小学校時代の校長先生。恰幅がよく、優しかったN先生。先生は、我々の卒業の際、1冊の文庫本を卒業生一人一人にプレゼントしたのであった。一筆を添えて。小学生の自分にはとても難しそうな本だったので、どこかにしまいこんだまま、忘れてしまっていた。ところが、かなり時間がたち、上京する際の荷造りをしている最中に、偶然、その本が出てきたのである。その本とは、内村鑑三の「後世への最大遺物」であった。しばし荷造りの手を休め、その本の世界に浸りきったことを思い出す。その内容もさることながら、かつての校長先生が我々に託されたメッセージに深く感動したのであった。教えとは、その場限りのものではない。時空を超えてメッセージを受けとり、得心する。こんなこともあるのだと思った。そんなN先生が、最近、92歳で亡くなられたと聞いた。修学旅行の時、美ヶ原高原で一緒に撮った1枚の写真が、今でも懐かしい思い出となっている。
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