フランソアが弾くショパン全集を1年くらいかけてじっくりと鑑賞した。ショパンの全集としてはやはり歴史に残る名演だろう。路線としては、フランスピアノ界の大先輩コルトーの系統といえるだろう。ルバートを多用して、即興的に歌い込むスタイル。しかしフランソアのものは、より悪魔的でアクが強く、打鍵も強靭だ。神がかり的な演奏もあれば、弾き流した感じになっている演奏、またデフォルメされ過ぎて、作品が異質な感じになってしまったものもある。たとえばコンチェルト1番など。しかし、ぴったりとはまった曲は、彼の独壇場だ。ソナタ2番・3番、アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ、バラード4番、24のプレリュードなどは圧倒的な名演である。彼のピアノは、整頓されたテクニックで弾くというよりも、多少強引な迫力で押しきるという感じだ。未だに彼の熱狂的なファンがいるのもわかる気がする。以来このように弾くピアニストは皆無だから。
最新の画像[もっと見る]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます