器楽奏者の殿堂

2008-01-27 17:10:33 | Weblog
 器楽奏者の殿堂、東京文化会館小ホール。最初に訪れたのは今から20年以上も前。確か小山さんのデビューの頃だった。ここは、素晴らしい音響と同時に奏者のすべてを映しだしてしまう鏡のようなホールだ。それだけに恐ろしい面がある。
 先日、柳川氏のリサイタルが催され、久々に出かけてみた。曲目はベートーヴェンの作品101のソナタ。幻想ポロネーズ、マズルカ、子守歌。ドビュッシーのプレリュード2巻。最初のソナタから十分に練り込まれた確信に満ちた音楽だ。硬質な音色が冴えわたる。テンポ設定が巧みで、自然な曲の運びである。勝負に出ている所も感じられ、立体的な構成で迫ってくる。
 幻想ポロネーズは、作品の奥行きを感じさせる演奏。歌わせ方も過度にならず、一定の枠におさまっている。ことにコーダからの畳みかけ方は見事だった。
 ドビュッシーのプレリュード2巻は圧巻だった。音色の豊富さというよりも、あらゆるタッチの音を堪能したという感じだった。ピアノにはこれだけの可能性が秘められているのだ。
 近年、没個性的なピアニストが多いなかで、柳川氏の燻銀の音楽は、一際貴重な存在だ。








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