哀願した。片足で無理矢理立たされる辛さは想像に余りある。私はもうそろそろ許してやろうと思って引っ張っていた縄を放した。

「じゃあ忍者ごっこはおわりだ」
私は真に命じて安謝の首と足首の縄と解かせた。安謝にはそのままたっているように命じた。辛い意地悪から開放されたものの、安謝は片足立ちの辛さからハアハア息を切らせている。が、真はやる気満々という様子である。安謝が一休みして呼吸が元に戻ると私は真の欲望を満足させてやろうと、獲物に襲いかかろうとする様な目つきで安謝を見ている真に向って言った。
「おい。真。今度はスカートをめくってやりな」
「へい。親分」
真はもう私の命令に従って安謝をいじめることに全く抵抗を感じなくなったという感じで、
「へへへ」
と笑いながら、腰を屈めて、おびえた表情の安謝に忍び寄った。真が下から安謝のスカートの中をのぞこうとすると、安謝はおびえた表情で、
「いや」
と言って両手でスカートを押さえた。真は待ってましたとばかり、守りが手薄になったスカートの後ろをパッとめくった。白いパンツが丸見えになった。安謝はあわててスカートの後ろを押さえようとした。真は、してやったもので、片手で後ろのスカートを持ち上げつつ、今度は守りが手薄になったスカートの前を勢いよくめくり上げた。白いパンツが丸見えになった。安謝は、「あっ」と言って、片手で後ろを押さえつつ、片手で前を押さえた。しばしスカートを持ち上げつつ、安謝が困惑するのを楽しげに見ていた真は一旦めくっていたスカートから手を放した。が、安謝はいつ来るかわからない真の攻撃におびえながら、両手で必死にスカートを押さえている。が、女のスカートというものは360度の方向から簡単に攻撃されてしまう極めて脆弱な鎧である以上、手がもう一本、後ろについてでもいない限り、守り抜く事は不可能である。真は、いつ攻撃してくるかわからないで困惑してスカートをギュッと両手で押さえて体を小刻みに震わせている安謝を楽しげに眺めつつ時々素早くスカートの守りの手薄な所をサッとめくり上げては、安謝を困らせて楽しんだ。
私は真を呼び寄せて、安謝に聞こえないように耳打ちした。
(安謝のスカートを脱がしちゃいな)
真はそれを聞くと笑って肯いた。真が再び安謝に近づいていくと安謝は再びおびえた表情でスカートを両手で押さえ、守りの用意をした。真は素早く安謝に飛びつくとスカートのゴムに手をかけて力任せにグイとスカートをずり降ろし、一気に足から抜き取った。スカートを脱がされて白いパンツが顕になった。安謝は、「あっ」と叫んであわててパンツを手で押さえた。
「おい。真。どうだ。面白いか」
「へい。親分。最高に楽しいです」
真は笑いながら安謝から奪い取ったスカートを振り回した。
「じゃあ、今度はパンツを脱がしちゃいな」
「いいんですか。そんな事して」
「ああ。かまわないさ。パンツを脱がしちゃいな」
「や、やめて。岡田君。そんなこと」
安謝は真っ青になって叫んだ。が、私は笑いながら、かまわずやるよう、真に目で合図した。真が笑いながら安謝に近づいていくと、安謝は脚をピッチリ閉じてパンツのゴムを両手で力強くギュッと押さえ、全身をプルプル震わせながら、真の攻撃に対する守りを固めている。真はしばし困惑している安謝を楽しげに眺めていた。が、私が、
「おい。眺めてないで早くやりな」
と言うと、真は獲物を捕らえようとする動物の目つきになり、隙を狙ってサッと安謝に飛び掛かり、守りの手薄なパンツの後ろのゴムを掴むと力任せにグイと引き下げた。ピッチリと閉じ合わさった尻の割れ目が顕になった。安謝は、「あっ」と叫んで、あわててパンツを引き上げようとした。が、真は引き摺り下ろそうとする力を弱めない。尻はもうほとんど全貌を顕にしているが、安謝は何としても脱がされないよう必死でパンツのゴムを掴んで引き上げようとしている。もう尻は丸見えになっているのに脱がされかかったパンツを必死で握っている姿は滑稽この上ない。私は安謝のみじめな姿を余裕で眺めながら、「ははは」と笑い、
「もうお尻の割れ目が全部見えちゃってるんだから無駄な頑張りはやめて、脱がされちゃいな」
と揶揄した。私は真の傍らへ行って安謝に聞こえないようある事を耳打ちした。真はニヤリと笑ってパンツのゴムを放した。安謝はいそいでパンツを引き上げた。また、いつ下ろされるかわからない不安から安謝はギュッとパンツを握りしめている。おびえた表情の安謝は実に可愛らしい。そんな安謝を私と真はドッカと床に腰を下ろしてニヤつきながら眺めていたが、私はおもむろに立ち上がると、安謝の後ろに回って背後からサッと素早く両腕を掴んで羽交い絞めにした。
「あっ。何をするの」
「ふふ。お前が素直に脱がないから脱がせるだけよ」
そう言って私は安謝をガッチリ羽交い絞めにしたまま真に目配せした。
「おい。安謝のブラウスのボタンをはずせ」
真は待ってましたとばかり、ピョンと立ち上がると安謝のブラウスのボタンを上からゆっくりはずしていった。私は真に命じて、ブラウスを脱がせ、その下のシャツも脱がせた。
安謝はもうパンツ一枚というみじめな格好である。私は安謝を羽交い絞めにしたまま真に命じた。
「おい。真。オレがガッチリ押さえててやるから安謝のパンツを脱がすんだ」
と言うと真は、
「へい。わかりやした。親分」
と言って、無防備になった安謝のパンツをサッと掴んだ。私はあわてて真に注意した。「おい。あせって一気に脱がすな。じっくり時間をかけて脱がすんだ。オレがしっかり押さえててやるから膝の上あたりの途中でとめて安謝の困る姿をたっぷり楽しめ。こんな事はもう二度と出来ないかもしれないぞ」
と言うと真はニヤリと笑って、
「へい。わかりました。親分。どうもありがとうございます」
と言って安謝のパンツを再び掴み、ゆっくりと下ろしてゆき、アソコが見えるギリギリの所まで下ろすと、いったんパンツから手を放した。脱がされかかったパンツはみじめに腿の途中でとどまっている。安謝は何とかパンツを引き上げようと脚をモジつかせたが無駄だった。安謝は顔を真っ赤にして腿をモジつかせて何とか恥ずかしい所を隠そうとしている。
「や、やめて。岡田君」
安謝は恥ずかしさに耐え切れずに叫んだ。私は安謝の哀願など全く無視して、ガッチリと羽交い絞めにした背後から、からかうように声をかけた。
「どうだ。今まで子分だった真にこんな姿を見られる気持ちは」
「は、恥ずかしいわ。死にたいほど恥ずかしいわ」
そう言って安謝はピッタリ閉じ合わせた脚をモジつかせた。私は真に目を向けて、
「おい。真。安謝のみじめな姿をしっかり頭に焼きつけておけ」
と言ったが、真は言われるまでもなく、見えるか見えないかギリギリの状態になっている女の最も恥ずかしい所をゴクリと唾を飲み込みながらじっと見つめつづけている。
「お願い。岡田君。パンツだけは脱がさないで」
「ふふふ。ダメだな。お前が困れば困るほどオレ達は楽しいんだ」
私は安謝にそんな事を言ってから、真に目を向けて、
「よし。もう十分楽しんだだろう。完全に脱がしちまいな」
と命令すると、真は中途半端になっているパンツを掴んで一気に下まで下ろし、片足ずつ足を持ち上げてパンツを抜き取った。安謝は一糸まとわぬ丸裸にされて、「ああー」と叫んだ。
「ふふ。どうだ。今まで子分だった真に丸裸を見られている気分は」
「み、みじめだわ。死にたいほどみじめだわ」
安謝は丸裸にされても真に見られないよう、必死で腿を寄せ合わせている。

私は羽交い絞めを解き、床に散らかっているパンツや服を全部拾うと、少し離れてドッカと腰を下ろした。安謝は前後から私と真にはさまれて、両手で恥ずかしい所を隠しながら、腿をピッタリ閉じてモジモジしている。
 その時、三時のおやつの知らせが寮の方でしたので、私は真を呼び寄せて、安謝の服を渡し、寮の、ある所に隠してから三人分、おやつを持ってくるよう命じた。
真は笑って安謝の服を小脇に抱え急いで出て行った。

   ☆   ☆   ☆

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安謝 (小説)(下)

2020-07-06 23:27:59 | 小説
数分もたたずに真は三人分のおやつを胸に抱えて戻ってきた。私は真からおやつの牛乳とアンパンを受け取ると、真に命じて自分のおやつを持って、裸の安謝の正面に座るよう命じた。真は言われた通り、おやつを持って裸の安謝の正面に腰を下ろした。安謝は前後から私と真にはさまれて、両手で恥ずかしい所を隠しながら、腿をピッタリ閉じてもどかしそうにモジモジしている。
「おい。真。おやつを食べながら安謝の裸をとっくり鑑賞するんだ」
真は笑って呼応した。私達は胡座をかいて、おやつのパンを食べながら牛乳を飲み、裸の安謝をとっくり鑑賞した。
前後二人の視線に晒されて安謝は困惑している。安謝は真の方に体を向け、恥ずかしい所を見られないようにと、腿をピッタリ閉じて、両手で隠しながら腰を後ろに引いている。
「ふふ。お尻の割れ目が丸見えだぜ」
私が後ろから揶揄すると安謝はあわてて片手をお尻に当てて割れ目を隠した。丸裸を前後二人の視線から守ろうと困っている姿は実に滑稽である。
「は、恥ずかしいわ。お願い。岡田君。服を返して」
安謝は足をモジつかせながら言った。
「そうだろうな。恥ずかしいだろうな。じゃあ隠すものをやるよ」
私は真に目で合図した。真はニヤリと笑って安謝のおやつの牛乳瓶を安謝の方へゴロゴロと転がした。牛乳ビンは安謝の足にぶつかって止まった。
「ほら。それで隠せばいいだろう」
安謝は足元の牛乳瓶を見て、しばしどうするか迷っていたが、何も持たない丸裸でいるのは耐え難く、何でもいいから何かにすがりたいという気持ちが起こったのだろう。サッとビンを拾うと恥ずかしい所にピッタリと当てて覆いにした。牛乳がたっぷり入っている、それなりの大きさのある瓶は確かに多少ながら覆いの役割を果たしている。片手で牛乳ビンを前に当て、片手でお尻の割れ目を隠している姿は滑稽極まりない。
「ふふ。牛乳をそんな所に当ててどうするっていうんだ」
「そこに押し付けて温めてから温かい牛乳を飲もうってわけか。変な事をするヤツだな」などと言ってからかった。安謝は恥ずかしさから顔を真っ赤にして、「ああー」と叫んだ。が、いったん牛乳ビンを隠す多いとしてしまった以上、もはや元に戻すことは出来にくい。第一、丸裸でいる者に、何かを与えれば、それがどんな物でもそれを覆いにしたくなる気持ちが起こってしまうのはしかたがない。牛乳瓶は、火照った体のアソコに強く押し当てられて、本当に温められていく。
「おい。真。安謝のおやつだけれど安謝のアソコで温められた牛乳なんて二度と手に入れられないぞ。頼んで少し飲ませてもらえ」
私は笑いながらそんな事を真に向って言った。真は口の周りについた牛乳の沫を拭いながら笑って肯いた。私たちはおやつを食べながら、牛乳ビンをアソコに当てて丸裸で立っている安謝を余裕で眺めながら食欲と性欲を満たした。
「どうだ。真。面白いか」
「ええ。最高です。親分」
私は安謝に向って言った。
「おい。安謝。どうだ。今の気持ちは」
「は、恥ずかしいわ。死にたいほど恥ずかしいわ」
安謝は牛乳瓶をアソコに当て、片手でお尻の割れ目を隠しながら、頬を火照らせて声を震わせながら言った。
「じゃあ、お前も立ちっぱなしで、そろそろ疲れてきただろうから、そろそろ許してやる。その代わり条件がある」
「な、何。条件て」
安謝はすがるように、咄嗟に聞いた。
「四つん這いになって真の前に行き、今まで真をいじめてきた事を詫びるんだ。そしてこれからは真の奴隷になる誓いを述べるんだ。そして雌犬のように真のおもちゃになるんだ。少しでもさからったらダメだぞ」
「わ、わかったわ」
丸裸で立ったまま晒し者になる屈辱よりは救われる、と思ったのだろう。安謝は床に四つん這いになると、犬のようにいざりながら真の方へ向かった。私は真に椅子に座るよう命じると、真は椅子を持ってきて、それに腰掛けた。椅子に座らせたのは、真に安謝を高い位置から見下させるためである。真の足元まで来ても安謝は恥ずかしさのため、顔を上げる事ができない。今まで親分として顎で使ってきた真の前で丸裸で四つん這いになっているだけでも耐えられないほどの屈辱であろう。その真に謝罪して奴隷宣言をする事などとても出来るものではない。安謝は全身を小刻みにピクピク震わせている。
「おい。安謝。土下座してさっき言った事を心を込めて真に言うんだ」
恥ずかしさから、なかなか言う決断をもてない安謝に私は後ろから怒鳴りつけた。私に怒鳴り連れられて安謝はやっと口を開いて屈辱の誓いを声を震わせながら述べた。
「し、真君。今まで威張ってきてごめんなさい。私はこれから真君の奴隷になります」
今まで影も踏めなかった親分の安謝にこんな事を言われて真は最高の征服感に浸っているのだろう。真はニヤニヤ笑いながら安謝を見下している。
「よーし。安謝。よく言った。それじゃあ奴隷になったしるしとして真の足の指を舐めてきれいにするんだ」
私が後ろから安謝に命じると安謝は逆らう様子も見せず、素直に、「はい」と言って、真の足をぺろぺろ舐めだした。
「おい。真。どんな気分だ」
「ああ。親分。最高です。オレ、今、おちんちんがおっ立っちゃっています」
真は、苦しげな表情をして勃起したマラをズボンの上からしごいた。
「ふふ。そうだろう。今まで親分だった、こんなきれいな女が丸裸の四つん這いになってお前の足の指をぺろぺろ舐めているんだ。もう安謝はお前の奴隷なんだから何でも好きな事をしていいんだぞ」
「へい。わかりました」
真は笑いながら答えた。安謝が片方の足を十分舐めたので、真は膝を組み替えてもう一方の足を安謝の鼻先へ差し出した。安謝は差し出されたもう一方の足をまたぺろぺろ舐め始めた。
「おい。安謝。もっと指を付け根まで口の中に入れてきれいに舐めるんだ」
言われると安謝はその通り口の中に足指を含んで足指の付け根まで口唇を往復させた。はじめは興奮していた真もだんだん慣れてきたと見え、腕組をして靴磨きに靴を磨かせるような様子でニヤつきながら余裕の表情で、一身に足指を舐める安謝を見下している。親指から小指までもう十分に、安謝が足指を舐めてきれいにしたので真は足を引っ込めた。そして安謝を四つん這いにさせ、体を調べるように、体のあちこちを触っては揉んだ。安謝は四つん這いになったまま、されるがままになっている。真は後ろに回って、安謝の尻の割れ目を力強くグッと開いた。安謝は思わず、「ああー」と声を漏らした。真は一心にすぼまった尻の穴をじっと見ている。
「どうだ。安謝。子分だった真に尻の穴を見られる気分は」
「は、恥ずかしいわ。お、岡田君。真君。お願い。もう許して」
安謝は顔を真っ赤にしてピクピク体を震わせながら、屈辱に耐えている。今まで子分だった者の前で丸裸の四つん這いになり、尻の穴まで見られるという屈辱は想像に余りある。安謝は裸で立ったままで晒し者にされるよりは、と思って真の前で四つん這いになることの方を選んだのだろうが、男のサディズムに容赦というものはない。ついに安謝は四つん這いの状態で、尻の穴を見られる屈辱に耐えられなくなって、「ああー」と叫んでペタリと尻を床に下ろした。
「チッ。堪え性のないヤツだ」
私は真を呼び寄せてヒソヒソと耳打ちした。それを聞くと真はニヤリと笑った。私達は、女の最も恥ずかしい所をギュッと手で覆って隠しながら横座りしている安謝の背後からそっと忍び寄り、二人がかりで安謝の手足を掴んで無理矢理、立たせ、教壇に突っ伏させた。私達は「えーい」と掛け声をかけて二人がかりで安謝を持ち上げて、教壇の上に仰向けに載せた。
「な、何をするの」
いつも授業が行われている教壇の上に裸で載せられて、今度は何をされるのだろうかという不安げな表情で安謝は脚をピッタリ閉じ、必死で縮こまろうとしている。私は安謝の両手首を掴み、真には両足首をつかませて、二人で思い切り手足を引っ張った。男二人の力にかかっては女の力ではかなわない。「ああー」と安謝は叫び、ちぢこませていた手足は無理やり伸ばされて、安謝は教壇の上で大の字にさせられた。私達は安謝の手首と足首を縄で縛って教壇にくくりつけた。安謝は俎板の鯉のように教壇の上で大きく手足を広げ、腋の下も臍も、その下の恥ずかしい所も何もかもさらけ出している。
「お、岡田君。お願い。やめて」
安謝は顔を真っ赤にして叫んだ。
「ふふ。恥ずかしい所が丸見えだぞ」
「い、いや。見ないで」
脚を閉じようと腿の肉がピクピク動いている。
「ふふ。恥ずかしい所を見られるのは辛いだろう。覆いをして隠してやろうか。どうだ」
「お、お願い。そうして」
私は安謝のおやつのアンパンを安謝のアソコの上に載せた。
「な、何をするの」
「だから、恥ずかしい所を覆ってやったんだよ。こうすれば君のアソコは見えないよ」
教壇の上で丸裸の大の字に縛られて、小さななアンパンをアソコの上に載せている姿は実に滑稽でエロチックである。
「ふふ。あそこは見えないけどとてもエロチックだよ。あそこを牛乳で温めたり、今度はパンを温めたりと、君は変な事をしたがるんだね」
私がそんな揶揄をすると安謝は頬を真っ赤にして、
「お、岡田君。お願い。変な事はやめて」
「変な事。だって君が望んだ事じゃないか。じゃあ、とるよ」
私がパンを取ろうと手を伸ばすと安謝はあわてて、
「や、やっぱりやめて」
と叫んだ。恥ずかしさから頬を火照らせているため、本当にパンが温められているように見える。私は真に命じて安謝の牛乳を持ってこさせた。私と真は安謝の顔を挟むように、両側から笑いながら安謝を見下した。
「さあ。もう十分、温まっただろう。お前もいい加減つかれて、お腹がすいただろう。自分のアソコで温めたおやつを食べな」
私は安謝のアソコの上のアンパンをとった。アソコが顕になって、安謝は反射的に、「ああー」と叫んだ。
「そら。自分のアソコで温めたおやつを食べな」
私は安謝の口を無理やりこじ開けて牛乳を流し込んだ。安謝は口に注ぎ込まれた牛乳を仕方なしに飲んでいる。飲み込む時、ゴクリゴクリという音とともに喉仏が動くのが面白い。
「さあ。パンも食べな」
と言ってパンをちぎっては口の中に放り込んだ。そして牛乳を少し注ぎ込んだ。安謝は口を閉じてモグモグさせてゴクリと飲み込む。私は何だか生きた人間を使って、理科の実験をしているような気がして可笑しくなった。おやつを全部食べさせると、安謝が動けないのをいいことに、私は安謝の鼻の穴や耳の穴を間近で奥まで覗いてみたり、体のあちこちを触ったり、揉んだりして安謝の体をもてあそんだ。真も遠慮なく、安謝の体を触っている。女番長として威張ってきた、手も触れる事もできない、きれいな女が今では教壇の上に丸裸の大の字に縛られて男二人にもてあそばれている。私達は図にのって安謝の頬っぺたをピシャピシャ叩いた。
「おい。この机は授業で使う神聖な机だぞ。その上に丸裸で乗っかるなんて不謹慎じゃないか」
私は真面目くさった口調でそんな揶揄の言葉をを投げかけた。
「おい。真。安謝のアソコをよく見ておけ。女の子のアソコをこんなにまじまじと見られる機会はもう二度とないかもしれないぞ」
私がそう言うと、真はホクホクした顔つきになり、安謝の開かれた脚の方へ回って、両腿を掴んでグッと開き、鼻先が触れんばかりにアソコに顔を近づけた。
「し、真君。お願い。見ないで」
安謝は真っ赤になった顔をそむけて、腿をピクピク震わせている。
真の手がそこに触れると安謝は思わず、「あっ」と叫んだ。
「し、真君。お願い。やめて」
安謝は声を震わせて訴えたが、真は好奇心満々といった目つきで、割れ目をなぞったり、中を見ようと指でそっと割れ目を開こうとしたりしている。
「し、真君。お願い。やめて」
安謝は再び声を震わせて訴えたが真にやめる気配は全く見られない。無我夢中になっていつまでも割れ目をいじくりつづけている。真への哀願は無駄だと思ったのだろう。安謝は辛そうな顔を私に向けた。
「お願い。岡田君。もうやめて」
私は余裕の口調で、
「ああ。もうやめるよ。だが真は女の子アソコをはじめて見て喜んでいるんだ。真が十分満足したらやめてやるよ」
と言って一心に女のアソコを検分している真に、
「おい。真。どうだ。もう満足したか」
と聞いた。真はニヤリと笑って、
「はい。もう十分満足しました」
と答えた。
「そうか。それはよかったな」
そう言って私と真は教壇に縛り付けられれている安謝の縄を解き、二人で抱きかかえて安謝を教壇から下ろした。安謝はクナクナと座り込んだ。
「よし。今日はもうこれで終わりにしよう」
私は真に命じて安謝の服を持ってくるよう命じた。
真はホクホクした顔つきで教室を出て、すぐに服を持って戻ってきた。安謝は精根尽きたという様子でガックリ項垂れている。安謝に服を渡すと寂しそうな顔つきで黙って服を着た。そして再び床に座り込んだ。
「よし。じゃあ、今日はこれで終わりだ」
じゃあな、安謝、と言って私は真を連れて教室を出た。

   ☆   ☆   ☆

「どうだ。今日は楽しかったか」
と聞くと、真は、
「ええ。今日は最高の一日でした」
と笑って答えた。
「そうか。それはよかったな。これからは何回でも今日みたいに安謝にエッチな事をしていじめることが出来るぞ」
「本当ですか。オレ、最高に幸せです」
真はうかれきっている。
私は浮かれている真をジロリとにらみ、ただし、と、強い語調で言った。
「ただし、今日のことは絶対、秘密だぞ。誰にも言うな」
浮かれていた真は急に厳しい口調で言われて、笑いが消えて真顔になった。
「は、はい。絶対、誰にも言いません」
「よし」
私は真の目をじっと見つめて釘をさした。

   ☆   ☆   ☆

急いで教室に戻ると、いつもの姿に戻った安謝は黒板に白墨でネコの絵を書いていた。
「どう。うまいでしょう」
安謝は今までの事など忘れたかのようにアッケラカンとしている。安謝は白墨を置くと私の方に振り向いた。
「岡田君。ありがと。気持ちよかったわ」
「つらくなかった」
「うん。全然平気。でも少し疲れちゃったわ」
「真には誰にも言わないよう堅く口止めしといたよ」
「ありがとう」
「岡田君」
「なあに」
安謝の頬が少し紅潮した。
「ま、またしてくれる」
私は嬉しくなった。
「いいよ。でも一方的に君をいじめるっていうのは、わるいよ。またこの前みたいに君の気がスッキリするまで僕をいじめてくれていいよ」
安謝はクスッと笑った。
「そう。じゃあ、今度は立場を逆にして、ここに女の子をたくさん連れてきて岡田君に裸踊りをしてもらおうかしら」
私はびっくりした。
「ええー。いくらなんでもそんな事は出来ないよ」
「ふふ。ジョーダンよ。ジョーダン」
彼女はクスクス笑った。
「ああ、びっくりした」
私はほっとして胸を撫で下ろした。
「岡田君」
彼女は穏やかに微笑して私に寄りかかってきた。そして目を瞑って両手をそっと私の背中に廻した。私はびっくりした。心臓の鼓動がドキドキ早まっていく。私もそっと彼女の背中に手を廻した。
女の子と話すのが極度に苦手な私には彼女の心はわからない。
疲れから寄りかかったのか、私に好意を持ってくれたのか。
もしそうならその好意とはどんな種類の好意なのか。
しばし悩んだが私は考えるのをやめた。
柔らかい女の子の体の温もりの感触が無上に心地よかった。

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女体盛り温泉旅行 (小説)

2020-07-06 23:16:42 | 小説
女体盛り温泉旅行

山野純は孤独な男である。彼の母は妊娠中毒症で純を産むのと入れ替わるように死んでしまったのである。
高校を卒業して、都会に出て、ある小さな会社に就職した。家賃三万のアパートを借りた。
給料は少ない。純は子供の頃から内気で友達がいなかった。彼は母親を知らずに育った事もあって、女の子の友達がほしかったが、どうしても自分から言う勇気は持てなかった。
アパートに帰っても、また休日も何もする事がない。
会社に就職すると、彼はすぐに車の免許をとって、ローンで車を買った。
純はどうしても車が欲しかったのである。車があれば、あちこち好きな所に行ける。また車に乗れば、運転者同士の対話も出来る。
純はよく一人で海に行った。対向車を見ると、彼女を横に乗せて運転している男がほとんどである。純も彼女を乗せてドライブしたいと熱烈に思った。だが、純には女に声をかける勇気などない。純の車はいつも純一人きりである。
「ああ。かわいい女の子を横に乗せて走りたい」
純はそんな事を思ってため息をついた。

純と同期に入社した社員の中に京子という一人のかわいい女がいた。同期の男の社員達は、彼女によく話しかけた。彼女も彼らとよく話した。純も彼女に惹かれた。
純も彼女と友達になりたいと思った。しかし、内気な純は京子に話しかける勇気はなかった。昼食も純は一人で食べた。その後の昼の休み時間も純は一人きりだった。

ある日の事である。
仕事が多くなって、純は勤務時間がおわっても、残って仕事を片づけた。夕方から降り出した雨が激しくなった。やっと仕事を片づけて、帰ろうとカバンを持って立ち上がった。その時、もう、みんな帰って誰もいないと思っていたが、京子が黙って机に向かっていた。純はびっくりした。
「お、お先に失礼します」
純はどもりどもり言ってコソコソと去ろうとした。
その時、京子が立ち上がった。
「あ、あの。純さん」
「は、はい」
二人きりの部屋で京子に話しかけられて、純は真っ赤になった。
「あ、あの。私、今日、傘もってこなかったんです。あ、あの。あつかましいお願いで申し訳ありませんが、駅まで車に乗せてもらえないでしょうか。遠回りになるのであれば、いいです」
京子は顔を赤くして言った。
純も真っ赤になった。
「い、いえ。いっこうにかまいません」
純はへどもどして言った。
「ありがとうございます」
京子はニッコリ笑って言った。
京子を乗せて純は車を出した。
となりに女性を乗せて走るのははじめてである。
しかも、相手は憧れの京子である。
純の心臓はドキドキ早鐘をうった。
京子は黙っている。
それは見合いで共に照れている男女のようだった。
車を運転しながら、純は遠慮がちに話しかけた。
「あ、あの。京子さん」
「は、はい」
「京子さんの駅から家まではどのくらいの距離でしょうか」
「そんなにはありません。歩いて30分くらいです」
「30分なら、かなりの距離ですね。今日は天気予報で、降水確率20%と言ってましたから、傘を持たずに出社した人は多いでしょう。タクシーも行列が出来ていると思います」
純はゴクリと唾を飲み込んで言った。
「あ、あの。よろしかったら、このまま家までお送り致しましょうか」
「あ、ありがとうございます。助かります。でも純さんに悪いです」
「い、いえ。僕まだ車、買ったばかりで、運転するのが楽しいんです」
京子はニコリと笑った。
「じゃあ、お願いします」
純はカーナビを住所検索の表示にした。
「京子さん。京子さんの住所を入れて下さい」
「はい」
言われて京子はカーナビの画面にポンポンポンとタッチして自分の家の住所を入力した。
これで目的地が定まった。
純はほっとして、FMラジオのスイッチを入れた。
ラジオから心地のいい音楽が流れた。
純は、京子とドライブしているようで、最高の幸福に浸っていた。
「しているようで」と書いたが、実際それは女性とのドライブだった。
ある交差点で信号が赤になったので止めた。
少し先に焼き肉屋がある。
「純さん。あそこでお食事しませんか」
そう言って京子は、焼き肉屋を指差した。
「は、はい」
信号が青にかわった。
純は焼き肉屋の一階の駐車場に入った。
その店は一階が駐車場で、二階が店だった。
純は駐車場に車を止めて、京子と店に入った。
テーブルを挟んで純と京子は向き合って座った。
純は真っ赤になった。
憧れの女性と二人きりで食事するなんてデートしているような気持ちになったからである。
店員が注文を聞きにきた。
京子はロースとカルビとライスと玉子スープとキムチとジュースを二人分、注文した。
純は真っ赤になって、うつむいている。
すぐに店員が焼き肉を持ってきた。
熱くなっている網の上に京子は、どんどん肉を載せていった。
「純さん。焼き肉は好き?」
「は、はい。大好きです」
肉はジュージュー音をたてはじめた。
京子は、片面、焼けた肉を裏返した。
肉が両面、焼けると、京子は、
「はい」
と言って、どんどん純の皿に焼き肉を乗せていった。
「ありがとうございます」
と言って純は焼き肉を食べた。
京子は、あまり食べずズズーと玉子スープをすすっている。
「京子さんは食べないんですか?」
純は自分一人で食べていることに申し訳なさを感じて言った。
「私、いま、ダイエット中なの」
そう言って京子はニコッと笑った。
純の顔が赤くなった。
ともかく、京子はあまり食べず、肉をどんどん焼いていくので純が食べるしかない。
残すわけにもいかない。
結局、純が二人分の焼き肉を食べてしまったようなものになった。
食べおわって、二人は立ち上がった。
レジでは、京子が財布を出して金を払った。
純はそれをとめなかった。
こういう時、強引に自分が払う、と言うのは無粋である。
それは相手の好意を拒否する事だからである。
好意はありがたく受け取って礼を言う方が、相手にいいのである。
二人は店を出て車に乗った。
「京子さん。ごちそうさまでした。おいしかったでした。ありがとうごさいました」
純はペコリと頭を下げて礼を言った。
「でも、京子さんにおごってもらっちゃってわるいです」
「いいの。私を送ってくれたお礼」
そう言って京子はニコッと笑った。
「でも、わるいです。何かお礼をします」
「じゃあ、私のたのみを聞いてくれる?」
「はい。何でも」
「私、海を見に行きたいの。今週の日曜、連れてってくれる?」
純の顔がほころんだ。
「はい。喜んで」
純はエンジンをかけ、車を出した。

   ☆   ☆   ☆

日曜になった。
純は京子と海へ行った。
駐車場に車を止めると浜辺に出て、シートを敷いて座った。
初夏の日差しが心地いい。もうすぐ海開きである。風はなく海は凪いでいた。
「はい。純さん」
京子はバッグから弁当箱を二つとり出して、一つを純に差し出した。
「ありがとう。京子さん」
純は受けとった弁当箱を開けた。
豪勢なおかずが、御飯と一緒にたくさん並んでいた。
卵焼き、海老のてんぷら、焼き魚、しゅうまい、などが、きれいに並んでいる。
「うわー。すごい。これ、みんな、京子さんがつくったんですか」
「ええ」
京子は頬を赤くして答えた。
純は卵焼きをパクッと食べた。
「うわー。おいしい」
そう言って純はパクパク食べた。
京子も、急いで掻き込む純を見て微笑しながら、食べた。
「海っていいですわね。気持ちがほっとします」
「僕もそうです。海はいつまで見てても厭きないですね。水平線のかなたに未知のロマンを感じますね。まだ地球が丸いとわからなかった時の人達はなおさらでしょう」
そう言って純は水平線のかなたに目を向けた。
しばし二人は心地良い海風に身を任せて海を眺めていた。
純は言いにくそうな様子で京子に話しかけた。
「京子さん。どうして僕なんかとドライブしてくれたのですか。僕には何もない。僕が持ってるのは車だけです」
京子はニコッと笑った。
「そんな事ありませんわ。純さんは素晴らしいものを持っています」
「それは、なんですか」
純はすぐに聞き返した。
「純さん。よくお爺さんや、お婆さんをを車に乗せてあげてますよね。社内で人が言っているのを聞きました」
「え、ええ」
純は照れくさそうに言った。
「純さんは、やさしさ、という素晴らしいものを持っています。車に乗ってる人でああいう事をしている人は、いません」
「そ、それは、乗ってくれる人がいなくて、さびしかったからだけです」
純は照れくさそうに言った。

純は世間のマイカー主義者と違っていた。それは純の言った通り、乗ってくれる人がいない、さびしさもあったが、それ以上に純は心が優しかった。純は車を持ってない時から、自分が免許をとって、車を買ったら、出来るだけ困ってる人を乗せてあげようと思っていた。タクシー代は高いし、バスは待ち時間が長い。せっかく車を買ったなら、自分のためだけじゃなく、人に親切にしてあげようと思っていた。それで、行き先が同じ方向なら、純はバス停で、なかなか来ないバスを待っている人に声をかけて乗せてあげたり、突然の雨に困っている人や、老人などに声をかけて、乗せてあげたりしていた。乗せてあげた人が降りる時の「ありがとうございました」と言う喜びの言葉が何よりも嬉しかったのである。

空が曇りだし風が出てきた。
「京子さん。寒くなってきましたね。もう帰りましょう」
「ええ」
そう言って二人は立ち上がった。
二人は自動車にもどって乗った。
純はエンジンをかけ、車を出した。
「純さん。私、ちょっと疲れちゃったの。少し、あそこで休ませて」
そう言って京子は先にある建物を指さした。
純はびっくりした。
それはラブホテルだった。
だが京子の頼みとあれば仕方がない。
純はラブホテルの駐車場に車を入れた。
ラブホテルに入るのは純は初めてである。
純は緊張してガクガク震えていた。
京子は受け付けに行って、部屋のキーを受けとった。
そして純の手を牽いてエレベーターにのり、部屋に入った。
密室に二人きりになって純は緊張してガクガク震えていた。
京子はバタリとベッドに体を投げ出した。
「さあ。純さん。好きにして」
京子はうつ伏せになって言った。
純は興奮と緊張で心臓が止まるかと思った。
だが純は立ち竦んでしまった。
純にとって女とは、ひたすら崇拝する神のような存在だった。
どうして神に襲いかかることが出来よう。
しばしの時間がたったが、純は叱られた生徒のように立ち竦んでいる。
「私って魅力がないのね。触るのも汚らわしいのね」
京子がさびしそうな口調でボソッと呟いた。
「そ、そんな事ないです」
純はいきりたって言った。
「じゃあ、どうして何もしてくれないの」
こう言われては純もせざるをえない。
純はベッドに乗った。
そしてマッサージのようにうつ伏せの京子の足の裏や脹脛などを揉んだ。
「ああ。気持ちいいわ。純さん」
そう言って京子はうつ伏せのまま目を閉じて純に体をまかせた。
純は一生懸命マッサージした。
「まって」
瞑目して黙っていた京子が制した。
「服が邪魔だわ」
そう言って京子はムックリ起き上がり、ブラウスとスカートを脱いだ。
京子はブラジャーとパンティーだけになると、またベッドにうつ伏せになった。
「さあ。純さん。好きにして」
京子は目を閉じて体を投げたしている。
純は、また京子の足の裏や脹脛を揉み出した。
しかし目の前には京子の太腿やパンティーに包まれた大きな尻がある。
京子がうつ伏せになって目をつぶっているのをいい事に、純はしげしげと京子のブラジャーとパンティーだけの体を眺めた。
純は女の体の実物を見るのは、これが初めてだった。
純は興奮して激しく勃起した。
「純さん。足だけじゃなく、体中を揉んで」
目を閉じて気持ちよさそうに純に体を任せていた京子が言った。
純は女に頼まれると断われない性格である。
純は太腿を揉み出した。
純は女の体を触るのは、初めてなので激しく興奮した。
太腿から、弾力のある大きな尻へとつながっている。
「純さん」
「はい」
「もっと上の方もやって」
言われて純は太腿の付け根の方に手を伸ばした。
純は力を入れて揉んだ。
「ああ。そこ。気持ちいい」
京子が言った。
目の前にはパンティーの縁から尻がかなり見え、大きな尻が揉む度に揺れた。
純の興奮は最高潮に達した。
「ああっ」
純はとうとう射精した。
「どうしたの」
京子が聞いた。
「い、いえ。何でもないです」
そう言って純はマッサージをつづけた。
純のマッサージが心地良く眠気を起こしたのだろう。
スースー寝息が聞こえてきた。
ああん、と言って京子はゴロンと寝返りをうって仰向けになった。
ブラジャーとパンティーだけの女の下着姿を、こんなに間近に見るのは純には初めてである。
美しい女の曲線美の全てと、ふっくらした乳房を収めたブラジャーの二つの山と、パンティーの女の部分の盛り上がりが顕わになった。
純は興奮して心臓がドキドキしてきた。
純は京子が寝ているのをいい事に、そっとパンティーに鼻を近づけてみたり、京子に気づかれないようブラジャーを触ってみたりした。
柔らかい肉の感触に純は興奮した。
純が女の胸を触るのは、初めてだった。
純は京子が寝ているのをいいことに、京子の顔をじっくり見ようと顔を近づけた。
美しい眉、整った鼻、小さなかわいい口、全てが美しかった。
純はこんな機会はもう滅多にないだろうと思い、勇気を出して、そっと京子の唇に自分の唇をふれた。
幸い、京子は起きない。
純は唇を離し、再び京子の体を隈なく眺めた。
華奢な肩、くびれたウェスト、そこから一気に腰が盛り上り、太い太腿へとつながっている。
女の体はなんて美しいんだろう、と思いながら純は京子の体をまじまじと眺めつづけた。
しばしして、ようやく京子が目を覚ました。
「あー。よく眠っちゃった。純さん。マッサージありがとう」
と言って京子はニコッと笑った。
「もう時間ね。出ましょう」
そう言って京子は起き上がって、スカートを履き、ブラウスを着た。
二人はラブホテルを出た。

その夜、純は京子の体を思い出して、蒲団の中で興奮して眠れなかった。

翌日の月曜になった。
純が京子を見ると、京子はニコッと笑った。その姿が悩ましかった。
ピチピチの上下そろいの制服がまばゆい。男達はただ、その姿を仰ぎ見るだけである。しかし、その中までは見れない。しかし純は昨日の京子の下着姿が網膜に焼きついてしまって、意識を切り替えると、すぐに京子が下着姿になった。純は凛々しい制服姿の京子を見ると、自分はその中を見たんだという心地良い優越感が起こって夢のような気分になった。
そんな事で仕事も上の空だった。

その翌日の昼休み、京子は純の所に来て話しかけた。
「純さん。今週の週末もドライブ連れてってもらえませんか」
「はい。喜んで」
「嬉しい」
京子は飛び上がって喜んだ。
「今度はどこへ行きたいですか」
「ここの旅館です」
そう言って京子はパソコンで、その旅館のホームページを出した。
「どうですか?」
「は、はい。いい所ですね。楽しみです」
「嬉しい。では楽しみにしてます」
そう言って京子は去っていった。
純は平静をよそおっていたが、内心、緊張で心臓がドキドキした。
旅館ということは京子と一緒に泊まることだ。
その様子を想像すると純はドキドキした。
純の女に対する見方は普通の男と違っていた。普通の男は好きな女が出来ると裸になって、思うさま愛撫しあう。しかし純は京子にそうしたくはなかった。純にとって京子は、憧れの女神であり、裸になりあって抱き合って、対等の男女の関係になりたくなかったのである。夢は叶えられないから夢なのであって、夢が現実になってしまっては、もはや夢ではなくなってしまう。全てを知ってしまうと嫌な所だって出てくるかもしれない。純は憧れは憧れのまま、そっとしておきたかったのである。そういう点、純はウブな夢想家だった。
しかし一組の男女が旅館に泊まるのに別々の部屋に泊まるというのもおかしい。
そもそも京子が提案した、旅館に泊まる、というのは京子が純と一緒の部屋に泊まる事を要求してきた、という事である。

純は、旅館でどのように京子に接しようかと悶々とした思いで、その週を過ごした。

さて週末の土曜日になった。
純は京子の家に行き、京子を乗せて目的地へと車を飛ばした。
高速を一時間、飛ばした後、インターチェンジでおりて、田舎道を走った。
ほどなく旅館についた。
わりと大きな旅館だった。
両側に木が青々と茂った山があり、その間に大きな石ころの河原があり、清流かサラサラと流れている。
旅館の駐車場には、小型のバスが止まっていた。
どこかの集団の客が来ているのだろう。
純は駐車場に車をとめた。
純と京子は車を降りて旅館に向かった。
旅館の玄関には、
「××会社御一同様」
と書かれた張り紙があった。
玄関の戸を開けると、
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
と旅館の女将が妙にニコニコして深く頭を下げた。
その時。
「あーあ、いい湯だった」
と言いながら5~6人の浴衣を着た男達がゾロゾロと帳場を通り過ぎて行った。
彼らは京子を見るとニヤリと笑った。
純と京子は部屋に案内された。
部屋からは外の自然の景色が一望される。
「いい景色ね」
京子が微笑して言った。
「そうですね」
純も微笑んで言った。
二人は軽い食事をしてから、さっそく旅館の中の男湯の温泉に入った。
檜づくりの大きな温泉だった。
室内の浴槽からも、外の景色が見える。
大きな温泉に浸かっていると、日頃の疲れも忘れて、心地いい気分になってきた。
同時に、女湯に浸かっている京子の裸の姿が想像されてきて、純の股間のものは勃起してきた。
ここには外に露天風呂もある。
露天風呂に入る女の姿は美しい。つつましそうに浴衣を脱ぎ、髪を上げ、誰も見ていなくてもタオルでそっと胸と秘部を覆って、温泉に浸かって肩に湯をかけている姿は、実に情緒と風情と恥じらいがあって美しい。
純は京子のそんな姿も何とか見れないものかな、と思ったりした。
湯から上がって浴衣に着替えて部屋で待っていると、すぐに京子が戻ってきた。
浴衣に羽織をかけた姿が似合ってて美しい。
「純さん。ちょっと外へ出てみませんか」
「ええ。行きましょう」
二人は下駄を履いて外に出た。
河原に沿って二人は少し歩いた。
両側の、木が青々と茂った山々がすかすがしい。
京子は河原を歩きながら時々、屈んで清流に手を浸した。
「気持ちいいわ」
京子はニコッと笑って純に振り返った。
「春には鮎が産卵のため、この川を遡るんですね」
「そうですね。川の上流はもっと激流でしょう」
「それで、産卵して死んじゃうんですね。何か、かわいそうですね」
「そうですね」
京子は清流をそっとすくっては、そっと指を開いた。
指の間から清水が宝石のように、こぼれ落ちた。
「京子さん。川の上流に行ってみませんか」
「行けるんですか」
「ええ。ドライブウェイがあって、行けます。30分もかかりません」
「じゃあ、行きましょう」
こうして話がまとまった。
二人は旅館に戻って服に着替えた。
そして旅館を出て、車に乗った。
純はエンジンをかけ、車を飛ばした。
急カーブの連続のドライブウェイを純は飛ばした。
高くなるに連れて、見晴らしが良くなってくる。
30分もかからず、終点の休憩所についた。
二人は車をおりた。
遠くまでが見晴らせてすかすがしい。
吊橋がかかっていて、その下を旅館の前の川の上流が流れている。
川幅は狭くなり、流れも速い。
釣り人が2~3人、渓谷釣りをしている。
純と京子は、柵から周りの景色を見渡した。
「いい景色ですね。こういう自然の中にいると気持ちが、清々しくなってきますわ」
そう言って京子は大きく深呼吸した。
「そうですね」
純も京子と同じように深呼吸した。
二人は、休憩所の椅子に腰掛けて、持ってきた茶を飲みながら、周りの景色を眺めた。
「京子さん。吊り橋を渡ってみませんか」
純が提案した。
「えっ。でも、こわいわ」
「大丈夫です。僕がついてます」
純は胸をはって自信ありげに言った。
「わかったわ。怖くなったら私、純さんにしがみついちゃいますから」
二人は吊り橋を渡りだした。ワイヤーでしっかり支えてあるとはいえ、歩くと板がギシギシ音をたてて揺れた。
「こ、こわい。純さん」
京子は腰が引けて、足取りがおぼつかない。
大丈夫ですよ、と言って純は京子の手をしっかり握って歩いた。
だが、進むにつれて吊り橋の揺れと、ギシギシいう音は激しくなっていった。
「こ、こわいー。純さん。助けてー」
吊り橋の真ん中まで来た時、京子は歩けなくなって純にしがみついて立ち竦んでしまった。
「はは。ごめんなさい。京子さん。では、もどりましょう」
そう言って純は京子の体を反転し後ろからガッシリと肩をつんで、ゆっくりと一歩一歩あるいて吊り橋を引き返した。
「あー。こわかった」
京子は休憩所にもどると、ドキドキした胸を撫で下ろした。
風が出てきた。
「京子さん。もう、帰りましょう」
「ええ」
二人は車にもどった。
そして、つづら折りのドライブウェイを降りて旅館に戻った。
部屋にもどると純と京子は浴衣に着替えた。
「夕食が楽しみですね」
純はニコッと笑って言った。
「え、ええ」
だが京子の返事は何か、オドオドしていた。
その時、誰かが部屋の戸を叩いた。
宿の女将だった。
女将は京子を見るとニコッと笑った。
「あの。京子さん。約束の事、宜しくお願い致します」
そう言って女将はペコリと頭を下げた。
「は、はい。わかりました」
京子は顔を赤らめながら声を震わせて言った。
純には何の事だかわからない。
「京子さん。約束の事って何ですか?」
純が聞いた。
「あ、あの純さん。私、これからお風呂に入ってきます。少し、長くなるかもしれません。もし、長くなるようでしたら、先にお食事、食べて下さいね」
純は驚いて聞き返した。
「ええー。どういう事なんです。京子さんと一緒に夕食、食べるの楽しみにしていたんですよー」
純は仰天して京子を見た。
「あ。京子さん。お友達には言ってなかったんですか?」
女将が聞いた。
「え、ええ」
京子は顔を赤くして小声で言った。
「あ、あの。純さん。今日の夕食は、私、××会社の人達と御一緒することになっているんです。純さんがよろしかったら、一緒に来て下さい。××会社の人達には、ちゃんと知らせてありますから大丈夫です」
そう言って京子は部屋を出て行った。
純はなにか狐につつまれたような気分だった。
一体どういう事なのか、さっぱりわからない。
京子は芸者ではない。何で××会社の人と食事をするのだろうか、と首をひねった。
そろそろ腹が減ってきた。
遅くなってもいいから、京子と一緒に食事しようと思って待っていると、宿の女将がやってきた。
「あの。山野さん。お食事になさいますか」
「いえ。いいです。京子さんが戻ってきてから一緒に食べます」
「でも、それでは、ちょっと、かなり遅くなってしまいそうです」
「一体どういう事なんですか。なんで京子さんが××会社の人達と食事するんですか。教えて下さい」
「そ、それは・・・」
と言って女将は一瞬、言いためらった。
「それは、ちょっと説明しにくくって、申し訳ありません。てっきり山野様も御存知の事かと思っておりました」
女将は言いにくそうにつづけて言った。
「あの。山野さん。もし山野様がお望みであれば、××会社の人達と御一緒にお食事なさいませんか。京子様も向こうの方も、いっこうにかまわない、と言っておられます」
「そうですか。では行きます。どういう事なのかさっぱりわからないと気持ちがすっきりしません」
純は強気の口調で言った。
「では、ご案内いたします。ちょうど今から××会社様のお食事が始まりますので」
と女将が言ったので純は女将についていった。
ある大きな客室の前で女将は立ち止まった。
「失礼いたします」
と言って女将は戸を開けた。純も、
「失礼します」
と一礼して部屋に入った。
「ああ。君。君も遠慮しないで、うんと食べて極上の味を楽しんでくれたまえ」
と一人が言った。
部屋には××会社の人達が、浴衣を着て夕食を待っていた。
すぐに二人の給仕が台車にのせられた大きな船の形のものを運んできた。ちょうど人間の身長ていどの小さな木製の船のようである。白い布がかかっていて何かわからない。給仕は台車を外して、船のようなものを畳の上に据え置いた。
「お待たせいたしまた。では、始めさせていただきます」
と言って給仕は白い布をとった。
純はびっくりした。
船の中には丸裸の京子が、まるで人形のように手と足をピッタリと揃えて目をつぶって仰向けになっている。そしてその裸の体には、様々な魚の切り身が隈なくきれいに盛りつけられて、のっていて、特に女の部分と乳房には、ちょうどそこを隠すようにピッチリと隙なく魚の切り身が並んでいる。
女体盛りである。純はびっくりした。どうして京子が女体盛りになっているのか。純には全くわからない。船の中には京子の体の回りに魚の切り身がビッシリと並んでいる。
給仕は酒や箸や皿を船の回りに並べた。さらに補充用に色々な魚の切り身が並べられている大皿を置いた。
「では、どうぞ、ごゆっくりお楽しみ下さい」
そう言って給仕は正座して深く頭を下げると、台車と白い布を持って部屋から出て行った。

