パデレフスキー自伝

2016-08-07 10:38:17 | Weblog
「パデレフスキー自伝」全2巻を読んだ。世界的ピアニストでありながら、ポーランドの初代首相。幼少期から第1次大戦までのことが綴られている。普段はショパンの楽譜の校訂者としか意識していないが、自伝を読んで、かなりその人柄に共感、身近な存在として感じられるようになった。晩学であり、ウィーンの名教師レシェテツキから「ピアニストになるにはもう遅すぎる!」と言われた話。アントン・ルビンシテインへの落胆のエピソード。早すぎた成功とその後の苦労。指を壊した猛練習。マネージャーの裏切り、など映画での人間模様を見ているかのよう。しかも、音楽家のみならず、歴史的な人物が次から次へと登場する。1900年前後のヨーロッパ、また、パリの社交界の様子も興味深かった。自分の演奏を聴きたいという人に対しては、コンサートのチケットがなくても、なんとか配慮して聴けるようにしたようだ。その音楽性のみならず、人間としても超一流であったのだと納得。しかし、晩年の様子が書かれていないのは、極めて残念だった。

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