今回、店長は不在だったが(残念!)、おすすめのお酒をいただいてきた。
千峰(せんぽう) 天青(てんせい) 純米吟醸
熊澤酒造(神奈川・茅ヶ崎市)のお酒。
アルコール分19度、山田錦精米歩合50%。
今回のは、夏季限定品らしい。
香りがよく甘みが強い。飲みくちがサラリとした感じで、夏の夜に涼気を求めるのにうってつけだと思う。
ただし、食事があってこそ映える酒で、料理の味を引き出してくれる。
この日は店員さんに、ハモの湯引きを出していただいた。
湯引きして開いたハモの身は、ボタンの花にたとえられる。
悪食、獰猛、グロテスクな外見の魚として知られているが、その身はむしろ繊細な味わいなのが不思議だ。
しかし、固く長い小骨が多いため、下処理が煩わしいそうで、
「骨切り大変じゃありませんでしたか?」
と尋ねると、
「慣れないので、あちこち手をケガしました。」
とのことだった。
さっぱりしたハモと梅肉を肴に冷酒をやるのは、暑気払いにぴったりだった。
ところで、「天青」とは、中国の五代最後の王朝、後周の皇帝が、理想の青磁の色を、「雨過天青雲破処」と表現したのにちなむ。
雨が過ぎた後の、雲を破って覗いた天の青のような、すずやかで潤いのある酒を目指して命名されたそうだ。
たかが酒なのかもしれないが、そこにはそれぞれの作り手の伝承された技術や様々な願いが込められていることを感じる。
日本酒は食文化というだけでなく、日本文化のエッセンスでもあると思う。