給仕がいなくなると、男達は、ひひひ、と笑いながら船に近づいてきた。
「こりゃー絶世の美女だ。うんと味わおうぜ」
「でもこうまで、きれいに盛りつけられていると、魚を食べてしまうのが勿体なくなるな。しばらく、食べずに、とっくりと観賞しようか?」
「切り身をとったら、すぐに、そこを補充すればいいじゃないか。そうすれば、女体盛りの美しさは変わらずに、食べる事が出来るじゃないか」
「なるほど。名案だ。おい。みんな。魚の切り身をとったら、すぐに同じ物をそこに置け」
おう、と言って、皆は箸を持って、京子の体の上に乗っている魚の切り身をつまみだした。
「醤油はここがいいな」
一人がそう言って、へその窪みに醤油を注いだ。皆はニヤリと笑った。
一人が京子の乳房の上に扇状に並んでいる鯛の切り身をとって、京子のへその醤油をつけて口に入れた。
「うーん。美味い。最高の味だ」
そう言って彼は嬉しそうに食べた。
京子は人形のように目をつぶって、じっとしていたが、頬が紅潮し、かすかに体がピクンと動いた。
「おや。お人形さんが動いたぜ。不思議だな」
一人がそんな揶揄をした。皆はどっと笑った。
皆も京子の体の上の刺身を箸でとって、食べ出した。
「うーん。刺身に美女の味が浸み込んでいて最高の美味だ」
一人が感心したように言った。
男達は乳房や上半身の上の刺身をどんどん、摘みとって食べていった。
刺身をとられて、乳房があらわになりだした。
「これもおいしそうだな」
男の一人が言って、京子の乳首を箸で摘んで引っ張った。
餅のようにペッタリ胸に貼りついていた乳房がつられてもち上がった。
「ああん」
京子は眉を寄せ、小さな喘ぎ声を出した。
ふふふ、と男は笑った。
胸の刺身が無くなると男達の視線は、次に京子の腿の付け根の女の部分に向かった。
京子の女の部分は、刺身が隙なく並んでいて、女の部分は刺身によって隠されて見えない。
それが、よけいエロティックさを醸しだしていた。
男達はゴクリと唾を呑み込んで、そっと、そこの刺身をつまみだした。
京子の体が少しピクンと震えた。
だんだん女の部分が露わになってきた。
そこは女体盛りのため、毛がきれいに剃られていて、女の割れ目がくっきりとあらわれていた。
「ふふ。ここは醤油ではなく、女の汁をつけて食べた方がいいな」
男の一人がそう言って、つまんだ刺身を京子の女の割れ目に、しっかりと擦りつけた。
「ああん」
京子は眉を寄せ、小さな喘ぎ声を出した。
男はニヤニヤ笑いながら、刺身を口に入れた。
「うん。極上の味だ」
男は満足そうに言って、ゴクンと呑み込んだ。
「さあ。お前達も遠慮しないで食べろ。うまいぞ」
男に言われて、他の者達も、刺身をとって、京子の女の割れ目に、擦りつけて食べ出した。
「うん。女の味と匂いが浸み込んでいて最高だ」
男達は笑いながら、女体盛りを満喫した。
男達は、もう女の割れ目といわず、乳房や首筋や好きな所に、とった刺身を擦りつけては食べた。そして体に乗っている刺身が少なくなると、どんどん大皿の刺身を補充した。
「お嬢さん。あなたも食べなよ」
一人がそう言って刺身を京子の口に持っていった。
「ほら。アーンして」
京子は、言われて目をつぶったまま、口を開いた。
男は京子の口に刺身を入れた。
京子は、そっとモグモグと咀嚼してゴクンと呑み込んだ。
「ふふ。どうだね。自分の味の浸み込んだ刺身の味は?」
男は、そんな揶揄をした。
京子は真っ赤になった。
男達は笑いながら、酒も飲みだして女体盛りを満喫した。
腹が満たされると男達は、京子の乳首や唇や耳などを箸でつまんで京子の体を玩びだした。
「おっと。忘れてた。君も女人の美味を楽しみなよ」
一人が振り返って、それまで離れて正座して俯いていた純に声をかけた。
純は、もう見ていられないといった表情で、そっと立ち上がって部屋を出た。

部屋にもどった純は、座卓に座って目を閉じた。
どうして京子が女体盛りになったのか、その理由を考えめぐらしたが、どうしてもわからなかった。豪華な夕食を二人きりで向き合って食べる事を楽しみにしていた純には、何とも言いようのない気分だった。今、京子はどうなっているだろうかと想像しながら、純は目をつぶって、京子がもどってくるのを待った。

一時間くらい経って京子が浴衣に羽織を着て部屋に戻ってきた。
純と視線が合うと京子は顔を赤くした。
京子はテーブルを隔てて純と向き合って座った。
「は、恥ずかしいわ。純さんにあんな姿、見られちゃって」
京子は悪い事を見つかって教師に叱られている生徒のように、俯いて顔を赤くして小声で言った。
「京子さん。これはいったい、どういうことなんですか?」
純はすぐに聞き返した。
ちょうど教師が悪い事をした生徒を詰問するように。
「はい。説明します。私、タダで旅行をする方法はないかなって思って、ネットで探してみたんです。そしたら、ここの旅館があったんです。『容姿に自信のある女性、募集。女体盛り一回で20万円。宿泊料タダ』そう書いてあったから写真を送って応募したんです。そしたら、ぜひ来て下さい、って返事が来たんです」
純は、うーん、と唸って眉を寄せた。
「はい。20万円です」
と言って京子は札束を差し出した。
「い、いや。お金は貰うわけには行きません。それは京子さんの物です」
純はきっぱりと言った。
「じゃあ、半分っこ」
と言って京子は10万円、差し出した。
純は、首を振ってそれも戻した。
「あの団体は何なんです?」
「××会社の社員旅行の人達です。カメラには撮らないという条件で、向こうの人達も私の事は秘密という事になってるんです。だから安心です」
純はまた眉間に皺を寄せて考え込んだ。
「あ、あの。純さんの、お気にさわったかしら」
京子は小声で言った。
「そりゃあ、京子さんが多くの男達にあんな姿を、見られたかと思うと、京子さんが可哀相です」
「いいの。私、ああいう事されるとむしろ、楽しい性格だから。タダで泊まれるし、お金は貰えるし。いい事ずくめじゃない。それに、『伊豆の踊り子』のような哀愁があるじゃない」
京子はつづけて言った。
「純さんは、どんな気持ち?」
「何とも、ちょっと、素直に喜べないような複雑な気持ちです」
純は難しい顔をした。
「そういう性格だから、私、純さんが好きなんです。普通の男の人だったら、悩んだりしないわ」
「でも、何とも釈然としない気持ちです」
「じゃあ、私一人で来ちゃおうかしら。純さんのような人が見守っててくれていると私、安心なの」
純はウーンと唸って、眉を寄せた。
「でも、純さんが嫌がるなら、私、やめます」
京子は純に判断を求めるように言った。

その時、失礼します、という声がして、戸が開き、給仕が夕食を運んできた。
デラックスな御馳走である。
「わー。おいしそう」
京子は子供のように無邪気に微笑んだ。
「純さん。ちょっと遅くなっちゃってゴメンなさい。その事はあとにして、ひとまず御馳走をいただきませんか」
「そうですね」
いただきます、と言って二人は御馳走を食べ出した。
京子は、子供のように無邪気に、やたら、おいしい、おいしい、と言いながら食べた。
さっきの女体盛りのことなど、もう忘れてしまったかのようである。
純も京子の明るい表情を見ているうちに、さっきの事はひとまず忘れて京子と夕食を楽しもうという気分になってきた。
京子は刺身を箸でつかむと、純の口に持っていった。
「はい。アーンして」
京子が言うと純は目をつぶって口を大きく開けて顔を突き出した。
京子が刺身を純の口の中に入れると、純は目を閉じたままモグモグ咀嚼してゴクンと呑み込んで、目を開いてニコッと笑った。
何か、純は嬉しくなった。
「じゃあ、今度は京子さんが口を開けて」
純に言われて京子が口を開けると、純は京子の口の中に刺身を入れた。
そんなことで、気分がほぐれて、なごやかな夕食になった。

食事がおわるともう11時を過ぎていた。
「京子さん。今日は疲れたでしょう。もう遅いですし、寝ましょう」
「はい」
純が提案すると京子はニコッと笑って返事した。
二人は蒲団を敷いた。二つの敷き蒲団は隙間なく、くっつけた。そしてその上に仰向けに寝て、掛け蒲団をかぶった。純は、枕元のスタンドの電気を消した。部屋は真っ暗になった。糊の利いたフカフカの蒲団の肌触りが心地いい。いかにも日常から離れた、やすらぎの世界という気持ちである。すぐに蒲団の中で、柔らかい物が純の手に触れてきた。京子が手を伸ばしてきたのだ。純は京子の華奢な手をしっかり握った。
純にとって最高の気分だった。柔らかい華奢な京子の手を通して京子と体がつながっているような気分になった。純にとっては、こうする事が一番、嬉しかった。純は子供の頃から、男と女が結婚すると、寝る時は手をつないで寝るものだと思っていた。大人になってセックスという事を知っても純はセックスという行為に全く魅せられなかった。純は子供の頃、想像したものが最高のもので、それを大人になっても、とっておきたかったのである。女は生きた美しい人形で、ごつごつした男の体を女の体に触れ合わせるのは無粋な行為だと思っていた。そのため純は、いまだに童貞である。そんな事を考えているうちに、やがて睡魔が訪れて純は心地良い眠りに就いた。

  ☆   ☆   ☆

翌日、雀の囀りで純は目を覚ました。
昨日、あんな事をして疲れたのだろう。京子はまだ寝ていた。
髪が蒲団の上にばらけ、半開きの口からは涎が垂れ、子犬のようにクークー小さな寝息をたてている。
純は何とも言えない可愛らしさを感じた。全くの無防備である。こんな可愛い女性が、昨日のような、みじめな女体盛りをされたかと思うと、かわいそうで、出来ることなら自分が兄になって守ってやりたい、と思った。純は寝乱れている京子の掛け蒲団を、そっと肩までかけた。京子が寝ているのをいい事に、純は京子の顔をまじまじと見つめた。起きている時には人は他人を意識して、よく見せようと装う。特に女性は。しかし寝顔にはそれが無く、純は京子の寝顔から、彼女の日常の様子を見たような気持ちになって嬉しくなった。
その時、京子が目をぱっと開け、ニコッと笑って純を見た。
もしかすると、狸寝入りだったのかもしれないと思って純はあせった。
「おはよう。純さん」
京子は元気に挨拶した。
「お、おはよう。京子さん。昨日はよく眠れましたか」
純はちょっと照れぎみに挨拶した。
「ええ。ぐっすりとよく眠れました」
二人は起きて、蒲団を片づけた。
そしてフロントに電話して朝食を注文した。
すぐに給仕が朝食を運んできた。
純と京子はテーブルをはさんで、向き合って朝食を食べた。
「純さん。旅館の近くに大きな露天風呂がありますから入りませんか」
京子が言った。
純は、露天風呂と聞いてドキンとした。露天風呂がある事は知っていたが、京子の方から誘われて、どう答えていいのかわからなかった。
「え、ええ。そうですね」
純は顔を赤くして答えた。
「じゃあ、先に行っていて下さい。私は、ちょっと用事をすませた後、すぐ行きます」
そう言って京子はパタパタと部屋を出て行った。
純は緊張してドキドキと心臓が高鳴った。
温泉に来たからには露天風呂には入ろうとは思っていたが、当然、京子とは別々に入るものだと思っていた。だから海水パンツも持って来ていない。だが、入る、と言った以上、入らないわけにはいかない。
純は旅館を出て、脱衣所で浴衣を脱ぎ、タオルで前を隠して湯に入った。
入ってしまえば、タオルと湯の揺らめきで、体はかなり隠せる。
京子はどんな格好で来るかと思うと、純の心臓はドキドキした。
水着を着て来るか、それとも・・・。
水着だと、純は裸でタオルだけなので恥ずかしい。
やはり水着でなく、裸で来て欲しいと思った。
そう思って待っていると、脱衣所から京子がやって来た。
一糸纏わぬ裸で、小さなタオル一枚で乳房と秘部を覆っている。
丸裸の体を小さなタオル一枚で覆っているという、極めて扇情的な姿である。
純は思わず興奮して下腹部が膨張した。
それは、もちろんエロティックな姿ではあるが、つつましい女の恥じらいの美しい姿だった。長い黒髪を湯に濡れないよう、まとめて上げているのも、なんとも言えない趣が感じられた。
京子は足先から、そっと湯に入った。
「あー。気持ちがいい」
京子は肩まで湯に浸かるとニコッと笑って言った。
「そ、そうですね。気持ちいいですね」
純は焦りながら言った。
京子は首だけ出して、体は湯の中なので、湯に隠れてはっきりとは見えないが、湯の中で、裸の体の前をタオル一枚で覆っている姿は、周りの自然と溶け合って、何とも言えぬ風情のある官能的な美しさをあらわしていた。

その時、ドヤドヤと裸の男達がやってきた。
昨日の××会社の男達である。
「ふふ。あなたが露天風呂に行くのを一人が見つけましてね。一緒に入ろうと思ってやって来たんです」
そう言って男達はドボン、ドボンと湯の中に入っていった。
京子と二人きりで、何もかも忘れて風情のある心地良い官能を楽しめると思っていた純は、無粋な男達の突然の参加にじゃまされて、幻滅した。
「あー。いい湯だ。極楽。極楽」
男達は嘆息した口調で言った。
「湯も自然もいいが、こんなきれいなお嬢さんが一緒にいてくれる事の方が、もっと極楽だな」
一人が笑って言った。
男達の視線は京子に集中している。
京子は顔を赤らめて胸の前のタオルをギュッと握りしめた。
男達は湯の中を両側から京子を取り囲むように近づいていった。
「お嬢さん。昨日は楽しかったよ」
男達は笑いながら言った。
「あー。温泉に来ると気分が開放的になるな」
そう言って一人の男がザバッと立ち上がった。
男の物は隆々と怒張してせり上がっていた。
あたかも京子に見せつけるように。
京子はとっさに顔をそらしたが、顔は真っ赤になっていた。
「お嬢さん。昨日はありがとう。楽しかったよ」
そう言って両側の二人の男が京子と体が触れ合わんばかりに近づいた。
京子は真っ赤になってタオルをギュッと握りしめた。
「ふふ。実に瑞々しいきれいな肌ですね」
そう言って両側の男が京子の体をさわった。
あっ、と京子は反射的に声を出した。
両側の男は湯の中で京子の手をつかんで自分の方に引っ張った。
タオルが離れ、体の覆いがなくなった。
両側の男は片手で京子の手首をおさえ、もう一方の手で、そっと京子の豊満な乳房をさわった。両手をつかまれているため、逃げようがない。
「あ、ああっ。や、やめて下さい」
京子は思わず叫んだ。
だが両側の男はやめようとしない。
「ふふ。まあ、そう固いこと言わなくてもよろしかろうが。温泉は裸同士のつき合いじゃ。もっと開放的になりなされ」
片方の男が言った。
「あんたも女体盛りを自分から申し込むほどだから、本当は嬉しいんじゃろ」
もう片方の男が言った。
「女体盛りには20万円、払ったんだからな。これくらいのサービスはしてくれてもいいじゃろ」
最初に言った男が言った。
二人はニヤニヤ笑いながら、だんだん遠慮なく、湯の中で京子の乳房を揉んだり、太腿に手をつけて、付け根の方に這わせていった。
「ああー」
京子は眉を寄せて叫んだが、両手をつかまれているため、どうしようもない。
両側の男は、湯の中で京子の胸や恥部や尻など、京子の体を思うさま触りまくった。
その度、京子は、ああー、と悲鳴を上げた。
両側の男は興奮に耐え切れず鼻息を荒くしだした。
「ほれ。お嬢さん。これを触ってみなされ」
そう言って片方の一人が、つかんでいた京子の手を自分のマラに触らせた。
もう片方の男も、同様に、笑いながら京子の手を自分のマラに触らせた。
京子は湯の中で男のものを触れさせられて真っ赤になった。
だが京子は腕をつかまれているため、逃げようがない。
「さあ。お嬢さん。今まで、触ったから今度はあんたが触る番じゃ。しっかり握って、やさしく、さすっておくれ」
もう逃げようがないと観念したのだろう。京子は、言われたように両側の男のマラをつかむと、ゆっくりしごき出した。
みるみる二人の男のマラは怒張しだした。
「あ、ああっ。いいっ。も、もっと激しく」
言われて京子は、華奢な手で、つかんでいるマラを激しくしごいた。
「あ、ああー。い、いいー。で、出るー」
一人の男が叫んだ。
「待った」
回りで見ていた男の一人が言った。
「湯の中では、はっきり見えないよ。二人だけで楽しんでいるのを見てても面白くない。立って、俺達に、いくところを見せてくれ」
他の男達も、そうだ、そうだ、と囃し立てた。
「そうだったな。つい、調子に乗って、わしらだけ楽しんでしまって、すまなかった」
京子の横の男は、男達にペコリと頭を下げた。
そして間近の京子の顔を見た。
「さあ。お嬢さん。立っておくれ」
そう言って両側の男はザバッと湯から立ち上がり、京子の腕を二人して持ち上げて京子を立たせた。
京子の裸の体の全て、豊満な乳房、女の恥ずかしい所の割れ目が、丸見えになった。
男達は、おおー、と歓声を上げた。
二人の男のものは、天狗の鼻のように隆々と怒張してせり上がっている。
「さあ。お嬢さん。つづきをやっておくれ。皆にもしっかり見せるように」
言われて京子は、両側の男の怒張したマラを華奢な手でつかむと、ゆっくりとしごき出した。
両側の男は、興奮して息を荒くしながら、京子の胸を揉んだり、首筋にキスしたり、女の割れ目を触ったり、割れ目に指を入れたりした。
片方の男が、尻をキュッと締め、全身をピクピク震わせ出した。
「あ、ああー。で、出るー」
男は野獣の咆哮のような声を張り上げた。
次の瞬間、男の怒張したマラの先から白濁した液体がピュッ、ピュッと堰を切ったように飛び出した。白濁した液体は大きな放射線を宙に描いて、湯の中に落ちた。
もう一方の男も、
「ああー。いくー」
と叫んで、白濁した液を放出した。
二人は、力尽きてガックリしたように京子から離れて、湯の中に座った。
見ていた男達は、裸で立っている京子を見てゴクリと唾を呑み込んだ。
「よし。今度は俺たちの番だ」
そう言って男達は立ち上がって、裸の京子の所に行き、寄ってたかって、胸を揉んだり、首筋にキスしたり、怒張したマラを京子の女の割れ目にくっつけたり、丸出しの尻やまんこを触ったりと、京子の体を思う存分、玩んだ。
男達は怒張した自分のマラをガッシリつかんで、京子の裸を見ながら、激しくしごき出した。
「あ、ああー。で、出るー」
男達は叫んで、京子の体に向けて白濁した液体を放出した。
裸で立っていた京子の体に男達の放出した精液がペチャリ、ペチャリとくっついた。
京子の体は男達の精液まみれになった。
男達は全員が溜まっていたもの出してしまうと、ふー、と、ため息をついた。
「ありがとう。お嬢さん。楽しかったよ」
そう言って男達は湯から上がって、ゾロゾロと旅館に戻っていった。

黙って見ていた純は、裸を見られるのも気にせず、湯から立ち上がって、ザブザブを湯を掻き分け、裸で立っている京子の所へ行った。
そして、ガッシリと京子の肩をつかんだ。
「京子さん。旅館にもどりましょう」
純は力強く言った。
「はい」
京子は素直に返事した。
二人は湯から上がると、それぞれの脱衣場にもどって、浴衣を着て羽織をはおった。

部屋にもどると、純は黙って蒲団を敷いた。
「さあ。京子さん。着ている物を脱いで裸になって、この上に寝て下さい」
純は命令的な口調で言った。
「はい」
京子は、羽織を脱ぎ、浴衣を脱いで、一糸纏わぬ丸裸になった。そして蒲団の上に仰向けに寝た。純も羽織を脱ぎ、浴衣を脱いで、丸裸になると、京子の上に覆いかぶさった。
純は京子の首筋にキスし、乳房を揉み、恥部を触った。そして、乳首を口に含み、ペロペロ舐め、歯で軽く噛んだ。
「ああん」
京子は喘ぎ声を出した。だが純はかまわず、狂ったように京子の体を手の指から、足の指まで、体中を舐め回した。そしてうつ伏せにして、尻を舐め、尻の割れ目を開いて尻の穴まで舐めた。そしてまた仰向けにした。京子は目を閉じていた。純は京子の閉じた唇に自分の唇をつけた。そして、舌を京子の口の中に入れた。京子も舌を出してきた。二人は舌をからめあった。そして京子の唾液を吸った。京子の口からは粘々した唾液があとから、あとから、とどまることなく出てきたが、純はそれを、もらさず呑んだ。
そして、キスしながら、乳房を揉んだり、乳首をつまんだり、まんこの割れ目に指を入れたりした。京子のまんこからは、粘々した液体が出てきて、愛撫する度、クチャクチャ音がし出した。
「ああん。気持ちいいわ。純さん」
京子は、鼻にかかった声で言って、両手を純の背中に回して純を抱きしめた。
純も京子を、がっしりと抱きしめた。
しばし、抱きしめあったまま、二人はキスしていたが、純は、そっとほどいた。
「さあ。京子さん。足を開いて下さい」
「はい」
純に言われて京子は膝を曲げて足を大きく開いた。
閉じ合わさっていた京子の女の割れ目も、それにつれて開いた。
そこは粘ついた女の分泌液でネバネバしていた。
純は、怒張した男の棒をそこに近づけた。
「京子さん。入れますよ」
「はい」
純は京子の女の割れ目の襞をそっと、手で広げ、怒張した肉棒を女の穴に入れた。
京子の女の穴は、男を迎える液体で粘ついていたので、肉棒の挿入は容易だった。
純は怒張した肉棒を京子の女の穴の奥まで入れた。
同時に京子の女の穴の入り口がキュッと純の肉棒を締めつけた。
「ああっ。気持ちいいっ」
京子は忘我の表情で言った。
純は、ゆっくりと腰を前後に揺すった。
純は粘膜が擦れあう快美な快感に、だんだん興奮が激してきた。
出そうで出ないもどかしい快感に純は、うっ、と苦しげに顔をしかめた。
純は、自分の体の中にあるものを、全部、京子の体の中に放出したい欲求に突き動かされて、腰の蠕動を一層、激しくした。
京子の穴は純の蠕動にともなって、周期的にヒクヒク収縮しはじめた。
「京子さん。一緒にいきましょう」
「ええ」
純は肉棒の蠕動を一層、速めた。
「ああー。いくー」
京子が叫んだ。
「ああー。出るー」
純が叫んだ。
純の肉棒の先から、体内に溜まって澱んでいたものが、一気に京子の体の中に放出された。
同時に京子も、ああー、と叫んだ。
二人は同時にいった。
純は、体内の男の液体を全部、出し切ると、棒を穴から引き抜いた。
それは京子の愛液でヌルヌル濡れていた。
純は京子の体の上にがっくりと倒れ伏すようにのしかかった。
「純さん。私、幸せ」
京子が言った。
「僕もです」
純が言った。
二人はしばし、かるく抱き合ったまま快感の余韻に浸っていた。
「さあ。京子さん。起きましょう」
「ええ」
純はティッシュペーパーで、粘ついている京子の女の穴を拭いた。
そして、自分の肉棒のぬめりもティッシュペーパーで拭いた。
「京子さん。風呂に入って体を洗ってきましょう」
「ええ」
二人は浴衣に羽織を着て、旅館の中の風呂に分かれて入り、性交による汗や精液をきれいに洗い流した。そしてまた部屋にもどってきた。
二人は座敷の上に座り込んだ。
「京子さん。有難う」
純はやさしい口調で言った。
「いえ。お礼を言うのは私の方です」
京子は照れくさそうに俯いた。
「いえ。僕が鈍感でした。京子さんの気持ちがわからなくて」
純は語り出した。
「昨日の女体盛りもそうですが、京子さんは、わざと僕に裸を見せて困らせるような事をしましたが、その理由が、わかりませんでした。でも、さっき、京子さんが露天風呂で、男達に弄ばれているのを見てやっと、わかったんです」
と言って純は語りだした。
「京子さんは、僕が煮えきれない態度なので、僕に嫉妬させて、僕に、京子さんと裸で抱き合いたいという気持ちを起こさせたいと思ったんですよね」
「え、ええ」
京子は顔を赤くして小声で答えた。
「やっぱり。京子さんの計画通りです。僕は、彼らに弄ばれている京子さんを見て、激しく嫉妬しました。見知らぬ男達に弄ばれてしまうくらいなら、いっそのこと、僕が抱いてしまいたいとメラメラと燃えるような気持ちが起こってしまっていました。僕も何かふっきれた気持ちです」
純はニコリと笑った。
「そ、そうです。その通りです。あ、あの。純さん。・・・私、どうしても処女は、純さんに・・・と思ってたんです。女って、どうしても処女は自分の一番、好きな人にあげたいんです」
京子は小声で言った。
「そうだったんですか。僕も発見しました。男と女の肉体のつながりは、単なる物理的なものであるということを。男と女の本当のつながりは、精神的なつながりだ、と、わかったんです。僕は一生、童貞を守るつもりでしたが、京子さんのような素晴らしい人に童貞を捨てることが出来て最高に幸せです」
純は誇らしげに言った。



平成21年2月10日(火)擱筆

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義母と少年 (小説)

2020-07-06 23:09:53 | 小説
義母と少年

純は内気な少年である。友達など一人もいない。純は学校が終わると、野っ原で遊び出す子供たちをそよに、一人自分の部屋へ入るのである。そして机の奥から一冊の本を出すのである。それはオールカラーの豪華版SM写真集だった。18禁の本なのになんで純がその本を持っているかというと、ある時、駅のトイレに入った時、紙袋が置いてあった。ので、中を開けてみるとその本が三冊あったのである。純は狂喜して喜んだ。純は書店に行く度、書店の隅の一角にあるSM写真集をうらやましそうに横目でチラッと眺めていたのである。
「ああ。ほしい。あの本がほしい」
純は心の中で羨望の言葉を繰り返した。純はその写真集が咽喉から手が出るほどほしかったのである。
その夢が叶ったのである。純は急いでパラパラッと、その本をめくってみた。美しい女が裸にされて、縛られて、さまざまな奇態な格好にされている。その写真集は純の期待通りのものだった。家に持ってかえって、じっくり見ようと思い、純は大切そうにその本をカバンの中にしまってトイレの水を流し、トイレを出た。

家に着くや純は大急ぎで階段を駆け上がり、部屋へ入り、カバンからその本をとりだした。30人もの美しい女性が一人六ページほど、裸にされて、さまざまな奇態な格好に縛られている。純は興奮のあまり鼻息を荒くしながら、時間のたつのも忘れ、食い入るように見た。それぞれの女性に個性があった。後ろ手に縛められて柱につなぎとめられ、悲しそうな顔で項垂れている女性。天井から手首を縛られて吊るされ、かろうじて足首を伸ばして爪先立ちして苦しい姿勢に眉を寄せて、泣きそうな表情で耐えている女性。畳の上に裸を後ろ手に縛められ、片足を天井に吊るされている女性。その他、皆、実にバリエーションにとんだ奇態な恥ずかしく、苦しいポーズに縛められている。純は興奮して鼻息を荒くしながら見つづけた。
「純さん。お食事が出来ましたよ」
母親が階下から呼んだ。純は本を引き出しの奥に入れ、階下に降りた。父親はいない。父親は三ヶ月前から会社の海外支社に一年間の出向になったのである。夕食はカレーライスだった。純は母親と向かい合わせに食卓についた。
「今日は純さんの好きなカレーライスにしました」
母親は微笑して、純の皿に御飯を大盛りによそって、カレーをたっぷりかけた。二人は、いつものように何も話さず黙って食べた。この母親は純の産みの親ではない。純の産みの母親は純が小学一年生の時に事故で死んでしまったのである。今の母親は、半年前に父親が再婚した女である。純はいまだにこの母親に心が開けない。他人感覚である。内気で人見知りの激しい純には、むしろそれは当然といってもいいだろう。再婚の母親は、はじめの頃、何とか純に心を開いてもらいたいと思い、精一杯純に尽くした。しかし純は心を開かない。優しく話しかけても、話し下手な純は緊張してしまうばかりで、疲れてしまっているのが見てとれた。これでは純がかわいそうだと思って京子は無理に話しかけるのを止め、自然に接し、純が心を開いてくれるのを気長に待とうと考えを変えたのである。

だから純と京子が二人で向き合って食事をしても、会話はほとんど無いのである。

今は純は、あの本のことで頭がいっぱいだった。早く食事を済ませて部屋に戻り、あの本をじっくり味わいたかったのである。急いで矢継ぎ早にカレーライスをかき込んでいるものだから、京子はクスッと笑った。
「純さん。そんなにあわてないで、もっとゆっくり召し上がったら」
だが純は京子の忠告など頭に止まらない。矢継ぎ早にカレーライスをかき込みつづける。カレーライスを食べおわると水をゴクゴク飲み、フーと一息ついた。京子はそんな純を見てクスッと笑った。京子は冷蔵庫から小皿を二つ持ってきて、それを食卓の上にのせた。
「はい。純さん。デザートのフルーツポンチです」
純は、あたかも飲み込むようにそれを一瞬で食べた。そして一目散に二階に駆け上がった。デザートを食べながら楽しく会話したいと思っていた京子は一人とり残されて、寂しそうな顔で自分のつくったフルーツポンチを食べた。

部屋に戻った純はすぐに引き出しを開けてベッドに乗り、本を開いた。本を開いた純の心臓はバクバクした。その夜、純は夜遅くまでその写真集を観賞した。

翌朝、机の上の目覚まし時計のけたたましい音で起きた純は、急いで机の引き出しを開けた。本はちゃんとあった。夢ではなかったのだ。純はほっと胸を撫で下ろし、写真集をパラパラッと見てから、再び蒲団をかぶって目をつぶった。大切なお守りのように本をひしっと抱きしめた。

「純さーん。朝御飯ができましたよ」
階下から京子の声がした。純は目を擦りながら階下に降り、顔を洗って歯を磨いた。食卓では京子がつつましく膝を揃え、純を待っていた。純は食卓についた。朝食は、トーストと目玉焼きとベーコンだった。純に早く心を開いてもらいたいと思っている京子は、この二人きりの食事の時が何とも言えず楽しかった。ちょうど一心に尽くしつづけ、いつか結ばれることに憧れている片想いの女が感じるくすぐったい快感に似ていた。「純さん」という呼び方も、恋人を呼んでいるようで、それも京子の心をくすぐった。

純は学校に出かけた。が、授業中もあの本の事が気になって授業など耳に入らなかった。

学校が終わると純は一目散に家へ帰った。家では京子が掃除していた。
「お帰りなさい。純さん。純さんの好きなフルーツ蜜豆をつくっておきましたよ」
京子は微笑して、掃除機のスイッチを切った。だが純は返事もしないで、急いで階段を上がって、自分の部屋へ入った。純とフルーツ蜜豆を食べながら会話を楽しみたいと思っていた京子は、一人とり残されて冷蔵庫から自分のつくったフルーツ蜜豆を取り出して、一人寂しそうに食べた。

が、幸福な日々はおうおうにして長くはつづかないものである。その日、純の父親が交通事故で死んでしまったとの訃報が入ったのである。まさに青天の霹靂であった。
葬式の日、京子は何度もハンカチで涙を拭いた。

こうして京子と純の二人きりの生活が始まった。今までは離れていたとはいえ実の父親がいたため、内気な純も再婚の母親の京子と何とかやっていけた。が、父親がいなくなってしまった今、純の京子に対する人見知りはいっそう激しくなった。

ある日の夕食の時(その日は御飯と味噌汁とカキフライとサラダだった)黙って黙々と食べている純に京子は顔を赤くして遠慮がちに話しかけた。
「・・・あ、あの。純さん。お父さんが死んでしまって、これから二人きりで生活していかなくてはならなくなってしまいましたが、仲良くやっていきましょうね」
純は答えず、黙ってカキフライにタルタルソースをつけて食べた。キャベツにはブルトックソースをかけて。トマトにはドレッシングをかけて。御飯にはのり玉のふりかけをかけて。食べおわると純は黙って部屋へ戻った。一人残された京子は、さびしそうに自分のつくったカキフライにタルタルソースをかけて食べた。

京子はいつも純が学校に行っている間に純の部屋を掃除していた。
ある時、コンパスが部屋の隅にあったので、仕舞っておこうと思って、そっと引き出しを開けた。マンガが一杯積んであった。京子はいけないと思いつつ、好奇心から、そっとそれを取り出した。すると引き出しの奥にカバーがかけてある本が三冊積んであった。京子はそれを取り出して、そっとその本をめくってみた。京子はびっくりした。それは、どぎついSM写真集だった。京子は、そっとページをめくってみた。京子は真っ赤になった。美しい女性が裸にされ、さまざまな恥ずかしい格好に縛められている。京子は興奮して心臓を高鳴らせながら、時のたつのも忘れ、写真の裸にされて緊縛された女性達を食い入るように見た。
「ああ。純さんに、こんな趣味があったなんて。でも考えてみれば当然の事だわ。性欲の芽が激しく噴き出す年頃だもの。でもSMとは」
京子はそっと本を元通り、引き出しの中にしまった。

その日以来、京子は純と顔を合わせると顔がほてってカタカタと手が震えてコップをこぼしたり、納豆にソースをかけたり、おかしな粗相をするようになった。つい純が自分をどう思っているか、気になってしまうのである。
「純さんは、私をどう思っているのかしら」

京子の官能の悩みは日増しに激しくなっていった。夫に性の喜びを教えられて、それに目覚めたとたんに捨てられてしまったようなものである。その夫に対する想いが今度は純に移ってしまったのである。純には、まぎれもなく夫の血が流れている。そもそも顔からして、ぱっちりした瞳、引き締まった顎。きりっと引き締まった唇。それらに亡き夫の面影がはっきりと現われている。
「ああ。純さん。写真なんかじゃなく、私でよければ、私を性欲の対象にして」
京子の純に対する想いはどんどん激しくなっていった。
純が学校に出かけた後、京子は洗濯に出された純のパンツや靴下を持って、純の部屋へ行き、服を全部脱いで丸裸になって、純のパンツに鼻を当て匂いをかぎながら、
「ああ。純さん」
と切ない喘ぎ声を出した。そして額縁に入った純の写真を畳の上に立てて、犬のように四つん這いになって、すぼまった尻の穴を純の写真の方に向け、
「ああ。純さん。見て。京子のみじめな姿をとっくり見て」
と叫ぶのだった。

京子の部屋は純のとなりである。京子は夜も純の写真を枕元において、それを見ながら純のパンツを握りしめて寝るようになった。時々、パンツを鼻に当てては匂いをかいだ。

京子の悪戯はどんどん激しくなっていった。TバックやTフロントなどのエロチックな下着を買ってきて、その上にスケスケのネグリジチェを着て寝たり、昼間、パンティーだけでベッドに布団もかけずに横たえるようになった。戸を少し、わざと開いておいた。純に見られることを願って。

京子は姿見の鏡を壁に立て、戸の隙間から京子の体が全部、見えるようにした。
ある時、それは日曜の午後だった。京子は白のパンティーとブラジャーだけの姿でベッドの上に横たえていた。トントントンと純が階段を昇ってくる音がした。バタンとドアが閉まる音がした。京子はさびしく残念に思った。が、しばし時間がたっても全く物音がしない。ベッドに寝たのなら、寝返りをうつ時の衣擦れや、ベッドが軋む音が聞こえるはずだがそれもない。部屋に全く人のいる気配が感じられない。もしや、と思って京子はそっとほんのわずか、薄目を開けて、一瞬チラッと鏡を見た。京子は吃驚した。心臓が破裂するかと思うほど。純が戸の隙間から京子をじっと見つめていたのである。

京子は、純がいない間に、居間で裸になって、自縛するようになっていた。
京子はSMショップで、色々なSMグッズを買うようになった。その中に、手錠があったので、京子は買った。縄では、すぐ解けるので、拘束感がなく、より強い刺激を求めて、京子は手錠を買った。それは、手錠を数字ロックでつなげたもので、何とか自分で解ける拘束具だった。京子は、前で手錠をしてみて、暗証番号で、解く事ができた。京子は、だんだん強い刺激を求めるようになり、背中で手錠をしてみた。ぎりぎり余裕があって、背中で手鍵をしても、自分で数字の所をいじって、解くことが出来た。京子は、興奮して、純がいない時、裸になって、後ろ手に手錠をするようになった。

ある時、いつものように、裸になって背中で手錠して被虐の妄想に耽っていた。居間の柱を背にして両手を柱の後ろに廻して手錠をした。ちょうど柱に縛りつけられた、みじめな姿になるために。目の前には純の秘蔵のSM写真集が広げられている。そろそろ純が帰ってくる時間になったので京子は手錠を解こうと、数字ロック錠を回した。が、はずれない。京子はあせった。数字はあっているのに、はずれない。何が原因か、わからないが、故障してしまったらしい。京子はあせった。が、どうしてもはずれない。時間はどんどん過ぎていく。
こんな所を純に見つかったら、大変である。
ともかく早く、何とか、はずさねば。
あせっているところに純が、帰ってきた。
「ああっ」
京子は、絶望の声を上げた。純は、裸で、後ろ手の京子の姿を見て驚いている。
裸の京子の前には、純の秘蔵のSM写真集が置かれている。純は真っ赤になった、
「ご、ごめんなさい。純さん。純さんの大切な本を勝手に持ち出してしまって」
京子は顔を真っ赤にして謝った。純は京子の前に散らかっているSM写真集を急いで拾うと、一目散に二階に駆け上がった。
夜になった。純がそっと、二階から降りてきて、戸の陰から、京子の方を時々、チラッ、チラッ、と眺めている。

それに気づいた京子は、純に声をかけた。
「純さん。ごめんなさい。夕御飯がつくれなくなってしまって。机の中にお財布がありますから、今日は、外食で許して下さい。純さんの好きなものを何でも召し上がってきて下さい」
純は言われたとおり、財布を持って家を出た。
純は直ぐに戻ってきた。コンビニで買った寿司を持っている。純は食卓について、寿司を食べ始めた。時々、視線がチラッ、チラッ、と京子の方へ行く。京子の腹がグーと鳴った。純は、ためらいがちにモジモジしていたが、寿司を持って、裸の京子の所へ行った。そして、寿司に醤油皿につけて、そっと京子の口に持って行った。
「ああ。純さん。私にも食べさせてくださるのね。ありがとう」
京子は、そう言って、口を大きく開けた。純は京子の大きく開いた口の中に寿司をそっと入れた。京子は、モグモグ噛んで、飲み込んだ。
「ああ。純さん。ありがとう。こんな変な事になってしまったけど、純さんが私に親切にしてくれたのは、はじめてだわ。私、幸せです」
純は黙って、寿司を全部、京子に食べさせた。

「あ、あの。純さん・・・」
京子は言いためらっている。
「あ、あの。純さん。洗面器を持ってきて下さいませんか」
京子は、言って真っ赤になった。純は風呂場から、洗面器を持ってきた。
「じゅ、純さん。お願いです。み、見ないでください」
言われて、純は居間を出た。純が見ていないのを確認すると、京子は急いで洗面器をまたいで腰を屈めた。すぐにジョロジョロと音が出始めた。

しばしして、純がためらいがちに、戻ってきた。
京子は、真っ赤な顔でうつむいている。京子の前の洗面器には、黄色がかった液体が並々と満たされている。純は、それをトイレに捨ててきた。
「あ、あの。じゅ、純さん。あ、ありがとうございます・・・」
京子は恥ずかしげに言った。
「あ、あの。じゅ、純さん。洗面器を持ってきていただけないでしょうか」
言われて純は洗面器を持ってきて、京子の前に置いた。

翌日。純がためらいがちに降りてきた。うつむいている京子の横の洗面器は、小水でいっぱいだった。純はそれを持って、トイレに捨ててきた。
純はトーストと紅茶を用意した。それができると、純はお盆にトーストと紅茶を載せて、京子の所へ持っていった。紅茶からは、湯気が出ている。純はトーストにバターと苺ジャムをつけて、紅茶には砂糖とミルクを入れて。
「ああ。純さん。ありがとう」
食べおわって、京子は恥ずかしそうに頬を好調させている。

「じゅ、純さん。もう、こんな醜態を晒してしまったので、正直に言います」
と言って、京子は語りだした。
「私、純さんと二人になってから。毎日、純さんに想いを寄せていました。ある日、純さんの机の中のSM写真集を見つけてしまって。純さんがいない時に黙ってこっそり、見ていました。ごめんなさい」
京子の目は涙で潤んでいた。純は黙って聞いていた。
「じゅ、純さん。純さんが私をどう思っているか、私にはわかりません。でも純さんが望むのであれば、こんな事にしてまったお詫びも兼ねて、私をうんといじめて下さい。私は純さんの言う事には、絶対服従する純様の忠実な奴隷になります」
純は黙って聞いている。京子は、恥ずかしそうに顔を真っ赤にして声を震わせて言った。
「あ、あの。私の本心は、純さんに、いじめられたくてしかたがないんです」
その日、純は鍵屋に電話して、鍵屋が来て、京子の手錠は、解かれた。

それから数日後の光景。
丸裸の京子が、天井から吊るされ、足首を真っ直ぐ、伸ばした爪先立ちで、体をプルプル震わせている。京子の恥毛は、きれいに剃られている。そして、そこにはピンク色のハート型のワッペンが貼られていた。その前では、純が裸の京子をじっと見ている。
純は、そっと、ピクピク震えている京子の足首を濡れタオルで丁寧に拭いた。
「ああ。純様。ありがとうございます」
純は、そっと、京子の踵の形を鑑賞するように、眺めたり、触ったりしている。
「純様。画鋲を撒いて下さい」
言われて純は、京子の足元に画鋲を撒いた。もはや、京子は爪先立ちから、踵を降ろす事は出来ない。
「純様。棒で突いて下さい」
言われて純は京子の尻を棒で突いた。
「ああっ。いいっ」
京子は被虐の悲鳴を上げた。
「純様。体に洗濯バサミをつけて下さい」
言われて、純は黙って、京子の体に洗濯バサミをつけた。
「ああっ。いいっ」
「純様。幸せです。もっと、もっと京子をいじめて下さい」

こうして京子は純のSM写真集にある、色々なみじめなポーズで責められる事が、日課になった。純もだんだん、慣れてきて、京子をいたぶる事にためらいを感じなくなった。
京子が、風呂に入っている時に、京子の服や、バスタオルをとってしまって、京子が胸と恥部をおさえて困るのを楽しんだり、京子が寝ている間に、そっと裸にして、いたずらしたりと、するようになった。

二人は、楽しく幸せに暮らしている。

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再婚 (小説)

2020-07-06 22:54:31 | 小説
再婚

純は心根のやさしい少年である。だが性格が内気なため友達がいなく、いつも一人で遊んでいた。純の宝物はSM写真集だった。純は父親との二人暮らしで、父親にはSM趣味があった。純の母親は純が幼い頃、死んでしまったのである。純の父親は大学付属病院に勤める内科医である。純の父親にはSM趣味があったため、押し入れにはSM写真集が山のようにあった。そのため、純は父親のSM写真集を、そっと持ってきて、自分の部屋で、こっそり見ていた。一時間も二時間も時の経つのを忘れて。写真集には、裸にされた女が縛られて様々な恥ずかしい格好にされていた。純はいつも写真の世界に入ってしまっていた。丸裸で縛られて辛そうな表情の女性がいると、つい声をかけてしまった。
「お姉さん。痛くない」
純はそんな風にやさしく話しかけた。すると写真の女性が純に話しかけてきた。
「つらいわ。恥ずかしいわ。純君。お願い。縄を解いて」
だが純は、女性に助けを求められると、躊躇してしまうのだった。
「で、でも。かってに縄を解いてもいいんですか」
「お願い。純君。私、こんな格好されるの死にたいほど辛いの。縄を解いて」
写真の女性が訴えると純は、すぐに尻込みしてしまった。
「で、でも、僕もかってに縄を解いたら叱られちゃいそうで怖いんです」
そう言うと写真の女性は、
「そう。残念だわ。でも、それじゃ仕方がないわね」
と、ガックリしたように諦めた。純は気が小さい弱い少年を装って、尤もらしい事を言ったが、実はそれは純の本心ではない。純は実は、惨めな姿の女性が、本当にかわいそうで、助けてあげたいと思っていたのだが、縛られている女性の縄を解きたくなく、その姿のままの女性をじっと眺めていたいと思っていたのである。純には、そういう狡い性格があったのである。

そんな、ある日、吉報がもたらされた。
「純。喜べ。新しいお母さんが来るぞ」
ある日の夕食の時、父親が嬉しそうに言った。純は無口で内向的で感情を素直に表さず、仮面をかぶっていたので、無感動を装っていた。だが心の中では、ドキンと心臓が高鳴った。純は新しい母親が来るのが待ち遠しくなった。

その週の日曜日。
純が二階の自室にいると、階下から父親か大声で呼んだ。
「おーい。純。降りて来い」
言われて純は、そっと階下に降りた。
居間のソファーに父親と和服姿の女性が掌を膝の上に乗せて、慎ましそうに座っている。
「おい。純。座れ」
父親に言われて純はソファーにチョコンと座った。
「新しいお母さんの静子さんだ。どうだ。きれいだろう」
父親は豪放に笑って言った。
「純君ですね。静子と申します。これから純君のお母さんにならせてね。よろしくね」
そう言って女性は純を見てお辞儀した。
「き、きれいだ」
純は思わず心の中で言った。
「じゅ、純です。よろしく」
純はペコリと頭を下げて挨拶した。純は父親と静子が話すのを黙って聞いていたが、間の悪さを感じて純はトイレに行ったついでに二階に上がってしまった。

その日から三人の生活がはじまった。
純が学校から帰ってくると、掃除していた静子は、純を見つけると掃除機を止めてニコッと笑った。
「おかえりなさい。純君」
「ただいま」
「おやつを作っておいたから食べて」
純は食卓についた。
「あ、あの。ど、どうして父と」
純が聞くと静子はニコッと笑った。純は静子のつくったクッキーを食べて、二階の自室に行った。

その日の夕食。
「さあさあ。ビーフシチューが出来ましたよ」
そう言って静子は父親と純を呼んだ。二人は、やって来て食卓についた。食卓には静子の作ったビーフシチューの鍋があり、美味そうな湯気をたてていた。純は椅子に座った。親子三人の楽しい夕食がはじまるはずだった。だが父親は立ったまま静子に言った。
「さあ。四つん這いになりなさい」
えっ、と静子は驚いて立ち竦んだ。
「さあ。四つん這いになるんだ」
父親は呆然としている静子を力づくで床の上に押し倒して四つん這いにさせた。そしてドッカと背中の上に座った。静子は華奢な手を突っ張って、背中の父親の体重の重さのため、その手はプルプル震えていた。父親は、ビーフシチューの鍋を開けて、皿にたっぷりよそい、ズーズー音をたてて食べ出した。
「うん。コクがあって美味い」
そう言って父親はパクパク食べた。純は、俯いて両手を膝の上に乗せて黙っていた。
「おい。純。せっかくの美味いシチューが冷めるぞ。お前も食べろ」
そう言って父親は、純の皿にビーフシチューをたっぷり装い、ジャーからホカホカの御飯を大盛りに椀に入れて、純の前に差し出した。純は目の前のシチューをそっと食べ出した。テーブルにはフルーツの乗った野菜サラダがあった。父親は、シチューをおかわりして、貪欲にムシャムシャ食べた。
「あ、ああー」
四つん這いの静子は、とうとう耐え切れず、叫んだ。だが父親は静子の上に乗っていることなど、全く考えてもいない、といった様子で、余裕で食後のワインを飲み、タバコを吸った。
「あー。美味かった」
そう言って父親は静子から降りて、隣の椅子に座った。
「おい。純。静子も腹が減っているだろう。シチューを静子の前に置いてやれ」
言われて純は静子の皿にビーフシチューをよそい、それを静子の顔の真下の床に置いた。
「ほら。手を使わず、四つん這いのまま、犬のように食べろ」
静子は、言われたように、四つん這いのまま、顔を皿に近づけて自分の作ったビーフシチューを肉を口に咥え、スープを啜って食べた。それは犬のようだった。純は静子がかわいそうで見ていられなく、急いで部屋にもどった。

