小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

戦争体験をした人の戦争に対する認識と、後世に生まれて戦争体験をしていない人の違い。

2016-01-16 13:17:42 | 考察文
戦争体験をした人の戦争に対する認識と、後世に生まれて戦争体験をしていない人の違い。

ここでは、太平洋戦争を例にとる。日本の国家総動員法とか、学徒出陣とか、神風特攻とか、天皇制とか、大本営発表とか、敵は鬼畜米英とか、原子爆弾とか、一億総玉砕とか、とかは、ちょっと、ここでは問題にしない。

「戦争の時間」、ということだけを問題にする。

戦後生まれで、戦争を体験していない人は、太平洋戦争を体験した人(特に、戦争時に子供で田舎に疎開した人)に対して、太平洋戦争は、いくら、過酷な戦争だったから、といっても、三年半だけ、の体験だったじゃないか、と思いやすい。

過酷な戦争といっても、三年半の我慢だったと思いやすい。

しかしである。

それは、結果論である。

戦争をしている時の国民は、この戦争は、いつまで続くのか、わからないのである。

将来が、わからない、ということは、大抵の場合、将来に対して、楽観的な気持ちにはなれず、悲観的な気持ちになる方が、圧倒的に多い。

つまり、永遠に続く、と思ってしまいやすい。

だから、太平洋戦争を体験した人は、三年半の過酷な生活を我慢した人ではなく、永遠に続く戦争を体験した人と、言うべきである。

今のイスラム国にしたって、そうである。

イスラム国が、いつまで続くのかは、わからないのである。

私もそうだが、多くの人も、イスラム国は、永遠に続く、と思っているのでは、ないだろうか。

戦後の、東西冷戦にしたって、まさか、ソ連が崩壊すると思っていた人は、いなかっただろう。

東西冷戦は、永遠に続く、と思っていただろう。

ベトナム戦争にしたって、アメリカは、朝鮮戦争の経験があるから、まさか、あんな長期のドロ沼の戦争になる、とは、予想していなかっただろう。

イスラム国も、いつまで続くのかは、先が見えないのである。

ただ、宗教が、からんだ戦争というのは、やっかいで、簡単には、解決せず、まず長引くだろう。

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