小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

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水泳上達法3

2008-11-22 00:54:02 | 武道・スポーツ
水泳上達法3

さて、水泳上達法の3回目

クロール上達法について述べたい。泳ぎ方の中でも、クロールは難しい。多くの人は平泳ぎでゆっくり泳ぐことは出来ても、クロールは出来ない。それはなぜか。それはクロールが難しいからである。では、なぜ、平泳ぎは出来てもクロールは出来ないか。それはクロールより平泳ぎの方が簡単だからである。その理由はなぜか。それは、平泳ぎが手の動きにしろ、足の動きにしろ、左右対称だからである。それに較べ、クロールは片手で交互に水をかき、左右対称の動きではないからである。これがクロールが難しい理由である。
ここでは、息継ぎが出来て、水もキャッチできる中級者から、さらに効率よく泳げる上級者への上達法を述べたい。
私は今まで中級者だったが、上級者になりかけている。
私は自分の例を述べる事によって一般論を述べたい。
私は今まで、水のキャッチは出来ていたが、ひとかきで進む距離は短く、効率はよくなかった。いままで練習しても上達しない理由がわからなかった。それがわかったのである。私は、体を水に浮かせる事を重視して、頭を深く水の中に入れて泳いでいた。頭が水の上に出ている量が多いほど重力がかかり、体が沈むと思っていたからである。しかし、それが誤りだったのである。水泳上達法2でも述べたが、クロールは、ある程度、速く泳ぐものなのである。速ければ速いほど、体にかかる水の抵抗も増える。一番、抵抗がかかるのは顔である。この時、頭を伸ばしていると、水には浮きやすが、水の抵抗が大きくなるのである。今までは、真下を見て泳いでいた。しかし、少し顔を上向きにした方がいいのである。それはなぜか。それは、そうした方が、水の抵抗が減るからである。板を垂直に水に入れて後ろから押すと、大きな水の抵抗が出来る。が、板を斜めにして押すと水の抵抗が減り、さらに板が上にあがる。これは誰でもわかる。ボートや船の形を考えてみればいい。ボートや船は目的や使う速さに一番合った形に設計されているのである。いい例として、モーターボートと佐渡のたらい船を比較してみたい。モーターボートでは、水の抵抗を極力、減らすため、底が丸くなっている。カヌーでもそうだが、船はみな、そうである。豪華客船でも、そうである。それは、船はすべて、水の抵抗を少なくして速く進む必要があるからである。一方、佐渡のたらい船の目的は、速く進むことではなく、転覆しないよう安定させることが目的である。だから、底を丸くしたら不安定になり、危険なのである。モーターボートのように底の先端が丸いと、スピードを出すと、抵抗が減る。もう、ほとんど水の上を走っているほどてある。クロールでは、顔を斜め上向きにすべきなのである。そうすると、速く泳ぐと、船の底の先の丸みと同じ効果が出るのである。確かに、頭は少し水から出て浮きの効果が少し減る。しかし、それより、はるかに水の抵抗が減るメリットが出るのである。つまり、顔を上げることによって、体が船のような形になるのである。しかし、中級者が、ただ顔を少し上向きにしただけでは、すぐには上手くはならない。これは、クロールの運動の独特の体の筋肉の締め方が出来るようになる、という技術的なものなのである。頭で考えてすぐに出来るようになるものではなく、練習によって身につく技術なのである。一言でいえば、首の筋肉の固定が練習によって身につく、ということなのである。
極端に言うと、クロールは首の筋肉の正しい固定が身につくようになることである。と言ってもいいほどである。

クロールにおけるバタ足の意味。
クロールは手の力だけで泳ぐものである。一般の人で、クロールは、手のかきと、バタ足の両方が推進力と思っている人がいる。しかし、それは違うのである。では、バタ足は何のためか。それは、クロールの運動のバランスをとるためと、足を浮かすためである。人間が歩く時を考えればわかる。人間は片足ずつ前に出して歩く。そういった点、交互の運動であり、クロールと同じである。人は歩く時、手をどうしているだろうか。足の動きと反対に振っている。これは、体のバランスを保つためである。歩いている時、ランニングしている時、全速力で走っている時、と速くなるにつれて、手の動きも速くなって、速度に合った手の振り方になっている。しかし手は何の推進力も生み出していない。クロールのバタ足もそれと同じなのである。推進力は手の力だけであり、バタ足は単に体のバランスをとっているだけに過ぎないのである。そして、クロールでは頭を上げることによって足が沈みやすくなるから、バタ足によって、下半身を浮かせているのである。バタ足は、水を後ろと下に蹴っているが、クロールで泳いでいる時には、バタ足は足を浮かせるため下に蹴っているのである。クロールの2ビートなどをみれば、それがわかる。2ビートでは、足は少しも推進力を生み出していない。つまり、クロールのバタ足は、体のバランスをとるため、と、足を浮かせる、という二つの目的のための運動なのである。