その日の夜。父の部屋からは、「ああー。許してー」という静子の叫び声が聞えてきた。
父親が静子に、どんな事をしているかと思うと、純はとても寝られなかった。

翌朝。静子は降りてこなかった。
「静子さんは」
「静子は、疲れて、今、ぐっすり寝ているから休ませてやっている」
純が疑問そうな顔をしていたので父親はそう説明した。トーストとコーヒーと、昨日の残りのサラダで食事をして、純は学校に出かけた。だが、学校でも静子の事が気になって仕方がなかった。
学校が終わると純はすぐに家に帰った。

家について、そっと戸を開けると、何と居間に丸裸の静子が手首を縛られて、天井の梁に吊るされていた。爪先立ちの足指がプルプル震えている。体は汗まみれである。
「静子さん」
「あっ。じゅ、純君」
静子は純を見つけると顔を真っ赤にしてピッチリ太腿を閉じ合わせた。純はカバンを置いて静子の前に駆け寄った。
「静子さん。いつから・・・」
と言いかけて純は言葉を切った。
「父が出かける時に、こうしたんでしょう」
「え、ええ」
「じゃあ、朝から、ずっとこのままなんですか」
「は、はい」
食卓の上には、何かの領収書があった。
「クーラー清掃代一万円」と書いてある。

「クーラーの掃除の人が来たんですね」
「え、ええ」
「い、何時です」
「午後の二時頃です」
「じゃあ、その格好を見られちゃったんですね」
「え、ええ」
「クーラーの掃除はどのくらいかかりましたか」
「い、一時間くらいです」
静子は顔を真っ赤にして言った。
「とにかく縄を解きます。一日中、立ちっぱなしで疲れたでしょう」
そう言って純は椅子を静子の前に置き、その上に乗って、静子の手首の縄を解いた。
「ありがとう。純君」
静子は自由になると、急いで部屋の隅にあったパンティーを履きブラジャーをつけた。そしてスカートを履きブラウスを着た。静子と純は食卓についた。
「ありがとう。純君」
静子は再び礼を言った。

「静子さん。驚いたでしょう」
「何が」
「何がって・・・」
と純は顔を赤くして言いためらった。
「クーラーの掃除の人も父が呼んだんですよ」
純が言っても静子は黙っている。
「父にはSM趣味があるんです」
「ええ。知ってるわ」
「え。どういう事ですか」
純は驚いて目を皿のようにして静子を見た。
「結婚する前にあの人が言ってくれたの。自分はサドだけれど、それでもいいかって」
純は驚いた。
「それで、静子さんは何と言ったんですか」
「嬉しいって言ったの。私もマゾの性格が少しあって、サドの相手を求めていたの、って言ったの」
「そうだったんですか」
「でも父は鬼のようなサディストで、女の人を恥と苦痛の限界までおとしめようと思ってますよ」
「こ、こわいわ」
「でも私、耐えます」
「純君。あ、あの・・・」
「は、はい」
「私の惨めな姿を見ても笑わないでね」
「は、はい」

その時、純の携帯がピピピッと鳴った。父親からのメールだった。それにはこう書いてあった。
「今日は遅くなる。夕飯は出前のピザでも注文しろ。ピザ屋の電話番号=045-×××―××××」
純は顔を上げた。
「静子さん。今日は、父は遅くなるそうです。出前でも注文するように、とのことです」そう言って純はメールを静子に見せた。
「あの人、本当は、やさしい人なんだわ。今日、私が疲れている事を思いやってくれているんだわ」
静子は嬉しそうに言った。
「じゃあ、私、掃除するわ」
そう言って静子は、掃除機で床を掃除し出した。
純は二階に上がって部屋に入った。勉強しようと机についたが、さっき見た静子の裸の緊縛姿が何度も頭に写し出されてきて、とても勉強など手につかなかった。そして、あせって下着を履いている姿も。純のマラは激しく勃起していた。純は、ベッドに寝転がった。今日の昼、裸の静子が吊るされている居間でクーラーの掃除人が、クーラーを掃除している、姿が色々と想像されてきて、激しく純は興奮した。わざとゆっくり時間をかけて、時々、裸の静子をそっと盗み見て、ニヤリと笑い、静子は顔を真っ赤にして太腿をモジつかせている姿が、ありありと鮮明に浮かんできて、純は、激しく興奮した。階下でトイレの戸の締まる音が聞えた。静子がトイレに入ったのだ。純は急いで階段を降りて、洗濯機の横にある洗濯籠から、静子のパンティーとブラジャーを取って、急いでまた、階段を上がって自室に入って鍵を締めた。純は座って、静子のパンティーをしげしげと眺めた。二重底の所に鼻先を当て、そっと嗅ぐと、女の体臭特有の匂いがする。そこに静子の女の部分が触れていたと思うと純は、堪らなくなるのだった。ブラジャーも、そこに静子の豊満な乳房が収まっていたと思うと、純は堪らなくなるのだった。
「ああー。静子さん。好きだー」
純は、そう言いながら、貪るように静子のパンティーを鼻に当てて、匂いを嗅ぎながら、激しく怒張したマラを扱いた。

そうこうしている内に日が暮れだした。
「純くーん。夕食にしましょう」
階下から静子の元気な声が聞えた。純はパンティーとブラジャーを引き出しにしまって、階下に降りた。静子は冷蔵庫から、サラダを出していた。静子は純を見るとニコッと笑った。純は静子と目が合うと、羞恥心から真っ赤になった。純は食卓についた。
「今日は、お父さんの言ったように出前のピザにしましょう。それでいい?」
「は、はい」
純はコクリと頷いた。
「じゃあ、電話するわね」
そう言って静子は、宅配のピザ屋に、ピザを二人分、注文した。静子は、コップを二つ食卓の上に置いてオレンジジュースを注いだ。

ピンポーン。チャイムが鳴った。
「あっ。もう来たのね。早いわね」
そう言って静子はインターホンを取った。
「毎度ー。ご注文のピザをお届けにあがりました」
「はい。わかりました」
静子は財布を持って玄関を開けた。
「毎度ー。ピザをお届けにあがりました」
ピザの入った箱を持った男が元気よく言った。
「早いのですね。どうも有難うございます」
静子がニコッと笑顔で言った。男は、静子の顔を見ると、咄嗟に、うっ、と全身を硬直させ、眉を寄せた。それが静子の美貌の放つ官能の悩みである事は、男のズボンの股間の所がせり上がっていることで明らかだった。静子はピザの入った箱を受け取って、代金、二千円を渡した。札を受けとる男の手は震えていた。
「こ、これからも、よろしくお願い致します」
男は声を震わせながら言って、顔を真っ赤にして去って行った。

静子はピザの入った箱を食卓に持って行った。開くと、アツアツのピザの熱気がムワッと広がった。
「美味しそうね」
「え、ええ」
静子も食卓についた。
「いただきます」
静子につられるように、純も一緒に言って、二人は食べ出した。
「美味しいわね」
「え、ええ」
純は静子を女と見ているのでコチコチである。話せば声が震えてしまう。それを察しているかのように、静子も微笑してあまり話しかけなかった。
「純君。学校は楽しい?」
「え、ええ」
「好きな女の子はいる?」
「い、いません」
いると言えば、いるのだが、それは学校の女生徒ではなかった。
「さあ。もっと食べて」
そう言って静子は純にピザを進めた。ピザの7割かたを純が食べた。純は、隣に座っている静子の、服で覆われているが、その服を押し上げて膨らみをつくっている起伏に富んだ女の体の肉感を感じて、手は振るえ、顔は紅潮し、そして激しく勃起していた。
「美味しいわね」
静子が微笑みかけた。
「は、はい」
静子に聞かれて、純は相槌を言ったが、激しい官能の悩みで、頭が混乱し、ピザの味どころか、何を食べているか、わからないほどだった。
「ごちそうさまでした」
そう言って純は、あわてて水を飲み、立ち上がった。
「純君。お風呂が沸いているわよ」
「あ、後で入ります」
そう言って純は二階にかけ上がって自室に入った。興奮で胸がドキドキしていた。

しばしして、水が簀子を打つ音が聞えてきた。静子が風呂に入ったのだ。純は、そっと浴槽の戸に耳を傾けた。ざあっ、と流れる水の音から、想像力過多の純には、静子の慎ましい入浴姿が、まるで本当に見えているかのように、頭に写しだされてしまうのだ。慎ましい女は、一人でいる時も慎ましい動作なのである。それは性格が慎ましいからである。簀子の上に、片膝を立てて腿を閉じて座り、浴槽から桶で湯を汲み、肩から、そっと体に湯をかけ、その水が前では豊満な乳房と腹を伝わって滴り落ち、後ろでは背中を伝わって、滴り落ちる、何とも言えない悩ましい美しい姿。石鹸で泡だてたタオルで、まず秘部をそっと洗い、その後、そっと豊満な乳房を、もてあますように、タオルを動かし、全身を洗う姿が、ありありと純には想像力の目で見えてしまうのである。再び、ざあっ、と流れる水の音が何回かして、止み、立ち上がって湯船の中に入る小さな水の揺らめきの音が聞えた。静子が湯船に入ったのだ。湯気のたった浴槽の中で、静子が膝を揃えて、肩まで湯に浸かり、気持ち良さそうにほっとリラックスしている静子の表情まで、純には、想像されてしまう。純は無機物である湯に対して何か複雑な思いを抱いた。それは、静子が体を任せ、心地良く、全身に適度な圧力で粘りつき、体の隙間に遠慮なく浸透していって、それに静子が身を任せていると思うと、何か複雑な気持ちになるのだった。静子が浸かっている湯になりたい、というような。

しばしして、ざっ、と水が揺れる音がした。静子が、湯船から上がったのだろう。
純は、そっと部屋にもどった。ドライアーの送風の音がして、すぐに止まった。階段を登る足音がした。静子はトントンと純の部屋をノックした。
「純くーん。お先にお風呂つかわせてもらいました」
そう言って静子は寝室に入った。純はそっと部屋を出て風呂場に入った。簀子が湿って湯気が立っている。桶にしても、タオルにしても、全て静子によって使われたのだと思うと、純は嬉しくなるのだった。純は、一度、静子に見つからないよう静子の入浴姿を見たいと思った。湯は静子の全身にふれられた物だと思うと、入ってしまうのが、勿体なく、そのまま、とって置きたいと思ったが、そうするわけにもいかない。純は体を洗うと湯船に入った。

風呂から出ると、脱衣所には静子が用意してくれた洗いたてのパジャマと下着が、畳んで置いてあった。純はそれを着て歯を磨いた。履いていたパンツを洗濯機の横の洗濯籠に持っていった。静子が今、脱いだパンティーとブラジャーがあった。純は急いで部屋にもどり、引き出しから静子のパンティーとブラジャーを持ってきて、脱ぎたての下着と替えた。そして急いで部屋にもどった。純は、静子の脱ぎたてのパンティーを顔に近づけた。それはまだ、かすかに温かみがあった。二重底の所に鼻先を当て、そっと嗅ぐと、女の体臭特有の匂いがする。そこに静子の女の部分が今まで触れていたと思うと純は、堪らなくなるのだった。ブラジャーも、そこに静子の豊満な乳房が収まっていたと思うと、純は堪らなくなるのだった。
「ああー。静子さん。好きだー」
純は、そう言いながら、貪るように静子のパンティーを鼻に当てて、匂いを嗅ぎながら、激しく怒張したマラを扱いた。

その夜、父親の帰りは、遅く純も静子も寝た後だった。
「お帰りなさい。あなた」
静子が降りて行って、酔った父を二階に連れて行き、着替えさせた。父親は布団に入ると、大鼾で寝てしまった。

夜中に、純がトイレに行くと、居間でゴソゴソ音がする。何かと思って、行くと、居間の書棚の上の剥製を、父親がいじっていた。
「お帰り。父さん」
純が目を擦りながら言った。
「しっ」
父親は人差し指を立てて口の前に立てた。
「何してるの」
「何でもない。ただの置き物だ。早く寝ろ」
言われて純は、部屋にもどって布団に入った。

翌日は日曜だった。
純と静子は、トーストとベーコンエッグとサラダとミルクの朝食をした。その後、静子は掃除機で掃除をはじめた。純は自室にもどって机について勉強した。

10時頃、父親が起きて、純の部屋をトントンと叩いた。
「おはよう。純」
「おはよう。お父さん」
遅くても日本では、おはよう、と言うのである。
「昨日は、どうだった」
「ピザを注文しました」
「美味かったか」
「うん」
「そうか。それは、よかったな」
「純。見つかってしまったから言うが、剥製の中に、昨日、超小型ビデオカメラを入れておいたんだ。母さんには言うなよ。静子に気づかれないで、静子を見るためにな。静子にきづかれないように振舞えよ。USBケーブルでつながっているから、お前のパソコンにもデータを送れるから、見せてやる」
そう言って父親は寝室にもどった。

「あなたー。純君ー。お昼が出来ましたよ」
昼近くになって、静子が階下から父親と純を呼んだ。二人は降りてきて食卓についた。食卓にはミディアムのビーフステーキがジュージュー音を立てていた。
「いただきます」
三人は食べ出した。
「うん。静子のつくるビーフステーキは最高に美味い」
父親はやさしく言った。
「そう言っていただけると嬉しいですわ」
「純。美味いな」
「う、うん」
「あー。美味かった」
和やかな食事がおわると、父親は、箱を持ってきて、おもむろに開けて、中の物を取り出した。それはT字型の黒い革のTバックTフロントのようなものだった。縦のベルトの真ん中の所に大きな男の形の物が取り付けられてあった。
「あ、あなた。な、何ですの。そ、それ」
静子は赤面して、顔を反らしがちに聞いた。
「これか。これは、リモコン式の固定式バイブレーターさ」
そう言って父親は小さなピンク色のリモコンのスイッチを入れた。ブイーンという振動音と共に、男の形の物が、ウネウネと動き出した。それは、あたかも生き物のような動き方だった。スイッチを切ると動きが止まった。
「どうだ。静子。つけてみるか」
父親は静子に聞いた。
「い、いやだわ。あなた」
静子は赤面して言った。
「しかし、面白い物だぞ。お前のムッチリした腰に取り付ければ、セクシーで似合うぞ。どうだ。つけてみるか」
「い、いいです」
「そうか。じゃあ、無理にとは言わない。気が向いたらつけてみろ」
そう言って父親は、それを箱の中にしまった。父親は純を見た。
「純。どうだ。久しぶりにテニスをしないか。コートは空きがあったから予約しておいた」純は内気で体力が無く、元気に遊べる友達はいなかった。そのため、休みの日には時々、父親が純を外に連れ出して、運動の相手をしていた。
「うん」
純は肯いた。
「じゃあ、行ってくる。静子。何か、買う物があったら、ついでに買ってくるぞ」
「ありがとう。あなた。じゃあ・・・」
と言って、静子はメモに必要な食材を書いて父親に渡した。

二人は車に乗ってテニスクラブに向かった。テニスクラブでは、おばさん達がダブルスの試合をしていた。純は体力はないが、父親と子供の頃からテニスをしていて、テニスは出来た。純は父親とグランドストロークの打ち合いをした。純も父親もフォアハンドだけである。テニスはフォアハンドのグランドストロークが、全てで、それだけ上手くなればいい、というのが、父親の自論だった。バックにきても回り込んでフォアで打ってしまえばいいし、フォアハンドのグランドストロークが出来れば、バックハンドもボレーも上手くなるから、テニスはフォアハンドのグランドストロークだけ練習すればいい、と言っていた。で、父子の気持ちのいいラリーがつづいた。時々、休んでポカリスエットを飲みながら、二時間、打ち合った。純は汗だくである。ハアハア息を切らしながらポカリスエットをガブ飲みした。
「どうだ。疲れたか」
「うん」
「よし。じゃあ、今日はこのくらいにしておこう」
そう言って二人はテニスクラブを出た。
「よし。母さんに頼まれたものを買っていこう」
車に乗り込むと父親は、そう言ってスーパーに向かった。米、野菜、魚、などメモに書かれてある物を買った。かなりの量だった。

「ただいまー」
「お帰りなさい」
家では、静子が居間で、つつましそうに父親のワイシャツにアイロンをかけていた。
「静子。買い物をしてきたぞ」
「ありがとうございます。あなた。助かりますわ」
静子はアイロンのスイッチを切った。そして卓上の袋の中の食料品を冷蔵庫に入れた。
「静子。今日の夕食は何だ」
「今日の夕食は、鮭のホイル焼きにします」
そう言って静子はキッチンで米をとぎ出した。
「今日は久しぶりに運動したから、ちょっと疲れた。一休みする」
そう言って父親は二階に上がった。純も急いで二階に上がって自室に入った。純はドキドキしながら、パソコンを起動した。再生をクリックすると、父親と外出した後の居間の様子が映し出された。
純はゴクリと唾を呑んで、それを食い入るように見た。

静子は、一人になると、躊躇いがちに食卓の上の箱をしばらく、じっと眺めていた。が、そっと手を伸ばし、箱を開けた。そしてT時型の黒い革のベルトを取り出すと、ピンクのリモコンのスイッチを押した。革のベルトの底についている男の形の物が、ブイーンという振動音と共に、ウネウネと気味悪く動き出した。静子は、顔を紅潮させながら、しばらくそれを見ていたが、やがて止めた。そして、人がいないのを確かめるように、周りを見てから、そっと食卓から離れて、カーテンを閉めた。そして、ソワソワした手つきでブラウスのボタンを外し、スカートを脱いだ。さらにブラジャーを外し、パンティーを脱いだ。丸裸になった静子は、そっと、黒い革のベルトを腰にとりつけた。丸裸の体に、褌のような革のベルトだけが、ムッチリした尻の割れ目に食い込むように、取り付けられた。その姿は、極めてエロチックだった。大きな男の形の物は、静子の中に埋め込まれている。静子は、近くにあった手鏡で、縦の革ベルトがきつく食い込んでいる自分の大きな尻を確かめるように見た。静子はそっと立ち上がった。立つと縦の革ベルトは尻の割れ目の奥に埋まって見えなくなるほどだった。静子の顔は火照って、自分のエロチックな格好に陶酔しているかのようだった。静子は、卓上のリモコンを取ると、そっとスイッチを入れた。ブイーンという振動音がし出した。「ああっ」静子は体をプルプル震わせた。体がガクガクよろめいて、ひしっと胸を押さえ、腿をピッチリと閉じ合わせた。そして自分の豊満な乳房を揉み、長い黒髪を掻き揚げた。ハアハアとだんだん呼吸が荒くなっていった。「ああー」ついに耐え切れなくなったように、ヨロヨロと歩いて食卓の上のリモコンのスイッチを切った。そしてリモコンスイッチを持って、床の上にペタンと座り込んだ。ハアハアと荒くなった息が、だんだんおさまっていった。一休みして、落ち着くと、また立ち上がってリモコンのスイッチを入れ、激しく体をよじって髪を振り乱し、「ああー」と悶え声を上げてペタンと座り込みリモコンスイッチを切った。そんな事を、数回くりかえした。
それは、あられもない女のオナニー姿だった。
数回、それを繰り返した後、やっと静子は革ベルトを腰から外した。
そして男の形の物を引き抜いた。それは粘稠な液体でべっとりしていた。静子はティシュペーパーで、丁寧にその液体を拭きとった。そして、自分の女の部分も丁寧に拭いた。静子は、ほっとしたように、パンティーを履き、ブラジャーをつけた。そしてスカートを履き、ブラウスを着た。革ベルトとリモコンスイッチは、元通り箱に入れた。静子は、しばしソファーに横になって寝て休んだ後、起き上がって、食卓の上の昼御飯の食器を下げた。
洗い物が済むと、掃除機で床を掃除し、それが終わると、アイロンをかけはじめた。
そこで純は止めた。純は興奮して勃起したマラを揉みながら食い入るように見ていた。そして早送りで、元にもどして、何度も繰り返し見た。

そうこうしている内に日が暮れた。
「あなたー。純君―。夕食ができましたよ」
階下で元気のいい静子の声が聞えた。純は部屋を出た。父親も部屋から出るところだった。父親は純を見るとニヤッと笑った。二人は食卓についた。
「さあ。今日は、鮭のホイル焼きですよ」
そう言って静子は夕食をテーブルに並べた。静子は何もなかったかのような様子である。
「いただきます」
静子も座って三人は食事をはじめた。アルミホイルを開けると檸檬の香りがむっと伝わってきた。
「うん。美味い」
「そう言っていただけると嬉しいですわ」
「今日は久しぶりに運動したから、格別に美味い」
そう言って父親は、かやく御飯をおかわりした。
「静子。どうだ。バイブレーターはつけてみたか」
「いやだわ。あなた。変なこと言わないで下さい」
静子は頬を赤らめて言った。
「そうか。本当はつけてみたんじゃないか」
「そんな事していません」
静子はきっぱり言った。
「そうか。あれをお前のムッチリした腰につければ、すごくセクシーで似合うと思うんだがな」
「いやだわ。あなた。変なこと言わないで下さい」
「俺は、あれをお前につけて、デパートに行って、少し離れた所でスイッチを入れてみたくて、仕方がないんだ。お前が人の中で、立ち止まってしまって体を振るわせる姿を想像すると、たまらなくなる」
「いやだわ。あなた。そんな変な事、食事中に言わないで下さい」
静子は顔を赤らめて言った。
「ごちそうさまでした」
そう言って純は立ち上がった。

「純君。お風呂が沸いているわよ」
静子に言われて純は風呂に入った。しかし、またビデオを見たくて、大急ぎで体を洗って、一分だけ湯船に入って、すぐに出た。
風呂から上がると純は、急いで二階に上がって部屋に入った。そして、またビデオを見た。何度見ても、興奮させられた。純は時間の経つのも忘れ、繰り返し見た。特に、静子が髪を振り乱して悶え苦しむ所を繰り返し見た。
その夜、純はベッドに入っても、ビデオを見ながら勃起したマラを揉みながら寝た。
最高に素晴らしい物を手に入れた快感に浸りながら。

月曜の朝になった。
「おはよう」
純は着替えて階下に降りて食卓についた。
「おはよう」
静子も微笑して挨拶した。食卓には、トーストとベーコンと目玉焼きとサラダが並んでいた。
「あなたー。朝ごはんですよー」
階下から静子に呼ばれて、父親が降りてきた。そして食卓についた。
「いただきます」
そう言って二人は食べ出した。静子もトーストにジャムをつけて食べようとした。その時、父親が制した。
「静子。お前は今日は朝食は食べるな」
「えっ。どうしてですか」
静子は眉を寄せて、手に持っているトーストを皿の上にもどした。
「まあ、いいじゃないか」
父親はニヤリと笑った。
「どうしても食べたいか」
「いえ。そんなことはありません」
純は何かあるな、と思った。
「昨日、久しぶりに運動したせいか、腹が減ってな。純。お前も食べろ」
そう言って父親と純は静子の分まで食べた。静子は、狐につつまれたような顔でじっとしていた。
「ところで静子。あの革のベルトだが、欲しいというヤツがいてな。お前が使わないなら、今日、会社に持っていって、そいつに貸してやろうと思うんだが、いいか」
「え、ええ」
静子は首肯したが、少しさびしそうな口調だった。
「純。はやく学校に行け。遅刻するぞ」
父親は純を見て言った。しかし、まだ、遅刻しそうな時間でもない。純は父親が何か自分を急かしているような気がした。
「行ってきまーす」
純は何か、あると思いつつ、カバンを持って学校に出かけた。

純はきっと何か、自分に知られたくない、静子と二人きりで話したいことがあるんだろうと思った。教室に入ると同級生が数人、寄ってきた。
「おい。お前の、新しい母さん。きれいな人だな」
「ああ。この前、玄関を掃除してるのを見て驚いたよ」
「体もムッチリしてて、セクシーだな。あんな、きれいな人と一緒に暮らせるお前がうらやましいよ」
「静子さん、だろ。あの人の下着、持ってきてくれよ。でなきゃ、盗んじゃうぞ」
純はそんな、ひやかしをされた。

授業が始まった。勉強熱心な純は、授業が始まると、もう静子の事は忘れて、一心にノートした。そうして、その日の午後の授業も終わった。
「おい。純。テニスやろうぜ」
テニス部の友達が声をかけた。
「いや。今日はちょっと用があるんだ」
そう言って純は、急いで家に向かった。今朝、純が学校に行った後、何かがあったか、知りたくて心が急いた。

「ただいま」
家に入ると純は大きな声で言った。静子が出てきた。
「お、お帰りなさい」
静子は何かソワソワした様子だった。
「純君。おやつがあるわ」
そう言って静子は冷蔵庫からチーズケーキを出した。
「部屋で食べる」
そう言って、純はチーズケーキを持って、急いで部屋に駆け込んだ。ドアをロックして、ほとんど飲み込むように、チーズケーキを食べた。
そして、急いでパソコンを起動した。予想通り、今日の映像が入っていた。今朝、純が学校に行っている間の静子の一人の様子を隠し撮りしたものである。純は再生をクリックした。

映像は、ちょうど純が出かけた後からだった。純はゴクリと唾を呑んで食い入るように見入った。

食卓で静子と父親が向き合っている。
「あなた。どうして、朝ごはん、食べさせてくれなかったの」
「お腹がすいているのか」
「いえ。そんなことはありませんが、ただどうしてかなって思って・・・」
「お昼をおいしく食べるには、腹をすかしておいた方がいいだろう」
「え、ええ。そ、それは、そうですけど・・・」
父親は、立ち上がって箱から革の手錠を取り出した。
「これも一昨日、買ってきたSMグッズだ。丈夫な革のベルトの手錠で、手首を縛ったり、解いたり出来るんだ」
「い、今、そんな物を出してどうするんですか」
静子は、少し脅えた表情で言った。父親は答えず、椅子を持ってきて乗り、天井の梁に縄を結びつけた。
「さあ。静子。服を脱ぎなさい」
「ど、どうして」
「いいから脱ぐんだ」
「わ、わかったわ。な、何かするのね。脱ぎます。でも、あまり怖いことはなさらないで」そう言って静子はブラウスのボタンを外し、ブラウスを脱ぎ、ついでスカートも脱いだ。静子は豊満な胸を覆うブラジャーと、大きな尻を覆うパンティーだけになった。
「こ、これもとるんですか」
静子は、ブラジャーのホックに手をかけて聞いた。
「いや。それ以上はいい」
言われて静子は、ほっとした表情になった。
「さあ。手を出しなさい」
父親が言った。静子は、両手を前に差し出した。父親は静子の両方の手首に革の手錠をかけた。そして、椅子に乗って、手錠のかかった手首を持ち上げ、天井から垂れている縄に結びつけた。父親は椅子から降りて、椅子を食卓にもどした。そして静子をしげしげと眺めた。静子はブラジャーとパンティーだけで、吊るされている。
「あ、あなた。今、こんな事してどうするの。これから出勤するんでしょう。それとも今日は休みなの」
「いや。これから出かけるよ」
「じゃあ、私はどうなるの。このまま一日中、この格好でいるの。また純君に、この姿を見られちゃうわ」
「いや。大丈夫だ。昼過ぎには自由になれる」
「ど、どういう事なの」
静子は怯えた表情で父親に聞いた。だが、父親は答えず、食卓の椅子に座って、紙に何かをサラサラと書いた。そして、それを逆さまにした。何が書いてあるか、静子には見えない。
「な、何を書いたの」
静子が聞いたが父親は答えない。父親はネクタイをキュッと締めて、スーツを着た。
「それじゃあ、オレは出かける」
そう言って父親はカバンを持った。
「ま、待って。お願い。このまま一日中、この格好でいるの、つらいわ。許して。それに、純君に見られるのも恥ずかしいわ」
「だから大丈夫だって。昼過ぎには自由になれる。純が帰って来た時には、服を着ていられる。それじゃあな」
「ま、待って。どういう事なの。教えて」
さかんに訴える静子を無視して父親は出かけていった。後にはパンティーとブラジャーだけで吊るされている静子がのこされた。静子は黙って立ったまま寂しそうにしている。置時計の針が10時をさした。

ピンポーン。チャイムが鳴った。静子は、はっと身を竦めた。
「毎度―。ご注文のピザをお届けにあがりました」
インターホンから大きな声がした。静子は手をギュッと握りしめた。2~3分の沈黙の時間が経った。
「毎度―。ご注文のピザをお届けにあがりました」
返事がないので、再びインターホンが鳴った。静子は手をギュッと握りしめた。
「寝てらっしゃるんですか?失礼致します」
そう言って配達の男が、ピザの箱を持っておずおずと家に入ってきた。居間の真ん中に両手を吊るされている、パンティーとブラジャーだけのムッチリした静子を見つけると途端に男は、ホクホクと夷顔になった。

「いや。これは、これは。奥さん」
そう言って男は静子に近づいた。
「み、見ないで」
静子は途端に腿をピッチリ閉じ、真っ赤になった顔をそむけた。男はピザの箱をテーブルの上に置くと、テーブルの上に置いてある紙を手にとった。
「ふむふむ」
男はニヤニヤ笑いながら手紙を見た。
「あ、あの・・・」
「何ですか」
「あ、あの。それに何て書いてあるんですか」
「知らないんですか?じゃあ、読みましょう」
そう言って男は読み出した。
「ピザを食べさせてあげて下さい。本番とキス以外、何でも可。最後に手錠は解いて下さい」
男は紙を裏返して静子に見せた。静子は真っ赤になった。
「ご主人にはこういう趣味があったんですね」
男はそう言って、箱を開け、アツアツのピザを静子の口に持っていった。
「さあ。食べて下さい」
静子は小さな口を開けて食べた。男は静子が食べるのをさも嬉しそうな顔つきで眺めた。「さあ。もう一口」
一切れ食べおわると、男は次の一切れをちぎって静子に食べさせた。
「も、もう、いいです」
静子がそう言ったので男はピザの箱の蓋を閉じた。
「美味しかったですか」
「は、はい」
男はしばしパンティーとブラジャーだけに覆われた静子のムッチリした体をしげしげと眺めていた。が、
「では、本番とキス以外、何でも可。とありましたので、お言葉に甘えて」
と言って静子を後ろから抱きついた。
「ああっ。やめてっ」
静子はいきなり抱きつかれて声を出した。だが男は酩酊した顔つきで静子の髪を嗅いだり、体を弄りだした。
「ああー。奥さん。素敵な匂いだ」
「ああ。素晴らしい、おっぱいだ。お尻もムッチリしていて最高だ」
男はブラジャーの上から静子の豊満な胸を揉み出した。
「ああー。お願い。や、やめてっ」
男はだんだん興奮しだした。
「ああー。奥さん。好きだー」
「奥さん。私は、この前、奥さんを見た時から、メロメロだったんです」
男は、静子のパンティーを撫でさすった。そしてブラジャーに手を入れて乳首をコリコリさせた。
「ああー」
男は念入りに、静子の体を触った。そして、ゆっくりと焦らすようにパンティーの中に手を入れた。
「ふふ。奥さん。ネバネバしてますよ」
「い、いやー」
男は痴漢のようにパンティーとブラジャーの中に手を忍び込ませ、念入りに弄った。
「ああー。奥さん。私は、奥さんを、こういう風に痴漢したくて、たまらなかったんです。まさに夢が叶って幸せです」
男は一方的に話した。
「奥さん。デリバリーの仕事をしていると、すごくストレスがたまるんです。注文した人がきれいな人だと、やりきれなく悩ましくなるんです」
「ああっ。もう我慢できない」
そう言って男は静子のブラジャーとパンティーを降ろした。静子は一糸纏わぬ丸裸になった。静子は真っ赤になった。
「み、見ないで」
だが男は、静子の前に屈み込んで女の部分に顔を近づけた。
「ああっ。も、もう我慢できない」
そう言って男は急いでズボンとパンツを脱いだ。男のそれは、はち切れんばかりに怒張していた。男はマラを握って激しく扱き出した。
「あ、ああー。で、出るー」
大量の白濁液がほとばしり出た。男はガックリと首を落した。
「奥さん。どうもありがとうございました」
男はティッシュペーパーで床に飛んだ白濁液を拭いた。そして、急いでパンツとズボンを履いた。そして静子にパンティーを履かせ、ブラジャーをつけた。男は椅子に乗って、静子の縄を解き、手錠を外した。
「どうも、ありがとうございました」
自由になった静子は、ガックリと床に倒れ伏した。
「どうもありがとうございました。今日は僕にとって最高の日です。またよろしくー」
そう言って男は去って行った。しばし静子はじっと床に寝ていたが、やっと起き上がって、スカートを履き、ブラウスを着た。静子は疲れ果てたようにガックリとソファーに横になった。

純はそこで止めた。
純は興奮したが、何とも複雑な気持ちだった。
「ただいま」
ほどなく父親が帰ってきた。
「お帰りなさい。あなた」
父親は、急いで二階に上がって自室に入った。ビデオを見るためである事はあきらである。

純は机について勉強した。日が暮れてきた。
「あなたー。純君。食事が出来ましたよ」
階下から静子が呼んだ。

その日の夕食の時も、静子は別段、変わった素振りを見せなかった。父親は静子を見てニヤッと笑った。静子は口数が少なく、疲れているように見えた。

その日の夜中。
純はなかなか寝つけなかった。父親の部屋で、ヒソヒソと話し声が聞えてきた。純は足音を忍ばせて、部屋の戸に耳を近づけた。
「あ、あなた。もう、今日のような事は許して下さい。ピザのデリバリーもあなたが、呼んだんですよね」
「何をされた」
「は、恥ずかしくて言えません」
「縄は解いてもらえたのか」
「え、ええ」
「じゃあ、純には、恥ずかしい姿を見られなくて済んで、よかったじゃないか」
「あなた」
「何だ」
「でも、ちょっと感じてしまったんです。あなたは結婚してから一度も私を抱いてくれないんですもの。本当のこと言うと私、毎日、体がモヤモヤしちゃってるんです。どうして抱いてくれないんですか」
「ははは。すまん。夫婦生活で緊張感を保ちつづけるために、君には触らないんだよ。それは、お前があまりにも綺麗で、お人形さんのようだから、触るのが申し訳ないんだよ」
「じゃあ、何でピザのデリバリーの人には、私を弄んでもいいと言ったんですか」
「・・・・」
「やっぱり、あなたの性欲の形は普通の人と変わってて、自分の性欲の形でしか興奮できないんだわ。純君も言ってたけど、あなたは異常性欲者でサディストなのね」
「性欲の形が変わっていても、君を愛している事には変わりないよ」
「でも私、頭がおかしくなっちゃいそうですわ」
「すまん。・・・。ところで、数日前に、決まったんだが、俺は、アメリカに行く事になった」
「ええっ。いつ行くんですか」
「明日だ。もうパスポートもとって用意は全て出来ている」
「何でもっと早く言ってくれなかったんですか」
「すまん。何となく言い出しにくくて」
「どのくらいの期間、行かれるのですか」
「一年だ。一年したらもどってくる。浮気しないでくれよ」
「しません。それよりも、あなた。くれぐれも気をつけて。アメリカは治安が悪いでしょう」
「ああ。ありがとう。まあ、せいぜい気をつけるよ」
「じゃあ、明日、成田まで見送りに行きますわ」
「留守中、純の面倒をたのむよ」
「ええ」

純は抜き足差し足で、そっと部屋にもどって布団をかぶった。父親が明日からいなくなる、ことを突然知らされて、純は吃驚した。だが、そうなると、これから一年間は静子と二人きりの生活になる。そう思うと純は、激しく興奮しだして勃起した。

ジリジリジリ。低血圧の純は目覚まし時計の大きな音で起こされた。
「純くーん。朝御飯ですよー」
しばし布団の中で縮こまっていた純は、静子に呼ばれて、着替え、階下に降りた。食卓では、すでに父親と静子が座って待っていた。父親の横には大きなアタッシュケースがあった。
「おはよう」
純は目を擦りながら挨拶した。
「おう。純。おはよう」
「おはよう。純君」
今日は、御飯と味噌汁と焼き鮭だった。
「いただきます」
純が食卓に着くと、すぐに朝食がはじまった。
「おい。純。オレは今日、アメリカに行く。一年間だ。母さんを頼むぞ。仲良くやるんだぞ」
父親は味噌汁を啜りながら言った。
「うん」
昨日、聞いて知っていたが、純は、こんな唐突な事を言われる事には慣れていた。
「あなた。見送りに行きますわ。飛行機は何時に出るのですか」
「午後一時半だ。だから正午少し前に家をでる」
「純君。じゃあ、私、成田に行くわ。純君が学校からもどってくる前には帰っていると思うわ」

「行ってきまーす」
二人の会話をよそに食事が終わると純は学校に出かけた。
教室に入ると、友達のAが声をかけた。Aの父親は整形外科クリニックの開業医だった。
「純。お前の父さん。今日からアメリカに行くんだろ」
「うん。何で知ってるの」
「オレの親父も純の父親の同級生だからなら。こういう話題はすぐに広まるんだ」

その日の授業も、特にこれといって変わった事なくおわった。
「おい。純。今日は部活、サボるなよ」
友達に言われ、放課後はテニス部の部活で練習した。家に近づくにつれ純の心臓はドキドキしだした。家には灯りがついている。
純がそっと戸を開けると、静子が笑顔で出迎えた。静子は何か嬉しそうである。
「お帰りなさい」
「ただいま」
純は返事をすると、そそくさと二階に駆け上がった。

「純くーん。御飯ですよ」
階下から静子が呼んだ。食卓には手をかけた豪華な料理が並んでいた。
「純君。これから二人きりの生活になることになったけれど、よろしくね」
「ぼ、僕の方こそ、よろしく」
純はぎこちない返事をした。静子は、嬉しそうに色々な話題を、話しかけてきたが、純は、「はい」と「いいえ」だけのお座なりの返事を返した。
「ご、こちそうさまでした」
と言って純は、急いで食事を掻き込んで二階に上がった。

純は部屋に入った。心臓がドキドキ高鳴っておさまらない。純は静子を隠し撮りしたビデオを見た。純はSM写真集を取り出して、緊縛されたモデルと見比べて、緊縛された写真のモデルの女のように静子を裸にして様々な格好に緊縛したいと思った。

その思いは日ごとに強まった。父はいない。静子と二人だけである。静子と会うと純は顔が真っ赤になった。話すと声が震えてしまうので純は静子と、ほとんど話せなかった。静子は、何もかも、純の気持ちを分かっているといったようなゆとりの微笑で純を見た。そして無理に純に話しかけようとしなかった。

だが純の、静子を縛りたいという欲求は日に日に激しくなっていった。
ある日の夕食の時。
「純くーん。御飯ですよー」
静子に呼ばれて、純は階下に降りた。

台所の静子の後ろ姿を見ているうちに、純にムラムラと欲情が起こってきた。もう純は自分の劣情を抑えられなくなった。純は、縄を持ってくると、静子に後ろから近づいた。そして、いきなり静子の両手を背中にねじりあげて、背中で手首を縛り上げた。一瞬の出来事だった。
「あっ。じゅ、純君。なっ。何をするの」
「ご、ごめんなさい」
そう言いながら、純は静子の手首を縛り上げてしまった。相手が、子供の、しかも義理の子である純であるためだろう。静子は、抵抗しなかった。純は静子を縛り上げると、静子の縄尻をとって、柱に縄尻を縛りつけた。静子は黙っている。純に羞恥の念が起こってきて純は真っ赤になった。
「ご、ごめんなさい。静子さん。いきなり乱暴な事しちゃって」
「いえ。いいのよ」
静子は微笑して言った。何もかも分かっているといった表情で。
「あ、あの。静子さん。ぼ、僕、一度、静子さんを、こうして縛りたかったんです。僕も父と同じで、サディズムの性格があるんです」
純は赤裸々な告白をした。
「いいわよ。何をしても。純君は紳士だから怖くないわ。むしろ、こうやって、純君が心を開いてくれた事が嬉しいの。さあ。何でもして」
純は、静子の胸を震える手で、そっと触った。
「ああっ。柔らかい。温かい」
そう言って純は静子の胸に顔を埋め、静子を抱きしめた。そして尻をスカートの上から触ったり、髪の毛をクンクン嗅いだりした。
「ああっ。幸せです。静子さん」
純は静子を抱きしめて叫んだ。
「ふふ」
静子は、余裕の笑いをした。
「ねえ。純君。御飯が冷めちゃうわ。御飯を食べましょう。縄を一度、解いてくれない。御飯を食べた後、また、私、今と同じように純君に縛られますから」
「あ、あの。静子さん」
「なあに」
「このままで静子さんに食べさせたいんですが、いいでしょうか」
「ええ。いいわよ」
静子はニコッと笑って言った。純は食卓から、食事を盆に載せ、静子の前に持ってきた。夕食はカレーライスだった。
「じゃあ、食事にします」
そう言って純はカレーライスをスプーンですくって静子の口に持っていった。
「さあ。アーンと口を開けて」
静子は大きく口を開いた。純がカレーライスを静子の口に入れると、静子はモグモク口を動かした後、ゴクリと飲み込んだ。
「ああっ。いいっ」
静子の様子を見ていた純は興奮して思わず叫んだ。
「ふふ。純君。こういうの、好きなのね」
静子はニコッと笑った。
「まるで押し入り強盗に捕まってしまったみたい。強盗も人質に食事は食べさせるでしょうけど、こんなに、時間をかけて、優しく食べさせてくれるかしら」
そう言って静子は、「ふふふ」と笑った。
「子供の強盗ごっこみたいで、面白いわ。純君も食べて」
「僕は後で食べます」
そう言って純はカレーライスを全部、静子に食べさせた。
「静子さん」
「なあに」
「もう、こんな事やっちゃったから、言いますが、僕は女の人の自由を奪って、人形のようにすることにすごく興奮するんです。僕も父と同じように変態なサディストなんです」
「いいわよ。何をしても。私、純君のお人形さんになるわ」
静子はニコッと笑って言った。純は縛られて自由のきかない静子を、鼻息を荒くしながら抱いたり、体を揉んだりした。
「純君」
「はい」
「純君も御飯を食べて。冷めちゃうわ」
「はい」
純は立ち上がって食卓に着き、冷めかかったカレーライスを食べた。柱に縛られて座っている静子を楽しげに眺めながら。
「静子さん」
食べおわると純は静子に話しかけた。
「なあに」
「お風呂に入ってきていいですか」
「ええ。いいわよ」
純は風呂に入った。ゆっくりと時間をかけて湯に浸かった。風呂から出て、柱に縛られて座っている静子を見ると純は、たまらなく嬉しくなった。自分は静子の自由を奪っているという実感で。時計を見るともう10時を過ぎていた。
「純君。もう今日は遅いから、このくらいにしない。明日は祝日だから、このつづきは明日しましょう。明日もまた私、縛られるわ」
「はい。じゃあ、縄を解きます」
そう言って純は静子の縛めを解いた。
「じゃあ、私もお風呂に入るわ」
そう言って静子は、立ち上がって風呂に入った。純は部屋に入って布団にもぐりこみ、心地良い快感に浸りながら寝た。

翌日は祝日で学校は休みだった。
パジャマ姿で降りてきた純は、静子を見てびっくりした。静子は、パンティーとブラジャーが透けて見える、スリップ姿だったからだ。
「おはよう。静子さん」
「おはよう。純君」
純は興奮して心臓がドキドキした。食卓に着くと静子が語り出した。
「あ、あの。純君。聞いてくれる」
「は、はい」
静子があらたまった口調で語り出した。
「私、結婚してから、ずっとモヤモヤした気持ちに悩まされていたの。だって、あの人は、結婚してから一度も私を抱いてくれないんですもの。セックスは勿論、手さえ握ってくれなかったの。それで変わった方法で、エッチな事するでしょ。まるでわざと私を苦しめるかのように。実際、私は、どうしようもない淫乱な気持ちになってしまっていたの。純君。お願い。私のこの、モヤモヤ気持ちを助けて」
「ど、どうすればいいんでしょうか」
「夜の生活で、いえ、夜の生活いがいでも私の夫になってくださらない。ちょうど真さんもいなくて、二人きりですもの。実を言うと私、真さんがアメリカに行く、と聞いた時から純君に目をつけていたの」
「は、はい。わかりました。実を言うと僕も、静子さんを、ずっと母親ではなく、一人の女と見てモヤモヤしていたんです」
「ありがとう。純君」
静子はそっと手を伸ばして純の手をとり、自分の豊満な胸に触れさせた。純は真っ赤になった。
「純君。来て」
静子は純の手を引いて二階の静子の寝室に入った。布団がまだ敷かれている。
「さあ。布団の上に寝て」
言われて純は、布団の上に、仰向けに寝た。静子は座ると純のパジャマのズボンを降ろした。
「あっ」
純は思わず声を上げた。
「な、何をするんですか」
純の狼狽にかまわず、静子は、純のズボンを降ろして抜き取り、次にパンツも降ろして足から抜き取った。純は、恥ずかしい所を丸出しにされて、思わず両手で覆った。
「ああっ。静子さん。何をするんですか。恥ずかしいです」
「ごめんね。純君。私、もう我慢できないの」
そう言うや、静子は純の太腿をペロペロ舐めだした。
「ああっ」
純の、おちんちんは、激しくそそり立った。
「純君。手をどけて」
プルプル震えている純の手を静子は、そっと剥がした。純は激しく勃起した自分のマラを目の前で静子に、まじまじと見られていることに真っ赤になった。
「あっ。は、恥ずかしいです。静子さん」
「いいわあ。素敵だわ。男の人の物って」
そう言ってしばし、静子は丸出しの純のマラを、しばし、まじまじと眺めていた。が、顔をさらに近づけて、勃起したマラをペロペロ舐めだした。そして口にカポッと含んで、ゆっくり動かしたり、玉をペロペロ舐めたり、口に含んだりした。
「ああー」
純は、甘い感覚に声を出した。
「ああー。いいわっ。純君。淫らな私をうんと笑って。でも、これでやっとモヤモヤがはれたわ。純君は私の夫だもの」
そう言って静子は純のマラを口で往復させつづけた。純は体内から何かが出る気配を感じた。
「ああー。で、出るー」
静子は手の中で純の玉を揉みながら、口の往復運動をつづけた。
「ああー。で、出るー」
ついに純は激しく射精した。静子は、それをゴクリと飲み込んだ。
「純君。気持ちよかった?」
「は、はい」
「これがフェラチオというものなの。夫婦のセックスでは、みんなやってる事なの」
そう説明すると、静子は、また純のマラや金玉を、飢えた野獣のようにペロペロ舐めだした。元気な純のマラは、また直ぐに勃起しだした。

「さあ。純君。今度は私を抱いて」
そう言って静子は下着が透けて見えるセクシーなスリップの体を布団の上に横たえて目をつぶった。全てを純にまかすかのように。静子の下着姿を目の前で見るのは純には、初めてなので、ドキドキしながら、じっくり眺めた。それは極めてセクシーだった。お洒落なブラジャーとパンティーが、スリップの上から透けて見える。ことさら男を挑発するような。長い美しい艶のある黒髪がばらけ、大きな乳房はブラジャーで包まれ、パンティーは、ピッチリと腰部に貼り付いて、形よく小さな盛り上がりを作っている。腰はキュッとくびれ、ムッチリした大きな太腿が、それにつながっている。まるで美しい人形のようである。それを自由に触れられると思うと、純は、ますます興奮し、勃起した。静子が目を瞑っているのをいいことに、純はゴクリと唾を飲み込んで、しげしげと静子の体を、特に太腿やパンティーによって出来ている小高い盛り上がりの部分などをしげしげと眺めた。そして顔を、鼻が触れそうになるほどまでに近づけた。その時、静子が、パッと目を開いた。
「あん。純君。見てないで抱いて」
静子は、もどかしそうな口調で言った。
「はい」
言われて純は、そっとスリップを開き、セクシーな下着の上から胸や女の部分や太腿などを、そっと触った。静子の反応は無く、全てを純に任せているといった感じだった。静子の反応がないので、純は遠慮なく、静子の全身を隈なく触りまくった。そして、ブラジャーにそっと手を忍び込ませたり、パンティーの盛り上がりをつまんだり、パンティーの縁に手を忍び込ませたりした。純の年頃には、それが一番、興奮する行為だった。純はもう鼻息を荒くして、激しく勃起していた。
「純君」
静子が目を開けた。
「純君。大人のセックスは、そんなんじゃないわ」
そう言うと静子はスリップを脱ぎ、ブラジャーを外して放り、パンティーも降ろして足から抜き取った。これで静子は一糸纏わぬ全裸になった。
「さあ。私の体の上にのって」
そう言って静子は純の手を掴んで引いた。純は言われたように、静子の体の上にのった。
「重くないですか。静子さん」
「ぜんぜん大丈夫」
純は、まるで柔らかい肉の布団の上にのっているような心地良い感じがした。純の目の前にはきれいな静子の顔がある。
「純君。キスして」
そう言って静子は口唇を突き出した。言われて純は自分の口唇を静子の口唇にピタリとくっつけた。何か、大人になったような気がした。キスをするのは純にとって、これが初めてだった。しばし口唇が触れ合う心地よい感覚にボーとしていたが、静子が舌を純の口の中に入れてきた。純は驚いて舌を引っ込めた。
「純君」
「は、はい」
「純君も舌を伸ばして私の口の中に入れて。そして、舌と舌を絡めあうの」
「は、はい」
純は静子に言われたように、舌を伸ばした。二人の舌が触れ合った。コロコロと静子の舌が純の舌を触りまくる。
「さあ。純君もして」
言われて純は、無我夢中で静子の舌を舐めた。だんだん純は、舌を絡めあうのが感触が何ともいえず気持ちよくなってきた。純の唾液はネバネバしてきた。純は無我夢中で静子の舌を舐めた。かなりの時間、二人はキスをつづけて、舌を舐めあった。かなりして、静子がそっと純を引き離した。
「ありがとう。純君。今度は私を思い切り抱きしめて」
言われて純は両手を静子の背中に廻してギュッと静子の体を抱きしめた。静子も純の背中に両手を廻して純の体を力強く抱きしめた。男と女の体が力強くピタッとくっついた。静子が純を抱きしめる力が強いので、純も静子に負けないくらいに強くギュッと静子の体を抱きしめた。
「ああー。幸せ。結婚して、はじめて夫に抱いてもらった感じだわ」
静子は感激したように言った。静子は純が動きやすいように、抱きしめていた手を離した。「さあ。純君。何でも好きなようにして」
そう言って静子は再び、目を瞑って純に体をまかせた。もう純にためらいは無かった。純は丸裸の静子の体を眺めて、あちこちにキスした。その度に、静子は、
「ああん」
と言って苦しげに眉を寄せた。純は静子の豊満な乳房をやさしく揉んで、時々、乳首を摘んだ。だんだん静子の乳首が、大きくなって尖りだした。
「静子さん。乳首が大きくなってきました」
「それは、感じちゃってるからなの。女は乳首を刺激されると、乳首が勃起するの」
あらためて純は静子の勃起した乳首を見た。それは、はじめより大きく硬くなっていて糸で根元を結べば、引っ張ってもはずれないように見えた。そして、そんな悪戯をしてみたい気持ちが起こった。純は静子の勃起した乳首を口に含み、ペロペロ舐め、舌でころがした。そして、歯を立てて、そっと噛んだ。
「ああっ」
噛まれて静子が反射的に声を出した。純は、痛くない程度に、静子の反応を見ながら、乳首を噛んだり、舐めたりした。純が乳首から口を離すと、べっとりした唾液で乳首は濡れて、ヌラヌラしていた。純は片手で乳首を揉みながら、片手を下の方に這わせていった。そして女の部分の肉に触れると、それを触ったり、摘んだりした。純は興奮してマラは激しく勃起した。
「純君」
「はい」
「割れ目があるでしょ。その中に指を入れて」
そう言って静子は足を開いた。純は言われたように、指を割れ目の中に入れた。そこはヌルヌルしていた。
「静子さん。ヌルヌルしてます」
「それは、感じちゃってるからなの。女は感じると、男の人のおちんちんを受け入れ易いように濡れてくるの」
純は夢中で割れ目の中に入れた指を動かした。ネバネバした液体がますます出てきた。
「ああー。気持ちいいー」
静子は眉を寄せて叫んだ。
「純君」
「はい」
「下の方に穴があるの。そこに指を入れて」
言われて純は、それを探り当て、指を入れた。ヌルヌル濡れているため、簡単に入った。中もヌルヌル濡れている。
「純君。指を動かしてみて」
言われて純は穴に入れた指を動かした。
「ああー。いいー」
静子は眉を寄せて叫んだ。粘っこい液体はますます溢れてくる。しばし、純は指を往復させたり、穴の中の肉をあちこち押してみた。
「ああー。そ、そこ。いいっ」
純は静子が、いい、と言った場所を念入りに刺激した。刺激する度、静子は、ああー、と叫び声を上げた。
「純君」
「はい」
「もう準備が十分ととのったわ。今度は、指じゃなく、純君のおちんちんを入れて」
「はい」
純は身を起こした。静子は足をさらに開いて膝を立てた。純は後ろにさがって静子の女の割れ目を見た。純にとって実物の女の部分を、目前にまじまじと見るのは生まれてはじめてだった。そこは、ヌルヌルしているが、割れ目を閉じている厚い肉を広げると、その中にはさらに、鶏の鶏冠のような薄い少し黒ずんだ襞のような肉が閉じ合わさっていた。触ると、それは、実に弱々しそうな薄い肉だった。女のソコをはじめて見る純には、全てが驚きだった。純はそっとその薄い肉を開いた。その中は黒ずんだ襞とは、対照的な、キラキラ濡れているピンク色の粘膜だった。そこは、もう肌ではなく、体の内部という感じだった。
「じゅ、純君」
「はい」
「は、恥ずかしいわ。あんまり見ないで」
そう言って静子は真っ赤になった顔を両手で覆った。
「純君」
「はい」
「下の方に穴があるでしょ。そこに、おちんちんを入れて」
言われて純は、穴を探り当てて指を入れた。そして、そこへ目がけて、おちんちんを押し当てた。静子も協力するように指で割れ目の肉を開いた。多量に出ている女の液体が潤滑油となって、おちんちんはスポッと容易に女の穴に入った。
「入りました。静子さん」
純は喜んで言った。
「ああ。幸せ。結婚して、やっと男の人と肉体がつながって、ほっとしたわ。結婚したという実感が沸いてきたわ。ありがとう。純君」
静子は安堵したような口調で言った。

「純君」
「はい」
「腰を動かしてみて」
言われて純はゆっくり腰を動かした。
「ああっ。いいっ」
静子は叫んで眉を寄せた。
「純君は、どんな気持ち」
「き、気持ちいいです」
静子は、ふふ、と笑って純の脇腹を爪の裏でスッと擦った。
「ああっ」
突然、脇腹を爪の裏で擦られて、くすぐったさに純はビクッと体を震わせた。
「ふふ。純君。くすぐったかった?」
「は、はい」
「ごめんね。でも、我慢して。すぐに、気持ちよくなるから」
そう言って静子は純の脇の窪み、脇腹、などを爪の裏でスッと擦ったり、コチョコチョとくすぐったりした。
「ああー」
はじめは、くすぐったさだけだったが、我慢して静子に身を任せているうちに、くすぐったさが何とも言えない、とろけるような甘美な快感になっていった。その快感のため、純のマラは一層、大きくなっていった。静子は、純の尻の割れ目を開いて、尻の穴にピタッと指をあてがった。そして尻の穴や尻の割れ目を指で刺激した。
「ああー」
今まで触られたことのない敏感な部分を刺激され、純は思わず声を出した。静子は、純におかまいなく、尻の割れ目や尻の穴を刺激した。純は再び、体内から何かが出てきそうになる予感を感じた。静子の巧みな尻の穴の刺激によって、それは一層、激しくなっていった。純はとうとう耐え切れなくなって、それを静子の体の中に出してしまいたいと思うようになった。そのため、自ら腰を激しく揺すった。ついに純は体内から何かが出るのを予感した。
「ああー。出るー」
純は尻をキュッと閉じて、体の動きを止めた。ドクドクと純を悩ましていた液体が、一気に静子の体の中に放出された。純は、おちんちんを引き抜いて脱力してガックリと静子の体の上に倒れ伏した。そして柔らかい静子の体の上にそっと身を任せた。静子は、そっと純の背中に手を回して純を軽く抱きしめた。
「純君。どうだった」
「気持ちよかったです」
「私も、とっても気持ちよかったわ。これが結婚した妻と夫が夜中に毎晩していることなの」
そう言って静子は純をヒシッと抱きしめた。




平成21年9月4日(金)擱筆

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会社恋物語 (小説)

2020-07-06 22:46:19 | 小説
会社恋物語

ある会社である。その年に男が4人と女が一人、入社した。女は京子という、かなり、おきゃんな女だった。彼女はかわいい顔立ちの上、性格がともかく明るい。同期で入った男達とその日のうちに友達になってしまったほどである。男の新入社員はもちろん男であるがゆえにスケベである。さかりのついた犬のようなものである。男達はさりげなく京子の尻を触ったり、セクハラな事を言ってからかった。だが、京子はそれに対し、怒ることなく、男の尻を後ろから蹴ったり、セクハラの慰謝料、といって男に昼食代を出させたりと、男のセクハラをむしろ楽しんでいた。
男4人のうち純という男がいた。彼は内気で真面目で京子達の輪に入っていけなかった。エネルギーが無いものだから、話題もなく、他の男達ともはしゃぐ事が出来なかった。昼休みは、京子と男達は外食したり、社員食堂で男達と一緒に食べるのに、純は出掛けにコンビニで買ったパンを一人で自分の机で食べていた。食後の昼休みでは、京子は男達と外でバレーボールをして、昼休みのおわりのチャイムがなると賑やかに帰ってきた。

ある時は、こんな事があった。
男達は京子に、「お前の使用済みのパンティーくれよ」などと言った。京子は笑って、「いくらでー」と聞き返した。男が、「五千円」というと、商談が成立した。京子が、「明日、持ってくるわ」と言うと、男達は、「それでは本当にお前が履いたパンティーかどうかわからないから、今、脱いでくれよ」と言った。京子は、「それじゃあ、ノーパンになっちゃうから、明日かえの下着を持ってくるわ」と言った。

そんな事から、翌日、京子は、替えのパンティーを持って出社し、男の前でスカートの中のパンティーを抜き取って一人の男に渡した。それを三日つづけて三人の男に渡した。
「純。お前も京子の履いたパンティーほしいだろ。売ってもらえよ」と一人がからかった。純は真っ赤になって、うつむいて、「いいです」と首を振った。

純は会社が終わるとすぐにアパートに帰ってコンビニ弁当を買って、テレビを観て寝た。そんな単調な生活が純の毎日だった。
だが実は純は京子を一目見た時から京子に苦しい憧れを持ってしまったのである。仕事では真面目なのに、男にああも、あけすけな京子に純は悩ましいほど憧れてしまったのである。職場で男達が京子をからかうのを見ると純は激しく興奮した。その光景を見るのは純にとって楽しみだった。
純は床につくと会社での京子の明るい振る舞いが頭に浮かんできて、なかなか寝つけなくなってしまった。純は想像で、京子に色々な意地悪をして楽しんだ。純は気が小さいが、女をいじめたい、というサディスティクな性癖があった。

その年の夏のことである。
男達の提案で、京子と彼らは、ある日曜日、大磯ロングビーチに行く事に決まった。男の一人が、「お前も来いよ」と純に言った。純は小声で、「行きます」と答えた。大磯ロングビーチは9時からなので、8時半に大磯駅に集合することに決まった。

当日の日曜日。
純は朝早く起きてアパートを出て電車に乗り、8時に大磯駅についた。空は雲一つなく絶好のプール日和である。男三人は次の電車で一緒に来た。その次の電車で京子は来た。京子は白のブラウスにタイトスカートという姿だった。夏の行楽というのに京子らしくない。普段の会社の京子の姿と同じである。
「待った?」
「いや。でも何でそんな格好で来たんだよ」
「ふふ。いいじゃない。別に」
京子は思わせ振りな笑いをした。
ロングビーチ行きのバスが来たので五人は乗った。
五分とかからず、バスはロングビーチに着いた。五人は入場券を買って、ロビーに入った。
「じゃあ、ダイビングプールの前の所で待ってて」
そう言って京子は女子更衣室に入って行った。

男三人と純は男子更衣室に入って着替えた。そして荷物をロッカーに入れてビーチに出た。
雲一つない青空。真夏の太陽。プールの外には、はてのない太平洋の大海原が見える。三人は力瘤をつくったりしてボディービルダーのようなポーズをとって自分の体を自慢しようとした。しかし、日頃、スポーツをやっているわけでもないので、大した体ではなかった。純の体は、といえば彼らの肉体よりもっと貧弱だった。
四人は、ダイビングプールの前にビーチシートを敷いて京子が来るのを待った。
「京子のヤツ、どんな水着でくるかな。ワクワクするぜ」
「京子の水着姿を見るのははじめてだからな」
「オレなんかもう興奮して立っちゃってるよ」
三人はそんな会話をした。立っちゃってるよと言った男はトランクスの上から、ゆっくり股間をさすりだした。
その時、男達の後ろから元気のいい声がした。
「お・ま・た・せ」
男達は振り返った。
「おおっ」
男達は驚嘆の声を上げた。
京子がセクシーなピンクのビキニで立っていたからである。
ビキニは京子の乳房と恥部の部分をかろうじて隠すだけの小さなもので、それはもう裸同然の姿だった。華奢な肩。細い腕。繊細な指。キュッとくびれたウエスト。そこから一気に盛り上がった大きな腰部と、それにつづく太くて柔らかそうな腿。引き締まった足首。その美しい体は、週間漫画の表紙のビキニ姿の女優なみだった。豊満な乳房はビキニに包まれ、あたかも熟れた果実が袋に納まって、首に吊られているかのごとくである。胸の谷間から乳房の内側が少しはみ出て見える。腹の真ん中では、雨だれで穿たれて出来たかのような可愛い小さな窪みの臍がある。下のビキニは、後ろでは、京子の大きな尻を収め、前では女の恥部の肉を形よく収め、それによって悩ましい盛り上がりが出来ている。
それはもう裸同然だった。
男達の視線は当然のごとく、恥部の盛り上がりの一点に集中した。
男達はしばし呆然として口を半開きにして舐めまわすように京子の体を眺めていた。
男達の視線はまさに京子に釘づけになっていた。
しばしして男達はようやく我に返ったように、立っている京子の後ろへ廻ったり、色々な角度から京子のビキニ姿を食い入るように眺めた。
「すげー。尻が半分近く見えるよ」
後ろに廻った男が京子の尻を眺めながら言った。
京子は、恥ずかしがる様子もなく男達に見られるままに任せていた。
一人がカバンからデジカメを取り出して京子に向けた。
京子は髪を掻き揚げたり、腰に手を当てたりとセクシーなポーズをとった。
カシャ。カシャ。
男は色々な角度からビキニ姿の京子を撮った。
「おい。京子。明日は下着でなく、その水着を着て会社に来いよ」
「何で」
「まあ、いいじゃん」
「わかったわ」
その晩、純のパソコンに京子のビキニ姿の写真が添付されたメールが送られてきた。デジカメで京子をとった男が送ったのである。
純は、それを、食い入るように見た。だが、もう二度と京子の生のセクシーなビキニ姿が見れないと思うと残念極まりなかった。

翌日の月曜から男達の京子に対するからかいは、一層強まった。

夏は女は開放的になる。それは海やプールへ行かなくても、である。
会社の裏は雑木林で、その中にバラックの建物があった。
ある日、純が机に向かって仕事していると男の一人が話しかけてきた。
「おい。純。今日の昼休み、林の中のバラックに来てみな。面白いものが見れるから」                           
そんな思わせ振りな事を言って去っていった。
その日の昼休み、純は言われたように林の中のバラックに行ってみた。
純はそっと戸を開けた。純はびっくりした。
ビキニ姿の京子が両手首を縛られ、天井の梁に吊るされていたからである。京子は純の方を向いて立っていたのでビキニ姿の体の前が丸見えだった。ビキニで覆われた京子の豊満な胸と恥部の盛り上がりが純の目に飛び込んできた。天井には梁があり、その梁にはカラビナが取り付けられていて、縄はそれに通されて固定されている。京子は爪先立ちで足をプルプル震わせている。それを男達三人が座ってニヤニヤ笑いながら眺めている。
純は京子を見るとすぐに目をそらしたが顔は真っ赤になった。
「ふふ。どうだ。面白いだろう」
「スリルのある遊びとしてSMっぽいのをやろうと京子に言ったんだよ。そしたら京子は嬉しそうに、やろうって言ったんだよ。下着だともろにSMになっちゃうけど水着なら、遊びだろ」
男達はそんな説明をした。
「さあ。京子の吊るされたビキニ姿をたっぷり見な」
男達は純にそんな事を言った。
一人が純の肩を強く押して座らせた。
純は座って、そっと、吊るされている京子を見た。
大磯ロングビーチの後はもう京子のビキニ姿は見れないだろうと残念に思っていたので、純の興奮と喜びは無上のものだった。
京子の吊るされている姿は美しかった。
手首から足先までが一直線になり、女の体の曲線美がクッキリ浮き出ている。
太腿はピッチリ閉じ合わさっていて、女の恥部の肉がビキニにピッチリ納められているため悩ましい盛り上がりをつくっている。
「ふふ。どうだ。京子。こうやって裸に近いビキニ姿を吊られて眺められる気分は」
「恥ずかしいわ」
「しかし、恥ずかしいだけじゃないだろう」
「気持ちいいだろう」
「女は露出願望があるからな。女は男に体を見られたいと思っているのさ」
「女は強姦されたい願望もあるからな」
「京子。お前はマゾなんだろう」
男達は口々にそんな揶揄をした。
男達に揶揄されても京子は黙っている。
「京子がどこまでマゾッ気が強いか、今日からとっくり調べてやる」
男は含み笑いして不敵な口調で言った。
「京子。今度はこっちを向きな」
京子の背後に座っていた男が言った。
言われて京子は爪先立ちの足指を動かして、向きを変えた。
そのため、京子は純に背中を向ける形になった。
ビキニで覆われた京子の大きな尻が純の目に飛び込んできた。
小さいビキニが収縮して尻が半分近く見える。
長いストレートの黒髪が背中の中ほどまで垂れている。
京子は純に背を向けているため、純は京子に見られることがない。
純は激しく興奮してセクシーな京子のビキニの後ろ姿を見た。
男達は股間をさすりながら吊るされている京子を見た。
昼休みの時間がおわると、男達は京子の縄を解いた。
「どうだ。気持ちよかっただろう」
「ビキニ姿をみんなに見られる気持ちはどうだ」
男達はそんな揶揄をした。
「恥ずかしいわ」
京子は顔を赤らめて言った。
「でもスリルがあって、すごく興奮しちゃった」
京子はペロリと舌を出して笑った。
「じゃあ、今度はもっとスリルのあることをしてやるぜ」
一人が意味ありげな口調で含み笑いしながら言った。
京子は皆の前でスカートを履きブラウスを着た。
スカートに足をくぐらせる姿にも純は激しく興奮した。
京子と男三人と純は、会社にもどった。
今度は、どんな事をするのだろうと思うと、純は激しく興奮した。

  ☆  ☆  ☆

その数日後の事である。
5時になって会社がおわった。
男の一人が純の所に来て含み笑いしながら言った。
「おい。純。今からこの前のバラックへ行きな。面白いものを見せてやるぜ」
そう言って男は去っていった。
純は黙って何も答えなかった。
だが、今日は京子にどんな事をするんだろうと思うと激しく興奮した。

純は興奮の動悸を抑えて雑木林の中のバラックに向かった。
向かう足は自然と速くなった。
バラックの前に着いた。
純はそっと戸を開けた。
純は吃驚した。
ビキニ姿の京子が丸太の上に跨っていたからである。両手は後ろ手に縛られ、その縄が天井の梁に結びつけられている。丸太の高さは、ちょうど京子の爪先が床にとどくか、とどかないかの高さである。そのため、京子の足首はピンと伸び、足の親指の先がかろうじて床についているだけである。両足首は木馬の下で縄で結ばれている。後ろ手に縛られた手首の縄を天井の梁に結び付けられて吊るされ、両足を縛られているため、京子は丸太から降りる事が出来ない。京子のスラリと伸びた下肢はプルプル震えている。
「ふふ。京子。明日の朝まで、そうしてな。明日の朝、縄を解いてやるよ」
「待って。お願い。そんな事まではしないで」
「ふふ。一度体験してみれば気分も変わるさ」
「声を出せないようにしないとな」
一人の男がそう言って京子の口に豆絞りの手拭いで猿轡をした。
男達はニヤニヤ笑いながらバラックを出て行った。
純も彼らに背を押されてバラックを出た。
純は家に帰ったが、京子の事が気になってしかたがなかった。
夜の10時を過ぎた。
京子が、今も木馬に乗って足をプルプル震わせていると思うと純は耐えられなくなった。
とうとう純はレンタカーを借りて車を走らせ、バラックに向かった。
バラックについた純は裸電球のスイッチを入れた。
京子は予想通り、木馬に跨って足をプルプル震わせていた。
純は京子の猿轡をとった。
猿轡は、京子の唾液でべっとり濡れていた。
「京子さん。我慢できずに来てしまいました。つらかったでしょう。今、縄を解きます」
京子は弱々しい目を純に向けた。
「ありがとう。純さん。純さんて、やさしいんですね」
純は京子の後ろ手の縄を解いた。
そして足首の縄も解いた。
京子は手足が自由になると、バラックの隅にあるスカートを履いてブラウスを着た。
「京子さん。家まで送ります。もう電車はないです」
「ありがとう。純さん」
二人はバラックを出て、雑木林を出た。
そこには純が借りたレンタカーがあった。
純はドアを開け、京子を助手席に乗せた。
純は運転席に乗った。
純はカーナビのスイッチを入れた。
そして住所検索の画面を出した。
「京子さん。京子さんの家の住所を入力して下さい」
京子は人差し指でポンポンポンと画面をタッチして住所を入力した。
行き先が示され、純はエンジンをかけ発車した。
車は夜の街を走った。
深夜のため、車は無く、道路も街も静まりかえっていた。
30分ほどで京子のアパートに着いた。
「純さん。有難うございました」
京子は車から降りるとペコリと頭を下げた。
「いえ」
「純さん。お願いがあるんです」
「何ですか」
「私、明日の朝、早く、会社がはじまる前に、あのバラックに行きます。純さんも来て下さらない」
「どうしてですか」
「私がいなかったら、三人が来た時、どうして脱出できたのか、と質問してくるじゃないですか。そのため、さっきまでの状態にしておかなくてはならないじゃないですか」
「ああ。確かにそうですね」
「自分で自分を縛る事は出来ませんから、純さんに縛ってほしいんです」
「はい。わかりました。では、行きます」
純は、京子を木馬に乗せて縛れる事を想像すると嬉しくなった。
「あの状態にしておきたいのは、質問に答えたくないためも、もちろんあります。ですが他にも理由があります」
そう言って京子は微笑した。
「あの状態にしておけば、彼らは一晩中、私が縛られて木馬に跨っていたと思うじゃないですか」
「そうですね」
「そうすれば、三人は私を一晩中、縛って木馬に乗せていた事に喜ぶじゃないですか」
「確かにそうですね」
「私もそうされたように演じます。彼らを逆にだましてやれば面白いと思いませんか」
「確かにそうですね」
純は笑った。京子も笑った。
「彼らも明日、会社がはじまる前に来るかもしれませんから、早く行きます。私、7時にあのバラックに行きます」
「では僕も7時に行きます」
「有難う。純さん。おかけでゆっくり眠れるわ」
京子は微笑して言った。
「いえ。ぐっすり眠って疲れをとって下さい」
純は車にもどり、エンジンをかけた。
純はカーナビの行き先を自分のアパートに設定した。
手を振る京子に、おやすみなさい、と言って純は車を出した。
深夜の道路は車一つ無く、しんと静まり返っている。
純は、捕われた女性を救出したような喜びを感じていた。
また、明日の朝、ビキニ姿の京子を木馬に乗せて縛れると思うと股間が熱くなった。
自分の街についた純はレンタカーを返して、アパートにもどり、すぐに床についた。
京子が蒲団に寝ている姿が浮かんできた。
純はすぐに眠りについた。

   ☆   ☆   ☆

翌朝、純は5時に起きた。
急いで着替えてアパートを出て始発の電車に乗った。
車内はガラガラである。
電車が発車した。
駅について降り、急いで会社の裏の雑木林の中のバラックに向かった。
戸を開けた。まだ京子は来ていなかった。小屋の中は昨日のまま木馬が置いてあり、梁に結びつけられた縄が木馬の上に垂れていた。
純はそれらを見て何とも言えない気持ちになった。
目的を持った道具が使われていないでいる寂しさが、そこにあった。
純は座って京子を待った。
何かデートのような気がした。
時間がたつにつれ、だんだん緊張してきた。
その時。ガチャリ。
戸が開いた。
ブラウスにタイトスカートの京子が入ってきた。何か袋を持っている。
「あっ。純さん。もう来ていたんですね。几帳面な純さんの事だから、私より早く来るかな、と思っていたんです。おはようございます」
そう言って京子はペコリと頭を下げた。
「おはようございます。京子さん」
純も立ち上がってお辞儀した。
「昨夜は眠れましたか」
「ええ。疲れてましたから、泥のようにぐっすり眠れました。純さんのおかげです」
そう言って京子は微笑した。
「さあ、純さん。彼らが来ないうちに私を昨日と同じ状態にして下さい」
そう言って京子はブラウスを脱ぎ、スカートも脱いだ。
純はそれを見てドキリとした。
服の中は昨日と同じビキニだった。
純はドキンとした。
京子と二人きりで、しかも京子はセクシーなビキニ姿である。
京子はすぐに木馬を跨いで乗った。
スラリとした下肢が真っ直ぐに伸びた。木馬の高さは京子の足先がギリギリ床につく程度につくられているので、京子の足首はピンと伸び、親指の足先がかろうじて床についているだけである。
京子の股の間の肉が木馬の背にめり込んだ。
ビキニ姿で木馬を跨いでいる京子の姿は悩ましかった。
京子はそっと華奢な両手を背中に廻して手首を重ね合わせた。
「さあ。純さん。縛って」
京子は淡々とした口調で言った。
純は京子の背後に廻って、天井の梁から床まで垂れている縄をとって、重ね合わされた京子の手首を縛った。縄がピンと一直線に張り、昨日と同じように京子は木馬に乗って吊るされている姿になった。
「純さん。足首も縛って」
京子が言った。
木馬に乗って後ろ手に縛られただけでは、木馬から降りる事が出来てしまう。そのため三人は、両足首を木馬の下で縛っておいたのである。ともかく、昨日と同じ状態にしなくてはならない。
純は床に落ちていた縄を拾って京子の両足首を木馬の下で縛った。
これで京子は昨日と同じ姿になった。
木馬に乗って、ビキニで後ろ手に縛られている姿は、美しくエロティックで純は激しく興奮した。
「純さん」
「はい。何ですか」
「袋の中にペットボトルのジュースがありますから取り出して下さい」
「はい」
純は京子が持ってきた袋を開けた。
中には1リットルのペットボトルのオレンジジュースが入っていた。
「純さん」
「はい」
「それを私に飲ませて下さい」
純は一瞬、何のためだろう、と疑問に思った。
が、すぐに京子の考えていることを察した。
純はペットボトルを開けてそれを京子の口の所へ持っていった。
純はためらった。
純はウブなので、女に手荒い事をするのが出来ないのである。
「純さん。遠慮しないで飲ませて」
京子は華奢な肩を揺すってものほしげに訴えた。
そして顔を上に向け口を大きく開けた。
「失礼します」
純はそう言ってペットボトルの先を京子の口に入れた。
ペットボトルの底を上げると京子の咽喉仏がゴクゴク動いた。
ジュースの水位はどんどん下がっていった。
かなりジュースが減った時点で純はペットボトルを京子の口からはずした。
プハーと京子は大きく息をした。
純が顔を赤くしているので京子は催促するように言った。
「純さん。全部飲ませて」
「はい」
純は再び、ペットボトルの先を京子の口に入れて逆さにした。
ジュースはどんどん減っていき、ついに全部、なくなった。
純は空になったペットボトルを京子の口からはずした。
「ありがとう。これで全て準備が出来たわ。さあ。純さん。早くここから出て。彼ら来て見つからないうちに」
「はい」
純は、京子に言われたように急いで空になったペットボトルを袋に入れて自分のカバンを持って小屋から出た。
早朝の雑木林の中の空気はすがすがしかった。
純は、彼らと出くわさないよう、いつもの道とは反対の方へ急ぎ足で歩いて雑木林を出た。
まだ出社時間には一時間あった。
少し歩くと見慣れぬ喫茶店があったので、純は入った。
トーストとコーヒーとベーコンと目玉焼きのモーニングセットを注文して食べた。
新聞に目を通したが、たいした出来事はなかった。
彼らは朝、来るだろうかと考えたが、彼らも興味深々だろうし、まず来るだろうと思った。
そもそも、彼らは「明日の朝まで我慢してな」と言ったのだし、拘束を解かねば京子は会社に出社することが出来ない。彼らは三人一緒に来るだろうか、それとも、一人だけが行くだろうか、もう来ているだろうか、などと色々な事を想像した。
しばしの時間がたった。
純はある事を思いついておかしくなった。
『今日は出社時間ギリギリに行こう』
純はそう思った。
純は、几帳面なので、いつも会社がはじまる15分位前に行って席についていた。
だが、今日は、ギリギリの時間に行って、彼らより後に出社しようと思った。

時間を見計らって純は喫茶店を出た。
時間ギリギリに会社についた。
三人はもう来ていて、純をみるとニヤリと笑った。
京子はいなかった。
仕事が始まった。
「係長」
男の一人が言った。
「何だね」
係長は聞き返した。
「佐藤京子さんは、今朝、熱が出て体がだるいため、医者に行くので会社を休むと僕に電話してきました」
「ああ。そうかね」
仕事が始まった。
一人が純の所に来た。
「おい。純。京子はどうなってるか知ってるか」
「い、いえ。知りません」
純はとぼけて言った。
「今朝、行ってみたら、昨日のまま後ろ手に縛られたまま木馬に跨って、爪先立ちしてたぜ。俺達を見たら、『お願い。許して』って、目に涙を浮かべて訴えたぜ。それに、やたら脚をモジモジさせていたぜ。今日は昼はバラックに行かないで京子を放置するぞ。会社がおわったらバラックへ行くからお前も来い」
そう言って去っていった。
純は彼らがまんまと京子の演技に騙されているのが面白おかしかった。

さて、5時になって会社がおわった。
純は彼らが出ていくのを見てから会社を出て、雑木林のバラックに向かった。
戸を開けると、朝の時のまま、ビキニ姿の京子が木馬に跨って後ろ手に縛られて吊るされている。それを三人の男が取り囲んでニヤニヤ笑いながら眺めている。京子はガックリと首を垂れている。京子の下のビキニの女の部分は濡れ、木馬の背も濡れている。木馬の下の床には水溜りが出来、時々、ポチャン、ポチャンとさびしげな音をたてて木馬から滴がしたたり落ちている。
「ふふ。京子。どうだ。一晩、木馬に跨っていた気分は」
「今、こうやってみじめな姿を見られる気分はどうだ」
「悲劇のヒロインになったみたいで気持ちよかっただろう」
彼らは粗相して項垂れている京子にそんな事を言った。
「おい。純。お前は知らないだろうが、今、京子はこうやって大人しくしてるけど、今朝来た時には尿意を我慢して激しく体をモジモジさせていたんだぜ」
「涙を浮かべながら、『お願い。許して』って叫んだんだぜ」
「お前にも見せてやりたかったよ」
彼らは純にそんな事を笑いながら言った。
男達は木馬に乗って項垂れている京子をしげしげと見た。
「ふふ。京子。おしっこを出すと決めた時の気持ちはどうだった」
「ある程度、出したら止めることも出来るけど、それじゃあ気持ちがすっきりしないよな」
「一度、出したら全部、出しちゃわないとすっきりしないよな。排泄は人間の第一次欲求で快感だからな」
彼らは黙って項垂れている京子にそんな揶揄をした。
言われて京子は顔を赤くした。
「京子。丸一日、木馬に乗っていたんだから、股も足もいいかげん、疲れただろう」
「そうだな。木馬に体重をのせきってしまうと股に木馬が食い込んでつらいし、爪先立ちすれば足が疲れるし」
「昨日は木馬の食い込みと、そのつらさを避けるための爪先立ちの交互の繰り返しだっただろうな」
「でも俺達は何もしてないぜ。お前を責めてたのは木馬なんだから、怨むんなら木馬を怨みな」
彼らはそんな好き勝手なことを言った。
「ともかく木馬に乗ってるのはいいかげん疲れただろう。降ろしてやるよ」
彼らはそう言って京子の乗っている木馬に近づいた。
一人が屈んで、京子の両足首をつないでいる縄を解いた。
これで京子は木馬から降りる事が出来る状態になった。
別の一人が京子の片足を持ち上げて京子を木馬から降ろした。
木馬は移動させて小屋の隅に置いた。
「あーあ。木馬が濡れちゃったじゃないか」
彼は木馬についているシミをしげしげと見ながら、あたかも貴重品が壊れてしまった時のような口調で言った。
「それは違うよ。むしろ京子の体液の染み込んだ価値ある貴重な木馬になったんじゃないのか」
別の一人が言った。
「ああ。確かにその通りだな」
そう言って二人は笑った。
木馬のシミを見ていた男は、批判されて、なるほどと、納得した表情に変わった。
これでもう木馬はなくなった。
だが京子の縛めは解かれていない。
京子はビキニ姿を後ろ手に縛られて、その縄は天井の梁に結び付けられている。
後ろ手に縛られて吊られている状態である。
そのため、座る事も逃げる事も出来ない。
京子は膝を寄り合わせてモジモジしている。
京子の下のビキニはじっとりと濡れてシミが出来ている。
足元の床にも水が広がっている。

男の一人が雑巾でそれを拭いた。
三人はビキニ姿を後ろ手に縛られて膝を寄り合わせてモジモジしてい京子をニヤニヤ笑いながら眺めている。
「ふふ。京子。木馬の食い込みと爪先立ちが無くなって楽になっただろう」
「木馬に乗った姿もいいけど、縛られて立っている姿もいいぜ」
「そうだよな。女を後ろ手に縛って吊るす、というのが一番シンプルだからな」
三人はそんな事を黙っている京子に吹きかけた。
三人は顔を見合わせてニヤリと笑った。
「京子。濡れたビキニを履いているのは気持ちよくないだろう」
京子はとっさに赤くなって黙って膝をピッチリ寄り合わせた。
濡れたビキニのシミを隠すように。
「脱がしてやるよ」
そう言って一人の男が近づいてきた。
「や、やめて」
黙っていた京子がはじめて口を開いた。
京子は激しく腰を引いて避けようとした。
「安心しな。替えのパンティーはあるから、すぐ履かせてやるぜ」
そう言って男はポケットからパンティーを取り出して京子に見せた。
男は京子の前に屈んで、しばし濡れたビキニを眺めていたが、ビキニの縁を両手でグッとつかんだ。
男達は固唾を呑んで、目を皿のようにして凝視している。
「や、やめてー」
京子は大きな声で叫んだ。
「ちっ。しょうがねえな」
男は舌打ちした。
「俺じゃ嫌なんだな」
男は不機嫌そうな口調で京子の意志を確認するように京子の顔を窺った。
京子は黙っている。
「じゃあ、誰がいいんだ」
男は黙っている京子に畳み掛けた。
しかし京子は腿をピッチリ閉め、黙って答えようとしない。
「チッ。しょうがねえな」
男はそう言ってビキニの縁を両手でグッとつかんだ。
「ま、待って」
京子は腿をピッチリ閉じ合わせながら言った。
「あ、あの・・・」
「なんだ。誰かご指名の人がいるのか」
「あ、あの。純さんにお願いします」
京子は蚊の泣くような小さな声で言って真っ赤になった。
男達は、おおー、と声をあげた。
「そうか。お前は純が好きなのか。なら早くそう言えよ。俺達だって、お前の希望を聞くくらいのマナーは持ってるぜ」
ビキニの縁をつかんでいた男は握っていた京子のビキニの縁から手を離した。
そして純の方を見た。
「おい。純。お前がご指名だぜ。京子のパンティーを取り替えてやりな」
そう言って彼は立ち上がって佇立している純にパンティーを渡した。
純が、ためらっているので、彼はドンと純の背中を押した。
純は替えのパンティーを持って、京子の前に座った。
目の前には濡れたビキニで覆われた柔らかそうな肉の盛り上がりがある。
「そら。純。早く替えてやりな」
「京子もお前に履き替えて欲しいって待ってるんだぞ」
男達はそんな揶揄をした。
純は顔を上げて京子の顔を見た。
「純さん。いいのよ」
京子は純の困惑した気持ちを察して気を使う口調で言った。
「あ、あの。京子さん。お願いがあります」
「なに?」
「あ、あの。後ろを向いて下さい」
純は顔を真っ赤にして言った。
「はい」
京子はクルリと向きを変えた。
京子は男達に背を向ける形になった。
純は京子の前に廻って京子の前に座った。
「ああ。そうか。後ろを向けば、俺達には見られないからな」
一人が言った。
「違うよ。純は自分一人だけで京子のアソコを見たいんだろ」
別の一人が言った。
純は男達に受けとった替えのパンティーを床に置いた。
京子のパンティーをすぐに替える準備である。
「京子さん。ごめんなさい。一瞬だけ我慢して下さい」
純はそう言うと、濡れた京子のビキニの縁をグッと掴んで一気に下げ、足先から抜き取った。
純はすぐに替えのパンティーをとって、京子の両足首を片方ずつ持ち上げて、パンティーを通した。
純はいそいでパンティーを引き上げようとした。
と、その時。
「待った」
男の一人が制した。
「京子のアソコは濡れているだろう。しっかり、ふいてから取り替えるべきじゃないか」
「拭かずに交換したら、新しいパンティーも濡れちゃうじゃないか」
純は真っ赤になった。
純は気が小さいので、命令されると逆らえない。
「おい。純。ハンカチは持っているだろう。ハンカチで京子の濡れたアソコをしっかりふいてやりな」
純はワナワナと手を震わせながらズボンのポケットからハンカチを取り出した。
目をそらそうとしても、目前には京子のアソコが無防備に晒されていて、視野に入ってしまう。
「ごめんなさい。京子さん」
純は、そう言うとハンカチを京子の濡れた女の部分に当てた。
薄いハンカチでは、嫌がうえでも女の柔らかい肉の感触が伝わってくる。
純は真っ赤になった。
丸出しになった女の部分を、男がハンカチでふいている図は何と奇妙なことか。
ハンカチをしっかり当てていなくては、女の恥ずかしい部分が見えてしまう。
純は顔を真っ赤にしながら、このつらい作業を短時間でササッと済ませた。
拭きおわると、すぐにパンティーを履かそうとハンカチをサッと離した。
そして急いでパンティーを引き上げようとした。
と、その時。
「待った」
一人が大きな声で制した。
純は気が小さいので、命令されると逆らえない。
純は呪縛にかかったように手を止めた。
男はニヤニヤ笑っている。
「まだ十分、ふけてないぜ。濡れてる所はちゃんときれいに拭きな」
「もうハンカチは濡れちゃって使えないだろう。ティッシュは持ってるだろう。ティッシュで拭きな」
「ティッシュは一つだけでは十分、拭けないだろう。ほら。これも使いな」
一人がそう言って、純にティッシュを投げた。
他の二人もポケットからティッシュを取り出して純の所に投げた。
純は辛そうな顔でティッシュを拾った。
目前には曝け出された京子の下半身がある。
純はワナワナと手を震わせながら袋からティッシュペーパーを取り出した。
だが純は、どうしてもそんな事は出来ない。
ティシュペーパーなどで体を拭いたら女の体を触ったのも同然である。
京子は端然とした表情で立っている。
「純さん。いいのよ。気になさらないで」
京子は躊躇している純に気をつかって、やさしい口調で言った。
「純。そうやって何もしないでいると、京子はずっと裸でいなくちゃならないぜ」
「ふふ。京子。前は見えないけど後ろは丸見えだぜ」
「プリプリした尻もムッチリ閉じ合わさった尻の割れ目も丸見えだぜ」
男達はそんな揶揄をした。
確かに彼らの言う通り純が行動を起こさねば京子は裸を晒していなければならないのだ。
「ご、ごめんなさい。京子さん」
純はとうとう耐えられなくなって、ティッシュを持って裸の京子の下半身に手を伸ばした。
純は太腿の付け根の辺りを手を震わせながらティッシュで拭いた。
いやがうえでも京子の女の部分が見えてしまう。
純は真っ赤になった。
男達はニヤニヤ笑いながら見ている。
もう十分、拭いたと判断して純は拭くのをやめた。
京子にパンティーを履かせようと純は、いそいでパンティーを引き上げようとした。
その時。
「待った」
男の一人が大声を出して制した。
「まだ京子の股間の真ん中が濡れてるだろう。しっかり拭きな」
「そうだ。そこをしっかり拭かなきゃだめだ」
純は緊張と興奮で真っ赤になった。
純はまた躊躇して止まってしまった。
京子は純の気持ちを察するようにピッタリ閉じていた足を少し開いた。
「いいのよ。純さん。気になさらないで」
京子は躊躇している純に気をつかって、やさしい口調で言った。
純は手をプルプル震わせながらティッシュの袋からティッシュペーパーをとりだした。
純が躊躇していると、それだけ京子は裸を晒しつづけなくてはならないのだ。
「ご、ごめんなさい。京子さん」
純は叫ぶように言って、京子の女の割れ目のさらに後ろの股の真下の所にティッシュを持っていった。
「しっかり丁寧に拭けよ」
見ていた男の一人が言った。
京子が肩幅ていどに足を開いているので、そこには容易に手がとどいた。
純は手を震わせながら、女の一番、柔らかい部分を拭いた。
柔らかい肉の感触が伝わってくる。
嫌がうえでも目の前にある女の恥ずかしい所が見えてしまう。
純は真っ赤になった。
純は無我夢中でティッシュでそこを拭いた。
やっと拭きおわった。
もう京子の体に濡れている所はない。
純はパンティーの縁を両手で掴むと、一気に引き上げた。
パンティーが京子の腰部にピッタリとフィットした。
これで京子は安全になった。
パンティーは京子の女の部分の肉を形よく収め、悩ましい肉の盛り上がりをつくった。
純は、ほっと一安心する一方、その悩ましい盛り上がりにドキドキすると共に、京子の体をさんざん触ってからパンティーを履かすなどと、人形のように京子を扱った事を思うと激しい羞恥の念におそわれた。
「京子。よかったな。これでもう恥ずかしくないだろう」
一人が京子に向かって言った。
「しかし、ムッチリ閉じ合わさった尻はしっかり見させてもらったぜ」
「もう網膜にしっかり焼きついて一生、忘れないぜ」
男達はそんな揶揄をした。
純はドキンとした。
その揶揄の言葉から京子のムッチリ閉じ合わさった尻が瞬時にイメージされたのだ。
純はそれを見たく思い、それをとっくり見た彼らに羨望した。
女の大きな尻は、男に何ともいえぬ安らぎの安心感を与え、また性器そのものでないそれは子供っぽい官能を男に起こす。
幼さの抜けきれていない純は女の部分そのもの以上に女の尻に魅せられてしまうのである。
しかし、その割れ目はもうパンティーの中に納まってしまっている。
「純。お前はもう十分すぎるほど京子を楽しんだろう。今度は俺たちの番だ」
そう言って三人は後ろ手に縛られて吊るされている京子の間近に行って三方から京子を取り巻いた。
「純。お前は脇にどいてな」
言われて純は、急いで床に散らかっているティッシュを拾い集め、京子から離れて小屋の隅に移動した。
三人はニヤニヤ笑いながら、京子を眺めている。
京子は腿をピッタリ閉じ、顔を赤くして彼らから視線を恥ずかしそうにそらしている。
「ふふ。純に恥ずかしい所をしっかり拭いてもらって、どんな気分だった」
「スリルがあって、興奮しただろう」
男達はそんな揶揄を京子に吹きかけた。
「じゃあ、今度は俺達がスリルを味あわせてやるぜ」
男達はそう言って後ろ手に縛られて立っている京子に近づいた。
男の一人が膝をピッチリ閉じている京子の前にドッカと座った。
目の前には京子のパンティーの小高い肉の盛り上りがある。
別の一人は京子の尻の前にドッカと座った。
目の前には京子のムッチリした尻と、それにつづく二本の柔らかい太腿が神殿の柱のように並んでいる。
体を男二人に前後に挟まれて京子は身動き出来ない。
三人目の男は立ったまま、後ろ手に縛められた京子の肩をガッシリつかんだ。
京子は、腿をピッチリ閉じて脅えた表情で眉を寄せて困惑している。
「ふふ。京子。お前の体の匂いを調べさせてもらうぜ」
そう言って前の男は、ニヤッと笑って目前にある京子のパンティーの小高い盛り上がりの部分に鼻先をつけて京子の女の部分の体臭を嗅ぎはじめた。
「ふふ。京子。すごくいい匂いだぜ」
彼はそんな揶揄をした。
「ああー。やめてー」
京子は叫んでとっさに腰を引いた。
すると後ろの男が京子の尻に鼻先を当てた。
「ふふ。京子。すごくいい匂いだぜ」
後ろの男も同じように揶揄した。
「やめてー」
京子は叫んだが、前と後ろから挟まれているため、逃げようがない。
前後二人の男は、京子が逃げられないのをいいことに、京子の女の部分の匂いをパンティーの上から嗅ぎまくった。
立っている男は、京子の艶のある長いストレートの黒髪の匂いを嗅いだ。
三人は、散々、京子の女の体臭を嗅ぎまくった。
「よし。次は京子の体の感触を調べよう」
前の男はそう言って目前の京子の女の肉の盛り上がりをパンティーの上から触ったり、摘んだりしはじめた。
「やめて。お願い」
京子は哀願した。
だが、前の男はその訴えを無視して、太腿の付け根の内側の柔らかい所を触ったりと、京子の体をおもうさま触った。
後ろの男も京子の尻を撫でるように触ったり、それにつづく太腿の内側を触ったりした。
京子は前後から挟まれて、下半身を押さえられているため逃れようがない。
立っている男は、ビキニに包まれている京子の胸を触ったり、揉んだりした。
「ふふ。どうだ。京子。こうやって縛られて三人に体を触りまくられる気分は」
京子の前の男が笑いながら言った。
「や、やめて。お願い」
京子は声を震わせながら言った。
「ふふ。もう、何もかも忘れちまいな。気持ちよくしてやるぜ」
そう言って京子のパンティーの上から女の割れ目を指でなぞった。
彼は、京子のパンティーの上から、さんざん京子の女の部分を弄った後、パンティーの縁を両手でグッとつかんで、下げだした。
「あっ。いやっ。やめて」
京子は大声で叫んで激しく抵抗した。
だが、京子はどうしようもない。
男はわざと京子にもどかしさを感じさせるように、また、京子の羞恥の反応を観察するように、ゆっくりと掴んだパンティーを下げていった。
そして、あわや恥ずかしい部分が見えるか見えないかの直前で止めて、またパンティーを引き上げたりと、そんな事を何回も繰り返した。
パンティーが引き下げられるにつれて京子は顔をひきつらせた。
「どうだ。京子。スリルがあって面白いだろう」
男は笑いながら言った。
「お願い。やめて」
京子は声を震わせて叫んだ。
「もう、ここまできたら観念しちゃいな。もう、行きつく所までいくからな」
そう言って、男は京子のパンティーをグッとつかんだ。
「おっと。その前にやることがあった」
男は、思い出したように言って縄で京子のピッチリついている両足首をカッチリと縛った。
もう、これで京子は足を動かすことが出来なくなった。
男は、再び京子のパンティーの縁をグッとつかむと、ズルッと一気に膝の上の辺りまで引き下げた。
京子の女の部分とムッチリ閉じ合わさった尻が丸出しになった。
「ああー」
京子は大声で叫んだ。
足をモジモジさせたが、どうしようもない。
パンティーを中途半端に脱がされている姿はみじめ極まりない。
いっそのこと、完全に脱がされてしまった方が、マシかもしれない。
男達は手を休めて、じっくりとみじめな姿の京子を見た。
京子は、とっさに腰を引いた。
「どうだ。京子。もどかしくて気持ちいいだろう」
一人が揶揄した。
「お、お願い。下着を元にもどして」
京子は訴えたが三人はどこ吹く風という様子である。
後ろの男は京子の尻をつかむと、グッと割り開いた。
すぼまった尻の穴が尻の割れ目の奥に見える。
立っていた男は、京子の胸のビキニをペロリとめくり上げた。
豊満な乳房が顕わになった。
彼は、豊満な乳房にピッタリと手を当て、ゆっくりと揉みだし、時々、乳首をキュッと摘んだりした。
前の男は、京子の女の肉を摘んだり、ピッタリ手を当てたりした。
そして、だんだん女の穴に指を入れて、ゆっくり往復させだした。
クチャクチャと音が鳴り出した。
「や、やめてっ」
京子は叫んだ。
「ふふ。何だ。この音は」
「体は気持ちいいって反応してるじゃないか」
「よし。京子をいかすぞ」
そう言って三人は、いっそう激しく京子を責め出した。
クチャクチャする音はどんどん、激しくなっていく。
「ああー。も、もう、だめ。いっちゃう」
京子は叫んだ。
男達は、三人がかりの愛撫をいっそう激しくした。
「ああー。いくー」
京子は、人一倍、大きな声で叫んだ。
全身を激しくガクガク震わせた後、京子はガックリと脱力した。
もう、男達が、責めつづけても京子は死んだ魚のように何の反応も示さなくなった。
「ふふ。京子。気持ちよかっただろう」
そう言われても京子はガックリと項垂れている。
「純。京子のアソコがベチョベチョになってるぜ。ティッシュで拭いてやりな」
そう言って男は純にティッシュを放った。
純はティッシュを拾うと、京子の所へ行った。
「しっかり拭けよ。ベチャベチャしたままパンティーを履いたら、京子も気持ち悪いぜ」
小心な純は彼らに命令されると逆らえない。
純は京子の足元に屈み込んだ。
そしてティッシュを取り出した。
「ごめんなさい。京子さん」
純は、そう言って京子の股の間の濡れた女の部分をティッシュで拭いた。
ぬめりをとるためには、しっかり拭かなくてはならない。
純は無我夢中で、京子の女の部分から分泌された粘液を拭いた。
女の部分の柔らかい肉の感触が嫌でも伝わってくる。
ティッシュを何枚も使って、ようやく拭きとった。
「よし。じゃあ、俺達は帰るからな。京子の縄を解いてやりな」
「それとも、もっと虐めたかったら、好きなように虐めな」
男達は、笑いながら小屋を出て行った。


