ホロビッツとバックハウス

2019-05-11 16:23:56 | Weblog
最近、その素晴らしさを再認識したピアニストが2人いる。ホロビッツとバックハウスである。ホロビッツには様々なレパートリーがあったが、スカルラッティも重要なレパートリーの1つだった。娘が今、スカルラッティの練習をしているのだが、ホロビッツの演奏はどうだったのか?と思ってCDをかけてみて驚いた!たった1音で雰囲気が激変していく。この表現力の凄さは何だ?と思った。指先のコントロールでかくも自在に雰囲気を弾き分けるテクニックに脱帽した。こんなピアニストは今はどこにもいない。もう一人は、バックハウス。小学校6年の時によく聴いていたアパッショナータ。59年の録音。最初の符点のリズムからして世界が違う。その後の展開まで予感させるものである。そして、曲の終わりまで揺るぎのない一本の鋼鉄が通っている。かといって無味乾燥なメトロノーム的なテンポではない。微妙にテンポは変化し、時には激昂していくが、全体像は微動だにしない。起伏に富んだドラマを見ているかのようである。アパッショナータは演奏者が熱演しやすく、
今まで数々の名演が存在することは承知している。しかし、このバックハウス盤は、その中でも一際そびえ立つ不滅の演奏なのではないか。