夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

ビブリオバトル

2015-10-24 22:11:07 | 日記
ビブリオバトル山陰地区決戦に、勤務校の学生が参戦するので、引率で松江へ。
会場は、松江の街なかにあるカラコロ工房(旧日本銀行松江支店)。


ビブリオバトルは、「知的書評合戦」ともいい、発表者たちが自分のオススメの本を5分でプレゼンし、2分の質疑応答の後で、会場の聴衆が誰の勧めた本をいちばん読みたくなったか、投票で決める。

本校の学生は残念ながら優勝には至らなかったが、終了後、他の出場者や主催者グループ、会場に参加していた方などと仲良くなり、話し込んでいた。
その様子を見ただけでも、今回、彼を引率してきてよかったと思った。

熊谷家住宅

2015-10-23 23:23:49 | 日記
先日、校外研修の引率で大森の町を訪れたときに、いちばん印象に残ったのは熊谷(くまがい)家住宅であった。
熊谷家は、銀山の鉱山業などで近世、近代に栄えた商家で、現存する主屋と米蔵・雑蔵などが重要文化財に指定され、一般公開もされている。
建築史上高い価値を有するということで、ガイドの方が熱心に説明し、学生もそれに聞き入っていたが、私の関心はあらぬ方に向かってしまう。


来客を応接する奥の間にあった、和歌短冊などを貼り付けた屏風。
富裕な商家であっただけに、屋敷内の調度類もその財力をうかがわせ、かつ趣味の高さを感じさせるものが多い。

  朝日影花の光にさしわびてこぼるる露も香ににほひつつ

の歌の短冊などがあったが、時間の都合でゆっくり見られなかったのが残念。


熊谷家は酒造業も営んでいたそうで、その道具類の展示もあった。
中央にあるのは瓶燗機。
搾った酒の劣化やそれ以上の発酵を防ぐために、火入れ(加熱処理)という作業を行うためのものだが、実物は初めて見た。

重要文化財を見学しても、結局、歌と酒しか印象に残っていないというのが私らしいが、まあ仕方がない。



伯耆路をゆく 再び

2015-10-20 20:40:34 | 短歌
これは今月初めの話になるが、「吟行短歌集 伯耆路をゆく」が郵送されてきた。
7月の日本歌人クラブ中国ブロック研修会の後で、その時の参加者たちが短歌5首をそれぞれ提出したものを集成した小冊子である。

日本歌人クラブ会長の三枝昂之氏は、「短歌の日記代わりの記録性、永久保存の意義」をよく強調されているとのこと。

確かに、歌詠む者にとっては、なまじの写真より、自分の実感実情に出た歌、思いを凝らして詠んだ歌の方が、はるかにその時、その場を思い出すよすがとなるにちがいない。

頁を繰り、参加者の皆さんたちの詠歌を読んでいると、旅の中で見聞きしたあれこれが脳裡に鮮やかに蘇る。
自分と同じものを見ても全く着眼点が違ったり、私の全く気づいていなかったものを取り上げていたり、グループで吟行する楽しさは、こんなところにもあるのだな、と思った。

先生のお歌も、「大山即時」と題した作があり、その中では特に、

  青山の奥より潺湲(せんかん)と来たる水また青山の中に消えゆく

  みどり濃き木賊(とくさ)の茎に殻を脱ぎゆきし蟬ありいまだ濡れ色

が印象に残った。

先生のお歌を読んでいつも感じるのは、その語彙の豊富さである。
「潺湲」は水がさらさらと流れるさまをいい、清流の形容に用いられる。
恥ずかしながら私は、国語の教員でありながら、辞書を引くまでこの言葉を知らなかった。

私は短歌に漢語を使うのが苦手で、歌の調べを損なうのが嫌なので、なるべくなら和語だけで済まそうとする傾向がある。
しかし、現代短歌では、漢語、俗語、卑語も含めて貪欲に歌に詠むべき言葉を求め、なおかつ格調ある歌を作らなければならない。
自分の知っている範囲の言葉だけにとらわれず、もっと歌言葉を開拓したり、あるいはあえて造語したり、表現の可能性を追求する必要があると思った。

岡山文学散歩

2015-10-18 23:18:12 | 日記
先日、学会のシンポジウムと研究発表会は2日間で終了したが、3日目は会場校主催の実地踏査があり、参加してきた。

恩師が行程の企画・調整など準備一切を取り仕切り、当日のガイドまでしてしまうという至れり尽くせりの一日旅であった。
朝8時に集合し、夕方6時に解散するまで、吉備津彦神社→吉備津神社→横溝正史疎開宅→薄田泣菫生家→藤戸寺→熊野神社→渋川海岸、を訪れ、盛りだくさんの内容だった。


私がこの日、印象に残ったのは、吉備津神社で鳴釜神事(なるかましんじ)に参列したのと、藤原成親(なりちか)遺跡を訪れたこと。

後者は、吉備津神社から少し離れた山中にあり、他の参加者の方々と一緒に、急坂を息を切らしながら登ったのが楽しかった。

私の後輩に当たる、母校の院生たちも何人か参加していたので、大学院の昔今の話に花が咲き、懐かしく思うとともに、恩師のおもてなしで心ゆく一日を過ごすことができたことに心から感謝したい気持ちになった。

校外研修 その2

2015-10-16 21:29:35 | 日記
石見銀山見学の後は、三瓶(さんべ)の研修施設で一泊。
朝、早めに起きて散歩していたら、日の出から間もない三瓶山が朝日の光を受けてきれいだった。


今日のメイン行事は、野外炊飯。
かまどに薪を燃やし鍋でご飯を炊き、炭で火をおこしてバーベキューをするなど、一からすべて調理する体験は、日常生活ではそうそうできるものではない。
学生たちが、炭になかなか火がつかないとか、ご飯におこげができるように炊くにはどうしたらよいかという問題を、男女協力しながらワイワイやって解決していくのを見るのは楽しかった。

かまども、BBQのコンロも、煙と灰が大量に出てくるのには閉口したが、炊きあがったご飯も、炭火で焼いた肉や野菜も美味しく、やはり野外でみんなで調理して食べる機会は格別だと思った。