あとには京子と純がのこされた。
純は中途半端に脱がされているパンティーをしっかり腰までピッチリと引き上げた。
そして、めくられたブラジャーも元にもどして乳房をブラジャーの中に入れた。
こうして下着を履かせることも、恥ずかしい行為である。
純はやって真っ赤になった。
京子は下着を履いて後ろ手に縛られて吊るされ、足首を縛られているという姿である。
純はまず足首の縄を解こうと京子の足元に屈みこんだ。
その時。
「待って」
京子が制した。
「な、何でしょうか。京子さん」
純は京子に制されて手を止めた。
「あ、あの。私、純さんに言っておかなくてはならない事があるんです。聞いていただけますか」
京子は顔を赤らめながら言った。
「は、はい」
純は緊張して答えた。
あ、あの、と言って京子は躊躇しながら切り出した。
「わ、私、淫乱な女なんです。さっきも嫌がる振りをしながらも興奮してしまっていたんです。もちろん、あの三人に玩ばれる事もですが・・・」
そう言った所で京子は顔を赤くして、言葉を止めたが、すぐにつづけて言った。
「私がもっと興奮したのは、あの三人に玩ばれる姿を純さんに見られていたことなんです」
「私、純さんを初めて見た時から、彼らに玩ばれる姿を純さんに見られたいと思っていたんです」
「純さんがプールに来るよう彼らに誘ったのも私なんです。木馬に乗った姿を見られている時も、すごく興奮していました」
「ペットボトルのジュースをわざと飲んだのも、純さんにみじめの極地の姿を見られたかったからなんです」
京子はつづけざまに言った。

純はしばし黙って京子の告白を聞いていたが、顔を真っ赤にして重たい口を開いた。
「あ、あの。京子さん。僕も告白します」
そう言って純は話し出した。
「僕も京子さんを初めて見た時から、ずっと心に思いつづけてきました。毎晩、京子さんの事を思いつづけてきました。でも僕にもサディズムの気があって、京子さんがいじめられているのを見ると、すごく興奮してしまっていました。彼らが京子さんをいじめるのを見るのが、すごく楽しかったんです」
言って純は真っ赤になった。
「ありがとう。嬉しいわ。純さんが、私をそういう目で見ていてくれたなんて」
「でも彼らは昨日の夜、僕が京子さんを自由にしたことは、だませましたね」
「そうね。いい気味だわ」
「まさか、昨日の夜中、僕が京子さんを自由にし、今朝、元通りに縛っておいたとは思わないでしょうね」
二人は微笑みあった。
「じゃあ、縄を解きます」
そう言って純は後ろ手に縛められた京子の手の縄に手をかけた。
その時。
ガチャリ。
戸が開いた。
三人が入ってきた。
ニヤニヤ笑っている。
「ふふ。聞かせてもらったぜ」
純と京子は青ざめた。
「そうか。京子。純。お前達はそんな事を思っていたのか」
「京子。お前の望みをかなえてやるぜ」
「純。お前の望みもかなえてやるぜ」
彼らは、そう言って小屋から出ていった。

  ☆  ☆  ☆

数日後の仕事の後の事である。
バラックでブラジャーとパンティーをつけた京子が両手首を縛られて天井の梁に吊るされてる。
床には脱がされた京子のブラウスとタイトスカートが無造作に散らかっている。
三人の男が、胡坐をかいて座っている。
彼らはサンドイッチやおにぎりを食べながら、ニヤニヤ笑いながら下着姿で吊るされている京子を眺めている。
京子の横には純が立っている。
「おい。純。京子を好きなように玩びな。手加減するなよ」
「遠慮しないでお前がやりたい事をやるんだぞ」
「お前が京子をどんな風に扱いたいと思っているのか、お前の心が見たいんだからな」
彼らはそんな事を純に向かって言った。
純は辛そうな表情で彼らの発言に対する京子の反応をうかがうよう京子の顔を見た。
「純さん。いいの。好きなようになさって」
京子はやさしい口調で言った。
純は申し訳なさそうな表情で京子の背後に廻った。
そして京子を後ろからそっと抱きしめた。
純は抱きしめたまま、じっとしている。
「おい。純。もっと、ちゃんと本気でやれ」
一人が純に向かって叱咤した。
純の手がピクンと震えた。
「ごめんなさい。京子さん」
純はそう言うと、ゆっくりと京子の体に手を這わせだした。
京子は両手首を頭の上で縛られて天井の梁に吊られているため、逃げられない。
純は動けない京子の体のあちこちを触れていった。
純はパンティーの上から京子の尻を触ったり、パンティーによって形よく整った女の肉の盛り上がりを触ったりした。
それは演技ではなく、いやらしい本当の痴漢の手つきに見えた。
純はブラジャーの上に、そっと手を当てると、ゆっくりと揉み出した。
そして時々、乳首の所をコリコリと指で刺激した。
純は片手で京子の胸を揉みながら、片手をそっと京子のパンティーの中に入れた。
あっ、と京子が声を上げた。
パンティーの中で手がモソモソと動いている。
純はブラジャーの中にも手を入れて京子の乳房を揉み出した。
京子はだんだん、ハアハアと喘ぎ声を上げはじめた。
純もハアハアと興奮の息を洩らしはじめた。
クチュクチュと京子の女の部分が音をたてはじめた。
純の、京子の胸と秘部への愛撫はいっそう激しくなっていった。
「ああっ。いいっ」
ついに京子は言葉を洩らした。
純のズボンの男の所は激しく屹立していた。
純はそれを京子の尻に激しく押しつけた。
「ああっ。愛してます。京子さん」
ついに純も言葉を洩らした。
二人はもう三人の男に見られている事も、何もかも忘れ、二人だけの愛の世界に入ってしまっているという様子だった。
三人の男は食べるのも忘れ、呆然と、自分達の世界に浸ってしまっている二人をポカンと口を開け、眺めていた。
「おい。もう、それくらいでいい。離れろ」
男の一人が大声で言った。
純の手がピクンと止まった。
純は突然、意識を現実に引き戻されたように愛撫していた手の動きをとめ、パンティーから手を抜き、京子から離れた。
急に羞恥の念が純に襲い、純は顔を赤くしてうつむいた。
それは京子も同じだった。
その図は、ちょうど、校舎の裏で隠れてキスしている所を担任教師に見つけられてしまって狼狽している高校生の男女のようだった。
見ていた男達の意識も現実に引き戻された。
「ふふ。ポルノ映画、というか、恋愛映画を観ていたような気分だったぜ」
「お楽しみの所を邪魔しちゃってわるいな」
「あついペッティングを見せつけられて、ちと、妬けたぜ」
男達はそんな揶揄をした。
「しかし、それじゃあ、見ていても面白くないな」
「京子はマゾで純はサドなんだろ。それじゃあ、もっと、気持ちのいい事をさせてやりあいな」
「よし。純。やさしい愛撫はそのくらいにして、今度は京子を徹底的に責めろ。お前はサディストで京子をいじめたいんだろう」

純は黙っている。
「まず、京子のブラジャーとパンティーを脱がして丸裸にしな」
一人が言った。
「京子も粘液で濡れたパンティーを履いているのは気持ちよくないだろう」
別の一人が追討ちをかけた。
純は辛そうな表情で彼らの発言に対する京子の反応をうかがうよう京子の顔を見た。
「純さん。いいの。好きなようになさって」
京子は躊躇している純を気遣って、やさしい口調で言った。
純は手首を縛られて天井の梁に吊るされて自由の利かない京子のブラジャーのホックをはずしてブラジャーをとり、パンティーも下げて両方の足先から抜きとった。
これで京子は一糸纏わぬ丸裸になった。
京子の体は美しかった。
豊満な二つの乳房は、あられもなく、ほどよい下垂をもって曝け出されている。
ウエストはキュッと引き締まり、そこから一気に過剰なほど肉のついた骨盤部に盛り上がり、それがそのまま、しなやかな下肢へとつづいている。
腹の真ん中には、雨垂れで穿たれたような縦長の臍の穴が見え、その下では女の秘部があられもなく曝け出されている。
男達は目を皿のようにして身を乗り出して丸裸の京子を見た。
三人の視線は、京子の臍の下の一点に集中している。
京子はそれを感じとって羞恥に頬を赤くし、膝を寄り合せて、そこを隠した。
それでも三人の視線は、そこに集中している。
「純。これで京子の両足首を縛れ」
そう言って一人が純に縄を投げた。
純はそれを拾うと京子の両足首を縛った。
「これで準備が整った」
一人が満足げな口調で言った。
純にはその意味が解らなかった。
一人が純に鞭を放り投げた。
それは柄のついた皮製の一本鞭だった。
「よし。鞭打ち責めだ。それで京子を思い切り鞭打ちな」
一人が言った。
「お前が鞭打たないのなら俺達が京子を鞭打つぞ」
別の一人が言った。
純は投げられた鞭をしぶしぶ拾った。
純は辛そうな表情で彼らの発言に対する京子の反応をうかがうよう京子の顔を見た。
「純さん。いいの。気になさらないで。遠慮しないで鞭打って」
京子は躊躇している純を気遣って、やさしい口調で言った。
「ほら。ああ言ってるじゃないか。早くはじめな」
純は鞭を持って、しぶしぶ京子の背後に廻った。
「純。手加減せず力の限り鞭打つんだぞ」
「手加減している様子が見えたら、俺達が鞭打つからな」
純はワナワナと手を震わせながら鞭を構えた。
「ごめんなさい。京子さん」
純はそう言って鞭を振りおろした。
鞭はヒュンと風を切って、京子の裸の体にピシャリと歯切れのある音をたてて当たった。
「ああー」
京子は眉を寄せて、体を反らして悲鳴を上げた。
体がワナワナ震えている。
相当、痛いのだろう。
「ごめんなさい。京子さん」
純は心を込めて謝った。
「いいの。純さん。つい、大声を出してしまったけど本当はそんなに痛くないの」
京子は、なだめるように言った。
だが、京子の反応の様子から痛くないはずはない。
男達は満足げな表情で眺めている。
純がやらなければ、男達が純の代わりに京子を鞭打つことになるのである。
そんな光景を見るのは、とても耐えられない。
どのみち京子は責められなくてはならないのである。
「さあ、純さん。やって」
純が躊躇しているので京子が責めを促した。
「ほら。ああ言っているんだ。早くやれ」
男達も純を促した。
京子は縛められた拳をギュッと握りしめ、責めに耐える用意をした。
どのみち京子は責められなくてはならないのである。
彼らに京子を鞭打たせるくらいなら、いっそのこと自分の手で京子を責めようと、とうとう純は決意した。
純は京子の体めがけて鞭を振り下ろした。
鞭が当たる度に京子は、ああー、と声を上げ、体をのけぞらせた。
上は手首を縛られて吊るされ、その上、足首を縛られているため京子は避けようがない。
鞭が京子の体に当たる度に、ピシリ、ピシリと意気のいい炸裂音が起こり、京子の体は風に舞う木の葉のように、前後左右に揺らめいた。
「おい。京子。どうだ。今の気持ちは」
「お前はマゾで純が好きなんだから、痛いだけじゃないだろう」
「今の気持ちを正直に言え」
男達は矢継ぎ早に京子に問い詰めた。
「い、痛いです。でも幸せです」
京子は、ついに禁断の本心を告白した。
「やっぱりな」
男達は満足げな表情で笑った。
「ああっ。純さん。もっともっと力一杯、私を鞭打って」
本心を告白してしまって箍が外れたように、京子は、あけすけもない要求をした。
純は驚きと緊張で鞭打ちの手を止めた。
「おい。純。鞭打ちを止めるな」
「京子は今、最高のエクスタシーの状態なんだ」
すぐに男達が叱咤した。
純はすぐに厳しい鞭打ちを再開した。
鞭がピシリと当たる度に京子は、ああっ、と声を洩らし体をのけぞらせた。
「ああー。いいー。純さん。もっと鞭打って」
京子は何もかも忘れたかのように恍惚の叫びを上げつづけた。
純は無我夢中で鞭打ちつづけた。
鞭が京子の体に炸裂する度に、京子は、ああっ、と声を洩らし、髪を振り乱し、尻を振った。その姿を見ているうちに純の心に、ある矛盾した思念がふつふつと沸きだした。純の目は凛々と輝きだした。
今までは、京子がかわいそう、という感情だけだったが、鞭打たれる度に、喘ぎ声を洩らし、拘束された体をくねらせる京子の姿が、何とも、いとおしく、愛らしく感じられだしたのである。その感情は純の心の中でどんどん加速度的に激しくなっていった。京子を鞭打てば、鞭打つほど、京子に対する愛情も強まっていった。もはや、純はその感情を貪りたいと思うだけの精神と化した。
『京子。泣け。もっと泣け』
純は心の中でそう叫びだした。
純の目は凛々と輝きだした。
純は渾身の力を込めて京子をたてつづけに鞭打った。
鞭が当たる度に、京子は、ひいー、と叫びながら、髪を振り乱し、激しく体をのけぞらせた。京子は目からはポロポロ涙が流れだした。
鞭打たれて、みじめに泣き叫ぶ京子の姿を見ているうちに、純の京子を嬲り抜きたい欲求は、よけい激しくなっていった。
もう純は三人に見られていることも、京子の体が傷つくことも忘れ、渾身の力を込めて京子を鞭打った。
ついに純の激情は京子を責め殺したいとまで思うほどになった。
「京子。泣け。もっともっと泣け」
純はとうとう禁断の告白を言った。
そして、間髪入れず、すぐにつづけて言った。
「京子。愛してる。世界一愛してる」
純はとうとう心の中の思いを叫んだ。
「ふふ。純。お前もとうとう本当のサディストになったな」
男が揶揄したが、純は男の声など耳を素通りしたかのごとくである。
純は京子を鞭打ちつづけた。
「純さん。私、幸せ。最高に幸せ」
京子は鞭打たれて涙を流しながら最高の感慨に満たされたような口調で叫んだ。
「こ、殺して。純さん」
京子は泣きながら叫んだ。
純はハアハアと息を洩らしながら、物にとりつかれたかのように渾身の力で鞭打ちつづけた。このまま、つづけたら京子が死んでしまいそうなほどに見えた。
男達は豹変した純に、たじろぎ出した。
「おい。純。もう、そのくらいでやめておけ。京子が本当に死んでしまうぞ」
男の一人が立ち上がって、急いで純の所に行き、我を忘れて京子を鞭打っている純を取り押さえた。
男は純から鞭をとりあげた。
純はハアハアと息を切らしていたが、だんだん落ち着いて正気を取り戻してきた。
京子は、ガックリと項垂れている。
ピクリとも動かない。
その体には激しい鞭打ちによって出来た無数の蚯蚓腫れの赤い線が浮き出ていた。
しばしして、ようやく純の意識は現実にもどった。
柔らかく華奢な女の体を、こんなに傷つけてしまったという罪悪感が一気に純におそいかかり、純はガックリと膝を落として床に座り込んでしまった。
三人は予想と違う事になったことに、しらけて、揶揄するものもいなかった。
三人は立ち上がった。
「純。京子の縄をちゃんと解いてやりな」
「しっかり介抱してやるんだぞ」
そう言って三人はコソコソと小屋を出て行った。

あとには、しんとした小屋に心身ともに疲れきって、動かなくなってしまった二人が残された。
しばし二人は黙ってじっとしていたが、ムクッと純が立ち上がった。
純は、裸で吊るされている京子の前に立った。
純が京子の顔を見ると京子も純の顔を見た。
純は吊るされている京子の手首の縄と足首の縄を解いた。
二人の目と目が合った。
「ごめんなさい。京子さん」
純は泣き出しそうな顔で謝った。
「いいの。私、最高に幸せだったわ」
京子の目には涙が光っていた。
「愛してます。京子さん」
そう言って純は裸の京子を力強く抱きしめた。
京子も純を抱きしめた。
二人は黙ったまま、いつまでも抱き合っていた。


平成20年12月6日(土)擱筆

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M女と三人の少年 (小説)

2020-07-06 22:40:08 | 小説
M女と三人の少年

京子はある総合大学の二年である。
京子は生まれつきある性癖があった。それはマゾヒズムだった。大学に入って東京のマンションに入って、一人暮らしになってから、京子の被虐願望は激しく募った。特に夏は京子の被虐願望は、狂おしいほどに京子を悩ませた。京子は、緊縛写真集や自縛の本を買って、一人裸になって、様々な恥ずかしい姿に自分を縛った。京子は多くのスケベな男によってたかって嬲られる事を想像した。だが、想像で、というのは虚しかった。京子もSMパートナーを見つければいいのだが、京子は気が小さく、男と付き合う勇気は持てなかった。自分の感性に完全に合う相手というのは、なかなか見つからないものである。

通学の途中、京子は、裏通りのある小さな本屋に立ち寄ることが多かった。そこは、エロティックな本がメインの本屋だった。京子はいつも、そこで、新しい緊縛写真集やSM小説が出ると買っていた。店の主人は、定年退職して、退職後の余暇を書店経営とした人だろうと京子は思った。今時の書店のおやじに似合わず、のんびりした性格で、万引きに対して、目を光らせているといった様子はなかった。立ち読みしている人がいても、嫌そうな顔をしなかった。

ある時、京子が、その本屋に寄ると、中学生くらいの生徒が三人、エロ雑誌を見ていた。18禁だが、おやじは、のんびりした性格で注意しなかった。京子はドキンとした。京子はSM写真集を買って店を出た。

それ以来、京子は、頻繁にその書店に入るようになった。三人の学生がいることが多かった。店のおやじが、18禁の本を見ていても注意しないことから、三人は、その店に目をつけたのだろう。

ある土曜の昼のことである。
京子がその書店に入ると、いつもの三人の学生が興奮しながらSM写真集を見ていた。三人ともズボンが激しく、せり上がっていた。
「ねえ。ボク達。その本がほしいの」
京子は小声で三人に話しかけた。
三人は京子に話しかけられて、あわてて急いで本を戻した。
注意されると思ったのだろう。
「ボク達、そういうのに興味があるの」
京子はやさしい口調で言ったが、三人は竦んで黙ってしまっている。
「その本、18禁だから、ボク達、買えないわ」
京子が聞いても三人は黙ってる。
「いいわ。私が買ってあげる」
そう言って、京子は、そのSM写真集をとってレジに出して買った。
京子は買った本の入った袋を小脇に抱えて、三人の所へ行った。
「ねえ。ボク達、ちょっと店を出ない」
京子は三人に言った。
京子が書店を出ると、三人は、ぞろぞろと京子の後について店を出た。
店を出ると、京子は振り返った。
「はい。あげる」
そう言って、京子は三人に、SM写真集の入った紙袋を渡した。
三人は、どういうことなのか、わからずキョトンとしている。
「ボク達、よかったら、私の家に来ない。御馳走つくってあげるわ」
ようやく三人は、京子の意図を感じとって、ニヤッと笑った。
「はい。行きます」
ちょうど、その時、空きのタクシーが、来たので京子は手を上げた。
タクシーは、京子の前で止まった。
ドアが開いた。京子は、前の助手席に座り、三人は後部席に乗り込んだ。
どちらまで、と、聞かれて京子は自分のアパートと、その住所を言った。
タクシーは、勢いよく、走り出した。

街中を少し走ってから、すぐにタクシーは、あるアパートの前でとまった。
京子は料金を払って降りた。後ろの三人も降りた。
京子の部屋は五階だった。
京子は階段を上がっていった。男達も京子のあとについて行った。
京子は部屋の前で戸を開けて、三人を促した。
「さあ。入って」
「おじゃまします」
三人はウキウキしながら京子の部屋に入っていった。
「私は五十嵐京子って名前です。君達は?」
「僕は山田」
「僕は高橋」
「僕は佐藤」
三人は元気よく名前を言った。
「さあ。自由にくつろいで」
京子は、軽いスナックとジュースを持ってきて、三人に配った。
「ねえ。ボク達。ああいうの好き」
「ええ。大好きです」
「そうよね。ボク達の年頃が一番、エッチな事をしたい年頃だものね」
三人は、京子のグラマーな体を舐めるように眺めている。
「じゃあ、私がボク達のオモチャになるわ。何でも私にしていいわよ」
三人は、やったー、と言って飛び上がって喜んだ。
「どうして、そんな事までさせてくれるんですか」
一人が聞いた。
「大人の男の人だと怖いの。ちょっとでも思いに違いがあると、かえって嫌な思い出になっちゃうの。その点、ボク達のような年下の子なら、何をされても安心なの」
「でも、この事は誰にも言わないでね」
「ええ。言いません」
「じゃあ、好きにして。どんな事をしてもいいわよ」
そう言って京子はカーペットの上に横たえた。
三人は舌なめずりしながら、京子の回りを取り囲んだ。
京子は目を閉じて体を投げ出している。
美しい腰までとどく黒髪がちらけ、スカートの裾からムッチリした太腿が無防備に露出している。京子は、これから料理される俎上の鯉だった。
三人はゴクリと唾を飲み込んだ。
しばし、じっと横になっている京子の体を眺めた。
もう、これだけで十分過ぎるほどだった。
大人の女を触れんばかりに間近に見ているのである。
こんな事は彼らにとって生まれて初めての経験である。
しばし、彼らは京子の体を心ゆくまで髪の毛から足先まで眺めた。
しばしして、彼らは、ようやく京子の体を触りだした。
ちょうどガリバー旅行記の小人のように、女の体を調べだした。
繊細なつくりの女の手を開いたり、艶のある美しい髪を触ったり、京子が目をつぶっているのをいい事に、京子の鼻の穴を覗き込んだり、ミニスカートの裾の方からスカートの中を覗き込んだりした。
さらに引き締まった形のいい足首をつかんだり、足指を一本一本開いたりした。
彼らは、生まれて初めて触れる柔らかい女の体の感触を確かめて楽しむように触った。
だんだん三人の鼻息が荒くなっていった。
彼らは、ブラウスの上から京子の胸を触ったり、スカートの上から京子の尻を触ったり、太腿の上に這わせていた手をスカートの中に入れ太腿の付け根の方へ這わせだした。
「あっ。いやっ」
と言って京子は、反射的に膝をピッチリ閉じ、胸とスカートを手で押さえた。
彼らは図にのった事を反省したかのように、すぐに京子から手を離した。
「いいのよ。私が抵抗しても。無視して好きな事をして。意地悪されることに私、興奮するんだもの」
すぐに京子が彼らを安心させるように言った。
彼らはニヤッと笑った。
「ふふ。僕達もその方が、やりがいがあります」
「三人で京子さんをうんといじめちゃおうぜ」
三人はそんな事を言った。
「ふふ。君達の意地悪なんか、全然、こわくないわ。私を泣くまでいじめてごらんなさい。そうしたら、少しは見直すわ」
京子は笑いながら言った。
三人はニヤリと笑った。
「ふふ。よくもなめてくれましたね。じゃあ、京子さんが泣くまで、いじめ抜きます。覚悟して下さい」
男の一人が言った。
「では京子さん。スカートとブラウスを脱いで、下着だけになって下さい」
別の男の一人が言った。

京子は命じられて三人の視線を気にしながらブラウスのボタンをはずしていった。
ふくよかな乳房をおさめたブラジャーが顕になった。
そして京子は、立ち上がってスカートも脱いだ。
ブラジャーとパンティーの下着だけの姿になると、京子は、脱いだ服をひしっと抱えて、ペタンと座り込んだ。
男がすぐに、京子からブラウスとスカートを強引に奪いとった。
あっ、と京子は声を上げたが、もう遅い。
「へへ。京子さんのブラウス」
と、略奪したことを、ことさら京子に示すように、一人が奪いとった京子のブラウスをヒラつかせた。
「へへ。京子さんのスカート」
別の一人が同様にスカートをヒラつかせた。
京子は真っ赤になって、両手でブラジャーで覆われた大きな乳房を覆った。
それは、ちょうど大きな二つの白桃を、落とさないよう大切に胸の前で抱えている乙女の姿だった。
「ふふ。京子さん。とってもセクシーですよ。純真な乙女が悪漢に拉致されているようで、哀愁がありますよ」
男はそんな事を言った。
「京子さんも、そんな哀愁に浸っているんでしょう」
別の一人が言った。
京子は、両手で胸を覆いながら笑って彼らを見返した。
「そうよ。私は悪漢に捕まった悲劇の女よ。でも、君達なんて、子供だから、こわくないわ」
京子は、開き直って強気な事を言った。
「あっ。言いましたね。僕たちは子供なんかじゃないですよ。もう、立派な大人の男ですよ」
「よし。京子さんを襲っちゃえ」
そう言って三人は、下着姿で座っている京子を取り囲んだ。
二人が京子の横にピッタリとくっつき、一人が京子の背後にピッタリとついた。
横の二人は京子の腕をガッシリつかんだ。
そして三人は京子の胸を揉んだり、尻を触ったりした。
「ああっ。や、やめて。やっぱり、こわいわ」
京子は体を揺すって抵抗した。
だが、年下とはいえ、二人の男にガッシリ両腕を取り押さえられているため、どうにもならない。
「ふふ。京子さん。ウソついてもダメですよ。本当は京子さんは、こうされている事が嬉しいんでしょう」
「ち、ちがうの。本当にこわいの」
京子は、顔を赤くして言ったが、その声は震えていた。
三人は京子を取り押さえながら、京子を触ろうとしている。
しかし、京子は抵抗しているため、三人にとっては、まだるっこしい。
「ね、ねえ。ボクたち」
「なんですか。京子さん」
「私をもてあそびたいんでしょ」
「ええ」
「私もエッチなことされたいの。でも、こわいから、つい抵抗しちゃうの」
そう言って京子は頬を赤くした。
「わ、私を縛って。そうすれば抵抗できないでしょ」
京子は、声を震わせながら言った。
三人は顔を見合わせてニヤリと笑った。
「ええ。いいですよ」
そう言って三人は、取り押さえていた京子の手を離した。
「縄はあのダンボールの中にあるわ」
そう言って京子は部屋の隅にあるダンボールを指差した。
一人がニヤッと笑ってダンボールを持ってきて麻縄を取り出し、京子の背後に座った。
彼はニヤリと笑うと、京子の両手を力強くグイと背中にねじりあげた。
「ああー」
京子は反射的に声を上げた。
だが、彼は容赦なく背中で京子の手首を重ね合わせ、麻縄で京子の手首をカッチリと縛り上げた。
これでもう、京子の自由はなくなった。
三人はニヤニヤ笑って自由を奪われた京子を勝ち誇ったようにしげしげと眺めた。
「こ、こわいわ」
京子は横座りしたまま顔を火照らせている。
京子は、豊満な乳房をおさめたブラジャーと、そろいのピッチリしたパンティーだけ、という姿である。もう、京子は自分の意志でそれを守る事が出来ないのである。三人は涎をたらすように、自由を奪われて座っている京子をしげしげと眺めた。
三人は京子のブラジャーの上から乳首の所をコリコリさせたり、臍を触ったりと、京子の体を思うさま、触りまくった。
「ああー」
京子は眉を寄せて叫んだ。
「ふふ。京子さん。立って下さい」
一人が言った。
「立ってどうするの」
京子は、おそるおそるの口調で言った。
「いいから立つんだ」
一人が威嚇的な口調で言って京子の肩を掴んで無理やり体を引き上げた。
「あっ」
京子は反射的に声を出してヨロヨロと立ち上がった。
京子は膝をピッチリ閉じ合わせてモジモジした。
「ふふ。座った姿もいいが、立った姿も色っぽくていいな」
そう言って三人は後ろ手に縛められてパンティーとブラジャーだけで膝を寄り合わせてモジモジしている京子をしげしげと眺めた。
しばし三人は困惑して立っている京子をしげしげと眺めていたが、一人が京子の傍らにやってきた。ニヤニヤ笑いながら京子を見上げた。
京子は、おびえた顔つきで体を震わせながら立ち竦んでいる。
男はしげしげと京子のパンティーをしばし眺めていたが、いきなりパンティーのゴム紐を両手でグッと掴んだ。
「あっ。な、何をするの」
京子は、ある怖ろしい予感を感じて腿をピッチリ閉じ合わせた。
だが、男はニヤニヤ笑いながら、京子のパンティーを下げ始めた。
「ああー。いやー。やめてー」
京子は身を捩って叫んだが、両手を背中で縛められているため、どうすることも出来ない。
「嫌っ。嫌っ」
京子は叫んだが、男は京子の困惑を楽しむように、ゆっくりとパンティーを引き下げていった。
尻の割れ目が丸見えになり、女の恥ずかしい所が見えるか見えないかの所で、男はおもむろに手を離した。
後ろ手に縛められた姿でパンティーだけ中途半端におろされた姿はみじめ極まりない。
だが、手が使えない以上、どうすることも出来ない。
男達は、困惑して顔を真っ赤にしてモジモジしている京子をニヤニヤ眺めた。

京子は男達のいやらしい視線に耐えられず、ペタンと座り込んでしまった。
だが、パンティーが中途半端に下ろされているため、大きな尻は丸見えである。女の秘所も見えるか見えないかである。
京子は、尻を床で擦って、何とかおろされかかったパンティーを引き上げようとした。だが、だめだった。その仕草が滑稽なため三人は笑った。
「ふふ。京子さん。大きなお尻が丸見えですよ」
「どうです。今の気分は」
男達が揶揄した。
「は、恥ずかしいわ。お願い。下着を元にもどして」
京子は顔を真っ赤にして訴えた。
だが、男達は聞く耳などもとうとせず、ニヤニヤ笑って京子を見ているだけである。

