聴き方の違い

2016-03-19 13:56:09 | Weblog
最近、気づいたことがある。音楽の聴き方のことである。私が尊敬するドイツ系の巨匠ピアニスト、バックハウスとケンプ。この二人の演奏を聴くとき、無意識のうちに別の感覚を使っていることに最近、気づいた。バックハウスのベートーベンを聴くとき、私の感覚は音楽の「流れ」の中に向かう。間断なく続く抜群のリズム感・大きな音楽のうねりの中に身を委ね、ベーゼンの深い響きを通して、ベートーベンの巨大な建造物を眺めている。一方、ケンプのときは、とてつもない懐の深い音楽の流れの中に身を委ねながらも、次々に移り変わる景色を立ち止まりながら楽しんでいる。予想外のハプニングや、今まで見たこともないような景色も、時折出現する。でもその景色の一つ一つが実に味わい深い。ケンプは、"兄"バックハウスにはかなわない!と言っていたそうだが、"兄"にはない、この人しか出せない味わいがいつもある。ケンプの演奏には、いつも心揺さぶられる。1961年に東京で行われたベートーベン全曲演奏会。そのCDが出ているが、実演はど
んなにすばらしいかったことだろうか?

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