円熟の名演

2019-06-02 21:04:42 | Weblog
柳川先生のリサイタルが軽井沢大賀ホールで行われた。今年9月に87歳になられる先生。プログラムは、前半がベートーベンのテンペスト、リストのロ短調ソナタ、後半はドビュッシー前奏曲2集全曲である。毎回のように超重量プログラム。たとえるならば、エベレストに登山するようなものか?今回は演奏開始時間が10分過ぎてもステージに登場されず、少し心配した。しかし、演奏が始まるといつものような練りに練り上げた極上の音色が会場内に響きわたる。いずれも以前に取り上げられたプログラムだが、その印象はだいぶ異なっていた。ロ短調ソナタはより悪魔的な要素が加わり、さらに神聖な光のようなものまでも感じられた。ドビュッシーはさらに圧倒的。様々なタッチを駆使した音色のマジック。こんな表現・音色が可能なのかと度肝を抜かれた。柳川先生は80代後半を迎えられたが、演奏は毎回進化している。前人未到の領域を歩まれつつある。この2時間のコンサートに込められた先生の芸術メッセージは計り知れない感じがした。6月8日東京文化会館の公演も楽し
みである。