「さーて。次は何をしようかな」
そう言って三人は余裕綽々といった様子で本屋で京子に買ってもらったSM写真集をパラパラめくった。
あるページで三人はゴクリと唾を呑んだ。
それは丸裸の女がうつ伏せになって足首を縛られ、体を反るように縛られているポーズだった。駿河問いの縛り、である。
「よし。こういう風に縛っちゃおう」
三人はニヤリと笑って立ち上がって京子を取り囲んだ。
京子は怯えた表情で肩を竦めている。
「さあ。京子さん。うつ伏せになって下さい」
「な、何をするの」
京子は怯えた口調で言った。
「いいからうつ伏せになるんだ」
一人が威嚇的な口調で言って京子の肩をドンと押した。
京子は、黙って言われるままブラジャーと脱がされかかったパンティーという姿で床の上にうつ伏せになった。
一人の男が京子の足首を縛った。
そしてその縄尻を首の方に力強くグイと引っ張った。
京子の下肢は逆えび固めのように弓なりに反った。
「ああー」
京子は眉を寄せて叫んだ。
「おい。京子さんの肩を持ち上げて体を反らせろ」
京子の足首を縛って、その縄尻を引っ張っている男が他の二人に言った。
二人はニヤリと笑って、京子の肩を掴んで思い切り反らせた。
「京子さん。体は柔らかいですか」
「え、ええ」
京子は怯えた表情で言った。
「そうですか。なら安心ですね」
男はしたりげな口調で言って、足首の縄をグイと引っ張って、京子の首にかけた。そして首を一巻きして縄の先を小さな輪のようにして結び、縛り首のようにした。
京子の足首と頭をつないでいる縄の長さは10cm位で、もうほとんど体を反った輪のような格好である。
「ああー」
京子は眉を寄せて苦しげな表情で叫んだ。
これは、油断すると首が絞まってしまう駿河縛りである。
首を絞まらせないためには、どんなに辛くても体を反りつづけなくてはならない。
男達は、縛りおえると京子の苦しみを意地悪く観賞しようと、京子から少し離れて胡坐をかいて座った。
「ふふ。京子さん。横に倒れちゃダメですよ。そうやって鯱のようにしていなくちゃダメですよ。横に倒れたら、京子さんの美しい髪の毛をバッサリ切っちゃいますよ」
そう言って一人が挟みをチョキチョキ鳴らした。
京子は首が絞まらないよう尻や脚や背筋に力を入れて必死に体を弓なりに反らした。
しばしの時間が経った。
京子の尻や脚の筋肉は苦しい姿勢で耐えているためピクピク震えている。
「ふふ。京子さん。素晴らしい格好ですよ。どうです。今の気分は」
一人が揶揄した。
「ああー。お願いです。許して。縄を解いて。わ、私、もう我慢できません」
京子は眉を寄せて、苦しげな表情で叫んだ。
「ふふ。そんなこと言ってても本当は嬉しいんでしょう。京子さんはいじめられることが嬉しいマゾなんだから」
一人がそんな揶揄した。
だが京子は答えようとしない。
「答えないんなら、僕達、京子さんに猿轡して帰っちゃいますよ。京子さんの命も今日までですね」
そう言って、彼らの一人が豆絞りの手拭いを持って京子に近づいていった。
「さあ。口を開けて下さい」
一人が言ったが、京子は、いやっ、いやっ、と言うだけで口を開こうとしない。
そのため、二人が京子の口を無理やり開き、一人が豆絞りの手拭いで京子に猿轡をかけようとした。
「ま、待って」
京子が制した。
男達はニヤリと笑って、京子の口にかけようとしていた猿轡をやめた。
「言う気になったんですね」
男達は京子の鼻や耳を摘んだりと顔をもてあそびながら余裕の口調で聞いた。
「じゃあ、言って下さい。ウソ言ったら髪の毛、切っちゃいますよ」
一人が京子の髪の毛をつかんで鋏を当てた。
「は、はい」
京子は答えた。
「あなた達の言う通りです。私は、こうやって、よってたかっていじめられて、みじめの極地に追い込まれることに興奮するマゾ女なんです。今もこうされて、すごく嬉しいんです」
京子は叫ぶように声を大に言った。
「さ、さあ。私をうんといじめて。みじめのどん底に落として」
告白してしまって、もう一切のこだわりが無くなったかのように京子はつづけざまに大声で訴えた。
男達はニヤリと笑った。
「ふふふ。よく白状しましたね。そうだと思ってましたよ」
「白状した見返りとして縄は解いてあげます。こんな格好、苦しくてもう限界でしょう」
そう言って一人が京子の足首と首をつないでいる縄に手をかけた。その時。
「待って」
京子が制した。
「なんですか」
「と、解かないで」
「このみじめな姿をもっと見下されたいの」
京子は真っ赤になって言った。
男達はクスリと笑った。
「でも、もう限界でしょう。お尻も脚もプルプル震えてますよ」
そうだった。もう京子は限界だった。京子の尻も脚の筋肉も、この苦しい姿勢を維持するためにプルプル震えていた。だが、京子は拒否の首を振った。
「いいの。確かに耐えられないほど苦しいけれど、その苦しさが快感なの。それに、こんなみじめな姿を晒していることがすごく嬉しいの。さあ、遠慮しないで、うんといじめて」
三人は顔を見合わせて笑った。
「では、お言葉に甘えて、京子さんのみじめな姿をうんと観賞させていただきます」
そう言って三人は京子から離れて、京子を取り巻くように座った。
京子は鯱のように体を弓なりに反った姿勢で縛られて、ピクピク尻や脚の筋肉を震わせている。身につけている物といえば白のブラジャーとパンティーだけである。が、パンティーは下ろされかかって、弾力のある大きな尻も、ムッチリ閉じ合わさった尻の割れ目も丸見えである。
「京子さん。みじめな姿とはいえ、パンティーとブラジャーは、まだちゃんと身につけていますよね。素っ裸になった方が、もっとみじめな姿だと思うんですが、下着をとっちゃっていいですか」
「い、いいわ。どうとでも好きなようにして」
京子は叫ぶように言った。
京子は目を閉じていたが、目尻から恍惚の随喜の涙が流れた。
「そうですか。では・・・」
そう言って一人が立ち上がって、うつ伏せで鯱のように弓なりに縛られている京子の傍らに座った。背中では手首が麻縄でカッチリと縛められている。
「ではお言葉に甘えて下着をとらせてもらいます」
そう言って彼はブラジャーの背中のホックをはずし、肩からストラップをはずした。そしてアジャスターを外した。もうブラジャーは胸から外され、ただ胸の下に敷かれているだけである。
彼は、へへへ、と笑ってブラジャーを引っ張って抜きとった。これでもう京子の胸の覆いは無くなった。うつ伏せのため、その全容は見えないが、大きくマシュマロのような柔らかい乳房が床に押しつぶされて、ひしゃげて見えて極めてエロチックである。
「さあ、今度はパンティーも脱ぎましょうね」
そう言って彼は、脱がされかかったパンティーを掴んで、さらにゆっくりと引き下げていった。だが膝の近くまで下げると彼はパンティーから手を離した。
「おい。どうした」
見ていた一人が聞いた。
「ふふふ。このくらいの位置の方が、いかにも脱がされかかっているという感じが出て一番、エロチックじゃないか」
彼は笑いながら言った。
確かにそうだった。今までは、尻は丸見えでも、降ろされたパンティーの位置は脚の付け根の所で、まだかろうじて覆いの役目になっていた。そのことが、パンティーをさげていくことによって感じられだしたのである。
だが今ではパンティーは、尻から完全に離れ、大きな尻から太腿へつながっている部分が丸見えになってしまっている。尻や太腿だけではなく前も同様である。今までは女の割れ目は見えなかった。見えるか見えないかギリギリのところで、かろうじて恥部を覆う物を体につけているという感じがあった。しかし、今では、もはやその覆いは完全に無くなってしまっている。うつ伏せのため見えないだけで、女の秘部はその全容を晒して床にピッタリとくっついているのである。それを想像することが男達を激しく興奮させた。
「ふふふ。なるほどな。確かに、パンティーはその位置が一番エロチックだな」
見ていた男は納得した様子で言った。
「じゃあ、パンティーは脱がさないで、しばらく、この姿を観賞しようか」
京子のパンティーを脱がせていた男が言った。
「ウーン。確かにその姿もエロティックだが、俺達はまだ京子さんの全裸姿はまだ見ていないぞ。全裸の緊縛姿はもっとエロチックなんじゃないか」
「そうだ。脱がされかかっているといってもパンティーがひっかかっていると、何かまだ着物を身につけているようで、もどかしい感じだ。早くパンティーも脱がしちゃえ」
見ていたもう一人の男が言った。
観賞者二人にせかされて、京子のパンティーを脱がせている男は、ウーンと思案げな顔つきをして京子の尻を見た。尻の割れ目は、ピッチリ閉じ合わさってプルプル震えている。が、すぐに何かいい事を思いついたらしくパンと手を打った。
「よし。脱がした方がいいか、このままの方がいいか、本人の京子さんの意見で決めよう」
そう言って彼は苦しげに上半身を反らしている京子の頭を横から覗き込んだ。
京子は苦しげな表情で眉を寄せ、歯を食いしばっている。
「京子さん。あなたのパンティーを完全に脱がすか、それとも、このままにするか決めかねています。京子さんはどっちの方がいいですか」
彼はふざけた質問を真面目に聞いた。
「ぬ、脱がして。私を一糸纏わないみじめな素っ裸にして」
京子は叫ぶように言った。
彼はニヤリと笑って落ち着き払った丁寧な口調で言った。
「わかりました。京子さんのたっての望みとあれば、そういたします」
彼はそう言って、京子の膝の近くまで中途半端におろされているパンティーを掴んで、さらにスルスルと引き下げていった。パンティーは膝頭を通り、その下につづくしなやかな下肢を通り、ついに縛られている足首の所まできた。両方の足首はきつく縛られているため、そこが終点だった。彼は手を離した。パンティーは足首の所でとどまった。
ついに京子は一糸纏わぬ丸裸になった。
仕事をおえた彼は剥ぎ取った京子のブラジャーを持って少し後ずさりして胡坐をかいて座り、他の二人同様、裸で縛られている京子を眺めて楽しむ観賞者になった。
これで京子は一糸纏わぬ丸裸を縛められたみじめな姿を三人の男に観賞されるみじめなオブジェになった。
「いいなあ。やっぱり丸裸だと起伏に富んだ美しい女の体の曲線美がクッキリ見えて最高だ」
一人が言った。
「そうだな。やっぱり丸裸で縛られてる姿の方がいいな」
別の一人が賛同した。
「そうだな。女の緊縛された姿はボンデージアートだな。でも、こうなると足首にひっかかっているだけとはいえ、パンティーも無い方が、すっきりしていいな」
「でも、パンティーはとれないよ。これでガマンするしかないな」
「縄を解いてパンティーを抜きとって、また縛ろうか」
「一度、縛った縄を解くなんて興ざめだよ。これでガマンするしかないよ」
男達は、丸裸で縛られてる京子を眺めながら、そんな事を言い合った。
その時、丸裸で弓なりに縛められているみじめな姿を晒しているオブジェの京子が、頬を赤くして蚊の泣くような小さな声で口を開いた。
「あ、あの・・・」
「なんですか。京子さん」
今まで美しいオブジェだと思っていた京子が、声を出したので、三人は京子が意志を持った人間であることを、はっと気づかされた思いがして身を乗り出して大きな声で聞いた。
「パ、パンティーもとって下さい」
京子は蚊の泣くような小さな声で言った。
「でも、パンティーは、とれませんよ」
一人がすぐに言い返した。
「鋏で切っちゃって下さい。そうすれば抜きとれます」
「でもそうしたらパンティーはもう履けなくなっちゃいますよ」
「い、いいです。下着の一枚なんて、たいした値段じゃないです」
三人は顔を見合わせてニヤリと笑った。
鋏を持った男が立ち上がって京子の足首の所に行った。
「ではお言葉に甘えて・・・」
そう言って彼は京子の足首にかかっている白のパンティーの二ヶ所をプチン、プチンと切って足首から抜き取った。
そして再び、元の場所に戻ってドッカと座った。
これで京子は何の覆いも付属物も無い丸裸を麻縄だけで縛られているみじめな緊縛姿になった。丸裸の京子の緊縛姿は美しかった。華奢な肩と腕の上半身。引き締まったウエスト。ムッチリ閉じ合わさった大きな尻。それが胴と同じほどの太さもある太腿へとつづき、それが膝頭の下で脹脛の最後の肉の膨らみをつくった後、一気に細くなって、引き締まった足首へとつながっている。足首と首を縛られてつながれて、苦しく反った弓なりの姿勢のため、全身の肉がプルプル震えている。豊満な乳房は床に押し潰されてひしゃげているが、それが責められていることを象徴しているようで悩ましげに見える。女の最羞の部分もそうである。うつ伏せの姿勢のため、そこは床にピッタリとついているだけで、何の覆いもなく、女の肉体の全てがさらけ出されているのである。見えない所は、かえって見たいという欲求を起こさせ、そこにそれが無防備に顕わになって存在しているという事実の想像が男達を興奮させた。パンティーがとられたことで、一切の夾雑物が無くなり、そこにあるのは、女の肉体と縛めの縄だけで、一切の情けが無くなって一人の女が丸裸にされ厳しく縛られて責められているということが、ひしひしと感じられてくる。
男達は京子の丸裸の緊縛姿を我を忘れた表情で眺めた。
「やっぱりパンティーが無い方が、すっきりしていいな」
一人が言った。
「そうだな。余計な物が無い方が、ボンデージアートとして上だな」
男達は、丸裸で弓なりに縛られている京子を見ながら、そんなことを言い合った。
「京子さん。とても美しいですよ。どうです。今の気分は」
一人が完全なオブジェになっている京子に声をかけた。
「し、幸せです。私、最高に幸せです」
京子は、叫ぶように言った。
「どう幸せなんですか。具体的に言って下さい」
男は含み笑いしながら言った。
「こうやって、丸裸にされてみじめな格好に縛られて男の人たちに見下されていることがです」
「どうしてそんな事をされることが幸せなんですか」
男は淡々とした口調で聞いた。
「それは、私がマゾだからです。私はみじめになればなるほど幸せなマゾ女なんです」
京子は苦しげな弓なりの体をプルプル震わせながら言った。
「どうして、みじめになることが幸せなんですか」
「わ、わかりません。あんまり難しい質問をして、いじめないで」
京子はハアハアと呼吸を荒くしながら言った。
「でも、京子さんはいじめられる事が幸せなんじゃないんですか」
男はいじわるく執拗に質問した。
「ゆ、許して。お願い。いじめないで」
「いじめられることが幸せなのに、いじめないで、というのは矛盾してませんか」
「お願い。許して。みんなの奴隷になります。ですから、その質問だけは許して下さい」
京子は叫ぶように言った。男は余裕の表情でみじめな姿の京子を眺めている。
「わかりました。その質問はやめます。僕もマゾの心理がそんなに知りたいわけじゃありません」
「あ、ありがとうございます」
「京子さん。なんでも好きな事を言って下さい。誰にも言いませんから」
京子はしばし言い躊躇っていたが、心の箍が完全に外れたかのように大声で叫んだ。
「見て。私のみじめな姿をうんと見て」
「言われずとも見てますよ」
「私、裸にされて縛られて、男の人達に取り囲まれて見下されることが夢だったの。夢が叶って、私、最高に幸せ」
「僕達も最高に幸せです。写真じゃなくて、本当に女の人を裸にして縛れるなんて。しかも京子さんのようなきれいな人を・・・」
京子の全身は苦しい弓なりの姿勢のためプルプル震え、玉の汗が沸々と吹き出ていた。
「京子さん。その姿勢はもういいかげん苦しいでしょう。縄を解きます」
そう言って一人が立ち上がろうとした。
京子は直ぐにそれを制した。
「いいの。苦しいけど、この苦しみが最高の快感なの。さあ、遠慮しないで、うんといじめて」
「どんな風にいじめるのがいいんですか」
京子はちょっと思案げな顔つきになったが、すぐに答えた。
「竹の棒があるでしょ。それで私を責めて。私は悪代官に捕まった女忍者よ」
見ると部屋の隅に竹の棒が立てかけてあった。
一人かニヤリと笑って竹の棒を持って、うつ伏せの京子の傍らに立った。
「さあ、京子さん。仲間のアジトを白状して下さい。言わないと拷問しますよ」
そう言って彼は京子の尻の肉を棒の先でそっと突いた。大きな柔らかい尻の肉に棒の先がめり込んだ。
「ああー」
京子は叫んだ。
「佐藤君」
「はい。何ですか」
「そんな丁寧な言葉じゃなく、乱暴な言葉で言って。そして力の限り本気で責めて」
「はい。わかりました」
彼はそう言って、責めの力を強めた。京子の柔らかい尻の肉に棒の先が深くめり込んだ。
「おい。京子。仲間の隠れ家を白状しろ」
そう言って彼は竹の棒で京子の尻をこねまわした。
「ああー。代官様。お許し下さい」
京子は眉を寄せ、苦しげな口調で叫んだ。
「許してほしければ仲間の隠れ家を喋るんだ」
彼は玉の汗が吹き出ている京子の太腿や背中や肩を竹の棒で力の限り突つきまわした。
「ああー。お許し下さい」
京子は美しい黒髪を振り乱しながら叫んだ。
閉じられた目尻からは涙が滲み出ていた。
京子がなかなか白状しないので、彼は背中で手首を縛められている京子の華奢な小指と薬指を両手でムズと掴んでグイと力の限り広げた。指裂き責めである。
「ああー。痛いー」
京子は美しい黒髪を振り乱しながら叫んだ。
「どうだ。女。吐く気になったか」
もう彼は本気で責め手の気分になっていた。
だが京子は強情を張って口を割ろうとしない。
彼は、ふー、と一息ついて、立ち上がった。
「強情な女だ。さすがくの一だけあって、肉体の苦痛には強いな。だがそうなると、こっちも責めがいがあるというものだ。ではまず辱めの姿にしてやる。それから、とっくりと責めてやる」
そう言って彼は京子の弓なりになって宙にある足首を蹴飛ばした。
京子は倒されてゴロンと横向きになった。
「ああー」
京子は眉を寄せて苦しげな表情で喘ぎ声を上げた。
横向きになったため、今まで見えなかった乳房も秘部も丸見えになった。
しかも、激しい弓なりのため、腰がつき出されて女の秘部が隠しようなく全容をさらけ出してしまっている。
京子のそこの毛はきれいに剃られて割れ目がくっきりと見える。
「うわー。すげー」
京子が責められるのを壁にもたれて見ていた二人が叫んだ。
「ふふ。どうだ。女」
男は竹の棒で京子の乳房を突きながら言った。
「み、見ないで。お願い」
「ふふ。そんなことを言っても本当は嬉しいんだろ。白状しろ」
そう言って男は京子の脇腹を足で踏んでグリグリ揺すった。
だが京子は喋らない。
苦しげに眉を寄せ、ああー、と切ない喘ぎ声を上げるだけである。
「よし。お前達も責めに加われ。三人で責めぬいて、本心を白状させるんだ」
男は見ている二人に言った。
「おう。合点だ」
見ていた二人は元気よく答えて丸裸の京子の体の女の恥ずかしい所の前に行ってドッカと座った。
二人は京子の女の割れ目をしげしげと見つめた。
「うわー。すげー。俺、女の人のまんこを見るのはじめてだよ」
「俺もだよ」
二人が言うと京子は力を込めて太腿をピッチリ閉じ合わせた。
だが、足首と首をつながれて弓なりの姿勢のため隠しようがない。
「見ないで。お願い。見ないで」
京子は顔を真っ赤にして叫んだ。
「ふふ。ああ言ってるけど本当は嬉しいんだよ。よし。本心を白状するまで三人で責めぬこうぜ」
「おう」
二人は元気に応じた。
棒で京子を責めていた男は棒を置いて、京子の尻の前にドッカと座った。
彼は、ふふふ、と笑って、京子の大きな柔らかい尻をしばし見ていたが、両手で強引にムッチリ閉じ合わさっている尻の割れ目を押し開いた。
京子のすぼまった尻の穴が顕わになった。
「すげー。すぼまった尻の穴が見えるよ」
彼はことさら驚いたように言った。
彼は、ふふふ、と笑い、中指を京子のすぼまった尻の穴に当てた。
「ああー」
京子は苦しげな表情で叫んで、とっさに押し開かれている尻を閉じた。
だが、そうすることによって、尻の穴に当てている手を挟み込むことになってしまった。
もう何もしなくても、尻が手をしっかりと挟み込んでしまって離さないといった様子である。
「ふふ。京子さんは僕の手を離したくないんですね」
そんな揶揄をされても京子はどうすることも出来ない。
彼は、ふふふ、と笑い、中指の先をすぼまった尻の穴に押し入れようとした。
「ああー。やめてー」
京子は髪を振り乱して叫んで、責めから逃げようと腰を前へ突き出した。
「ふふ。京子さん。そんなに腰を突き出すと、恥ずかしい所がますます見えちゃいますよ」
彼はそんな揶揄をして、前にいる二人を見た。
「おい。どうだ。京子さんのアソコは」
前の二人は、それをうけて含み笑いした。
「ああ。まんこの割れ目が丸見えだよ」
「女の人のまんこを見たのははじめてだよ」
京子は真っ赤になった。
「ふふ。京子さんも本当は見られて嬉しいんでしょう」
京子の尻の割れ目に手を入れている男が言った。
前の二人は、しばし、京子の女の割れ目を食い入るように見つめた。
「おい。見ているだけじゃなくて、触ってみろよ。前と後ろの両方から責めるんだ」
京子の尻を責めている男が言った。
「おう」
前の男の一人が応じて、手を伸ばして京子の割れ目の肉を念入りにを触りまくった。
「どうだ」
後ろの男が聞いた。
「なんか湿ってきた」
「それは、京子さんが気持ちよくて興奮してるからなんだ。割れ目に指を入れてもっと刺激してみろ」
言われて、彼は割れ目に指を入れた。
「どうだ」
「なんかヌルヌルしてる」
「京子さんが興奮してるからさ。割れ目にある女の穴を探して指を入れてみな」
彼は、割れ目の下の方をまさぐって女の穴を探りあてた。
「あった。穴があった」
「指を入れてみな。奥まで入るから」
彼は指を立てて、すぼまった穴に押しつけた。はじめは締まっていて抵抗があったが、いったん入った後は、スルスルと奥まで入っていった。
京子は、ああー、と声を上げた。
「どうだ」
「ヌルヌルしてる」
「それは京子さんの体が男を欲しがってるからさ。いろんな場所を刺激してみな」
言われたように彼は、入れた指でいろんな所を触った。その度、京子は、ああー、と切ない喘ぎ声を上げた。
「あっ」
「どうした」
「穴がキュッと閉まろうとしている」
「女の穴は興奮すると、男を離さないように締めつけるんだよ」
尻を責めている男は京子の尻の穴に入れている指をさらに深く入れようとした。
京子は、ああー、と叫んで責めから逃げようと腰を突き出した。
だが、足首と首をつながれて、弓なりの姿勢に縛られているため逃げようがない。
「ふふ。京子さん。どうですか。こうやって丸裸で縛られて、前と後ろから穴を責められる気分は」
尻を責めている男はふてぶてしい口調で言った。
「お願い。許して」
京子は涙に潤んだ顔を男に向けて弱々しい口調で言った。
「でも、興奮してるから粘々した液が出てるんじゃないですか。本当は京子さんは、こうやってみじめな姿で嬲られることが嬉しいんでしょう」
問われても京子は答えない。
「京子さんは強姦されたい願望があるんだよ。おい。佐藤。お前も見てないで京子さんを責めな。お前は乳房を責めろ」
彼は二人に責められている京子を眺めていた佐藤に言った。
「おう」
佐藤は言われて応じ、顕わになっている京子の豊満な乳房の前にドッカと腰をおろした。
「すごい。女の人の乳房を見るの、はじめてだよ」
彼は京子の乳房を凝視しながら感嘆した。
「見てないで、うんと玩ぶんだ。三人で女の三ヶ所の急所を責めぬくんだ」
言われて佐藤は手を伸ばして京子の乳房に触れた。
そして、念入りに揉みしだき出した。
「ああー」
京子は顔をのけぞらせて叫んだ。
「ああー。柔らかくて温かくて弾力があって最高だよ」
佐藤は鼻息を荒くしながら言った。
佐藤は、激しく揉んでから、京子の乳首を摘んだりコリコリさせた。
京子の乳首が屹立しはじめた。
「うわっ。乳首が大きくなりだしたよ」
佐藤は、大きくなりだした京子の乳首を見て驚嘆した。
「ふふ。乳首の勃起だよ。女は興奮すると乳首が勃起するんだよ」
京子の尻の穴を責めている男が言った。
京子は全身、汗だくである。
後ろ手に縛められた手をギュッと握りしめている。
「ふふ。京子さん。どうですか。こうやって、丸裸にされて縛られて玩ばれる気持ちは」
尻の穴を責めている男が含み笑いしながら言った。
「い、いいわ。さ、最高」
ついに京子は隠していた本心を吐き出した。
「ふふ。京子さん。とうとう本心を言いましたね。京子さんは、こうやってみじめな姿で強姦されることに興奮するんでしょう」
「そ、そうよ。さあ、もっともっと責めぬいて」
京子は声を張り上げて叫んだ。
「ふふ。言われずとも責めぬきますよ」
そう言って彼は京子の尻の穴に入っている指をさらにグイと押し込んだ。
「ああー。ひいー。お許しー」
京子は叫んで腰を突き出した。
「おい。高橋。お前ももっと激しく刺激するんだ。指を小刻みに振動させるんだ」
「おう」
京子の前に座っていた高橋は、言われたように京子の女の穴に入れた指を小刻みに振動させた。
「ああー」
京子は首をのけぞらして叫んだ。
京子の女の穴がクチュクチュ音をたてはじめた。
女の穴からは、ドクドクと粘っこい白濁液が溢れ出した。
「うわー。すげー」
高橋は溢れ出てくる白濁液に驚いて驚嘆した。
「ああー。いくー」
京子は苦しげに眉をしかめて叫んだ。
尻を責めている山田は、含み笑いしながら、京子の尻の穴に入れた指を小刻みに振動させた。
「おい。高橋。もっと激しく指を振動させるんだ」
言われて、高橋は振動をいっそう激しくした。
京子の女の穴からは、白濁液がドクドク溢れ出て止まらない。
京子の全身はガクガク震えだした。
佐藤も力一杯、京子の胸を揉みぬいた。
「ああー。いくー」
京子は激越な叫び声を上げた。
ついに京子は気をやった。
京子の全身の震えはひいていき、ガックリと首を垂れて、死んだ魚のように微動だにしなくなった。
男達は、責めの手を離した。
山田は尻の穴から指を抜いた。
佐藤も京子の胸から手を離した。
高橋も女の穴に入れていた指を抜いた。
指も京子の女の割れ目も粘稠な液体でベトベトだった。
「うわー。すげー」
彼は叫んで、ティッシュペーパーを何枚も取り出して、手を拭いてから、みじめな粘稠な液体でベトベトになっている京子の女の割れ目も丁寧に拭いた。
そうされても京子は、死んだ魚のように完全な放心状態で目を瞑っている。
「京子さんは、どうなっちゃったんだ」
高橋が山田に聞いた。
「京子さんは射精しちゃったのさ。男は射精の時、ザーメンが出るからわかるけど、女は見た目ではわかりにくいんだ」
「ふーん。なるほど」
京子は目をつぶって、しばし死んだように目を閉じて脱力して横たわっていた。
男達は座って京子の体をしげしげと眺めた。
乳房は下向きに下垂している。女の割れ目も駿河問いの縛りのため、体は弓なりで丸見えである。美しい黒髪が乱れて床の上に散らかっている。それは、この上なく美しい図だった。
「京子さん。割れ目が丸見えですよ」
一人が京子に向かってそんな揶揄の言葉をかけた。
「おっぱいもお臍も丸見えですよ」
別の一人が言った。
京子の体がピクッと動いた。
頬がみるみる紅潮しだした。
「見て。私の体の全てを見て。穴のあくまで見て」
京子は叫ぶように言った。
ついに京子はあられもなく被虐の告白を叫ぶようにした。
「ふふ。京子さん。とうとう言いましたね。京子さんは、ものすごいマゾなんですね」
一人が含み笑いしながら言った。
「そ、そうよ。私は日本一のマゾよ。みじめになって、見下されると、最高の快感を感じるの。さあ。うんと見て」
京子は全身をピクピク震わせながら叫んだ。
「ふふ。言われなくても、ちゃんと見てますよ」
一人が含み笑いしながら言った。
京子はかたくキュッと目をつぶっている。
「京子さん。京子さんは、どうしてアソコの毛を剃ってるんですか。割れ目が丸見えですよ」
一人が事務的な口調で聞いた。
「私、いつも毎週、ここで裸になってカガミを見ながら毛を剃っていたの」
「どうしてですか」
「悪い男の人達につかまって、裸にされて毛を剃られてしまう事を想像してたの。そうすると興奮するから」
「それじゃあ、それはオナニーみたいですね」
「そうよ。オナニーよ」
「でも一人で裸になって、カガミを見ながら自分の毛を剃るなんて、なんか変態じみてますね」
「そうよ。私は変態マゾ女よ」
「僕達に、こうやって裸にされて縛られて割れ目まで見られてる気分はどうですか」
「いいわ。最高だわ」
「京子さんて本当にすごいマゾなんですね」
「そうよ。私、本当のヤクザに捕まって、こんな風に裸にされて縛られたいくらいなの」
「じゃあ、本当にヤクザに電話して、ここに呼びましょうか」
「いいわよ。あなた達にまかせるわ」
「そうでしょう。僕達では物足りないでしょう」
「ええ。全然、物足りないわ。あなた達が本当のヤクザだったらどんなに嬉しいことか」
京子は裸で縛られて鯱のように反った苦しい姿勢で言った。
「じゃあ僕達がヤクザになりましょうか」
「ええ。なって。お願い」
「じゃあ容赦しませんよ」
「ええ。かまわないわ。何をしてもいいわよ」
「何をして欲しいですか」
「三人で私を踏みまくって。思い切り」
京子は叫ぶように言った。
三人はニヤリと笑って立ち上がり裸の京子を取り巻いた。
「京子さん。京子さんが会社の金を使い込んで男とドロンしようとしているところが、ばれて、会社がヤクザに頼んで京子さんを捕まえて拉致監禁した、という設定にしてはどうでしょうか」
男の一人が言った
「いいわ。その設定」
京子の声には喜びが含まれていた。
「いや。もっと現実的な設定の方がいいんじゃないの」
別の一人が言った。
「どんな設定だ」
「本屋で俺達がSM写真集を見ていただろう。それで、その写真集を俺達が万引きするところを京子さんが見つけて本屋の親父に告げて警察に補導されてしまい、その仕返しに京子さんのマンションに押し入って京子さんを裸にして縛り三人で陵辱する、という設定はどうだ」
「ああ。その方がずっと現実的でいいな」
「でもそうすると俺達はヤクザじゃなく学生になっちゃうな。京子さんは本当のヤクザに捕まえられて陵辱されることを望んでるんじゃないか」
「確かにそうだな。じゃあ、両方おりまぜて適当にやろう。これは遊びなんだから別に設定を一つに決めなくちゃならないわけでもないしな」
「そうだな」
こうして意見がまとまった。
「でははじめますよ」
そう言って三人の男は裸で弓なりに縛られて横向きに根転がされている京子の体を踏んだ。
一人は京子の尻を、一人は肩を、そしてもう一人は太腿を踏んだ。
三人はかなり体重をかけて足を揺すった。
京子の華奢な柔らかい体が海草のように揺れた。
男達は制服のワイシャツにズボンを履いているが、京子は一糸纏わぬ丸裸である。
三人の男が裸で縛られた女を踏んでいる図はまさに、ヤクザが女を捕らえて陵辱している図だった。
「おい。京子。どうだ。今の気分は」
肩に足をのせて揺すっている男が乱暴な口調で聞いた。
京子の華奢な肩が揺れ、それにともなって乳房も揺れた。
「お願い。こんなことやめて」
京子は眉を寄せ、叫ぶように言った。
「ふふ。そうはいかんのよ。この雌狐め。会社の金を使い込みやがって。たっぷり折檻してやるから覚悟しろ」
そう言って彼はグイと京子の顔を素足で踏みつけた。
そして体重をのせてグリグリ揺すった。
「ああー。許して」
京子は足で踏み潰されて歪んだ顔から声を絞り出した。
顔を足で踏みつけられるなどという、これ以上の屈辱的な行為があるだろうか。
彼は京子の顔をグリグリ揺すりながら踏んでから、足をどけ、京子の乳房を足で揉んだり足指で乳首を摘んだりした。
「おい。この女を足だけで嬲るんた」
彼は京子の乳房を足で揉みながら他の二人に言った。
「おう。こんな性悪な女は手は使わず足だけで嬲り抜いた方がいいな」
「その通りだな」
三人はニヤリと笑った。
太腿を踏んでいた男は京子のピッタリ閉じている太腿に足を入れ、太腿の付け根の女の部分を足の先で弄った。
尻を踏んでいた男は京子の背中の方へ回り、ピッチリ閉じ合わさっている京子のムッチリした尻の割れ目に足先を入れた。
京子の乳房を足で玩んでいた男は、時々、京子の顔を踏んで、グリグリと揺すった。
「おい。京子。どうだ。こうやって丸裸にされて縛られて男三人に嬲られる気分は」
「み、みじめです。いっそ死んでしまいたいほど」
「ふふ。そうだろう。だがまあ、お前も男をだまして貢がせてドロンしようとしたんだからな。当然の報いだ」
しばし三人は横向きに寝転がされている京子を足だけで踏みまくった。
「ふふ。もっと楽しい事をしてやるよ」
一人がそう意味ありげに言うと京子の顔から足をどけて、ダンボール箱から蝋燭とライターを取り出した。
そして再び、京子の傍らにもどってきた。
そして蝋燭に火を点した。
火柱はゆらゆら揺らめきながら不気味な様相で光っている。
無言で灯っている炎はそれだけでもう十分、恐怖感を放っていた。
彼は蝋燭をことさら京子の顔に近づけた。
「ふふ。おい。京子。これを見れば何をするかはもうわかるだろうな」
彼は威喝的な口調で言った。
「お願いです。怖いことはやめて下さい」
京子は炎から目をそらすようにして脅えた表情で訴えた。
だが彼はニヤリと冷笑し、直立した。
「おい。こいつに蝋燭を垂らすぞ。こいつが蝋燭を垂らされてどんな顔をするかよく見るんだ」
彼は京子を足で責めている二人の男に言った。
「おう」
二人はニヤリと笑って京子を踏んでいた足をどけた。
もう蝋燭の皿は炎の熱によって溶けて融解した蝋が皿にたまっていた。
彼は京子の肩の上で蝋燭を傾けた。
蝋がポタポタと垂れ京子の肩に貼りついた。
「熱いー」
京子は縛られて逃げられない体を激しく揺すって叫んだ。
だが逃げようがない。京子の肩にみるみる蝋涙がこわばりついていった。
だが彼はやめようとしない。黙ったまま京子の体に蝋を垂らしていった。
「熱いー。やめて下さい。お願いです」
京子は何とか蝋から避けようと不自由な体をくねらせて言った。
残りの二人はニヤニヤ笑いながら、じっとこの陵辱を見ている。
それはまさにヤクザ三人が一人の女を嬲っている図だった。
彼は京子の乳房の上から蝋を垂らした。
蝋がポタポタと京子の豊満な乳房に垂れ、こわばりついていった。
反った姿勢で横向きに寝転がされているため、逃れようがない。
「あ、熱いー。やめてー」
京子は激しく身を捩りながら訴えた。
だが彼は京子の訴えなど全く聞く様子も見せず京子の乳房に蝋を垂らしつづけた。
とうとう京子の乳房は蝋粒で覆われるほどになった。
彼は傾けていた蝋燭を立てて乳房への蝋垂らしをやめた。
「おい。京子。蝋燭責めは一時休止してやる」
苦しくくねらせていた京子の体の動きがとまった。
「おい。京子。何か言う事があるんじゃないか」
彼は思わせ振りな口調で言った。
「あ、ありがとうございます」
京子は涙に潤んだ瞳を彼に向けて言った。
「何がありがたいんだ。もっと具体的に言え」
そう言って彼は京子の肩をグイと踏んだ。
「ろ、蝋燭を垂らすのをやめて下さって有難うございます」
京子は弱々しげな口調で言った。
「どうだ。今の気持ちは」
「こ、こわいです」
「このままお前の首を絞めて殺すことだってできるんだぜ」
「お、お願いです。奴隷になります。言う事は何でも聞きます。ですから、そんな怖ろしい事だけはしないで下さい」
「ふふふ。それはお前の態度しだいだ」
そう言って男は蝋燭の火をふっと吹き消した。
「おい。京子。蝋燭責めはもう勘弁してやる」
「あ、有難うございます」
京子は苦しい姿勢で頭をペコペコ下げた。
「駿河責めの縛りもいいかげん苦しいだろう。縄を解いてやる」
「あ、有難うございます。感謝に耐えません」
京子はまるで奇跡が起こったかのような感激の目で何度も頭を下げた。
「おい。京子の足首の縄を解いてやりな」
男は蝋燭責めを見ていた二人に言った。
「へい。わかりやした」
一人が親分の命令を受けた子分のような口調で言って、京子の背後に廻って座り込み、京子の首と足首をつないでいる縄の足首の縄を解いた。
長時間、縛られていたため、京子の足首にはクッキリと縄の跡がついていた。
京子は足首の縄を解かれたために背を反った苦しい姿勢から開放された。
京子の縛めは背中の後ろ手の縄だけとなった。
京子は丸裸で後ろ手に縛られているだけの姿になった。
「おい。京子。苦しい姿勢から開放されて楽になっただろう」
「は、はい。有難うございます」
そう言って京子はすぐに手が使えない苦しい体を動かして起き上がり、横座りになってピッチリと太腿を閉じた。
丸裸でも、そして全てを見られてしまった後でも何とか恥部を隠そうとする女の習性がいじらしい。
「おい。少しはなれて座れ。後ろ手に縛られて裸で座っている京子をたっぷり観賞するんだ」
「おう」
男に言われて二人は京子から離れて座って壁に寄りかかった。
命じた男も京子から離れて座って壁に寄りかかった。
京子は顔を火照らせてうつむいていた。
京子の形よく下垂した乳房や肩や脇腹には蝋がこびりついていた。
それは、嬲られた跡を象徴していた。
三人はニヤニヤ笑って、後ろ手に縛られて座っている京子を眺めている。
一人が京子に近づいて、京子の体についている蝋を丁寧に全部、剥がした。
京子は恥ずかしそうに、男に蝋を取られるのに身をまかせた。
蝋はペリペリと剥がされていった。
男は京子の体にこびりついている蝋を全部はがすと、また後ろにさがって壁に寄りかかった。
蝋がなくなったことで京子の乳房は、全く覆いなくクッキリと顕わになった。
「ふふ。これがやっぱり裸で縛られた女の人の基本だな」
「京子さん。おっぱいが丸見えでセクシーですよ」
男達はそんな揶揄をした。
そう言われても京子は、後ろ手に手を縛られているため、どうすることも出来ない。
丸出しの乳房を見られている事に京子は羞恥心を感じて顔を赤らめた。
だが隠しようがない。
京子は普段、自慢している豊満な乳房が今だけは無くなって欲しいと思った。

男達はしばし、後ろ手に縛られた裸の京子を眺めていた。
「よし。京子。正座しろ」
言われて京子は横座りで、横たわっている脹脛の上に太腿を乗せ正座した。
「そのまま体をたおして顔を床につけろ」
男の一人が命令した。
京子は、何でも聞く奴隷になる、と言った以上、逆らえない。
京子は後ろ手に縛られたまま、体を倒し、顔を床につけた。
「よし。足を開いて尻を高く上げろ」
言われて京子は足を開き尻を上げた。
「ふふ。どうだ。京子。そのポーズは」
「み、みじめです」
京子は声を震わせて言った。
一人がニヤッと笑って、京子の尻の前に座った。
あっ、と京子は声を出した。
尻の前に座った男はニヤニヤ笑いながら、京子の尻の前から京子の丸出しの尻を見た。
「ふふ。京子。尻の穴が丸見えだぜ」
男が言うと京子はとっさに、膝を閉じようとした。
「おい。京子。膝を閉じるな」
男が威嚇的に怒鳴って太腿をピシャリと叩いたので、京子は膝を閉じるのを止めた。
尻の穴を見られていると思うと京子の尻は羞恥でブルブル震えた。
男はティシュペーパーを一枚とりだして、コヨリをつくった。
そして、スッと尻の割れ目をコヨリの先でなぞった。
「ひいー」
いつも触れられていない敏感な所を、いきなり刺激されて、京子は、飛び上がらんほどに驚き、悲鳴を上げた。
大きな尻がブルッと震えた。
反射的に京子はキュッと尻の穴を締めた。
「ふふ。京子さん。尻の穴が生き物のようにヒクヒク動いてますよ」
そんな揶揄をされて京子は真っ赤になった。
だが、どうしようもない。
膝を大きく開いている以上、尻の割れ目を閉じようがない。
京子が尻の穴を締めるのに疲れてきて尻の穴を締める力を緩めると、またすぐにスッとコヨリがスッと触れた。
その度、京子は、ひいー、と悲鳴を上げた。
「お願い。許して」
京子は、後ろ手に縛られて、膝を開いて尻を高々と上げて顔を床につけているというみじめ極まりない姿で哀願した。
だが、男は京子の哀願など無視して、意地悪な悪戯をしつづけた。
京子の尻はコヨリが触れる度にピクンと震えた。そして、ひいー、と悲鳴を上げた。
「あっははは」
壁に寄りかかって見ていた二人の男は笑った。
京子の尻をコヨリで嬲ってた男はニヤリと笑って立ちあがって、京子の顔の方に行き、床についている京子の顔を素足で踏みつけた。
「ああー」
京子は踏みつけられて歪んだ顔から苦しげな声を出した。
これほどみじめな屈辱があろうか。
丸裸で後ろ手に縛られて、尻を高々と上げ、尻の穴まで晒し、さらに顔を踏みつけられているのである。
「おい。京子。どんな気持ちだ」
「み、みじめです」
「そけだれじゃないだろう。お前はマゾなんだから、本当は嬉しいんだろう」
京子は答えない。
「お前が本心を言うまで攻め抜くからな」
彼はそう言って壁に寄りかかっている二人に顔を向けた。
「おい。お前達も見てるだけじゃなくて、こっちへ来て京子を責めろ」
彼は京子の顔を踏みながら、壁に寄りかかって見ている二人に言った。
「おう」
二人は立ち上がって裸の京子の所へ行った。
一人は立って、足で京子の肩を踏んだり足で乳房を玩んだりした。
一人は、京子の尻の前にドッカと座って、コヨリで京子の尻の割れ目をなぞったり、尻の割れ目をグイと押し拡げたりした。
その度に京子は、ああー、と苦しげな声を出した。
「ふふ。尻の穴が丸見えだ。ヒクヒク動いている」
彼は尻の割れ目を押し広げながら、ことさら京子の羞恥心を煽るように言った。
三人は、場所と役割りを交代しながら、三人でさんざん京子を嬲り抜いた。
「おい。京子。今の気持ちを正直に言え」
京子の顔を踏んでいた男が、一層、体重をかけて京子の顔を踏んだ。
「ふふ。いくら力を入れてすぼめても尻の穴は丸見えだぜ」
京子の尻の前に座った男が、そう言って京子の高々と上がった尻をポンポンと叩いた。
「み、見て。私のお尻の穴をうんと見て」
ついに京子は、耐えられなくなったように叫んだ。
そして膝を自分から、さらに広げた。
「ふふ。京子。とうとう本心を吐いたな。今の気持ちを言え」
「し、幸せです。私、最高に幸せです」
「ふふ。お前は、本当にどうしようもないマゾ女なんだな」
そう言って京子の顔の傍らに立っていた男はグイと京子の顔を踏んだ。
「そ、そうよ。私はどうしようもないマゾ女よ。さ、さあ、もっともっと嬲り抜いて」
京子は踏まれて歪んだ顔から搾り出すように言った。
「ふふ。言われずとも嬲り抜いてやるよ」
三人は、場所と役割を変えながら徹底的に裸の京子を嬲り抜いた。
京子はもう三人に身を任せているといった感じで、力を抜き、大声で三人の責めに、ああーと、悲鳴を上げつづけた。
時のたつのも忘れ、三人は京子を嬲りつづけた。
もはや京子は疲れてしまったと見え、三人か嬲っても声を出さなくなった。
三人も責めがいがなくなって、京子の責めをやめた。
三人が京子から離れると、京子はパタリと横に倒れた。
しばし京子は被虐の快感に浸っているといった感じで目をつぶってじっとしていた。
三人も、それに気を使って、しばし壁にもたれて、後ろ手に縛られて床に横になっている京子を黙ってみていた。
しばしの時間がたった。
京子はそっと目を開けた。
「お願い。縄を解いてくれない」
京子は頬を赤らめながら小声で言った。
一人が、よしきた、といった様子で立ち上がり、京子の後ろ手の縄を解いた。
縄を解かれた完全に自由になった京子はムクッと起き上がった。
一人が京子の下着や服を拾いあつめて京子に渡した。
「ありがとう。ちょっと後ろを向いていてくれない」
京子は下着や服を胸に当てて体を隠しながら、少し恥ずかしそうに言った。
「どうしてですか」
一人が聞いた。
「服を着るのを見られるのも女にとっては恥ずかしいんです」
京子は頬を赤らめて言った。
「そうでしょう。でも、それを見たいんです」
彼は言った。
三人の視線は京子の体に集まっている。
京子はやむを得ず、三人に見られながら服を着だした。
パンティーを片足ずつくぐらせて、腰まで引き上げた。そして、ブラジャーを両腕に通して両手を背中に廻してホックをはめた。
そしてスカートを履き、ブラウスを着てボタンをはめ、裾をスカートの中に入れた。
これで京子は完全に元の姿にもどった。
京子はしとやかに座った。
「ありがとう。楽しかったわ」
京子は微笑して言った。
「いえ。僕達の方がずっと楽しかったでした」
男の一人が言った。
「こんなきれいな人にあんな事をしたなんて、ちょっと信じられない思いです」
そう言われて京子は頬を赤くした。
「ちょっと待ってて。カレーライスをたくさん、つくっておいたから持ってくるわ。レンジで温めるだけだからすぐに出来るわ」
そう言って、京子は部屋を出てた。
すぐにキッチンの方でチーンとレンジの音がなった。
京子は部屋にもどってきて折りたたみ式の座卓の脚を広げて部屋の真ん中に据えた。
そして座布団を三つ敷いた。
京子はキッチンから鍋を持ってきて、座卓の上に置き、ついで、炊飯器をもってきて座卓上に置いた。
最後に皿とスプーンを四つ持ってきて座卓の上に配った。
そして炊飯器を開けて、皿に御飯をよそい、鍋を開けて、カレーを御飯にかけた。
「さあ。来て」
京子は嬉しそうに三人に声をかけた。
三人も嬉しそうに立ち上がって座卓についた。
「さあ。食べて」
京子が促すと三人は嬉しそうに、
「いただきまーす」
と言ってパクパク、カレーライスを食べ始めた。
「どう。お味は」
「美味しいです。最高に美味しいです」
三人はハフハフ言いながらカレーライスを食べた。
「そう言ってもらえると嬉しいわ。たくさんあるから、うんと食べてね」
三人は、みなおかわりして二杯、食べた。
三人は食べおわるとゴクゴク水を飲んでフーと一息した。
「京子さんて料理がうまいんですね」
一人が言った。
京子は照れくさそうに微笑した。
「こんなつつましい女の人にあんな事をしたかと思うと信じられない思いです」
別の一人が言った。
京子は羞恥に頬を赤らめた。
ねえ君達、と言って京子は顔を赤らめて言いためらった。
「なんですか」
一人がすぐに聞いた。
「また今日みたいな事してくれる」
京子が言うと男達はニヤリと笑った。
「ええ。願ってもないことです」
男は欣喜雀躍とした口調で言った。
「京子さんは、どんな風に責められたいんですか」
「どんな風でもいいわ。全部、君達にまかすわ」
「じゃあ僕達もうんと趣向をこらした責めを考えておきます」
「こ、こわいわ。でも今から興奮してドキドキしちゃうわ」
「じゃあ、今度は今日よりもっと酷い責めをします。京子さんが泣き叫ぶまでいじめ抜きます。許しを求めても聞きません」
そう言って男達は顔を見合わせてニヤリと笑った。


平成20年12月2日(火)擱筆

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僕の女神さま (小説)(上)

2020-07-06 22:29:41 | 小説
僕の女神さま

ある会社である。その年、入社した新入社員で。京子と順子は、隣り合わせに、座ることになった。同じく、同期で入社した山野哲也がいた。山野哲也は、無口で、いつも一人である。飲み会にも宴会にも出ない。京子は、女子社員の中でも、一番、美人だった。京子の隣りは、順子だった。季節は、蒸し暑い七月に入っていた。



ある日の会社が、終わった後。京子と順子の、二人は、近くの喫茶店に入った。
「ねえ。山野君って、誰とも話さなくて、孤独そうね」
順子が言った。
「どんな職場でも、学校でも、一人くらいは、そういう人、いるわよ」
「でも、事務的な連絡は、ちゃんとしてるわ」
「内気な人って、何を考えているのか、わからないわね」
「女に興味がないのかしら?」
「さあ。それは、わからないわ」
「京子のこと、どう、思ってるのかしら?京子ほどの美人にも、関心がないのかしら?」
「そうかもしれないわね」
「新入社員の男子で、京子に関心を持ってない人なんて、誰もいないんじゃない」
順子が言った。
新入社員の男子は、みな、京子を好きだった。それは、ある日の、飲み会の時、男の一人が、いい心持に酔って、ふざけ半分に、「京子が好きな人は手を上げて」と言ったら、みなが手を上げたからである。「二番は?」と聞いたら、それは順子だった。
実際、京子は、大学でも、ミス慶応に立候補するよう勧められた。が、京子は照れくささから、立候補しなかった。
「司法試験を目指して勉強でも、しているんじゃないかしら?」
「そうね。彼は、法学部、卒業だものね」
「でも、そんなふうにも、見えないわ」
「じゃ。絵画か、小説でも、書いているんじゃ、ないかしら」
「そうね。もし、熱中している物があったら、それに、のめり込んで、他の事には関心がなくなるって、こと、あるものね」
「そうね。作家って、面白い作品を書けるのに、性格が暗い人って、結構、いるものね」
「小説だったら、どんな作品を書いているのかしら?」
「んー。わからないわ。ミステリー小説・・・にも見えないし、真面目で学究肌だから、きっと純文学じゃないかしら。芥川賞を狙ってたりして」
「恋愛小説じゃ、ないでしょう」
「そうね。そんなふうには見えないわね」
「ところで、京子。今度の土曜日、空いてる?」
「ええ。別に何も予定はないわ。でも、何で?」
「海に行かない?」
「ええ。いいわよ。どこへ行く?」
「京子は、どこへ行きたい?」
「そうね・・・海じゃなく、大磯ロングビーチに行かない?海じゃ泳げないし、大磯ロングビーチなら、きれいだし、砂もつかないし、泳げるし・・・」
「それに、片瀬江ノ島だとか、入れ墨してる人ばかりで、男も、しつこくナンパするのが多いでしょ」
「じゃあ、大磯ロングビーチにしましょう」
そういうことで、京子と順子の、二人は、週末の土曜日、大磯ロングビーチに行くことになった。



土曜日になった。
順子の車キューブで、二人は、大磯ロングビーチに行った。開館時間の9時ちょうどに着いた。大磯ロングビーチの土日は混む。駐車場には、かなりの車が止まっていた。9時、開館といっても、もう、9時前に開けたらしく、入場している客が、かなりいて、ウォータースライダーで、歓声を上げる客の姿が見えた。
入場を待つ客の列も長かった。京子と順子の、二人は、その最後尾についた。しかし、入場券、売り場は、窓口が5ヵ所、あって、素早く捌いているので、どんどん列は進み、すぐに入れた。二人は、場内に入ると、更衣室で着替えて、屋外に出た。二人は、当然、ビキニだったが、順子の方が、露出度の高いビキニだった。しかし、プロポーションは、京子の方が、断然、上だった。
二人は、奥の、波のプールの所に、ビニールシートを敷いて、荷物を置いた。
二人は、日焼け止めのローションを塗った。
「京子。ウォータースライダーに行ってみない」
順子が言った。
「ええ」
京子は肯いた。
二人は、ウォータースライダーへ向かった。ウォータースライダーは、待つ人が多い。それだけ人気があるのである。20人くらい、の人達が待っていた。10分くらい待った。京子たちの番が来た。京子と順子は、二人用のボートを、降りてきた二人組から、受けとって、スライダーの頂上へ登っていった。
「京子。前に乗りなさいよ」
「えっ。こわいわ」
「大丈夫よ。私が、しっかりと、後ろで、体を、つかんでてあげるから」
そういうわけで、京子が前に乗り、順子が後ろに乗った。
係員の指示て、二人はスタートした。
「うわー」
「きゃー」
遊園地のジェットコースターくらいのスピードが出て、二人は、何とか無事に、着水地点に、たどりついた。
「こわかったわー」
「でも、スリルがあって、面白いわ。もう一度、やりましょう」
順子の提案で、二人は、三回、ウォータースライダーをやった。
その後、二人は、大きな浮き輪を借りて、流れるプールで、流れに、身をまかせた。
「今度は、波のプールに行きましょう」
順子の提案で、二人は、波のプールに向かった。



「ちょっと、咽喉が渇いちゃった。ハウスの中の自動販売機に、アイスココアがあったわ。あれを、飲みたいから、私、ちょっと、もどるわ。京子は、先に行ってて。何か用があったら、携帯でかけて」
「わかったわ」
そう言って、順子は、パタパタと、ハウスにもどっていった。
京子は、波のプールへと向かった。



ちょうどダイビングプールの前を通りかかった時だった。
「あっ」
京子は、思わず声を出した。
「ああっ」
相手は、京子以上に、驚いて、立ち竦んだ。
何と、相手は、山野哲也だった。
短めのトランクスを履いて、スイミングキャップとゴーグルを持っている。
「こんにちは」
京子は、ニコッと微笑んで、挨拶した。
「こ、こんにちは」
哲也は、ガチガチに緊張していた。
「誰か、連れの方がいらっしゃるのでしょうか?」
京子が、辺りを、ちょっと見回して聞いた。
「い、いえ」
哲也は、真っ赤になって、言った。
(じゃ、一人で来たのかしら)と京子は、考えた。
(しかし、一人で、何のために、大磯ロングビーチに来たのかしら?)
スイミングキャップとゴーグルを持っているから、泳ぎに来たのだろう。しかし、泳ぎたいのなら、わざわざ、大磯ロングビーチに来なくても、家の近くに、市営プールがあるはずである。
大磯ロングビーチに一人で来る客はいない。友達か、彼氏と彼女、か、家族で来ているはずである。大磯ロングビーチは、友達とワイワイと遊ぶ所である。
哲也は、まるで、覗き、などの、犯罪をモロに見られて、どうしようもなく当惑している、といった感じである。
哲也にしてみれば。もう万事休す、なのである。一人で、大磯ロングビーチに来た所を見られた、という事実は、消すことは出来ない。
あわてて去ろうとすれば、ますます不自然になってしまう。
そんなことらが、京子の頭を瞬時にかすめた。
前から望んでいた、哲也と話す、ちょうどいい機会でもある。
「哲也さん。よろしかったら、少しお話、しませんか?」
京子は、微笑して聞いた。
「は、はい」
哲也は、へどもどして答えた。
京子と哲也は、並んで、歩き出した。
二人は、京子が敷いた波のプールの前に敷いたビニールシートに、並んで座った。



「哲也さん。ちょっと待ってて」
そう言って京子は、カバンの中から、携帯電話を取り出した。そして順子にかけた。
トルルルルッ。
「はい。なあに。京子?」
順子が出た。
「順子。悪いけど、別行動しない」
「どうしたの?突然」
「ちょっと・・・」
「ああ。誰かに、ナンパされたのね」
「いや。そうじゃないんだけど・・・」
京子は言い澱んだ。
「いいわよ。京子が一人でいたら、ナンパされるのは当然だわ」
「・・・・」
「わかったわ。私、もう、十分、楽しんだから帰るわ」
順子が言った。
「ごめんね」
「いいわよ。全然、気にしてないわよ。まだ、時間があるから、私、これから、車で、茅ヶ崎サザンビーチに行くわ」
「ごめんね」
「一人か、数人か、わからないけど、京子と夏を楽しむことが、出来る幸運な男は、京子との出会いが、一生の内でも、一番の、宝石のような、素晴らしい思い出になるわ」
そう言って順子は、携帯を切った。
「順子さんと、来ていたんですね」
哲也が言った。
「ええ。でも、順子は、茅ヶ崎サザンビーチに行きたいから、帰るって」
「いえ。せっかく二人で楽しんでいたのに、帰してしまって、申し訳ないです」
京子は、辺りを見回した。ウォータースライダーが目に止まった。
「ところで、哲也さん」
「はい」
「哲也さんは、あのウォータースライダー、やったことありますか?」
京子は、青い、うねうねと曲りくねるメビウスの輪のような、ウォータースライダーを指差して聞いた。
「い、いえ。な、ないです」
「よかったら、やってみませんか?」
「は、はい」
京子と哲也は立ち上がった。そしてウォータースライダーの方へ向かって歩いた。
ウォータースライダーは、20人くらい、待って行列が出来ていた。といっても、ほとんどは、二人組なので、10番目くらいである。京子と哲也は、列の最後尾に並んだ。
列の前に、手をつないでいる恋仲の男女が、京子の目にとまった。
「ふふふ。私たちも」
そう言って、京子は、隣りにいる哲也の手を、そっと握った。
握った瞬間は、ビクッと哲也の手が震えた。
しかし、震えは、だんだん、おさまっていった。
しかし、哲也の方から、握り返す握力は、返ってこなかった。
やがて、京子と哲也の番になった。
京子と哲也は、二人乗りのゴムボートを、一緒に運んで、ウォータースライダーの頂上に行った。
「哲也さんは、前と後ろの、どっちに乗りますか?」
「僕は、どちらでも、いいです。京子さんが、好きな方に乗って下さい」
「じゃあ、私は、後ろに乗るわ。こわいから」
「じゃあ、僕は、前に乗ります」
こうして、まず京子がゴムボートの後ろに乗り、ついで哲也が前に乗った。
ちょうど、オートバイの二人乗りのような形になった。
「これ。ちょっとスリルがあり過ぎて、私、すごく、こわいんです」
そう言って、京子は、前の哲也に、ヒシッとしがみついた。
京子のビキニで包まれた豊満な胸が、ピッタリと哲也の背中に、貼りついた。
それを感じてか、哲也の体が一瞬、ビクッと震えた。
係員がピッとスタートの合図をした。
ゴムボートは、スライダーの水路を水を掻き分けながら、勢いよく、滑り出した。
「わー」
「きゃー」
京子は、哲也にヒシッと、しがみつきながら、子供のように、叫び声を上げた。
ゴムボートは、メビウスの輪のような、スライダーの水路の中を、勢いよく滑って、ゴールに、ドボンとついた。
「もう一度、やりませんか?」
京子が聞いた。
「はい」
哲也は、二つ返事で元気よく、答えた。哲也の表情は明るかった。
二人は、また、ウォータースライダーを待つ人達の、列の最後尾に並んだ。
京子は、また隣りにいる哲也の手を、そっと握った。
今度は、哲也の手は震えていなかった。
むしろ京子の手を、握る力が、少しあるのを、京子は確かに感じた。
二人の番が来た。
京子と哲也の、二人は、さっきと同じように、二人乗りのゴムボートを、一緒に運んで、ウォータースライダーの頂上に登った。
「今度は、私が前に乗っていいかしら?」
「ええ。じゃあ、僕は後ろに乗ります」
こうして、京子が前に乗り、哲也が後ろに乗った。
「哲也さん。私をしっかり、つかんで、守って下さいね」
「はい」
哲也は、背後から、手を廻して、京子の体を、しっかりと、つかんだ。
二人乗りの、ゴムボートでは、言わずとも、そうするものである。
それは、人間の手、の安全ベルトであり、京子は、哲也の手、が京子の体を、しっかり、つかまえているのを、確認すると、その手を、ギュッと握った。
そして、その図は、ちょうど、哲也が、背後から京子を、抱きしめている形と同じだった。

係員がピッと合図した。
ゴムボートは、スライダーの水路を水を掻き分けながら、勢いよく、滑り出した。
「わー」
「きゃー」
京子は、子供のように、無邪気な、叫び声を上げた。
哲也の手は、ガッシリと、京子の体を、つかんでいた。
ゴムボートは、スライダーの水路の中を、勢いよく滑って、ゴールに、ドボンと着水した。



「哲也さん。有難うございました。守って下さって」
京子は、礼儀正しく、ペコリと頭を下げた。
「い、いえ」
哲也は、照れて、笑った。
「シートの所に戻りませんか?」
京子が聞いた。
「はい」
哲也は、二つ返事で答えた。
ウォータースライダーは、大磯ロングビーチの入り口のテラスハウスの前にあり、京子の、敷いたシートは、一番、奥の、波のプールの前なので、かなりの距離がある。およそ、200mくらいである。



二人は、並んで、波のプールの方へ歩き出した。
京子の左手が、哲也の右手に、触れ合った。
京子は、そっと、哲也の手を握った。
哲也も、京子の手を、ごく自然に、握った。
二人は、手をつないで、歩いた。



二人は、波のプールの前の、芝生の上に敷いてあるシートに座った。
「あ、あの。哲也さん」
京子が切り出した。
「は、はい。何でしょうか?」
「つかぬことを、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい。何でも?」
「哲也さんは、大磯ロングビーチに、よく来られるんでしょうか?」
「え、ええ。一夏に一回か、二回くらいですが」
「そうなんですか」
しばしの沈黙があった。
京子は、もっと、つっこんだ事を聞きたかったが、哲也のプライバシーを、根掘り葉掘り、聞くのは、失礼だと思って、聞けなかった。それを察するように、哲也は、告白し出した。今、京子と、ウォータースライダーで楽しんで、気持ちが、ほぐれたのだろう。
「僕は、夏、泳ぐのが好きなんです。かなり泳げます。しかし、泳ぐだけなら、近くに50mの市営プールが、あります。そこでも、泳いでいますが、大磯ロングビーチに、来るのは、ビキニ姿の女の人を見にくるため、なんです。美しいビキニ姿の女性を、一夏に、一度は、見ておきたいんです」
哲也は、心の中の思いを、大胆に、告白した。
「そうなんですか」
京子は、相槌を打った。
「彼女は、いません。僕は、彼女をつくることが下手で、出来ないんです。憶病なんです。だから、彼女と来ているカップルを見ると、すごく、うらやましく思います。でも、僕は、彼女がいなくても、さほど、さびしいとも思いません」
哲也は、大胆に、自分の思いを打ち明けた。
「そうなんですか。でも、それは、どうしてですか?」
哲也が、堂々と、自分の思いを打ち明けているので、京子も、勇気を出して聞いてみた。



「僕も女性を好き、という気持ちは、他の男と同じくらいにあります。でも、高校でも、大学でも、今まで多くの女性を見てきましたが、この女性こそは、完全な純粋な、女性と、思って信じてみても、長く見ていると、やっぱり、陰で、人の、さらには、仲のいい友達の、悪口をさえ言います。そうなると、ガッカリです。僕は、女性に失望したくないので、女性は、見るだけに、することに決めたんです」
哲也は、ことさら、京子に、胸の内を明かすように堂々と言った。
「そうだったんですか」
京子は、哲也の、孤独の、身の上話を聞いて、溜め息まじりに言った。
「ても、さびしくありませんか?」
京子が聞いた。
「確かに、さびしいです。実を言うと、僕は、小説を書いています。恋愛小説です」
「それで、さびしさ、を、紛らわしているのですね」
「そうです。あまり女性を知り過ぎて、幻滅しないように、その人の、いい所だけを、見ています」
「哲也さんが、人と付き合わないのには、そういう理由があったんですね」
「ええ。まあ、そうです。でも僕は、さびしさを、紛らわすためだけに、恋愛小説を書いているわけでも、ないんです」
京子は、黙って、肯きながら、哲也の告白を聞いていた。
哲也は、続けて言った。
「オーバーかもしれませんが、僕は、小説を書くことだけが、生きがい、なんです。僕は、恋愛小説いがいの小説も書いています。実人生を選ぶか、芸術を選ぶかで、僕は、ためらいなく、芸術を書く方を選んだのです」
「哲也さんの書いた小説、読んでみたいわ」



「ええ。いいですよ。5年前に、ホームページを作って、書いた小説を出しています。山本哲男というペンネームを使っています。その名前で、検索すれば、僕のホームページが出て来ます。ちょっと恥ずかしいですが・・・」
「じゃあ、今日、帰ったら、読まさせて頂きます」
「でも、今日、素晴らしい小説を思いつきました。多分、今まで書いてきた、小説以上の、僕にとっての、最高傑作が書けると思います」
「それは、どんなストーリーなのですか?」
「それは、今日、京子さんと、過ごしたことを、そのまま、正直に書くことです」
「それが、そんなに素晴らしい小説になるんでしょうか?」
「素晴らしい、最高傑作の小説ですよ。恋愛小説は、女性に、輝く物がないと、書けないんです」
「私なんかに輝く物なんて、ないと思うのですが・・・」
「ありますとも。京子さん。あなたは自分の素晴らしさ、に気づいていません」
「そうでしょうか?」
「そうですとも。人間は、自分のことを知っているようで、知っていない。僕が小説を書いているのも、僕は一体、何者なのか、ということを知るためでも、あるのです」
「そうなんですか・・・」
「そうです。人間が、何か表現しようとすると、必ず、その作品には、自分の個性が出ます。たとえば、漫画家なら、漫画の絵に、その人の個性が出ます。作曲家でも、そうです。たとえば、サザンオールスターズの全ての曲は、全て違うメロディーですね」
「ええ」
「でも、サザンオールスターズの全ての曲に、サザンオールスターズらしさ、というのを感じませんか。いとしのエリー、と、津波、と、みんなの歌、などは、全てメロディーが違いますよね」
「ええ」
「でも、全てのサザンオールスターズの曲には、メロディーを聞くと、いかにも、サザンらしいな、というのを感じませんか?」
「そうですね。そう言われると、確かに、その通りですね」
「松任谷由美でも、そうですし、山下達郎でも、そう感じませんか?」
「ええ。確かに、感じます」
「それが、作曲家の個性というものです」
「なるほど。そうですね」
「ところで。小説のタイトルも、もう決めました。というか、決まりました」
哲也が言った。
「何というタイトル何ですか?」
京子は、微笑んで聞いた。
「僕の女神さま、というタイトルです」
「そ、その女神というのは、もしかして、私のことですか?」
「他に誰がいますか?」