速く泳ぐほどバタ足は少なくてすむ。
人間の体の比重は、トータルで1.03である。つまり水とほとんど同じである。しかし息を吸い込めば比重はさがり、またクロールでは頭の一部と、リカバリーしている手は水から出ていて浮力がなく、重力となっている。
水よりもう少し比重の重い板を水の中に入れた時をイメージしてみるとわかりやすい。当然、板は垂直になる。しかし、その板の上を引っ張ったらどうなるだろう。引っ張る速さが増すにつれ、水が当たる力が強くなり、だんだん持ち上がってくる。人体もそれと同じなのである。人体は水と同じ比重の板のようなものである。速く泳ぐほど、これと同様の効果がでてきて、体が水平になってくれるのである。なのでバタ足によって足を浮かす必要も少なくなってくるのである。

体がぶれないようにする。
クロールでは水中のラインの上を真っ直ぐ泳いだ方がいいのである。
なぜかというと、クロールで気をつけなくてはならない事は、体をぶれさせない事なのである。体はまっすぐなのがいいのである。水中のラインを見ると、それが目印になって、体を真っ直ぐにしやすいのである。クロールでは、絶えず、片方の手に力を入れて水を押している。そのため片方の肩だけに力がかかる。人間の体は剛体ではなく柔らかい。片側だけに力がかかると当然、体が揺れそうになる。初心者でも中級者でも、泳いでいる時には、無意識に体がぶれないようにしているのである。体がぶれると水の抵抗が一気に激しくなる。そして、ぶれないようにと思っているうちは、まだ達人ではない。実は体のぶれも、頭で考えてする事ではなく、正しい筋肉の締めという技術であって、練習によって上達するものなのである。水泳選手ほどの達人になると、体をぶれさせないように、などと意識していない。達人は何も考えなくても、体がぶれない技術が身についてしまっているのである。

クロールの形は人によって違う。
クロールの形は人によって違うし、また違わなくてはならないのである。誰一人、同じ体型の人はいない。これは筋力や柔軟性、持久力、などでも言えて、誰一人、同じ人はいない。一人の人でも年齢によって、それらは変わっていく。さらに泳ぐ目的もちがう。オリンピックの100メートル競走なのか、ゆっくりした楽しみの遠泳なのか、では、泳ぎ方は違ってくる。クロールでは頭を上げるべきだと言ったが、当然、その度合いは、泳ぎの速さによって、最も合うように変えなくてはならない。速く泳ぐ時は、顔を上げるべきであり、ゆっくり泳ぐ時には、水の抵抗も減り、体を浮かすため顔を上げる度合いも少なくすべきなのである。
また何のために泳ぐか、という目的も人によって違う。
選手になって試合に勝つためか。健康のためか。筋力をつけるためか。持久力をつけるためか。エアロビクスとして痩せるためか。目的によって違うし、また違わせなくてはならないのである。

泳ぐ速さと、水の抵抗というものが、クロールにおいていかに重要かは容易にわかる。ジャンボジェット機ほど重たい物体が空から落ちずに、すごい速さで飛べるのは、空気の抵抗と推進力のためである。空気に較べると水の抵抗は、比べものにならないくらい大きい。オリンピックの選手は、水の中を泳いでいるというより、モーターボートのように水の上を泳いでいるように見える。体が船になっているからである。

しかし、クロールにおいて、さみしいことが一つある。
飛行機は速く飛び続けていないと、空かにおっこちてしまう。
それと同じように、クロールも泳ぎ続けなければ、水の上に浮いていることが出来ず、沈んでしまうのである。

なお、水泳に関しては、ブログでは、8月27日と9月22日にも書いてあります。ホームページでは、「武道・スポーツ上達法」にも書いてあります。よろしければ御覧下さい。





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