LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

『NOUVELLE VAGUE』(5)

2010-10-18 | THE SOUNDTRACKS
アラン・ドロンさんとジャン・リュック・ゴダール監督との唯一のコラボ作品『ヌーヴェルヴァーグ』に採用された音楽を
『NOUVELLE VAGUE』(1)(2)(3)(4)にてご紹介しましたが、今回はその続きです。

以前にも書きましたが、この作品の正規のサントラ盤はECMレーベルから発売されていますが、
このアルバムは俳優の全ての台詞から効果音に至るまでを2枚組のCDに収めたもので、
音楽のみを個々に聞いていきたいと思えば、もう一度一枚一枚のアルバムを買わないといけないという
サントラ・ファン泣かせの代物でした。

私は今頃になってなんだと言われそうですが、最近になってようやくiTunesの良さに目覚めまして、
この機能を生かして(?)、『ヌーヴェルヴァーグ』の音楽もアルバムを買わずして1曲ずつ購入することができました。

というわけで今回ご紹介するのが以下の3曲です。

(掲載画像のジャケット写真左側から順に)

(1)Werner Pirchner の "Sonate vom rauhen Leben PWV 19: 1. 3 bars moll / 3 bars dur / 4 bars"
(2)Meredith Monk の "Do You Be?"
(3)Patti Smith の "Distant Fingers"

それぞれの曲が使われた場面はジャケットの下の2枚のキャプチャー画像をご参照ください。

(1)はこの映画の題名通り「波」を表した、ただしそれは夏の海岸に打ち付けられる明るい「波」ではなく、
静かな湖面に揺らぐ暗い「波」を表現する音楽です。
この場面はドロンさん扮する前半の弱い主人公と強いヒロインとの心のすれ違いを
左右に動くキャメラとこの音楽で表現するというゴダールの映画的な技法を満喫できるシーンです。

(2)は(1)の直前のシーンにほんの数秒だけ流れる、まるで獣の鳴き声のような不思議な音楽です。
はたしてこれは「音楽」といえるのか、「声」のパフォーマンスいう方がぴったりとあてはまるような音です。

YouTube - Meredith Monk - 1/8

(3)はパンク・ロック界の女王パティ・スミスのナンバー、今聞くととてもポップな曲ですね。
使われたのは皆さまもおわかりのように冒頭のドロンさんの登場場面でした。


これら3曲と以前にご紹介した曲たちは、ジャンルを超えてクラシックからロック、ジャズ、オルタナティブに至るまで
どれもバラバラなものが選曲されてるにも関わらず、なぜかとても統一感があることに気付かされます。
ゴダール監督はやはり天才なのでしょう。このような素晴らしい音楽を私たちドロン・ファンに届けてくれたゴダールに感謝!です。
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