「私なんか、が、女神だなんて、変な感じですわ。でも、すごく嬉しいです。哲也さんに女神、だ、なんて言われて」
「そうです。正直に言います。僕は、京子さんを、初めて、見た時から、ずっと、京子さんが好きでした」
「有難うございます」
「いえ。僕の方こそ、何とお礼を言っていいか・・・。有難うございます」
そう言って、哲也は、深々と頭を下げた。
「ところで、私に輝く物があるって、言いましたけれど、それは何ですか?」
「それは・・・。京子さんが僕を見つけた時、京子さんが、挨拶だけではなく、お話し、しませんか、と、誘ってくれたことです。そして、ウォータースライダーで、僕の手を握ってくれたことです」
「単に、性格が子供っぽい、だけです」
京子は照れくさそうに言った。



京子は、ダイビングプールの方を見た。若いカップルが、笑顔で肩を組んでいて、その前に、大磯ロングビーチの制服を着た男が、カメラを構えていた。OISOでカシャ、である。大磯ロングビーチでは、写真撮影を希望すると、撮ってくれる。そして、その日の、大磯ロングビーチのホームページに撮った写真をアップしてくれる。ただし、これは、土日だけで、平日は、やっていない。
「京子さん。写真、撮ってもらいませんか?」
「ええ」
京子は、二つ返事で、肯いた。
京子と哲也は、カメラを持っている男の方へ行った。
「すみません。写真、撮って貰えませんか?」
哲也がカメラマンに声を掛けた。
「ええ。いいですよ」
カメラマンは笑顔で答えた。
京子は、哲也と、横にピッタリとくっついた。哲也は、京子の腰に手を回した。
「では、撮りますよ」
カシャ。
シャッターが切られた。
京子は、ほっとして、嬉しそうな表情だった。
京子が、ベンチにもどろうとすると、哲也が京子の手を掴んで、引きとどめた。
哲也は、カメラマンの所に行って、何か、ヒソヒソと話した。
カメラマンは、
「わかりました」
と言って嬉しそうに肯いた。
「京子さん。二人で並んでいる写真も、いいですけど、京子さん一人の、美しい写真も、撮ってみませんか?芸術的ですよ」
「はい。哲也さんが勧めるのなら、そうします」
そう言って、京子は、カメラマンの前に立った。
「京子さん。髪を掻き上げて、腰に手を当てて、曲線美を強調するような、セクシーなポーズをとってみて下さい」
哲也が、横からアドバイスした。
京子は、哲也に、言われたように、髪を掻き上げて、腰に手を当てて、曲線美を強調するような、セクシーなポーズをとった。
「いいですよ。そのポーズ」
カメラマンが言った。
カシャ。
シャッターが、切られ、京子のセクシーなポーズの写真が撮影された。
「何だか、恥ずかしいわ」
京子が言った。
二人は、元のベンチに戻って腰かけた。
「ところで、哲也さん。カメラマンの人と、何か話していましたが、何を話したんですか?」
「いやあ、たいした事じゃないです。ちょっとしたことです」
と哲也は、頭をかいた。
「ところで、京子さん」
「はい」
「京子さんは、海の女王コンテストに、出たいとは、思いませんか?」
「それほど出たいとは、思いません。応募者が多いですし、まず、書類審査の段階で、落ちるのが、関の山だと思います」
「そんな、やる前から、あきらめるのは、よくないと思います。自分の事は、自分では、わかりません。僕は、京子さんなら、海の女王コンテストに、応募すれば、優勝すると確信しています」
「そうでしょうか?」
「そうですとも。それで、お願いなんですが、今年の、海の女王コンテストに応募してもらえないでしょうか?」
「哲也さんが、望むのであれば、応募してもいいです。でも、書類審査で、落ちるのが、山だと思うんですが・・・」
「何事も、やってみなければ、わからないんじゃないでしょうか?」
「それは、確かに、そうですね」



彼女は照れくさそうに笑った。
「哲也さん。哲也さんは、さっき、今日の出来事の小説は、ありのままに書くと言いましたよね。そして、それが、哲也さんにとっての、最高傑作の恋愛小説になると」
「ええ。言いましたよ」
「でも、私は、それを、書けなくすることも出来ますよ」
京子は少し、悪戯っぽく言った。
「どうしてですか?」
「だって、小説を面白くするためにフィクションは入れないで、私のしたこと、私の話したことを正直に書くんですよね」
「ええ。そうですよ」
「なら、私が、あなたなんか、暗くて、大嫌いと言って、あなたを、ビンタしたら、ふられ小説になって、恋愛小説には、ならないのでは、ないですか?」
「ははは。面白い発想ですね。しかし、はたして、その通りにいくでしょうか?」
「そうとしか、考えられませんわ。私の発言や行動が、そのまま小説になるんなら」
「さあ。そう、上手く、あなたの思い通りになるでしょうか?」
「なりますわ」
そう言って、彼女は、立ち上がった。
彼女は自信満々の様子だった。
「みなさーん」
と京子は、大声で、場内の客たちに呼びかけた。
皆の視線が京子に集まった。
「ビートたけし、のコマネチをやります」
そう言って、京子は、足をガニ股に開いて、
「コマネチ」
と言って、両手を股間の前でVの字にして引きあげて、ビートたけし、の、コマネチをやった。
「では、次に鳥居みゆき、のヒット・エンド・ラーンをやります」
そう言って、彼女は、鳥居みゆき、のヒット・エンド・ラーンをやった。
皆は、あはははは、と腹を抱えて笑った。
彼女は、すぐに哲也の所に戻ってきた。そして、哲也の隣りに腰かけた。
「どうですか。こんな下品なことを、もう実際にしてしまったのですから、ロマンチックな恋愛小説には、なりませんよね」
彼女は、勝ち誇ったように言った。
「ははは。残念ですが、ちゃんとマンチックな恋愛小説に、なりますよ」
哲也は自信満々に言った。
「どうして、ですか?私小説は、私の話したこと、したこと、を正直に書くのではないですか?」
「それは、そうです。しかし、あなたは一つ、大切なことを忘れている」
「何ですか。それは?」
彼女は、推理小説のトリックを知りたがる人のような好奇心、満々の目で哲也を見た。
「確かに、事実をありのままに書く私小説では、起こってもいないことを書くことは、出来ません。ところで、京子さんは、川端康成の、伊豆の踊子、は、知っていますか?」
「ええ」
「いくら、文学に興味のない京子といえども、伊豆の踊子、は知っています」
「あれは、川端康成、自身、言っていますが、何の脚色も入れずに、事実そのものを書いた小説です」
「それも知っています」
「しかし、川端康成が、自作解説で言っていますが、「伊豆の踊子」は、事実そのものを忠実に書いた。一切の脚色はしていない。あるとすれば、省略だけである。と」
彼女は、一心に哲也を見つめた。
「つまり、事実を書く小説でも、重要でない、一部、いや、かなりを省略することは出来ます。そして、それは、何ら、事実を歪めたり、脚色したものでは、ありません。伊豆の踊子、を読むと、あの小説には、起こった全ての事柄が書かれているように、ほとんどの読者は、錯覚してしまうでしょう。しかし、実際には、あの小説には書かれいない、様々な出来事や会話のやりとり、も起こっているはずです。しかし、それらを、全て書いていては、小説が読みにくくなってしまいます。だから、踊子が、あの小説で、発言していること、行動していること、以外にも、様々なことを、主人公である川端康成に、言ったり、したり、しているはずです。しかし、小説を、読みやすく、するために、作者である川端康成が、小説を作る上で、必要な、踊子の発言だけをピックアップしているはずです。それは、何も、事実を書いた私小説だけに限ったことでは、ありません。全ての小説の創作で言えることです。ですから、僕は、今、あなたが、やったコマネチや、鳥居みゆき、のヒット・エンド・ラーンをやったことは、省略して書かないか、あるいは、「彼女はユーモラスな性格で、ロングビーチの客に、ある面白いパフォーマンスをして客を楽しませた」と書くたけです」
哲也の説明は、完膚なきまでに理路整然としていた。
「なるほど。そう言われれば、その通りですね。ガッカリ」



彼女は、哲也との頭脳的な戦いに負けて、自分の思考力が哲也に負けたことに、落胆している様子だった。しかも、皆の前で、コマネチをやったり、鳥居みゆきの、ヒット・エンド・ラーンをやったりと、ムキになって、バカなことをやって、恥をかいたことも、後悔している様子だった。
「ははは。京子さん。そう思いつめないで下さい。僕は小説を書いているから、思いつくのは、簡単なことです。小説を書いたことのない人では、思いつかない人もいるでしょう。あなたの思考力が劣っているわけでは、ありませんよ」
哲也は、そう言って、落ちこんでいる京子を優しく慰めた。



時計を見ると、4時45分だった。
大磯ロングビーチは、昨年までは、午後6時まで、やっていたのだが、今年から、午後5時で閉館となった。経営が厳しいのである。
一度、3700円の、1日券で客を入れてしまえば、6時までやらなくても、5時で閉館にしても、入場料は同じなのである。パラソルや、浮き輪の類も、使った時間には、関係ない。レンタル料は定額である。ズラリと並んだ、飲食店も、正午から、午後3時までが、客が飲食物を買うピークであり、午後4時を過ぎると、もう、ほとんど、飲食物を買う客は、いなくなる。

「さて。そろそろ閉館の時間ですね」
「ええ」
「京子さんは車で来たんですか?」
「順子の車に乗せてもらったんです」
「でも、順子さんは、茅ヶ崎サザンビーチに、行ってしまいましたよね」
「ええ」
「哲也さんは、車で来たんですか?」
「ええ。でも、オートバイなんです」
「そうなんですか。哲也さんが、オートバイに乗るなんて、知りませんでした」
「僕は、風を切って走るオートバイが大好きなんです」
「ロマンチックなんですね」
「京子さん。もし、よろしかったら、帰りは、僕のオートバイで送らせて貰えませんか?」
「わあ。嬉しいわ。お願いします」
「でも、僕。人を乗せて走ったこと、一度も、ないんです。もしかすると、転倒して、死んだり、一生、身体障害者に、なってしまうかもしれませんよ」
「哲也さんと一緒に、死ねるんなら、幸せです」
そんな会話をしながら、二人は、テラスハウスに向かった。
二人は、それぞれ、男子更衣室と女子更衣室の前で別れた。
そして、10分とかからず、着替えて、出てきた。
京子は、ブルーのTシャツに短いスカートだった。
哲也は、Tシャツに、ジーパンだった。
二人は、ロングビーチを出た。
大磯ロングビーチへ来る客は、電車なら、大磯駅からの、送迎バスで来る。車で来る客は、家族や友達と来るから、全て四輪の自動車である。そもそも、一人で、ロングビーチに来る客は、いないので、オートバイで来る客は、いない。従って、駐車場に止めてあるのは、四輪自動車だけである。
「あっ。あれですね。哲也さんのオートバイって」
そう言って、京子は、駐車場に、一台だけある、青い色のオートバイを指差した。
「ええ。そうです」
二人は、オートバイの前に来た。
哲也のオートバイは、ホンダCB750だった。名前の通り、排気量750ccの大型バイクである。
「本当は、オートバイは、真夏で、暑くても、ツナギを着ていた方が安全なんです。ツナギにフルフェイスのヘルメットを着けていれば、転倒しても、まず大怪我にはなりません。でも、やっぱり、夏に、ツナギというのは、格好悪く、つい普段着で来てしまいました」
と哲也は説明した。
「京子さん。どうしますか。乗りますか?」
「ええ。ぜひ」
「では、僕は、二人乗りで走るのは、初めてなので、ちょっと試してみましょう」
そう言って、哲也は、オートバイに跨り、スターターを押して、エンジンを始動させた。
バルルルルルッ。
と、重厚なエンジン音が鳴った。
大磯ロングビーチの駐車場は、広い上に、夕方になると、もう入場客も来なくなり、帰りの客だけになるので、駐車場には、ロングビーチの係員は、いなくなる。その上、大磯ロングビーチの駐車場は広い。車、400台、止められるほどの広さである。哲也は、場内を、小さく8の字に、運転してみた。かなりのリーン・アウトの姿勢で。全く簡単に運転できた。
「では、京子さん。試しに、後ろに乗ってみて下さい」
「はい」
そう言って、京子は、後部座席に乗った。そして、京子を乗せて、大きな円状に、リーン・インの姿勢で、回転した。リーン・インとは、オートバイは倒さず、体を内側に傾けることで、回転する回り方である。よく、オートバイのロードレースで、極端に、体だけを、内側に傾けて、回っているが、あの曲がり方である。リーン・インだと、オートバイを、あまり倒さずに、回れるので、安全な回り方である。
哲也は、だんだん、円の半径を小さくしていった。そして、8の字状に運転したり、した。
「京子さん。僕にとっては、初めての二人乗りですが、問題ないと、わかりました。それに、帰りの国道134号線は、ずっと、真っ直ぐですから、問題ないでしょう」
そう哲也は、京子に言った。
だが、これは、試さなくても、まず大丈夫ではある。750ccの大型バイクは、重量、250kg以上あり、それを普段から自在に、乗りこなしていれば、45kgの女性の重量が加わっても、ほとんど、影響はない。ただ哲也は、心配性なので、試して安全を確認しなくては、気がすまなかったのである。
「大丈夫そうです。では。京子さん。行きますよ」
「はい」
そう言って、京子は、哲也にヒシッと抱きついた。
ちょうど、ウォータースライダーで、京子が、後ろから哲也にしがみついたのと、同じ格好になった。
哲也は、駐車場を出て、大磯西インターチェンジから、国道134号線に出た。ここからは、片側二車線で、ほとんど、海沿いに、一直線だった。
夏の午後5時は、まだ、昼間の続きのような感覚だった。
遠くに、江の島が見える。
哲也は、どんどんスピードを上げていった。
「最高だわ。哲也さん」
京子は、そう言って、哲也にヒシッと、しがみついた。
「私たち、恋人みたいね」
京子は、そんな、戯れを言った。
大磯を出た時は、空いていたが、帰りの車で、時々、渋滞になることもあった。
オートバイは、渋滞でも、車の間をスイスイ抜けるし、国道134号線の道路の道幅も広かったが、哲也は、無理な追い越しはしなかった。京子の安全を考えているのだろう、と京子は思った。
二人を乗せたバイクは、やがて、茅ヶ崎サザンビーチを越し、江の島に着いた。
「哲也さん。江の島海岸の、海の家で、ケバブを売っている店があります。私、ちょっとケバブを食べたいんですが、哲也さんは、どうしますか?」
京子が言った。
「僕も食べます」
哲也、は答えた。
哲也は、オートバイを片瀬西浜の駐車場に止めた。二人は、海岸に出た。片瀬西浜は、海の家がぎっしり、並んでいた。時間は、午後6時になっていたが、まだ、ビーチで、戯れている客が、ちらほら、あった。哲也は、京子に誘導されて、ケバブを売っている店に来た。
二人は、ケバブを注文して、買って食べた。ケバブは大盛りで、600円だった。
「私。ケバブ、好きなんです。哲也さん、は、どうですか?」
「僕も好きです。このパンの歯ごたえ、と、ソースが美味しいですね」○○○○○○
湘南の海では、江の島をはさんで、西の、片瀬西浜と東の片瀬東浜、その東の先の由比ヶ浜、が、海水浴場のメインだった。しかし、江の島の方が、小田急線の江ノ島駅から近いため、由比ヶ浜よりは、江ノ島の方が、海水浴客は多い。由比ヶ浜の海水浴場は、最寄りの駅が、横須賀線の鎌倉駅で、駅から、かなり歩くので、客は、江ノ島よりは少ない。
「ここ。入りませんか?」
京子が、海の家の一つの前で止まった。そこは、バラックではなく、木を組んで作ってある、ログハウスだった。

「ええ」
二人は、ログハウスに入った。ゆったりしていて、潮風が心地いい。ちょうど南国のリゾートビーチのような気分である。
「哲也さんは何を飲みますか?」
京子が聞いた。
「僕は、お酒は飲めません。コーラにします」
「じゃ、私もコーラにするわ」
そう言って二人は、海を見ながら、コーラを飲んだ。
午後6時から、サーファーが入ってきて、サーフィンをするようになる。
せっかく、休日の一日を、わざわざ、東京から来たのだから、夏の一日を、ギリギリまで楽しもうと、6時を過ぎても、まだ、かなりの客が、砂浜で、ビーチバレーをやったり、して楽しんでいる。しかし、京子も哲也も、大磯ロングビーチで、十分、楽しんだので、また、水着に着替えて、遊ぶ気にはなれなかった。
「京子さん。来月の8月12日に、海の女王コンテストがありますから、出でみたら、どうですか。京子さんなら、きっとなれますよ」
哲也の提案は、本気なのか、からかい、なのかは京子には、わからなかった。
「哲也さんは、他人事だから、簡単に言えるんですわ。片瀬西浜には、綺麗な人がたくさん来ます」

実際、片瀬西浜は都心から一番近い身近な海水浴場であるが、綺麗な、プロポーションも抜群の女が、かなり多い。というか、プロポーションに自信のない女は、来にくい、という面がある。しかし綺麗でも、タトゥーをしている男女が多い。なので、彼らは、大磯ロングビーチには、入れない。大磯ロングビーチは、タトゥーをした人は入れないのである。タトゥーをしているからって、悪い人というわけではないし、大磯ロングビーチとしても、客の確保に必死で、経営がギリギリなのだから、それは緩和してもよさそうなものだが、大磯ロングビーチでは、それは、しない。また、京子には、タトゥーをする女の気持ちが解らなかった。
「京子さん。僕がついています。他人事だから無責任に言えるのかも、しれませんが、人生は、何事も挑戦することに、意味があるのでは、ないですか。僕だって、小説を書くことに、挑戦しようと思った時は、自分に、小説なんて、書けるのだろうか、と、かなり迷いました。しかし、僕は、今では、もう、何作も書いていて、今では、もう自信を持って、自分が小説を書いている、と人に言えます」
哲也は堂々と言った。哲也の発言を、確かに、その通りだと京子は思った。「人生は、失敗をおそれずに、挑戦することに人生の価値がある」という、意味の格言は、数多くの思想家が言っていることである。
「わかりました。では、海の女王コンテストに出てみようと思います。でも、一人では、怖いので、その日は、哲也さんも来て下さいね」
と京子は言った。
「ええ。行きますとも」
と、哲也は嬉しそうに言った。
「それで、芸能プロダクションに目をつけられて、声をかけられたら、どうしますか?会社をやめて芸能人になりますか?」
「そこまでは、わかりません。それに、まだ、海の女王コンテストで優勝してもいませんもの」
「京子さんの、ハワイロケの写真集、プロモーションビデオ、全て買いますよ。僕も、京子さんの売り込みに協力して、大いに宣伝に協力します」
そんな会話をした後、二人は、ログハウスを出た。
そして、哲也は京子を江ノ島の駅まで、送った。



「哲也さん。今日は、色々と、楽しかったでした。有難うございました。帰ったら、哲也さんの、ホームページの小説、読まさせて頂きます」
「京子さん。僕の方こそ、本当に有難うございました。今日は、生まれて、一番、幸せな日です。帰ったら、すぐに、今日のことを、小説に書き始めます」
そう言って、二人は、江ノ島駅で別れた。



帰りの小田急線は、帰りの海水浴客で一杯だった。京子は、中央林間で、田園都市線に乗り換えた。
アパートに着いたのは、夜の7時30分くらいだった。



京子は、まず、シャワーを浴びた。プールで濡れて、ベトついた体を隈なく、石鹸で洗い流した。そして、水着やタオルを、他の洗濯籠に入っている物と一緒に、全自動洗濯機に入れて、洗濯機のスイッチを押した。京子は、冷蔵庫から、ワインを持ってきて、少し飲んだ。
そして、ノートパソコンを、持って、ベッドの上にゴロンと横たえた。そして、Yahooの画面を出して、「山本哲男」で検索した。すると、トップに、「山本哲男のホームページ」というのが出てきた。京子は、それをクリックした。ゴテゴテした飾りのない、極めてシンプルなWebサイトだった。
表紙には、「ホームページへ来て下さってありがとうございます。内容はすべて私の書いた小説です。小説を書くことは三度のメシより好きで、10年以上書きつづけてきました。できうる事なら作家になりたいと思っています。でも作家になれなくても小説は一生、書きつづけます。書きためてきた小説は、たくさんありますので、これからどんどん発表していこうと思っております。H13年3月に小説集を出版しました。買って下さるとうれしいです。どこの書店でもネットでも注文で買えます」と書いてあり、タイトルは、「女生徒、カチカチ山と十六の短編」となっている。
目次を見ると、たくさんの小説のタイトルが並んでいた。長い小説もあれば、短い小説もある。その中で、京子は、「少年とOL」というのを読んでみた。少年がOLと、海水浴場で、遊ぶ、という、たわいもないストーリーの小説だった。しかし、極めて読みやすく、また、その光景が鮮明にイメージされた。少年とOLの恋愛小説だった。京子は、次に、「失楽園」というのを、読んでみた。旧約聖書の、アダムとイブの話を、小説風に書いたもので、アダムとイブの何か、独特のキリスト教解釈の会話があったが、京子には、その意味が解らなかった。だが、まあ、面白かった。ともかく読みやすいので、京子は、短い小説をどんどん、読んでいった。
その時。さっき、洗濯機に入れた、水着やタオルなどが、洗い終わって、それを知らせる、ビビーという音が鳴った。京子は、水着を、洗濯機から取り出して、洗濯物干しに、吊るした。
そして、戻ってきて、小説の続きを読んだ。
京子は、ふと思い出して、大磯ロングビーチのホームページを見た。哲也の小説を、真っ先に読みたいという意識があったので、哲也のホームページを開いたのだが、大磯ロングビーチでは、今日、OISOでカシャ、の写真を撮ったので、京子の写真がアップされているはずである。京子は、急いで、大磯ロングビーチのホームページを開いた。すると、案の定、京子のセクシーなビキニ姿が、アップされていた。しかも、驚いたことがあった。
OISOでカシャ、の写真では、写真の下に、簡単なコメントが書かれる。名前は、ほとんど、全部、ハンドルネームで、本名は書かない。日本人はシャイなのである。しかし、京子のビキニの写真の下には、本名の、岡田京子、と書かれてあり、その上、何と、「岡田京子と言います。8月12日の片瀬西浜の、海の女王コンテストに出場します。ヨ・ロ・シ・ク?」と書かれてあった。山野がロングビーチの係員と、コソコソ話していたのは、これだな、と京子は、気づかされた。大磯ロングビーチに、その日、行った人は、まず、全員、大磯ロングビーチの、大磯でカシャ、の写真を見る。そして、ロングビーチに行かない人も、かなり見る。大体、10万人くらいの人が見る。京子は、ネットで全国の人に、見られることになって、恥ずかしいやら、何となく、嬉しいやら、で、いろんな感情が頭の中をグルグルと回った。
いつまでも、大磯ロングビーチのホームページを見ていても、仕様がないので、京子は、哲也のホームページに戻った。そして、今度はブログを見た。哲也のブログは、2008年から、始められていて、写真は、一つもなく、全部、ゴチャゴチャした、雑感文ばかりだった。しかし、京子が、哲也の小説や、大磯ロングビーチのホームページを見ている間に、哲也が、今日のブログ記事がアップされていた。タイトルは、もろに、「岡田京子」である。本文には、「今日は、最高に幸せな日だった。会社の同僚と大礒ロングビーチで出会った。大磯ロングビーチのホームページの、OISOでカシャ、に彼女の写真が載っていますので、どうか見て下さい。彼女は、8月12日の、片瀬西浜の、海の女王コンテストに出ます。どうか、応援して下さい。彼女は、容姿が美しいだけでなく、とても明るい性格です。なんと、今日、大磯ロングビーチで、コマネチやヒット・エンド・ラーンを、堂々とやるほどです。ホームページに、彼女の動画と写真を載せましたので、ぜひご覧ください」と書かれてあった。
京子は、あわてて、ホームページを開いた。すると、ホームページに、「岡田京子」というタイトルが、出ていた。クリックしてみると、新しいWebページで、You-Tubeの動画で、京子のコマネチをする動画と、ヒット・エンド・ラーンをしている動画が載っていた。そして、数枚の京子のビキニ姿のスナップ写真が載っていた。そして、「岡田京子と申します。8月12日の片瀬西浜の、海の女王コンテストに出場します。応援、ヨ・ロ・シ・ク?」
と書いてあった。横顔であるが、動画も、写真も、はっきりと、京子の顔が、写っていた。哲也が、さり気なく、自分に気づかれないように、スマートフォンで、動画や写真を撮っていたのだろう。コマネチや、ヒット・エンド・ラーンの動画は、少し恥ずかしかったが、こうまで、世間に自分を宣伝されては、嬉しいやら、恥ずかしいやら、で、京子は、いてもたっても、いられなくなった。
その晩、京子は、なかなか寝つけなかった。



翌日、京子は、トーストとゆで卵とコーヒーを飲んで出社した。
「お早うございます」
と挨拶して、デスクに座ると、早速、隣りの席の順子が話しかけてきた。
「京子。OISOでカシャ、見たわよ。一体、どうしたの?本名を名乗ったりして。それに、8月12日の、片瀬西浜の、海の女王コンテストに出るので、応援、よろしく、なんて・・・」
順子が聞いた。
「え、ええ。ちょっと、妙な成り行きになっちゃって・・・」
京子は、困惑して、しどろもどろに言葉を濁した。
「私が帰った後、ナンパされたんでしょう?」
「いえ。ナンパじゃないわ。ある男の人と少し喋ったの」
「どんな人と?」
「それは、ちょっと言えないわ・・・」
「ナンパじゃなくて、男と喋るなんて、どういうことだか、よくわからないわ」
「わかった。芸能プロダクション関係の人でしょう。なら、辻褄があうわ」
「い、いや。芸能プロダクション関係の人じゃないわ」
そうは、言っても、哲也は、京子を売り出そうしている、のだから、あながち、完全な間違いとも、言えない。
「それで、8月12日の、片瀬西浜の、海の女王コンテストには、本当に出るの?」
「え、ええ。迷ったけど、出ようと思うわ」
「そうなの。よくわからないけど、じゃあ、私も協力するわ」
そんな会話があって、仕事が始まった。
京子は、離れた席にいる哲也をチラッと見た。
哲也は、京子と視線が合うと、微笑した。
しかし京子は、嬉しいんだか、口惜しいんだか、愛憎まじった複雑な感情だった。



昼休みになった。
「京子。食堂に行こうよ」
という順子の誘いを、
「ちょっと用事があるから・・・ゴメンね」
と言って、京子は、断って、オフィスに残った。順子は、一人でオフィスを出た。
皆、昼食のため、社内の食堂へ出た。
ただ一人、哲也だけが残った。
京子は、哲也のデスクに行った。
「哲也さん。ちょっとお話ししたくて・・・。外へ出ませんか?」
「ええ。いいですよ」
そう言って、二人は、社外に出た。
そして、社外から、少し離れた喫茶店のルノアールに入った。ここは、サンドイッチの類と、飲み物しかメニューにないので、昼食に来る社員はいない。なので、社員と顔を合わせることも、まずない。京子は、哲也と二人きりで、話している所を、会社の社員に見られて、会社で、変な噂をされるのが嫌だったのである。ルノワールという店名だけあって、壁には、印象画家のルノワールの絵画のレプリカが飾られている。そこの店には、「マドモアゼル・イレーヌ・カーン・ダンベーユ」の絵画が飾られていた。この「マドモアゼル・イレーヌ・カーン・ダンベーユ」の絵を京子は、ルノワールの絵画の中で、一番、気にいっていた。ルノワールの最高傑作だとも思っていた。たんに、あどけない少女の肖像画だが、実に美しい。ルノワールのような、印象派の画家は、絵画における色彩の使い方を絵画の価値と見て工夫し、表現しているので、肖像画の少女を、ことさら美形にして描いたりは、しないだろうから、実物の、マドモアゼル・イレーヌ・カーン・ダンベーユも、絵画の通り、非常に美しい少女だったのであろう。



京子は、サンドイッチと、アイスティーを注文した。
哲也も、京子と同じ、サンドイッチと、アイスティーを注文した。



京子は、さっそく、有り余る思いを哲也にぶつけた。
「哲也さん。ひどいわ。大磯でカシャ、の、コメントに、私の本名を出して、コメントに、8月12日の片瀬西浜の、海の女王コンテストに出場します。ヨ・ロ・シ・ク?、なんて書いて・・・それに、哲也さんのホームページやブログにも、同じようなことを書いて・・・」
「ごめんなさい。京子さん。怒っているんですか?」
「それは、人間なら、みな、怒りますよ。了解を得ないで、かってな事をされては」
「すみません。そのことは、心よりお詫び申し上げます」
哲也は深々と頭を下げた。その態度には確かな誠実さがあった。
「どうして、あんな事を書いたんですか?」
京子は、哲也が、了解もとらないで、ああいう派手なことを書いた理由を知りたかった。

「それは、僕は、京子さんほど魅力のある人は、会社のOLをして、無名でいるより、もっと多くの人に知られて、世間のアイドルになって欲しかったからです。京子さんにしてみれば、世の中には、綺麗な女はたくさんいる、と言うでしょう。それは、その通りです。それで尻込みしてしまうでしょう。しかし、京子さんの優しい、明るい性格は、きっと世間に受け入れられる、と思ったからです。人間は、自分では、自分の良さが、どうしても見えません。また自分で自分をアピールすることも、出来にくいものです。なので、京子さんには、申し訳ないと思いましたが、僕が京子さんを、アピールしてしまいました。ふざけた気持ちや悪意は、全くありません」
と哲也は説明した。
「そうですか。わかりました。確かに哲也さんの言うことも、もっともです。それに、尻込みしている、という哲也さんの言ったことも、事実です」
「では、8月12日の片瀬西浜の、海の女王コンテストには、出場してくれますか?」
「もう、こうなったら、出場するしかありません。私も、本気で挑戦してみようと思います。むしろ、勇気がなかった私に、決断させてくれた哲也さんに、口惜しいですけど、感謝するしかありません」
「よかった。では、僕も、もっと、もっと、宣伝します」
「でも、宣伝なんかして、いいのでしょうか?それに、宣伝したからといって、効果があるのでしょうか?」
「それは、ありますよ。宣伝しても、魅力のない人には、人気は出ませんから」
二人はアイスティーを飲んで、一息ついた。
「ところで、山野さんの書いた小説、少し、読ませて頂きました」
「それは、どうも有難うございます。感想はいかが、ですか?」
「そうですね。読みやすいです。爽やかな恋愛小説ですね。文章から、場面がはっきりイメージされるような感じです。昨日は、色々なことがあって、気が動転していたので、とても、落ち着いて読む気分にはなれませんでしたけれど、今日から、また、読みます。お世辞でなく、良い小説だと思います」
「それは、有難うございます」
「それで、山野さんは、文学賞とかに応募したりとか、作家になりたい、とか本気で思っているんでしょうか?」
「文学賞に応募したことは、三回、あります。しかし、三回とも第一次選考にも通りませんでした」
「そうですか。良い小説だと思うんですが・・・ダメなんですか?」
「オール読物とか、権威のある文学賞は、今までの作品にない、新しい感性、や、奇抜なストーリーを求めています。それに、枚数の規定があって、80枚から150枚まで、というような、枚数の規定があります。枚数の多い作品の方が、内容が豊富に出来ますから、枚数の多い作品の方が選ばれやいんです。それと、何度も、応募してくる人も、結構いて、さすがに、選考委員も、情がありますから、同じ人が作品を何回も投稿してくると、それなりに、しっかりした作品なら、今回は受賞を認めよう、という、ことも、あるんです。僕にも感性は、ありますが、子供っぽいですし、奇抜なトーリーというのも、書けない、というか、書く気がしない、というか、で、結局、受賞は無理です。小さな文学賞の募集は、100以上、たくさん、あります。しかし、ほとんど人に知られていないような、マイナーな文学賞に応募して、当選したからといって、たいした意味はありません。そんなことを、しているより、僕は、もっと、もっと、出来るだけ、たくさん作品を書きたいんです」
「そうですか」
京子は、はあ、と溜め息をついた。
京子は、人に、「勇気を出して挑戦せよ」と言っている哲也本人は、はたして、勇気を出して挑戦しているのか、と、問い詰めたかったのだが、残念ながら、哲也は、三回も、文学賞に応募して、落選しても、書くのをあきらめないで、書いていることを知って、哲也を非難できなくなって、ガッカリした。
哲也が、自分がしていないことを、他人に、偉そうに要求しているのなら、海の女王コンテストに出ない口実になるのだが、それは出来なくなった。からである。
「では、海の女王コンテストに出ます」
京子は、自信を持って言った。
「では、僕は、ネットで、大いに宣伝します。いいですか?」
「ええ。構いません」
京子は、少し、もう、どうとでもなれ、という、なげやりな気持になっていた。
そんな会話をして二人は、喫茶店を出た。



その日の仕事が終わって、順子と帰りの電車に乗っている時だった。
前の座席に座っている、中学生くらいの男の子が、スマートフォンをピコピコしながら、座っていた。
京子は、その男の子を何度か見たことがあった。
「あのー」
と少年は、京子に、話しかけてきた。
「はい。何でしょうか?」
「もしかして、あなたは、岡田京子さんじゃありませんか?」
「え、ええ。そうです」
京子は、恥ずかしそうに答えた。
「やっぱり。・・・昨日の、大磯ロングビーチの、大磯でカシャを見て、似てるなー、と思い、つい声を掛けてしまいました。すみません」
「い、いえ」
京子は、ネット公開した効果が、こんなに大きいことに、驚かされた。
「あのー。8月12日の海の女王コンテストに出場するんですか?」
「え、ええ」
「じゃ、僕、応援します。ネットでいっぱい、宣伝します。学校でも、みんなに宣伝します」
「そ、それは、ありがとう」
「岡田さんのコマネチとヒット・エンド・ラーンの動画も、見ました。岡田京子、で、Yahooで検索したら、山本哲男という人のホームページに載っていましたので・・・。それと、岡田さんは、××商事に勤めているOLなんですね」
京子は、あまりにも、自分のことが、知られているので、驚いて聞き返した。
「どうして知っているのですか?」
「岡田京子、で、Yahooで検索したら、××商事会社に、名前と顔が、出ていて、わかったんです」
京子の会社で、以前、経理課の紹介として、顔と名前を、××商事会社のホームページにアップしていたのである。それに辿り着いたのだろう。
あのー、と少年は、顔を赤くして、カバンから、ノートとシャープペンを取り出した。
「はい。何でしょうか?」
「サインして頂けないでしょうか?」
そう言って、少年は、京子の方にノートとシャープペンを差し出した。
京子は、恥ずかしそうに、それを受けとると、「岡田京子」とサインして、少年に返した。
「有難うございます」
少年は、嬉しそうに礼を言って受けとった。
そして次の駅で少年は降りた。
「京子。はやくも、有名人ね」
と、からかうように、順子が笑って言った。



京子は、順子と別れて、アパートに着いた。
そして、昨日のように、ノートパソコンを持って、ベッドにゴロンと身を投げ出した。
哲也がYou-Tubeにアップした、京子の、コマネチとヒット・エンド・ラーンの動画は、すでに10万人の閲覧者を記録していた。大磯ロングビーチの、大磯でカシャ、の影響と、哲也の宣伝、などのためだろう。一日で、10万人の閲覧者の数には、さすがに京子も驚いた。さらに、「美人すぎるOL」というスレッドが立っていた。その閲覧者も、相当な数になっていた。哲也のホームページには、「僕の女神さま」という、タイトルが、加わっていた。クリックすると、哲也と、江ノ島駅で、別れるまでの出来事が、ほとんど正確に書かれてあった。京子は、一気に読んだ。そして、小説の最後には、「これは事実です。まだ、未完で、続きます」と書かれてあった。哲也のブログには、「僕の女神さま、という小説を書き出しました。まだ未完で、途中までですが、アップします。これは、事実を正直に書いたもので、岡田京子さんは、僕の会社の同僚です」と書かれてあった。
順子のブログにも、京子の写真が、たくさん、載せられて、色々と書かれてあった。
もう、ここまできたら、海の女王コンテストに出場しないわけには、いかない。



その時、ピピピッと京子のスマートフォン、Galaxy XJが鳴った。
母親からだった。
「あっ。お母さん。久しぶり」
「京子。ネットで見たわよ。海の女王コンテストに出場するって、本気なの?」
「え、ええ。ちょっとした、いきがかり上、そうしなくちゃならなくなっちゃったの」
「そうしなくちゃならなくなっちゃった・・・って、いうと、あなたの意志じゃなくて、誰かが勧めたのね」
「え、ええ。まあ。そうだけど、お母さんは反対?」
「別に賛成でも、反対でも、ないわ。あなたが、出るというのなら、私は反対しないわよ」
京子の母親は寛容な性格だった。
「ちょっと将太に代わるわね」
母親は、そう言った。
「お姉ちゃん。海の女王コンテストに出場に出場するんだってね。僕、姉ちゃんの、子供の頃からの写真で、お姉ちゃんのホームページを作っている所だよ。僕も応援するから、頑張ってね」
と弟の高校一年生の将太が言った。
「ありがとう。頑張るわ」
と京子は言って電話を切った。
それ以外にも、京子の、中学校、高校、大学、からの友人たちから、ひっきりなしに、応援の電話やメールが、やって来た。京子は、友人が多いので、100人以上の友人から、電話やメールが、やって来て、その都度、京子は、「ありがとう。頑張るわ」と返事した。ブログやホームページを持っている者は、「京子の写真、や、京子のこと、書いてもいい?」と聞いてきた。そういう質問には、全て、「いいわよ」と京子は、答えた。



海の女王コンテストに、「頑張る」と言っても、スポーツ競技でもなければ、資格試験でもない。コンテステトに出るだけである。何を頑張る、というのだろう。何かを頑張ったからといって、容姿や体型が良くなるわけでもない。美容整形で、直したい顔の部分というものも、なければ、体型も、京子は、元々、特にダイエットしなくても、小食で、プロボーションは、抜群に良かった。トレーニングジムに行って、肉体を引き締める必要も感じていなかった。



ともかく、もう、ここまできたら、海の女王コンテストに出場しないわけには、いかない。
京子は、海の女王コンテストのホームページを開いた。
すると、それには、こう書かれてあった。
【必要書類】
履歴書1通(身長、スリーサイズを記入すること)
サービス版カラー写真1枚(3ヶ月以内に撮影した着装で全身のもの)
※応募書類は返却いたしません

【審査日程】
2014年7月20日 募集締切【午後5時必着】
2014年7月20日から 書類審査 非公開
2014年7月30日 面接審査 非公開
2014年8月12日 ステージ審査 公開

【審査】
書類審査(非公開) 参加資格の適否及び応募書類を審査する。
合格者:40~50名程度
面接審査(非公開) 書類審査通過者を対象に内面的適否を審査する。
合格者:5名
ステージ審査(公開) 面接審査通過者を対象に、投票によって決定する。

【応募宛先】
〒251-0035
藤沢市片瀬海岸0-00-00 公益社団法人藤沢市観光協会内
「海の女王コンテスト」係

となっていた。京子は、履歴書を書き、写真を塗布して、ポストに投函した。



数日後、書類審査での、合格の葉書が京子の所に来た。
「書類審査、合格です。つきましては、面接審査を行いますので、7月30日の12時に藤沢市民体育館に、お出で下さい」
と書かれてあった。



その時、順子から電話がかかってきた。
「京子。履歴書と写真は、もう出したんでしょ?」
「ええ。今日、書類審査、合格のハガキが来たわ」
「そう。よかったわね。というより、京子なら、当然だわ」



30日の、面接審査の日になった。
審査場所は藤沢市市民体育館だった。
京子が、着いた時には、もうすでに、10人以上、来ていた。
書類審査が通った人達だけあって、みな、美人である。
一人の女が、京子を見つけると、駆け寄ってきた。
大学時代の、同級の友人の圭子だった。
「やあ。圭子」
「やあ。京子」
二人は、久闊を除した。
「京子。あなた、ずいぶんと派手に、ネットで、宣伝してるわね」
圭子が言った。
「え、ええ。本当は、私の意志じゃないの。成り行き上、ああ、なっちゃったんで。私は、元々は、出るつもりはなかったんだけど。こうなったら、みんなの期待に応えるためにも、出ようと思い決めたの」
「そうなの。ホントかしら?」
圭子が、疑り深そうな目で京子を見た。
圭子は、積極的な性格で、大学時代から、ミス慶応に立候補していた。大学のミスコンは、かなり、ステータスがあり、選ばれると、マスコミに知られて、芸能プロダクションから、声が掛かって、芸能人になるキッカケに成りやすい。圭子は、ミス慶応になって、女子アナに、なるのが、夢だった。だが、圭子は、なれなかった。
一方、京子も、立候補してみたら、と誘う友人も多かったが、京子は、目立ちたくなかったので、断った。
「京子。応募した人数、知ってる?」
圭子が聞いた。
「わからないわ」
「5000人以上、だそうだわ」
圭子が答えた。
「ええー。そんなに、多かったの?」
「そうよ。海の女王コンテストも、ステータスが上がってきて、応募者は、年々、増えているらしいわよ」
「5000人、応募して、第一次選考の、50人に入れたのだから、100人の中で一人、選ばれたことになるわ」
圭子が言った。
「江ノ島、海の女王コンテストの応募資格は、神奈川県在住だから、応募するために、神奈川県に住所を移す人も、かなり、いるのよ」
圭子が、そう説明した。



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僕の女神さま (小説)(下)

2020-07-06 22:28:01 | 小説
正午になった。
「それでは、応募者のみなさん。面接審査を行います。面接室にお入り下さい」
面接審査は、第一次選考で、通った50人が10人ずつ、審査員の前で審査される、というものだった。京子と圭子は、一緒の組になった。
面接室には、5人の審査員がいて、その前に、椅子が10個、横一列に並んでいた。京子は、何だか、就職の面接の時のような感覚を思い出した。就職面接の時は、ガチガチに緊張したが、今度は、別に、さほど、ムキになって、海の女王コンテストの第二次テストに、通りたいとも思っていなかったので、リラックスした気分で、いられた。

「岡田京子さん。自己紹介をして下さい。特技は、スキー、水泳、趣味は、読書、となっていますが、スキーはSAJで何級ですか?」
審査員が、履歴書を見ながら京子に質問した。
「はい。一級です」
と京子は、答えた。
本当は、京子は、緩斜面のパラレルターンを滑れる3級、程度の実力しかないのだが、それを、わざわざ、証明することもないし、少し、大袈裟に書いておいた。のである。
というのも、最近の就職難から、少しでも自己アピールすることは、もう日本社会では常識となっている、ので、正直で、謙虚な、京子も、そう書いておいた。のである。
別に、スキーが出来たからといって、仕事の能力とは、関係ないが、趣味や、特技は、何かあったら、書いておいた方が、「何事にも、積極的な性格」と見なされて評価される、ということを京子は、就職試験で知っていた。
「趣味は、読書と、ありますが。一番、好きな作家は誰ですか?」
「はい。山本哲男です」
審査員は、顔を見合わせた。
「山本哲男って、知ってる?」
「いや」
「いや」
審査員は、全員、誰も、知らなかった。
「山本哲男という作家は、どういう小説を書くのですか?」
「恋愛小説です」
審査員の一人が、パソコンで、「山本哲男」で検索した。
「あなたの写真が載っていますね。彼とは、どういう関係なのですか?」
「はい。私の会社の同僚です。私を海の女王コンテストに出場するよう、勧めてくれた人です」
「僕の女神さま、という、書きかけの小説の主人公はあなたがモデルなのですか?」
審査員が、山本哲男のブログを見ながら聞いた。
「はい。そうです。あの小説の男の人が、山本哲男さんで、話は、ほとんど、事実に忠実です」
京子は、淡々と答えた。
「わかりました。合否の結果は、1週間以内に、ハガキで知らせます」
そんな具合で、面接は簡単に終わった。
しかし、面接の後、スリーサイズを、厳密にチェックするため、ブラジャーもとって、パンティー一枚で、係りの女に、スリーサイズを、測定された時には、さすがに京子も恥ずかしかった。



ちょうど一週間後に、二次面接の合格のハガキが京子に届いた。
京子は、順子に電話した。
「二次面接も受かっちゃった」
「よかったじゃない」



さて、とうとう、8月12日の、海の女王コンテストの、ステージ審査の日が来た。
日曜日で、雲一つない青空で、会場の片瀬西浜は、海水浴客でいっぱいだった。
二次面接で、ふるいにかけらけて、合格した者は、5人だった。
その中に、圭子もいた。
圭子は、派手な露出度の高いセクシーなビキニだったが、京子は、普通のセパレートのビキニだった。
「京子。あなたも合格したのね」
「ええ」
「圭子。あなた。少しやせ過ぎじゃない?」
「ええ。体重が増えるのが怖くて、食べるのが怖くなって、摂食障害ぎみになってしてしまって・・・」
「そうなの」
「あなた。ダイエットとか、スポーツジムとか、行ってるの?」
「行ってないわ」
「そうなの。それにしては、凄く良いプロボーションね。私なんか、海の女王コンテストで優勝するために、ダイエットしていたし、スポーツジムにも、通っていたわよ。あなたの体は健康的だわ」



二時になった。
「会場のみなさん。これから、海の女王コンテストを始めます。どうぞ、お集まり下さい」
アナウンスが鳴った。客達が集まってきた。
「では、これより、海の女王コンテストを行います」
そんな具合に、コンテストが始まった。
二次審査を通った5人が、一人ずつ、ステージの上に立って、簡単な自己紹介をした。
他の4人は、みな、綺麗で、京子は、これでは、とても勝ち目がない、と思った。
ビキニ姿の最終候補の5人が、一人ずつ、ステージに上がって、自己紹介をした。

1番。「佐々木希子です。特技は、新体操です。趣味は、音楽鑑賞、ピンク&キラキラもの収集です。それと、天竺に大乗仏教の経典をとりに行く旅をすることです」
2番。「能年玲奈子です。特技は絵を描くことです。趣味はギター演奏、読書、アニメ鑑賞です。性格は、あまちゃん、です。特技は、素潜り、です。海女さんにも負けません」
3番。「武井咲子です。趣味、特技はバスケットボールです。好きなものは、太賀誠さんです。好きな言葉は、愛と誠、です。趣味は、大賀誠さんに、一生、償うことです」
4番。「筒井順子です。特技は、ピアノの演奏と、新体操です。趣味は、読書です」
5番。「岡田京子です。特技は、スキー、水泳です。趣味は、読書です」

京子が、ステージに立った時、観客達がどよめいた。
「あっ。大磯でカシャの人だ」
「ネットで話題の、岡田京子さんだ」
「写真より、きれいだなー」
そんな声が、たくさん沸き起こった。



「さあ。みなさん。携帯か、スマホで投票、お願いします。30分で締め切りです。これは、全国中継されていて、全国からのネット投票で、決定されます。一人一票を守るため、同じIPアドレスからの、票は、自動的にチェックされて、除外され、一人一票となります」

「では、始めて下さい」
みなは、カチャカチャとスマホを操作した。
30分は、あっという間に経った。
「はい。終了です」
審査員が、言った。
「結果を発表します」
と言って、審査員は、コホンと咳払いした。
「結果、発表。岡田京子さん、500万票。筒井圭子さん、3万票、佐々木希子さん、2万票、能年玲奈子さん、1万票、武井咲子さん、1万票。よって、岡田京子さんの優勝です」

「京子。おめでとう」
圭子が祝福した。しかし、圭子は、明らかに、落ちこんでいた。
「ありがとう」
京子は、心からの、お礼を言った。
「残念。もう、ミスコンは、あきらめるわ」
圭子が、さびしそうな口調で言った。
「でも、私は、前宣伝が大きかったから・・・受賞したのに過ぎないわ。あなたも、夢をあきらめないで」
「いや。私、決めてたの。今回の、ミスコンで、優勝できなかったら、もう、あきらめようと。宣伝しても、人が魅力を感じなければ、どんなに、宣伝しても、無駄なだけよ。私には、あなたのような、天性の魅力がないんだわ」
京子は、なぐさめる適切な言葉を見つけられなかった。
「ねえ。岡田京子さん。コマネチとヒット・エンド・ラーンをやってよ」
客の中から、そんなリクエストが出た。
京子は、その場で、客の要望に応えて、コマネチとヒット・エンド・ラーンをやった。
京子の頭に冠が乗せられた。
イベントが終わると、みなが、京子に、握手やサインを求めてきた。京子は、それに全て、答えた。
「あ、あの。私は、こういう者ですが・・・」
一人の男が、京子に近づいて、名刺を渡した。
それには、オスーカプロダクションと書かれてあった。



こうして京子は、オスーカプロダクションから、スターデビューした。
京子の話題は、ネットを通じて、一気に広まった。
大手20の週刊誌のグラビアに載った。
社長はじめ、会社も、彼女のデビューを喜んだ。
初めのCMは、当然のことながら、京子の会社のCMと決まった。



