夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

熊谷家住宅

2015-10-23 23:23:49 | 日記
先日、校外研修の引率で大森の町を訪れたときに、いちばん印象に残ったのは熊谷(くまがい)家住宅であった。
熊谷家は、銀山の鉱山業などで近世、近代に栄えた商家で、現存する主屋と米蔵・雑蔵などが重要文化財に指定され、一般公開もされている。
建築史上高い価値を有するということで、ガイドの方が熱心に説明し、学生もそれに聞き入っていたが、私の関心はあらぬ方に向かってしまう。


来客を応接する奥の間にあった、和歌短冊などを貼り付けた屏風。
富裕な商家であっただけに、屋敷内の調度類もその財力をうかがわせ、かつ趣味の高さを感じさせるものが多い。

  朝日影花の光にさしわびてこぼるる露も香ににほひつつ

の歌の短冊などがあったが、時間の都合でゆっくり見られなかったのが残念。


熊谷家は酒造業も営んでいたそうで、その道具類の展示もあった。
中央にあるのは瓶燗機。
搾った酒の劣化やそれ以上の発酵を防ぐために、火入れ(加熱処理)という作業を行うためのものだが、実物は初めて見た。

重要文化財を見学しても、結局、歌と酒しか印象に残っていないというのが私らしいが、まあ仕方がない。