陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

たばこ1パック1000円、そろそろ私も禁煙かな?

2008-06-23 09:00:25 | Weblog
 たばこの税金を更に上げて、現在1パック300円を1000円にしようと超党派議員連盟が発足した。今年3月、笹川陽平日本財団理事長が提言、世界各国に比べ、日本のたばこ税金は安いと言う趣旨を受けたもの。

 たばこ価格を1000円にしたら良いと言う学術論文もある。
河野正道「たばこの適正価格について」
http://www.nosmoke55.jp/gakkaisi/200802/index.html#kawano

 只今のたばこ税金は300円の価格中

国たばこ税  71.04円(23.7%)
地方たばこ税 87.44円(29.1%)
たばこ特別税 16.44円(5.5%)
消費税    14.29円(4.8%)

であるから、税金分は189.17円(63.1%)/パックとなる。原価は110.83円の計算。これでも随分と税負担が大きい。日本の国際空港免税店では、たばこが33%引きで買えるのだが(1カートン=10パックで2000円)、それは、国たばこ税、たばこ特別税、消費税が免除されているのだろうか。

 これを1000円/パックとすると、889.17円が税金相当、価格の9割近くが税金となる。デンマークは、税金割合が85%でそれを越える。

 私は、平均1パック/1日を消化するので、1000円に値上げされると月3万円、現在よりも2万円以上負担が増える。

 ヨーロッパは国によって若干異なるが、大体マルボーロなどの外国たばこは5ユーロ/1パックだから、800円見当。ロンドンは5ポンドで1000円位。米国も、7ドル/パック程度はするので800円/パックが相場。

 一方、ベトナム、インドネシア、シンガポールでは、マイルド・セブンが150円/パックで買えるから無理に日本の免税店で買って持ち込む必要は無いけれども、偽たばこを売り付けられる可能性がある(笑)。

 欧米では、更に価格上昇の見込みで、ロンドン同様1000円/1パックになるのは最早時間の問題だろう。

 日本たばこ産業株式会社(JT)のたばこパック両面には

 「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が、非喫煙者に比べて約1.7倍高くなります」
 「たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、周りの人の迷惑にならないように注意しましょう」

と書かれている。喫煙者の健康障害を心配しながら、同時に罪悪感を醸成する狡猾な狙いだが、それならJTは売らなければ良いのにと思う。海外で売られているたばこには、英語や各国の言葉で「危険」、「健康障害」、「殺人」などのおどろおどろしい表現がこれでもかと言う程に見られ、ハンガリーで売られているマルボーロには、動物実験による肺の損傷写真が生々しく印刷されていて、実に不気味だ。

 たばこがそれ程危険なものなら、WHO辺りが中心になり、世界中でたばこを禁止すべきなのだが、これが出来ない。たばこ税金が各国の有力財源になっているからだ。日本では、たばこ税収が2兆3000億円程度あり、これは大きい。

 湾岸戦争の頃、日本は「人は出さぬがカネは出す」として110億ドル(=約1兆2000億円)を負担したが、これの大半をたばこの値上げで賄った。喫煙者は不満を述べる一方、愛国的(?)な気持ちもあってそれに応じ、喫煙人口はあまり減らなかった。まあ、それだけたばこ税は徴収し易い財源なのだ。

 20世紀の中頃は、喫煙が全盛であった。インテリは、喫茶店やカフェでたばこを燻(くゆ)らし、会話を楽しみながら相手を煙に捲いた。恋人達も、話題が途切れるとタバコを吸って沈黙をつなぐ。それは、中々効果的な小道具であった。

 米映画「カサブランカ」(1942)などは、喫煙シーンが無ければ何とも味気ないものになる。主人公がタバコを燻(くゆ)らしながらウィスキーを煽(あお)る、それだけで傷心の悲哀が観客に伝わる。<たばこ文化>の効用とでも言うべきか。古典名画と言われるものの中では、洋の東西を問わず、喜怒哀楽を表現するためにたばこが自然な形で使われた。

 禁煙運動が盛んになったのは、米国からである。それも湾岸戦争以降五月蠅くなった。1980年代の初めまでは、飛行機の中に禁煙席など無かった。何時の間にか禁煙席が出来て、次第にそれが主流となり、喫煙者は後部座席に押し込められた。日本人があまり利用しないユナイテッド航空の喫煙座席は、何時もがらがらに空いていたから、私はエコノミークラスの3つの座席を占有し、ゆっくりと体を横たえて渡米した。

 全席禁煙の先鞭を切ったのも米国航空会社である。それに欧州系の航空会社が追従し、日本の航空会社も同調した。1995年以降は、欧米と日本の航空会社のフライトでたばこを全く楽しめなくなった。それでも、インドネシアのガルーダ航空や、シナの東方航空には喫煙席があった。多分、今はもう無いだろう。

 機内禁煙は地上に及び、米国の空港では建物全域が禁煙、最近はドイツ・フランクフルト空港もそのようになった。成田や羽田の航空会社ラウンジには、ゆったりとした喫煙席があるが、これも風前の灯である。

 JRも東海道新幹線の一部を除いて全面禁煙。私鉄も同じ。喫煙者は、駅や空港のガラス箱に入り、実験動物さながらに押し合いへし合いしながらたばこを吸っている。更に、東京や横浜の特定区部では屋外でも禁煙となった。この傾向は、益々進むであろう。

 たばこの価格が3倍以上になる、喫煙出来る場所はどんどん狭くなると言うのでは、私の喫煙もそろそろ年貢の納め時かなと思うようになった。体調が悪くなったら、まずたばこを控え、次にコーヒーを止める。それから禁酒に踏み切ると一応3段階の健康維持策があったけれども、禁煙はそれとは別に世の流れに従わざるを得ないようだ。

(追記:6月23日)

 京大の先生が、たばこを1000円/1パックにした時の予測をした。その時は、喫煙者の97%が禁煙に向かうと考えられている。これでは、JTは大打撃を受けるだろう。今年1月頃のJTの株価は60万円程度だったが、本日は少し値上がりしたものの、432000円位だ。

 500円/1パック位なら、私も喫煙を続けるかもしれない。

たばこ1000円なら税収減? 京大教授が試算
2008.6.23 10:25

 たばこが1箱1000円に値上がりすると、税収増どころか最大で1.9兆円税収が減るとの試算結果を23日までに、京都大大学院の依田高典教授(応用経済学)がまとめた。

 1箱1000円になれば単純計算で9.5兆円の税収増とされ、超党派の国会議員連盟がたばこ税引き上げを目指しているが、依田教授は「価格が上がるほど禁煙の成功率も上昇する可能性が高い。大幅値上げによる税収増は疑問」と話している。

 試算によると、1箱1000円では、これまでの研究から喫煙者の97%が禁煙しようと思うと考えられ、全員禁煙に成功した場合、税収が1.9兆円減少する。1箱300円の場合と同じ54%の禁煙成功率で試算しても、税収増は3兆円だった。

 一箱500円の場合は、禁煙しようと思う人の割合は40%にとどまるとみられ、0.6兆~1.5兆円の税収増が見込める。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080623/fnc0806231038005-n1.htm

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