哲也の小説、「僕の女神さま」も、京子のスターデビューまでで完成した。この小説は、京子の生き様を小説にしたものなので、京子が生きている限り、書き続けられるが、山野は、京子がスターデビューした時点で、一応、完成とした。
そして、何と、恋愛小説が、不毛の中で、久々の良い恋愛小説ということで、哲也の、「僕の女神さま」が芥川賞候補になり、その年、山野哲也は、芥川賞を受賞した。



宝映映画から、京子主演の映画作製の話が持ち込まれた。
当然のごとく、哲也の、「僕の女神さま」の映画化で、京子が主演、哲也も主演となった。
哲也が、映画の脚本も書いた。が、話が単純で、会話が多いので、ほとんど、小説の会話に、手を入れず、脚本を書いた。
「僕の女神さま」は、「事実」を、本人二人が演じる映画、ということで、しかも、芥川賞の小説の映画化ということで、話題になり、久々の大ヒットとなった。観客は、100万人を突破した。映画は、日本だけではなく、アメリカ、中国、韓国、など、世界、27ヵ国で、上映された。



そして、哲也の小説、「僕の女神さま」は、その年、ノーベル文学賞候補にあがり、十分な選考の結果、ノーベル文学賞と決まった。これで、山野哲也は、川端康成、大江健三郎についで、三人目の、日本人のノーベル文学賞の受賞者となった。
ノーベル文学賞の受賞式のストックホルムには、京子と一緒に行った。
山野哲也の、「僕の女神さま」は、世界、27ヵ国語に翻訳された。
こうして哲也は作家的地位を確立した。
一方の、京子も、映画、「僕の女神さま」の成功によって女優としての地位を確立した。
京子は、哲也に結婚を申し出たが、哲也は、「物書きは女を幸せに出来ない」と言って、京子の申し出を受けず、京子とは、友達の関係にとどめている。




平成26年11月3日(月)

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ホテル (小説)

2020-07-06 21:54:25 | 小説
ホテル

岡田純は医者である。医学部を卒業してから、ずっと精神科医として、やってきた。精神科医は、みな、精神保健指定医の国家資格を取る。精神科医は精神保健指定医の国家資格を取って、初めて一人前の精神科医となる。彼は、ある田舎の精神病院に、精神保健指定医の資格を取ることを条件に就職した。しかし、院長は、したたかな人間で、彼に指定医の資格を取らせない。ようにする。それは、指定医の資格を取って、病院をやめられて、より良い病院に就職することをおそれて、であった。院長は、慈恵医大出で、常勤の医者も、みな、慈恵医大出で、学閥が強く、彼を、あからさまに余所者あつかいした。

とうとう、彼は、院長の、したたかさに我慢できなくなり、その精神病院をやめた。
それで、眼科クリニックの代診のアルバイトをやって、収入を得ることにした。精神病院の給料は、それなりに、良かったが、金があると、つい使ってしまうので、預金通帳の残高は、増えることはなかった。

純は、以前から、眼科クリニックの代診のアルバイトをかなり、やっていた。眼科クリニックといっても、コンタクトショップに隣接した、コンタクトレンズを処方するだけの、眼科クリニックである。スリットで角膜に傷がないか、結膜に、炎症がないか、を調べるだけの、簡単な診療だった。コンタクトレンズに関連して起こる、角膜の傷、や、アレルギー性結膜炎、などの患者も、割合は少ないが、いて、その時には、点眼薬を出す。コンタクトに関係のない、麦粒腫(ものもらい)、や、角膜異物の患者も、たまに、来ることもある。しかし、その程度である。もちろん、白内障の手術や、緑内障の治療などは、出来ない。し、手術器具も無い。なので、医療界では、コンタクト眼科をアルバイトでやっている医者を、ニセ眼科医などと、言っていて、あまり、評判は、良くない。しかし、背に腹は変えられない。医師免許を持っていれば、何科をやってもいいのであり、違法なことをしているわけでもない。なので、彼は、コンタクト眼科のアルバイトを、始めた。

ある時、コンタクト眼科と提携している、コンタクトレンズの小売りを、全国的に展開している、コンタクトレンズ小売りの会社の社員が、診療中に、やってきた。こんど、盛岡に、コンタクトレンズの小売店を、出店する予定なので、そのため、隣接の眼科クリニックも、作る。なので、そこの院長になってくれないか、という相談だった。彼は、以前にも、コンタクトショップに隣接した眼科クリニックの院長になって、くれないか、という、誘いを受けていた。しかし、週5日か、最低でも4日やってくれ、という条件ばかり、だったので、すべて、断ってきた。彼は、拘束されることが嫌いだったし、週4日、働くのは、嫌だった。しかし、今度は、週2日、土曜と日曜だけ、やって欲しい、と言ってきた。彼は、やることにした。とりあえず1年間やってみることにした。
土曜の朝、まだ日が明けない頃に、家を出て、始発で、行き、盛岡には、9時50分に着く。クリニックは、土曜は、10時~19時までで、その晩は、盛岡駅前のホテルに泊まり、日曜は、10時から17時30分までである。そして日曜の診療が終わると、上りの東北新幹線で家に帰る。家には、10時くらいに着く。

クリニックのすぐ近くに、コンタクトショップがあり、そこから眼科クリニックに受診を紹介する。
以前は、コンタクトショップの中に、小さな眼科クリニックを開設しているケースもあったが、これは、本当は、法的に問題があるのである。それで、厚生省が、全国のコンタクト眼科クリニックの一斉監査をして、厳しくなり、コンタクトショップと、眼科クリニックは、場所を、分けるようになったのである。コンタクトショップの店員や、アルバイトが、診療日である、土曜日と日曜日に、クリニックに来て、近視の度数や、乱視の有無を調べ、患者(というか、客)の要望も聞いて、適切なコンタクトレンズを処方する。院長は、角膜に傷がないか、結膜にアレルギー性結膜炎がないかを、スリットランプで、調べる、だけである。5~6回も、やれば、もう慣れて、出来る簡単な仕事である。

盛岡駅の周辺は何もない。駅とつながっている大きなショッピングセンターがあるだけで、他には何もない。関東なら、少し大きな駅なら、どこの駅でも、駅前には、大抵、ネット喫茶と、24時間営業のマクドナルドと、ファミリーレストランがあるが、それもない。24時間、営業しているのは、コンビニが二店舗と、すき屋の一軒だけである。あとは、ホテルだけである。ホテルだけは、やたらと多い。彼は、クリニックに一番近い、ホテルに泊まった。全国チェーンのホテル、東西インである。ホテルの受け付けは、曜日ごとに、人が決まっていて、土曜は、いつも同じ人だった。2、3人決まった人だったが、その中で、一人、きれいな女の人がいた。毎週、土曜日は、そのホテルに泊まるので、彼は、常連の客として、歓迎された。土曜日に彼が、ホテルに入って、その人と目が合うと、彼女は、
「いらっしゃいませ。いつも有難うございます」
と言ってニコッと笑った。もちろん、ホテルマンは、どんな客に対しても、笑顔で出迎える。サービス業は、みなそうである。だから、彼女の笑顔も、営業用のスマイルであることは間違いない。しかも、彼は、毎週、必ず泊まる、お得意さんの客なので、なおさらである。もちろん、彼は彼女を、初めて見た時から好きになった。
彼女の胸のネームプレートに、「佐々木」と書いてあった。
しかし彼女が、彼をどう思っているのかは、わからない。営業用のためだけのスマイルなのか、それとも、それ以上に、異性として、好感を持ってくれているのかは、わからない。こればかりは、どう思案を巡らしてもわからなかった。しかし、毎回、毎回、笑顔で迎えられるため、彼はだんだん、彼女が彼をどう思っているのか、知りたくなってきた。しかし、それを知る術はない。

だが、知りたくなってきた、と言っても、熱烈に関心があるわけではなかった。彼は小説を書くことだけが、この世で唯一の生きがいであり、それ以外のことは、どうでもよい事だった。もちろん彼も、女の人と付き合いたいという願望はあったが、それは、そんなに強いものではなかった。女とデートして話しても、たいして面白くない。ドライブして観光地に行ったり、テーマパークに行っても、虚しさを感じるだけだった。一日を無駄に過ごしたように感じるのである。人生の時間は限られている。「遊ぶ」ということは、人生の刹那的な享楽としか、彼には感じられなかった。その時間を、小説創作に使ったり、読書に使う方が、ずっと有意義だと思っていた。「遊ぶ」ということは、有意義に使える人生の時間を捨ててしまう、勿体ない行為だと彼は思っていた。彼は、月曜日から金曜日は、机に向かって小説を書いた。土曜日にホテルに泊まっても、ホテルの机で小説を書いた。しかし、彼は気分の波が激しく、落ち込んでいる時は、小説は書けなかった。小説が書けない時は、本を読んだ。彼の読書は、単に楽しみのためではなかった。もちろん、その意図もあるが、彼は、自分の小説創作のヒントになるような、小説を選んで読んだ。彼にとって読書は、小説創作のための勉強だった。
しかし、彼は胃腸が悪く、不眠症で、健康や気分の波が激しかった。
健康状態が悪い時は、本も読めなかった。というか、本を読むスピードが極度に低下した。健康状態が、より悪い時は、何も出来なかった。そういう時は、仕方なく、テレビを見た。以前は、健康状態の悪い時でも、机に向かって、小説を書こうとした。しかし、体調の悪い時は、一日、机の前に座ってウンウン唸っていても一行も書けない、こともザラにあった。彼にとって小説が書けない時は、精神的に死んでいるのと同じ状態だった。小説が、文学的に見て、いい作品か、悪い作品かなどということは彼にとっては関係なかった。世間で評価されるか、されないか、とかも、関係なかった。そもそも小説というものは、ベストセラーとなって世間で、わっと100万部を突破しても、時間が経って、過去の作品となって、世間から忘れ去られてしまう小説というのは、無数に存在する。時代が経つにつれ、新進作家は、どんどん出てくるし、読者は、絶えず、新進作家の書いた新しい小説を読みたがっているのである。しかし彼は、世間の評価などというものは、全く気にしていなかった。し、関心もなかった。世間にうけるために、書きたくもないのに、世間受け、を狙った小説などを、書く気もしなかった。彼の小説のほとんどは、彼の死と共に滅びるであろう。しかし滅びるとわかっていても、彼は書かずにはいられないのである。彼にとって、生きること、とは、小説を書くことだからである。そういった点で彼は純粋だった。

しかし、彼がクリニックの院長になってから、体調が悪くなってしまって小説が思うように、はかどらなくなった。まず、東北新幹線に問題があった。東北新幹線は、東京を出て、上野、大宮、仙台、盛岡と停車駅は少ない。時間も2時間30分と、そうかからない。しかし、時速300km/hで飛ばす新幹線の、微細な振動は、彼の胃腸にこたえて、非常に疲れた。さらに盛岡は寒く、クリニックの空調もあまり良くない。日曜日の診療が終わって、東北新幹線で家に帰ってきても、疲れが残る。そんなことで彼は体調が悪くなり、小説が書けなくなってしまった。体調が悪いと本も、読めない。とうとう彼は、うつ状態になってしまった。うつ状態になると、性欲も低下し、何も出来なくなる。それで毎日、布団に入って横になって、パソコンを見たり、テレビを見る毎日になった。何とかスランプを脱出しようと、テニスクラブでテニスをやってみたり、トレーニングジムで筋トレをしてみたりしたが、駄目だった。しかし彼は、今まで何度もスランプを経験し、それを乗り越えてきた経験があるので、焦らず、体調がよくなってくれるのを気長に待つことにした。

そんな、ある週末の金曜日のことである。
嫌だな、と思いつつ、彼は盛岡に行った。
彼は、朝が弱いので、土曜の早朝ではなく、前日の金曜に、盛岡に行って、ホテルに泊まることも、度々あった。前泊の宿泊料も、コンタクト会社は出してくれた。
東北新幹線の中では、彼は、ワゴンサービスが来ると、ついバニラアイスクリームを注文してしまう。小さいのに260円と高い。その上、ドライアイスで冷やしてあるため、非常に硬い。しかし、その硬いアイスクリームを力を入れて崩していって食べるのが、面白く美味しいのである。アイスクリームを新幹線の中で食べると胃腸によくないのだが、つい誘惑に負けて食べてしまうのである。
そうこうしている内に盛岡に着いた。
時刻は9時で、外はもう真っ暗である。ホテルは、駅から歩いて二分もかからない。
「いらっしゃいませ。いつも有難うございます」
いつものホテルの綺麗な女性が、ニッコリ笑って出迎えた。
彼は、不愛想に料金を払って、ルームキーを受けとった。そして、エレベーターに乗って部屋に入った。彼は、翌朝の9時30分にモーニング・コールを設定して、ユニットバスでシャワーを浴びて、ベッドに入った。どうしても、彼女の笑顔が、営業用のためだけなのか、それとも、それ以外の何かがあるのか、のかが気になってしまう。なので、なかなか寝つけなかった。

☆   ☆   ☆

翌朝、彼は、6時に目が覚めた。
7時にホテルの朝食を食べた。食べ放題だが、彼は、おにぎり2個と、けんちん汁一杯とコーヒー一杯だけである。他にも、漬物や鮭やサラダがあるのだが、彼は、おにぎり以外は、食べたいと思わなかった。食べるとすぐに部屋にもどってベッドに入った。食べることによって、胃に血液が行き、眠気が起こるので、彼はひと眠りした。そして、9時30分のモーニング・コールで目を覚ます。そして9時40分にホテルを出る。
チェックアウトで、ホテルのフロントにルームキーを渡す。あの受け付けの女の人が、
「いってらっしゃいませ」
と言ってニコッと微笑む。ホテルでは、彼の神奈川の住所はわかっているし、毎週、土曜に泊まるし、いつも領収書を書いてもらっているので、仕事で、盛岡に来ていることは、ホテルレディーも確信しているだろう。彼のクリニックは、ホテルから歩いて、三分もかからない。クリニックは、大きなビルの中にある。彼がクリニックに着くと、たいていアルバイトの人が、もう来ている。駅のショッピングセンターの中に、コンタクトショップがあり、そのアルバイトの人が、土曜日と日曜日は、クリニックの検査と会計をしているのである。彼は、
「おはよう」
と声を掛ける。アルバイトの人も、
「おはようございます」
と返事をする。
彼はホテルから持ってきた新聞を、コーヒーを飲みながら読む。今日は、どのくらいの患者が来るだろうか、などということは、彼の関心にない。彼は、法的には院長である。クリニックの院長の収入は、患者の診療報酬であり、支出は、テナント料や人件費、光熱費などの経費である。しかし彼は業務支援金という形で、毎月、定額の金が、契約している企業から振り込まれるので、感覚的には、自営業ではなくサラリーマン的なのである。患者は、たいして来ない。むしろ、患者が来ない方が、落ち着いて小説を書けるので、患者が来ないことを願っているのである。世間のクリニックの院長と逆である。変な院長もあったものである。そして、診療の合間には、パソコンで、小説を書いたり、本を読んだりしている。10時からの診療で、昼に一時間の休憩があり、午後7時で終わりである。単調な一日である。6時半に受け付けが終わり、7時になると、ほっとする。土曜は、7時を過ぎても、体調が良くて、小説を書ける時は、診察室に残って、小説を書くのだが、その日は、体調が悪くて、小説は書けず、本もあまり読めなかった。なので、診療が終えると、すぐにホテルに戻った。

フロントで、あの、きれいなホテルレディー、佐々木さんが、ニコッと笑って、「おかえりなさいませ」と出迎えるのだが、その日は、彼女は、受け付けには、いなく、若い小太りのホテルマンだった。やはり、あの、きれいなホテルレディーでないと、やはり、ちょっとさびしかった。彼はルームキーを受けとって、すぐに部屋に入った。そしてベッドに仰向けに乗った。彼はテレビをリモコンで、つけて、チャンネルをカチャカチャ回したが、面白い番組はなかった。それで次に、チャンネルをビテオシアターにした。ビテオシアターでは、洋画、邦画、ドラマ、アダルト、などがある。しかし、ビテオシアターは、500円のカードを買わないと、見れない。一日、200作、見放題などと書いてあるが、一晩で、200作、見ることは無理である。一作が2時間くらいだから、せいぜい、一作か二作、気にいったのを見るだけだろう。彼は、わざわざ500出してまで、ビデオシアターを見る気はしなかった。パソコンを持っているので、インターネットにつなげば、アダルトサイトは、いくらでもある。ただ、ビデオシアターにすると、タイトルと、内容のあらすじ、が書いてある画面が出て、小さな画面で、最初のシーンが一分ほど、見られる。要するに、内容の紹介である。

彼は、ビテオシアターのアダルトをカチャカチャと、回していた。たいして面白い、というか、エロティックな作品は無い。しかし、ある作品が彼の目にとまった。きれいなスーツ姿のOLである。少し感じが、佐々木さんと似ていた。タイトルは、「オフィス・レディー激しく悶える」と書いてある。あらすじ、のコメントでは、会社で、仕事が終わったあとに、OLと新入社員の男が残って、OLが、新入社員の男の前で、挑発的に脱いでいく、というものだった。ふと、床を見ると、ビデオシアターのカードが落ちていた。リネン交換の人が、落としていったのではなかろうか。
ともかく、「しめた」と彼は思った。
ともかく、ただで、ビデオシアターが見れるのである。

彼は、ビテオカードをビデオデッキに挿入し、チャンネルをビテオシアターにして、「オフィス・レディー激しく悶える」を映し出した。うつ状態で、性欲もなかったが、久々に興奮してきた。彼はアダルト映画は、早送りで見るのだが、その作品は、じっくり見ようと、最初から見た。ストーリーが、OLと新入社員の二人きりになった所だった。これからが山場である。彼は、ワクワクして画面に見入った。すると、突然、画面が、ザーと荒くなって、画像が乱れだした。
「ちぇっ。困ったな」
と彼は舌打ちした。彼は、ビデオを早送りしてみたり、巻き戻ししてみたり、色々、操作してみたが、駄目だった。しかし、どうしても見たい。なので、ホテルのフロントに電話した。
「もしもし。304号室です。ビテオシアターが映らないんですが・・・」
と、彼は少し、不快な口調で言った。
「まことに申し訳ありません。すぐ、うかがいます」

フロント係りの人が言った。彼は吃驚した。その声は、あの、きれいなホテルレディーの声だったからである。彼は、焦ってテレビの電源を切った。彼女は、土曜日は、いる日といない日があり、チェックインした時は姿が見えなかったので、今日は、いない日だと思っていたのである。彼女に対して少し荒い口調で言ってしまったことが、まず悔やまれた。しかし、もう仕方がない。彼の心臓はドキドキと早鐘を打った。
ピンポーン。部屋のチャイムが鳴った。
彼は、おずおずとドアを開けた。ホテルレディーの佐々木さんが立っていた。
「岡田さま。まことに申し訳ありません。失礼いたします」
そう言って、彼女は部屋に入ってきた。
「では、ちょっと不具合の原因を調べさせて頂きます」
そう言って、彼女は、リモコンを持ってピッと電源を入れた。
彼は吃驚した。なんと、画面に、「オフィス・レディー激しく悶える」が映し出されたからである。これは後で知ったことだが、ビテオシアターを見ていて、途中で、電源を切って、それから再度、電源を入れると、ビデオシアターの、見ていた続きが画面に映し出されるのである。要するに、電源を切ると一時停止の状態になるのである。これは、視聴者の便利さのための機能である。しかし。それを知っていれば、彼は、フロントに電話などしなかっただろう。しかし、もう遅い。さすがに、彼女も、「オフィス・レディー激しく悶える」の映像が現れた時には、赤面した。しかし、彼女は、何とか、不具合を直そうと、早送りしたり、巻き戻ししたり、色々と、操作した。しかし、ビデオは、途中で、画面がザーと荒くなってしまう。彼は、恥ずかしくて、極まりが悪くて仕方がなくオロオロしていた。
ついに直らないと判断したのだろう。彼女は、リモコンの操作をやめた。そして、彼の方を向いた。
「岡田さま。まことに申し訳ありません。原因は、わかりませんが、ご覧いただいていた作品は映りそうにありません」
そう言って彼女は、深々と頭を下げた。
「い、いえ。いいんです」
彼は、寝間着の裾を合わせて、赤面して手を振った。
「とりあえず、ルームシアターの代金500円、お返し致します」
そう言って彼女は、彼に五百円玉を渡そうとした。
「い、いえ。いいんです」
そう言って、彼は手を振った。
「しかし。そういうわけにはいきません。当ホテルでは、お客さまへのサービスを第一にしております。ましてや岡田さまは、毎週、泊まって下さる大切なお客様ですから・・・」
そう言われても彼は、赤面して黙っていた。
「あ、あの。岡田さま。作品をご覧いただけなくなって、さぞご不快でございましょう。申し訳ありません」
彼女は、深々と頭を下げた。
「い、いえ。そんなことはないです」
「あ、あの・・・」
と言い出して、彼女は、赤面した。
「な、なんですか?」
彼は聞き返した。
「あ、あの。私でよろしければ、あの作品の続きを演じさせて頂きたく思いますが、いかがでございましょうか?」
彼は、この申し出に驚いた。彼は、たじろいで何も言うことが出来なかった。黙っている彼に対して彼女は続けて言った。
「あの。岡田さま。私としましては、一向に構いません。お気をお使いにならなないで下さい。しかし、岡田さまにとって私のような女では、お目の毒になられるようでしたら、余計、申し訳ありません。どうか岡田さまの、ご希望をお聞かせ下さいませ」
彼女は恭しく、そう言った。
「目の毒だなんて、そんなことは絶対ありません」
彼は咄嗟に言った。
「では、僭越ですが、演じさせて頂きます」
「い、いえ。そんなこと・・・」
「あの。私としましては、一向に構いません。お気をお使いにならなないで下さい」
しかし、彼は、何も言えなかった。この場合、「お願いします」とも、「結構です」とも言えない。「お願いします」と言えば。彼女を辱めることになるし、彼もスケベであることを彼女に知られてしまう。「結構です」と言えば、彼女に女としての魅力がないと、彼が思っているように彼女に思われて、彼女の女心を傷つけてしまう。
彼は、しばし、呆気にとられて何も言えなかった。それで黙っていた。彼女は、彼の沈黙を、「了解」と解釈したのだろう。ようやく彼女は重たい口を開いた。
「岡田さま。お気を使わせてしまって申し訳ありません。色々、お悩みになっておられて、答えられないのだと、浅はかながら推測いたします。それでは。上手く出来るかどうか、わかりませんが、また、私のような者では、お目の毒になるかもしれませんが、誠心誠意、続きを演じさせて頂きます。途中で嫌になったら仰って下さい。すぐにやめます」
そう言うや彼女は、片手をホテルの制服の胸の上に乗せ、片手をホテルの制服のスカートの中に入れた。そして、ゆっくりと自分の胸を制服の上から揉み始めた。純は椅子に座って見ていた。部屋を出ていくわけにはいかない。し、目をそらすわけにもいかない。そんなことをしたら、彼女に恥をかかせてしまう。彼女は、ホテルの制服の上から、胸を揉みながら、時々、
「ああっ」
と喘ぎ声を出した。制服のスカートの中では、手が蠢いている。だんだん、ハアハアと、彼女の息が荒くなってきた。
「ああっ。感じちゃう」
彼女は、そう言って、制服のボタンを外していった。制服の中は、白いブラジャーだった。豊満な乳房がその中に納まっている。次に彼女は、制服のスカートのジッパーを降ろしてスカートを脱いだ。スカートの中は、ブラジャーと揃いの、白いパンティーだった。彼女は。ブラジャーとパンティーだけ、という姿になった。彼は思わず息を呑んだ。彼女のプロポーションは素晴らしかった。肩が華奢で、腕は細く、ウェストはキュッとくびれていて、脚はスラリと伸びている。しかし、それと対照的に、乳房と尻は大きく盛り上がっている。そのボリュームのある乳房と尻が、白いブラジャーとパンティーの中に、はちきれそうなほど窮屈そうに納まっていて、形よく、美しい女の体の曲線美を形成している。もし、彼女が、ビキニを着て、夏の浜辺を歩いていたら、ビーチにいる男たちは、皆、息を呑んで彼女を見つめるだろう。彼女は、ゆっくり、盛り上がったブラジャーとパンティーの上に、それぞれ、手を乗せた。ブラジャーとパンティーだけ、という姿は、覆いがあるだけで、ほとんど裸同然に見えた。そして、ゆっくりとブラジャーとパンティーの上から、揉み出した。しばしして、彼女は、また、体をくねらせてハアハアと喘ぎ出した。一生懸命、演技しているのか、それとも、本当に興奮しているのか、それはわからない。しかし演技だけにしては、あまりに迫真性があり過ぎる。
「ああー。感じちゃう。もうダメー」
そう喘いで、彼女は、ブラジャーのフロントホックを外した。形のいい、大きな乳房がプルンと弾け出た。彼は思わず、彼女の大きな乳房に目を見張った。彼女は、ブラジャーの肩紐を外して、ブラジャーをそっと床の上に落とした。彼女を覆っている物は、パンティー一枚だけである。パンティーは、女の恥部の肉を窮屈そうに納めて、形のいい盛り上がりを作っている。彼女は、露わになった乳房を、そっと片手で覆った。もう一方の手は、パンティーの上に翳した。それは、ちょうどボッティチェリのビーナスの誕生の姿と同じだった。それは、女が恥らっている時の美しいポーズだった。パンティーを履いているとはいえ、恥部の盛り上がりを見られるのは、恥ずかしくて反射的に手が行ってしまうのだろう。しばし、彼女は、その女の恥じらいのポーズをしていたが、次第に、ゆっくりと、露わになった乳房を揉み出した。片手はパンティーの上に翳したままである。弾力のある大きな乳房が揉まれ、ひしゃげたり、横に押しやられたりと、柔らかく形を変えた。そして、時々、乳房の上に屹立している乳首をつまんでは、コリコリと弄んだ。乳首は、だんだん屹立の度合いを強めて、尖っていった。彼女は、だんだん、ハアハアと息を荒くし出した。
「ああー。感じちゃう。もうダメー」
そう言って、彼女は、片手をパンティーの中に入れた。彼女は、片手で、露わになった乳房を揉み、片手でパンティーの中をモゾモゾと弄った。それは、演技とは、思えないほどエロティックだった。しかし彼女の痴態が演技なのか本気なのか、知る由はない。彼女は、体をプルプル震わせ出して、とうとうペタリと床に座り込んでしまった。彼のマラは、とっくに激しく勃起していた。
「あ、あの。岡田さま」
彼女は、始めて彼に声を掛けた。
「は、はい」
彼は、焦って、しどろもどろに返事した。
「あ、あの。ベッドに乗ってもよろしいでしょうか?」
彼女は、遠慮がちに聞いた。客のベッドに、断りなく乗ることは、ホテル従業員としてのマナーに反する事と、彼女は、しっかり、職務上の、けじめの認識を持っているのだろう。
「は、はい」
彼は、小さな声で返事した。
「あ、有難うございます。それでは、お言葉に甘えて、失礼いたします」
そう言って、彼女は、パンティー一枚の姿のまま、ハアハア喘ぎながら、ベッドの上に乗って、仰向けになった。あたかもフカフカのベッドの上に、美しい人魚が横たわっているように見えた。そこで、彼女は、また、片手で、露わになった乳房を揉み、片手をパンティーの中に入れて弄り出した。彼女は、スラリと伸びた美しい脚を大きく開いてみたり、うつ伏せになって、尻を高々と上げてみたりと、様々な姿態をとりながら、ハアハア喘ぎながら、オナニーを続けた。ベッドに乗る時に、彼女は、髪留めを外していたので、艶のある美しい黒髪が、ベッドの上に扇を開いたように散らばり、姿勢を変えるたびに、髪も乱れた。女の髪は、性器と言われることがあるが、彼はまさに、そう感じた。
「あ、あの。岡田さま」
彼女は、ハアハア喘ぎながら、彼に声を掛けた。
「は、はい」
彼は、ドキドキしながら、小さな声で聞いた。
「あ、あの。よろしければ岡田さまも、ベッドにお乗りになりませんか?」
彼は吃驚した。しばし、彼は答えられなかった。
「い、いいんですか?」
「当然です。これは、岡田様が、お使いになるベッドなのですから」
「で、でも。今は、あなたが乗っていますから・・・」
「いえ。岡田さま。お気を使わないで下さい」
彼は、おずおずとベッドの上に乗った。
彼女は、脚を大きく広げて、女の恥部を弄っている。
「あ、あの。何をすれば、いいのでしょうか?」
彼は、恐る恐る聞いた。
「何なりと、岡田さまの好きなようになさって下さい」
彼はしばらく、大きく開かれた彼女の脚の付け根のパンティーを見ていたが、どうしようもなく興奮してきて、もう我慢の限界になっていた。それで、彼は、マラをさすりながら鼻先を彼女のパンティーに近づけた。女の匂いが彼の嗅覚を刺激した。
「ああっ。いい匂いだ」
彼は、思わず呟いてしまった。
「ああっ。岡田さま。そんな所は、汚いです」
彼女は、顔を真っ赤にして、開いていた脚を少し閉じようとした。
「いえ。いい匂いです。でも、あなた様が、イヤなのでしたら、やめます」
彼はキッパリと言った。そして鼻先をパンティーから少し引いた。
「申し訳ありませんでした。岡田さまが、お望みなのでしたら、何なりと好きなようになさって下さい」
そう言って、彼女は、プルプルと脚を震わせながら、閉じようとした脚をまた開いた。彼女の顔は、激しく紅潮している。彼は、彼女の、体を、胸から足先まで隈なく見た。彼女は、恥ずかしさに、じっと耐えているようだった。
彼は、彼女の体に触るのをためらっていたが、触るのにいい口実に気づいた。
「あの。佐々木さん。お体をマッサージさせて貰ってもよろしいでしょうか?」
彼は聞いた。
「は、はい。構いません。ご迷惑をおかけした上、お客様にマッサージまで、して頂くことは、心苦しいことですが、岡田さまがお望みであるのでしたなら、何なりとなさって下さい」
彼女が了解したので、彼は、やった、と喜んだ。
彼は、彼女の体を、ひっくり返して、うつ伏せにした。
そして彼は、彼女の足の裏から、スラリとした、下腿、太腿、脚の付け根へと、念入りに、指圧したり、揉みほぐしたりしていった。柔らかい女の体の感触に、彼は、この上なく酔い痴れた。右足を念入りに、マッサージすると、次は、左足をマッサージしていった。
「ああっ。岡田さま。気持ちいいです。こちらがサービスをするべき、お客さまに、こんな労作をさせてしまうのは、たいへん心苦しいことですが・・・」
彼女は、そんな感想を述べた。
彼は、彼女のきれいな形の足を見ている内に、どうしても、彼女の体を舐めてみたくなった。もう我慢の限界だった。
「あ、あの。佐々木さん」
「はい。何でございましょうか?」
「足に軽くキスしても、いいでしょうか?」
「はい。岡田さまが、お望みであれば、何なりと好きなようになさって下さい」
「有難うございます」
彼は、やった、と飛び上がらんばかりに喜んだ。
彼は、彼女の足首をつかんで、足指を開くと、薬指をチュッと口に含んだ。
「ああっ。岡田さま。そんな所は汚いです」
彼女は、顔を真っ赤にして、足を少し引こうとした。しかし、彼は、彼女の足首をギュッとつかんだ。
「いえ。いいんです。僕は、あなたのような、きれいな方の足に、たまらなく興奮するんです」
そう言って彼は、曲がりそうになった、彼女の膝をピンと伸ばした。
「わ、わかりました。岡田様に、そんな汚い所を舐められるのは、心苦しく、申し訳ありませんが、岡田様が、お望みなのでしたら、存分に好きなように、なさって下さい」
そう言って彼女は、足の力を抜いた。
彼は、彼女の足の指を開いて、足指を一本一本、口に含んでいって、丁寧に舐めていった。
「ああー」
彼女は、顔を紅潮させて、足をプルプル震わせて、それに耐えた。彼女が何を思っていたか、どんな感情が彼女の中で動いているのかは、知る由がない。彼は、足指を全部、舐め終わると、肌理の細かい彼女のスラリとした脚を、足の甲から、脛、膝、太腿へと、足先から脚の付け根の方へ向かって、キスしていった。その感触はまさに天国の美味だった。
片方の脚が終わると、もう片方の脚でも同じようにした。
それから、彼は、彼女の体を反転し、今度は、彼女を仰向けにした。
そして、彼女の臍、腹、首筋、腕、手の指など、彼女の体のありとあらゆる所に隈なくキスしていった。
「ああー。柔らかくて温くて、素敵な肌だ」
と言いながら。彼女は、乳房を隠そうとは、しなかった。手を適度に開いて、人形のように動かずに、彼にされるがままに、身を任せていた。
「ああっ。ああっ」
と、時々、喘ぎ声を出しながら。
乳房の上に屹立している乳首が、彼の目にとまった。
「佐々木さん。乳首も、舐めていいでしょうか?」
彼は、勇気を出して聞いた。もう、彼女の全身を舐めたため、ためらう気持ちも、小さくなっていた。
「は、はい。どうぞ、ご自由になさって下さい」
彼女は、紅潮した顔で言った。
彼は、彼女の片方の乳首を口に含んだ。
「ああー」
彼女は、反射的に、眉を寄せて、苦しげな表情になり、苦しげな喘ぎ声を出した。
彼は、口の中で、彼女の乳首を弄った。
「ああー」
彼女の上げる苦しそうな喘ぎ声と共に、乳首は、どんどん硬く尖っていった。彼女の心は、わからないが、彼女の体は、間違いなく、興奮しているのである。
彼が、乳首から、口を離すと、激しい興奮によって口腔内に分泌された粘々した唾液が彼女の乳首にベッタリとついていて、それは切れることなく蜘蛛の糸のように、彼女の乳首と彼の口をつないでいた。彼は、もう一方の乳首も、同じように口に含んで、念入りに弄んだ。
次に、彼は、顔を彼女の顔に向けた。彼の鼻と彼女の鼻は、触れ合わんばかりの距離である。
「佐々木さん。口にキスしてもいいですか?」
彼は、躊躇せず聞いた。
「はい。構いません」
彼女も、躊躇せず答えた。
彼は、顔をそのまま、降ろしていって、彼女の唇に彼の唇を重ね合わせた。
彼女の唇の感触は、とても柔らかかった。
彼が、舌を彼女の口の中に入れて、彼女の口の中を弄っていると、彼女も舌を伸ばして、彼の舌に触れ合わせてきた。激甚の興奮が彼を襲った。彼は夢中で、自分の舌を彼女の舌に絡め合わせた。彼女の舌も、それに呼応して積極的に動いた。二つの舌は、生きた動物がお互いを求めあうように、じゃれ合い、もつれ合った。その状態で、かなりの時間が経った。
彼は、一呼吸するために、彼女から口を離した。そして、まじまじと彼女の顔を見た。
「ああっ。佐々木さん。好きです」
彼は、明け透けに愛を告白した。
「それは、どうも有難うございます。岡田さまに、そう言って頂けると、私も嬉しいです」
彼女はそう言った。それだけでは、彼女が彼をどう思っているのかは、わからないが、そんなことは、今の彼にとってどうでもよかった。彼の精神は極度の興奮で、理性を失っていた。
「ああっ。好きです。佐々木さん」
彼は野獣の咆哮のように、叫んで、彼女をガッシリと抱きしめた。
そして、再び、キスしたり、パンティーに顔を押しつけてみたり、うつ伏せにして、パンティーに覆われた尻に顔を押しつけてみたりと、彼女の体を心ゆくまで味わった。
ふと、時計を見ると、もう夜中の3時を過ぎていた。
明日は仕事がある。睡眠不足になってはよくない、と彼は思った。
「佐々木さん。お疲れになったでしょう。もう、このくらいにしておきましょう」
そう言って、彼は彼女を抱き起した。彼女は彼を見てニッコリ笑って、
「はい」
と答えた。
彼は、床に散乱している、彼女のブラジャーや服をかき集めて、持ってきた。
「さあ。着て下さい」
そう言って彼はホテルの制服や下着を彼女に渡した。彼女は、
「有難うございます」
と言って、ブラジャーをつけ、その上に、ホテルの制服とスカートを履いた。
「岡田さま。ご満足いただけたでございましょうか?」
彼女が聞いた。
「ええ。もちろんです。どうも有難うございました」
彼は、深々と頭を下げた。
「そうですか。それは、よかったです」
そう言って彼女も頭を下げた。
「それでは、これで失礼いたします。どうぞ、ごゆっくり、お休み下さい」
彼女は、また深く頭を下げて、部屋を出ていった。
彼は、しばし呆然としていた。
しばし激しく興奮していたが、疲れと、睡眠薬の作用で、彼は眠りに落ちていった。



翌朝、彼は、9時40分にモーニングコールで目覚めさせられた。
チェックアウトする時、彼女は、いつも通り、
「いってらっしゃいませ」
とニコッと挨拶した。
彼は、昨日のことが、本当にあったことだとろうか、と疑問を持った。彼女の態度は、昨日のことなど、全くなかったかのようである。その次の週にホテルに泊まった時も、彼女の態度は、誠実なホテルレディーの態度だけだった。そのまた、次の週も、誠実なホテルレディーの態度だけだった。
彼は、ひょっとすると、彼女に対する妄想が、強すぎて、あんな夢を見たのかのかも、しれない、と思うようになりだした。あんなことは、あまりにも、現実的にあり得ないことである。それに、あれほどのことをして、彼女が、翌日、ケロリとしていられるはずもない。



それから二か月後、週6日やる、という盛岡に住んでいるドクターが出てきたので、彼は、盛岡のクリニックの院長を辞めることになった。
結局、あの晩の出来事が、夢だったのか現実だったのか、は、わからないまま、に終わった。



盛岡の眼科クリニックをやめて、岡田は、また、神奈川県の、ある精神科の病院に就職した。今度の病院は、前回のような、学閥のない精神病院で、院長も、彼に精神保健指定医の資格を取ることに、協力的だった。
数日、経った時である。
彼の携帯がピピピッとなった。
「はい。もしもし・・・」
「あ、あの。岡田さんでいらっしゃいますでしょうか?」
「はい。そうです」
「あ、あの。私。盛岡駅前のホテル、東西インの、佐々木です。覚えていますか?」
「ええ。覚えています。久しぶりですね」
「あ、あの。もし、よろしければ、お会いして頂けないでしょうか。私。今、ホテルの仕事で、横浜に来ています」
「ええ。いいですよ」
「今日は、何か、御予定は、おありになるでしょうか?」
「いえ。何もないです。今日、5時で仕事が終わりになります。その後、会いましょうか?」
「それは、ありがとうございます」
「では、どこで会いますか?」
「私。今、新横浜の、東西インの、直ぐ前の喫茶店、ルノワールにいます」
「では、仕事が終わり次第、行きます。よろしいでしょうか?」
「ありがとうございます。待っています」



彼は、5時に仕事が終わると、新横浜へ車を飛ばした。
彼女とは、ホテルの従業員と、宿泊客という、ビジネス上の関係なので、「お会いしたい」などと言われて、彼は、胸がドキドキしてきた。普通、こういうことは、無いものである。彼は、あの晩のことは、本当に起こったことなのか、それとも、夢だったのか、聞き出そうと思った。そう思うと、心臓がドキドキしてきた。新横浜の、東西インの前には、喫茶店ルノワールがあった。彼は駐車場に、車を止めて、ルノワールに入った。
奥のテーブルに、彼女がいた。
彼女は、アイスティーを前に、テーブルに着いていた。
「こんにちは、じゃなかった、こんばんは。久しぶりですね」
岡田は、そう言って、テーブルに着いた。
「岡田さま。お久しぶりです。突然、お呼び出し、してしまって、申し訳ありませんでした。たまたま、横浜に用があって来たので、岡田さまに、お会いしたくなってしまって・・・」
そう言って、彼女は、深く頭を下げた。
「いえ。気を使わないで下さい」
と岡田は言った。
岡田は、彼女と同じアイスティーを注文した。
「さっそくですが、何の用でしょうか?」
と岡田は聞いた。
「はい。それは・・・えーと・・・あの・・・」
しかし、彼女は、顔を赤くして、言い出しにくそうに、モジモジしている。それで、岡田の方から切り出した。
「実は、僕は、ある、荒唐無稽な、疑問をあなたに対して持っているんです。たぶん、それは、夢で、僕の間違いだと思うんですが・・・」
「何でしょうか。それは?」
彼女が聞いた。
「実は、ある日の夜、ホテルのアダルトビデオを見ていたんです。そしたら、ビデオが途中で故障して、あなたが、僕の部屋にやって来て、あなたが、アダルト女優を演じる、というものなんです。僕は、あれは、夢だったと確信しているんです。いくらなんでも、そんな非常識なことが行われるはずがありませんから。しかし、でも、もしかすると、ひょっとすると、本当にあったことなのかという疑問も、どうしても、今でも、微かですが、捨てられないんです。そんなことは、ないですよね。ははは。僕は、それを、あなたの口から聞きたいんです」
もう、あのホテルに泊まることもないので、岡田は、気が楽だったので、ためらう気持ちもなく、ズバッと聞いた。
「それは、本当です」
彼女は顔を赤らめて小声で言った。
「ええっ。本当なんですか?」
岡田は吃驚して、あやうく、アイスティーを吹き出しそうになった。
「でも、どうして、そんなことをしたんですか?」
岡田は、彼女を覗き込むようにして聞いた。
「岡田さんが、私をどう思っているか、知りたかったからです」
彼女は、顔を赤らめて小声で言った。
「もうちょっと、詳しく話してくれませんか?」
そう言って、岡田は、アイスティーを一口、啜った。
「岡田さんは、ホテルに泊まる時、いつも、無表情です。ですが、私を時々、チラッと見ることもありました。それで、岡田さんは、私のことを、どう思っているのか、だんだん気になりだしたんです」
彼女は、顔を赤らめて言った。
「それは、もちろん、僕は、一目、見た時から、あなたを好きでした」
岡田は、堂々と言った。
「嬉しいわ。そう、岡田さまの口から、言っていただけると。でも、それなら、どうして、私に対して無表情だったんですか?」
彼女は、パッと笑顔になって、そして、声を強めて聞いた。
「それは、僕が、あなたに好意を持っている、ということを、あなたに、さとられたくなかったからです。だって、確かに、あなたは、いつも、僕に笑顔で接してくれました。しかし、それは、ホテルレディーとしての営業用スマイルですから。でも、僕も、あなたが、僕に対して、もしかすると営業用、以上の、好意を持っていてくれるのかも、しれない、とも、思っていました。僕は、それで、ずーと悩んでいたんです」
彼女は、突然、ふふふ、と笑った。
「どうしたんですか?」
岡田は、首を傾げて聞いた。
「私も、岡田さんと、全く同じです。岡田さんが、私のことを、どう思っているのかに、私は、ずーと悩まされていました。感情を表さない人は、女には魅力に見えるんです。そして悩まされるんです。ワクワクしてしまうんです。自分を好いてくれているのか、そうでないのか。だんだん、それに、興奮していってしまうんです。そして、その興奮の煩悶にとうとう耐えられなくなって、ああいう、大胆なことをしてしまったんです」
と彼女は言った。
「そうだったんですか。じゃあ、僕たちは、お互いに、同じことに悩んでいたんですね」
岡田は、微笑んで言った。
「ええ。それで、私が、ビデオカードを、わざと、部屋の床に置いておいて、そして故障するようにしておいたんです」
「そうだったんですか。でも、何で、あの夜の翌日から、全く何もなかったように、振舞ったんですか?」
岡田は眉を寄せて、疑問の目で聞いた。
「それは、あんな事をしたことが、ホテルに知られたら、問題になりますから。クビにもなりかねません。それに、岡田さんが、あのあと、私に言いよってくるのでは、という不安もありました。それに、いつも、ポーカーフェイスでいる岡田さんの態度が、何か魅力的に見えて、私も、そういう態度をとってみたくなったんです。それと、あの時は、夜で、岡田さんは、寝ぼけ眼でしたから、私を抱いてくれた、といっても、それは、アダルトビデオが見れなくて、その欲求不満が理由だけの、単なる性欲だけが目的なのか、それとも私に女としての、好意を持っていてくれているのか、わかりませんでしたから。でも、岡田さんが、今、はっきりと私を好きと言ってくれたことで、私は、無上に嬉しいです」
彼女は、一気に喋った。
「京子さん。ホテルに入りませんか。今度は、本心で」
岡田は、ためらうことなく堂々と言った。
「ええ」
彼女は、顔を赤らめて返事した。
そう言い合って、二人は、喫茶店を出た。



二人は、東西インのホテルの受け付けに行った。
まず、佐々木がチェック・インした。
そして続いて、岡田が、別の部屋にチェック・インした。
緊張で岡田の心臓の鼓動がドキドキと鼓動を打った。
トントン。
すぐに岡田の部屋がノックされた。
ドアを開けると、佐々木が立っていた。
「さあ。どうぞ。お入り下さい」
そう言って、岡田は、佐々木を部屋に招き入れた。
「失礼します」
佐々木は、もう遠慮なく、岡田の座っているベッドの隣りにチョコンと腰かけた。
「さあ。岡田さま。私を抱いて」
佐々木は、そう言って、岡田に身を任せようとした。
「待って下さい。佐々木さん」
「どうなさったんですか?」
「お願いがあるんです」
「何でしょうか?」
「東西インの制服は、今、持っていませんよね?」
「ええ」
「残念。あの制服姿のあなたに、僕は、興奮してたんです」
「制服フェチなんですね」
佐々木はニコリと笑った。
「ええ」
「もちろん、持っていません。でも、ちょっと、待っていて、下さい」
そう言って、佐々木は、部屋を出た。
すぐに、佐々木は戻ってきた。
彼女は、東西インの制服を着ていた。
「わあ。制服姿の佐々木さんだ」
岡田は、喜んだ。
「どうして借りることができたんですか?」
「私が東西インの社員であることを言って、ちょっと事情があって、制服を貸してくれないかって、頼んだんです」
岡田のズボンの股間の部分が、ムクムクと盛り上がった。
「佐々木さん。すみませんが立って下さい」
「はい」
佐々木は、立ち上がった。
彼女は、東西インの制服がピタッとフィットしていた。
岡田は、彼女の背後から、彼女にピタッと、抱きついた。
「ああっ。佐々木さん。素敵だ。制服姿の佐々木さんを、こうして、抱きしめるのが、僕の夢でした」
岡田は、制服姿の佐々木を、クンクンと匂いを嗅ぐように、夢中で、まさぐった。
「ああっ。いい匂いだ。佐々木さん」
そう言って、岡田は、佐々木をまさぐりまわした。
彼女も、だんだん、興奮してきて、ハアハアと息が荒くなっていった。
「ああっ。岡田さん。好きです」
岡田は佐々木をベッドに倒した。
そして、制服の上から、佐々木を抱擁した。
「岡田さん。脱がして」
佐々木が言った。
服がジャマと感じたのだろう。
しかし、岡田は、手を振って、断った。
「すみません。佐々木さん。あなたが制服を着ているので、僕は、夢想が叶って、時間をさかのぼって、最高の快感を感じているんです。どうしても、あなたが、制服を着ていることが必要なんです」
「わかりました」
岡田は、制服の上から、佐々木の体を、思うさま、まさぐった。
そして、岡田は、佐々木の、赤いペディキュアの足指を、一本、一本、開いて舐めた。
「ああっ。岡田さま。そんな所は、汚いです」
「いえ。僕は、足指に、興奮するんです」
そう言って、岡田は、一心に、赤いペディキュアの施された佐々木の足指を舐めた。
そして、制服の中に手を忍ばせて、胸を揉んだ。
ハアハアと佐々木の息が荒くなっていった。
「岡田さん」
「はい。何ですか?」
「い、入れてもらえませんか?」
佐々木は、少し顔を赤くして言った。
「はい。わかりました」
岡田は、佐々木のスカートを脱がして、男の一物を、佐々木の体の穴に挿入した。
岡田は、ペッティングは好きだったが、挿入は好きではなかった。しかし、彼女の頼みとあっては、断れなかった。
佐々木のアソコは、粘り気のある液体がダラダラ出ていた。
ゆっくり、往復運動をしているうちに、だんだん、クチャクチャと佐々木のアソコが音を立て出した。岡田も、だんだん、気持ちよくなりだした。
「ああー。いくー」
佐々木が叫んだ。
「ああー。いくー」
岡田も叫んだ。
二人は同時にいった。
岡田は、佐々木のアソコをティッシュで拭いた。
二人はシャワーを浴びた。
まず、佐々木が浴びて、次に、岡田が浴びた。
二人は、ベッドに座ったまま、メールアドレスと携帯番号を、教えあった。
「ありがとう。岡田さん」
「ありがとうございます。佐々木さん」
こうして二人は、その晩、ホテルに泊まり、翌日ホテルを出た。

翌日、佐々木は、盛岡にもどった。
岡田も精神保健指定医の資格を取るために、仕事に忙しい。
佐々木とは、時々、メールの遣り取りしている。




平成26年12月3日(水)

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